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2016年01月10日
ワイルド・ソウル
おおお、私の住むところでは
ほんの4,5日前は
異常なほど暖かかったのに
昨日今日はまた突然
冷え込んで寒がりにはつらいです
段々と寒くなっていってほしい
ですよね。
少しずつ耐性をつけていきたい……
みなさまも、急激な
気温変化、ご注意くださいね
さてさて、本日はこちら。
垣根 涼介著 『ワイルド・ソウル』
戦後、日本政府による
移民政策で
ブラジルへ渡った
多くの人々
政府は、開墾された
土地、住居があり
灌漑設備も整った
農耕をするには
理想郷であると
謳い、
それを信じて
ブラジルへ着いた
人々は、唖然。
そこには、何もなかった
移民政策が、
実のところ
政府による棄民政策
であると気付いた時には
遅く、
日本へ戻る術も
持たない人々は
原始人さながらな
生活を余儀なくされ……
身体には
蠅や蚊やヒルが
たかり、
病に怯え、
圧倒的自然に
完全に気おされ、
そうしていく中で
次々と土へと還る人がおり、
そうして家族を
亡くした悲しみに
気を狂わす人もおり
逃散する人もおり
そんな地獄の中、
妻と弟を亡くした
衛藤は絶望の中
放浪し、
十年後、かつての
入植地へ戻る
そこで暮らす友人にした
必ず戻って助けると
約束を果たそうと……
だがしかし。
衛藤のように、
激しく日本政府へ
怨みを持つ、
かつての入植者
孤児となりジャングルを
さまよっていたケイ、
同じく孤児となり
マフィアに拾われた松尾、
この3人が中心に
日本政府へ喧嘩を
ふっかける
とにかく、圧倒的な
躍動感、痛快さが
たまりません
1人1人の
キャラクターが
非常に丁寧に
つくりこまれていて
最後には全て
腑に落ちて、
うーん、やはり
痛快かな。
凄まじい
泥まみれの過去が
呪いとなって
人を縛り付けている
その絶望感
鬱屈とした色のない人生
これらの描かれ方も
生々しくて
怒りがこみあげてきます
何に?移民政策をした
日本政府か?
過去の積み重ねの中で
つくりあげられていく
人格、生き方、環境
そして、
そんな過去に縛られる
人間によって起こされる
スケールの大きい事件
ブラジルの、
底抜けの陽気さと
その奥に見え隠れする
激しさ。
ぞっとするほどの
冷酷さと同時に見える
優しさ。
人間って複雑だ、
そして単純で
愛おしい、
そんなことを
考えつつ。
気付けば全力で
「悪党」を応援してしまう
上下とありますが
全く気にならないですよ
最初から最後まで、
特に上の後半からは
とにかく、走るように
読んでしまう面白さ
とにかく読んでみれば
すぐ分かる、
あ、この本物凄い
スピードで読んじゃう
やつだ、って。
引き込み方が
尋常じゃないです
読みやすく、面白く
しかしテーマは重く
そのくせ暗くはない。
是非是非、
読んでみてください
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2016年01月05日
スカイ・クロラシリーズ
うーむ、ついについに
お正月もすっかり終わり
ましたね……
何だか今年は
はやかった。気がします。
さて、そんな本日は
シリーズものを。
森博士著 スカイ・クロラシリーズ
全部で5作品の
シリーズです
(『スカイ・イクリプス』
という短篇集があと
もう一つ)
出版順は
『スカイ・クロラ』
『ナ・バ・テア』
『ダウン・ツ・ヘヴン』
『フラッタ・リンツ・ライフ』
『クレィドゥ・ザ・スカイ』
表紙が美しいですね
架空の世界での
戦闘機乗りたちの
物語なのですが
とにかく、
抜けるような青空が
浮かぶよう
詩的な作品で
個人的な好みに
どんぴしゃでした
言葉が美しい
風景描写が最高
酔えます
『スカイ・クロラ』は
かなり謎が多いのですが
この詩的な文章だけで
十分虜になってしまいます
まだ続くことに
感謝しつつ、次の
刊へうつって……
次第次第にぼんやり
この世界が見えてくる
『スカイ・クロラ』から
何度か
「キルドレ」
という言葉が
出てきて、
これはこのシリーズに
おけるキーワードでは
あるのですが、
これは一体
何なのか、
なかなか
最後まで分かったような
分からないような
少しもやもやする
状態が続きます
とにかく、謎が多い
作品なのですが
読んでいくうちに
どんどん、キャラクタに
愛着が湧いてきたりして
空にも憧れたく
なったりして
けれども、さらに
読み進めていくうちに
「キルドレ」というものが
どういった存在なのかが
分かってきて
なんだか、切なさも
加わりながら
しかし空は美しい
飛びたくなる
浮かびたくなる
生から離脱していく
ような感覚に、
酔いそうになって
純粋になりたくなる
心が浄化されるような、
そのくせ、
何度も何度も
立ち止まって
考えさせられる
人の心を掴んで
離さない、
もういろんな意味で
謎多き作品です
全て読むと、もう一度、
『スカイ・クロラ』を
読み返したくなる
この感覚。
是非是非、
味わってみてください
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2016年01月02日
隠蔽捜査
しまった(ฅฅ*)
昨日爽やか風味で
また明日〜
とかなんとか
のたまったにも関わらず
こんな時間に!!!
すみません、初売りを
朝から気合い入れて
満喫し過ぎてしまいました笑
皆さまは素敵な
お正月を過ごされて
いるでしょうか?
そんなことを言いつつ
さて、新年一発目!
気持ちいいの、
行きましょう!笑
今野敏著『隠蔽捜査』
主人公である、
竜崎伸也は
警察庁長官官房
総務課課長
紛れもない
エリートであり
本人もそのことを
強く意識しています
とにかく、最初は
彼のあまりにも
強すぎるエリート意識に
辟易してしまいそうになります
例えば、東大以外は
大学ではないと
息子が有名私立大学に
通っても進学を許さず
東大を目指して
浪人をさせたりだとか。
同じ警察という
組織の中でも
所謂現場にて仕事を
する人々を
明らかに
見下している
心情描写が
あったりだとか……
けれども、段々と
彼がそのような
価値観を持つにいたる
経緯が語られ、
そして、彼が
まさに竹を割ったような性格
であるということが
分かってきて、
徐々に彼に興味が
湧いてくる
彼は、常に国家公務員
として、自分がどうすべきなのか、
で考え、そこに
私利私欲を挟まない
(並大抵のことではないですよね)
そして、原理原則に
忠実な官僚です
そんな彼は周りから変人
扱いされているのですが
よくよく見ていると周囲や
部下からの信頼は厚い。
読んでいくと
確かに、信頼が
厚くなるのは、分かる
ってなってくるのです……
そんな折起きた
暴力団の殺人事件
ただの暴力団の抗争
である、と担当や現場の
警察の対応がひどく
遅くはないか?
竜崎は
国家公務員として
「当然の」判断を
下すため、
逆にいうと、
そのような判断が出来ず
保身に走っている
人間が警察という
組織を腐らせるのだと
憤り、何となく違和感を
覚えるこの事件に
大きく関わっていく
こととなります。
沢山の敵をつくりながらも
「当然のこと」を
貫こうという姿勢は
崩さない
さあ、事件の真相は
一体どうなっているのか。
しかし、その一方で
彼自身に個人的な
大問題が起きて……
竜崎は自分の信念を
強く持っているのですが
呆れる程、その信念を
曲げろ、曲げろ、という
声や出来事が何度も
起きることとなります
はたして、竜崎は
首尾一貫した
国家公務員として
「当然の」判断を
し続けられるのか、
とにかく、最初は
彼の強烈すぎる
キャラクターのために
読みにくい、かもしれませんが
後半になればなるほど
彼の個性は生きて、
物語の展開から
目が離せなくなります
ドラマ化もした
この作品
警察小説の中でも
現場ではなく
キャリアが主人公という
ちょっと変わった設定
含めて非常に
面白いものだと思います
ぜひぜひ、
ご一読くださいませ
ではでは、今年も
どうぞよろしくお願いいたします
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2016年01月01日
2016年
あけましておめでとうございます!
お久しぶりでございます。
見に来てくださっていた
方々本当にありがとうございます
すみません、少し
プライベートの方が
ばたばたとしていたため
2015年の後半は
全くもって更新
出来ぬまま……
2016年、切り替えて
ちょこちょことまた
更新していこうと
思っておりますので
よろしければ
ちょこちょこっと
また見に来てくださいm(__)m
皆さまにとって
素敵な年になりますように。
今年も素敵な本と
出会えますように
ではでは、また明日^^
2015年09月09日
旅屋おかえり
寝坊です
さてさて本日はこちら
原田マハ著『旅屋おかえり』
こちら文庫本です
個人的には、雰囲気的に
ハードカバーの表紙の方が
好きなのですが…笑
旅が好きで、
それを仕事にしています
そんな主人公
ジャーナリストかな
何かな、
と思ったら
彼女、「おかえり」
こと丘えりかは
元アイドルのタレント
7,8年前からは
売れないタレント
そんな売れない
彼女の唯一の
レギュラー番組が
「ちょびっ旅」という番組で
この番組のおかげで
おかえりは
全国をあちこち
ロケしてまわっています
旅は好きでも
年齢的に
「おかえり」として
若ぶることに
限界も感じている
おかえり
そんな彼女は
しかし、さびれた
所属事務所の為に
まさか「ちょびっ旅」
を辞めるわけにもいかず
何だか八方ふさがりな
感じです
「ちょびっ旅」のスタッフも
事務所の社長、副社長も
何だか、感じが悪いような…
と、そんな八方ふさがり
おかえりは、社長とともに
「ちょびっ旅」の
あけぼのテレびに
呼び出されます
そして、事態はついに
最悪の方向へ……
若い頃はともかく
鳴かず飛ばずで
売れないままやってきた
三十女おかえり
明るくて
少し能天気な
おかえり
15歳の時、
社長に
虹のような笑顔だ、と
見染められて
芸能界入りした
おかえりは
とにかく、旅がしたい
故郷に帰ることも
出来ず、
かといって、
仕事が見つかる
訳でもなく
無職になってしまった
アラサータレント
潰れかけている
事務所の運命も
握る売れないタレント
しかし、奇跡的に
彼女に旅をする
仕事が舞い込みます
その名も、「旅屋」
「旅屋」を依頼する
依頼主さん達の
思いにこたえるべく、
依頼主の命を
背負う覚悟で
旅へ向かう、おかえり
そんなおかえりは、
果たして、どんな
旅をしていくのでしょう
詳しくは書きませんが
とにかく、暖かくて
癒される、そんな旅です
出不精なのですが
旅がしたくなりました
おかえりと、おかえりの
周りの人々の
人としての暖かさが
つまりにつまった
その旅は、
その後のおかえりに
どんな影響を
与えるのでしょう
一難去っては
また一難
けれども、彼女は
旅をする
憎めない主人公
おかえり
旅をすることって
どういうこと?
どんな旅が理想的?
とても読みやすい
言葉遣いと
ストーリー展開
疲れた時に、ふっと
読んで癒されて
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2015年09月08日
各書名言集(小説pert31)
あぁぁぁぁぁぁ
もう、こんな時間・・・・・・
明日は台風がくるそうで…
皆さまお気をつけて
くださいませね
本日は名言集にいたします
『新世界より』
―けっして信じたくはないが、
新しい秩序とは、
夥しい 流血によって
塗り固めなければ、
誕生しないものなのかもしれない―
疑ったこともない、
当たり前すぎる秩序の
欠陥に気づくところから
全ての物語は
はじまっていきます
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『綺羅星波止場』
―青いほのおはインクのように透明で、
真珠貝のような光沢もあり、
一枚の薄布が
ゆらめくようにも見える。
何に似ているかと云えば
極煌にもっとも近いのである―
こんな雰囲気の短篇集です
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『てんやわんや』
―読者諸君!
私は犬丸順吉と言って、
無産無職、今二十九になる、
つまらぬ男であるが、
これから長い物語を
始めるので、
名前ぐらいは
覚えていてください。
謙遜でなく、
私は平凡な人間で、
才能、勇気、学問
男性の装飾となるべきものを、
相当、欠いている―
こんな人が主人公なのです
そりゃあ、「てんやわんや」
しますわなぁ
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さてさて、ぎりぎり
8日にねじこむ形に
なってしまいましたが
気になるものは
あったでしょうか???
こんな時間ですので
おやすみなさい
良い夢を
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2015年09月07日
静子の日常
本日は、さらっと読めて
心にしみいる一冊です
井上荒野著『静子の日常』
主人公は75歳の静子さん
息子夫婦と同居を
していますが、
息子や嫁や孫には
過度に干渉することもなく
悠々とバスで
フィットネスへ通います
おっとり穏やか
そしてエレガント
行動力抜群な
スーパーおばあちゃん
……と簡単に
まとめあげるには
静子さんは、あまりにも
人として深みの
ありすぎる人物です
何か、ぎくしゃくとした
息子夫婦
息子は
「何かがおかしい」
孫娘も家で
ふさぎこんでいて、
静子さんの
心配の種は
つきません
ホホホと
優雅に笑って
おっとり穏やか
そのくせ積極的な
静子さんは
さて、干渉し過ぎず
ほったらかし過ぎず
どう、家族と
関わっていくのでしょう
そんな家族のことが
ある一方で、
フィットネスでは
人気者に
郵便配達のお兄ちゃん
ともお酒を酌み交わして
お友達になってしまう
確かにスーパー
おばあちゃんである
ことに違いはないのですが
息子夫婦のこと
孫娘のこと
フィットネスで起きた
心配事
魔法使いみたいに
さっとすばやく即解決
ではなくって
静子さんも、心の中では
悩みながらも
何とか手助けできない
ものか、と思案しています
そうして思案している
うちに、静子さんは
過去を見つめていく
全くそんなところは
見せないけれども
静子さんだって
「いろいろあった」
んです
そんな「いろいろ」を
乗り越えて人間的に
極限まで成熟したんじゃ
ないかと思えるような
静子さんがいる
静子さんは
どこか人間離れした
「スーパーおばあちゃん」
ではなくって
むしろ人間味溢れる
スーパーおばあちゃん
なんですね
さらに、静子さんには
誰にも知られていない
秘密があります
この秘密に関する
エピソードがなかなか
素晴らしい
おばあちゃんは、
あなどれない
孫娘に何度も
そう言われる静子さんは
本当に、あなどれません
読んだらきっと
元気を貰えるのでは
ないでしょうか
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2015年09月06日
花まんま
さてさて、本日は
こちらでございます
朱川湊人著『花まんま』
収録されているのは
トカビの夜 / 妖精生物 / 摩訶不思議
花まんま / 送りん婆 / 凍蝶
以上の6篇です
こってりとした大阪弁
騒々しい、そんな場所での
子ども時代の思い出
舞台は昭和の中頃のようです
それは、きっと
信じてくれないでしょうね、と
言いつつ話す物語であり
夢かと今でも
疑わしいような物語であり
忌まわしい記憶に
思えるのに、
無性に恋しくなる物語
語り手が話す物語では
どれもこれも
不思議なことが起こります
怪奇現象と言っても
よいような……
それなのに、何か
違和感がないんです
起こって当たり前に
思えてしまう。
それはなぜだろう、
と考えて見たとき、
その不思議な現象は
語り手や、語り手の
周りの人々の気持ちが
ぐっと色濃く表れていて
その現象と、語り手が
切っても切れないような、
そんな関係性にあるから
ではないかと思います
だから、怪奇現象、と
いう言葉が似合わなくて
どうも、不思議な現象と
言ってしまいたくなるところが
ありますね
最初の「トカビの夜」で
ぐっと、この
哀しくも騒々しくも
遠慮がない、残酷で
そのくせ美しいように
思えてしまう
この短篇集の中での
大阪の世界観に
引き込まれます
語り手である子どもの
情けなさや、臆病さ
どうしようもない後悔が
丁寧に描き出されていて
気づかず、語り手に
十分すぎる程感情移入
してしまいます。
しかし、悪いのは語り手
ばかりではなく、むしろ
そのような状況に追い込んだ
大人達かもしれません
語り手は、大人達の
巧妙なずるさのようなものを
敏感に感じ取って
おそらくひそやかに反発
したい気持ちでいるのでしょう
そんな、子どもの心の
機微が描かれたうえで
当たり前のように、
トカビは姿を現すことになります
トカビが姿を現した時、
大人と、大人に染まって
いた子ども達にとって
それは、ただただ
怖ろしいものとなるが
語り手にとって、
それはむしろ……
不思議な現象の真相の
ようなもの、
不思議な現象の
語り手が考えた理由
それらが語られる時
切なくも、感動的な
物語として、
しっかりと一つ一つの
お話がまとまって
ゆきます
ぞっとするような
気味悪さがあるのは
この後の「妖精生物」
そのあとで、
「摩訶不思議」で
何だか少しホッとして
「花まんま」「送りん婆」
「凍蝶」
と、切なくて哀しい
けれども生きることに
希望が持てるような、
そんな話が続きます
どの話もハイクオリティ
この中でどの話が
一番好きですか?
と聞いてみたら
結構、ばらばらと
意見が分かれるんじゃ
ないでしょうか
それぞれの話に
しっかりと濃いドラマが
詰まっていて
そこに自然と不思議な現象が
起こっていて
けれども読者の視線は
あくまで、人間に
しっかりと向けられる
そんな、珠玉の短篇集です
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2015年09月05日
各書名言集(小説pert30)
いいお天気ですね
本日は名言集です
『宵山万華鏡』
―騙す私が悪いのか。騙される君が悪いのか―
お話を読んだうえでこのセリフを
聞くと、何とも言えない
センスを感じます
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『箱庭図書館』
―変化はすこしずつ起きるよ。
もうすでに、子どもたちは、
大人の用意した世界のほうが
ウソなんだってことを
認識しはじめてる―
乙一さんの、こんな
世界の切り取り方が好き
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―父さんにまつわる
ほぼすべてが嫌いだが、
なかでも一番嫌いなのは、
父さんの言うことが
ほぼつねに正しいということだ―
さあ、そんな父さん、とは?
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さてさて、身支度を
して図書館へ行ってきまーす
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2015年09月03日
等伯
おはようございます
少し涼しくなって
きました、か……?
さて、本日は
こちらです
安部龍太郎著『等伯』
有名な絵師
長谷川等伯の
波乱の一生を
描いた長編
畠山家から
長谷川家に
養子に出された
信春は、
養父にその
才能を見込まれ
日々絵に
精進していました
妻と子と
その幸せな風景
桜の木を
足をぶらぶら
させながら
描いていく息子の
久蔵
それを見てやる信春
しかし、それは
信春の未熟さゆえに
崩壊し、信春は
妻の静子と息子久蔵を
連れて、故郷の
七尾を出ることになります
畠山家の再興の為
手段を選ぼうとしない
兄の武之丞
没落した主君の
姫夕姫
そして、そんな彼らに
ずるずる巻き込まれて
しまう信春
正直なところ、
武之丞の、
自己中心的
(自分の主君中心的?)
な考えにはかなり
苛々とさせられますし
その為に家族を
危険にさらしていく
信春にも
腹が立ちます
信春は始終、読者を
苛々とさせるような
ところがあって
優柔不断で流されやすく
後先を考えないから
しょっちゅう重大な問題を
引き起こし、
武之丞をはじめとして
人に騙されうまく利用され
しかも、その度に
家族を危険にさらして
献身的な静子を
(本人にそのつもりはなくとも)
度々裏切るような
結果を生んでしまう。
反省したと思ったら
もう3行後では
同じ過ちを繰り返そうと
しているような、
そんな人として、成長してよ
信春さん、と言いたく
なるような一面が
あります
しかし、信春の周りの
人々が非常に
人として優れた方が
多い。
そんな方々に導かれ
彼は絵に没頭し
そうして没頭した時に
傑作を生みだします
彼は妥協の出来ない
人間です
だからこそ、実際の
生活の中で
妥協すべきところで
折れることが出来ずに
敵をつくったり
するような印象もありますが
絵のことになると
この、妥協しない、という
性分の凄まじさは
圧倒的な迫力をもって
迫ってきます
悩み、悩み、悩み抜き
時に人からは
よいですね、と言われた絵
であっても
気に入らなければ
悩み抜き、そうして
何かを悟った時には
手が勝手に動いて
数日寝ることもせず
恐ろしい程の集中力で
書き終えると、
ぷつん、と気絶する
彼は、そのような傑作を
書き上げるごとに
確かに、成長している
(半分程自業自得な
面もあるとはいえ)
辛酸を舐めに舐めた
信春が、その自分の
人生から見出すものが
見事に絵に反映
されていく
その度、彼は確かに
成長した、と思わせるのに
そのくせ、
流されてしまう、、
後先を考えられない、
という性格は直らず
だからこそ、彼の
人生はひどく波乱万丈です
そんな波乱万丈の人生を
歩む、絵がなければ
この男は一体どうしたのだろうか、
と思わせるような信春が
悲願の上洛を果たし、
ついには洛中で名を
馳せていき、
当時圧倒的勢力を
持った狩野永徳と
揉め事を起こしながらも
自分の求める
絵の境地を目指す
千利休などに
また導かれ、等白、等伯と
名前を変えつつ
そのくせ人間的には
何だか全く成長していない
ように見える、そんな
不思議な男が
深い悲しみや後悔や
悔しさ、腹立たしさを
全て知り尽くした男が、
物語の最後で
描くのは、、、
彼が傑作を描く
時にはいつも
圧倒的なその
打ち込み用に
呑み込まれて
しまうのですが
最後の、誰もが知る
あの傑作を
描くために等伯が
人生を振り返り
自分の心の奥底にある
風景を見つけ出した時
何だか涙が溢れて
きました
圧倒的な才能を
持ちながら
何か等身大な
印象もある奇妙な
絵師の物語
上下とありますが
あっという間で、
そのくせ、読み切って
しまうとその
壮大さに驚いて
しまうような
満足感のある
作品です
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