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2016年08月12日
いもうとのにゅういん
さてさて、絵本です
筒井 頼子作
林 明子 絵
『いもうとのにゅういん』
もうこの表紙や
絵が胸を締め付けて
くるのですが
これは個人的な
幼少期の思い出に
よりますね
まぁ、それはさておき。
今回も絵本ということで
ネタバレ祭りです…
すみません
でもこの作品
結末が分かってても
胸にきます
というか、大人ならば
かなり最初から
オチは見えてしまいますが
それでも感動します笑
幼稚園から帰ってきた
あさえは帰って
いの一番ぷんすか
「また、あやちゃんのいたずらだ。
あやちゃん、あやちゃん!
あたしのほっぺこちゃんを
かえしなさい!」
そう、朝うばぐるまの中に
寝かしておいたはずの
人形、ほっぺこちゃんが
いない!
微笑ましくも
本人にとっては
大問題なこの
最初の一ページ
後ろでは、その
ほっぺこちゃんと
一緒に遊ぶ約束を
していたお友達
自分にとって
大切な大切な
「お友達」ほっぺこちゃんを
妹のあやちゃんが
勝手にいじるのも
気に食わないというのに
お友達の手前
お姉ちゃんの
プライドのようなものも
手伝って思わず
声を上げたくなるのも…
特に兄弟姉妹のいる
人ならば
分かってしまい…ますよね?
けれども、そんな
あさえちゃんの前には
お母さんにおぶわれて
ぐったりしたあやちゃんが
登場。
そして、あやちゃんは
盲腸で手術・入院を
することに……
お友達も帰って
一人でお父さんの
帰りを待つことに
自分も心細いけれども
「うん、だいじょうぶ……」
とお母さんを見送る
あさえ
お友達が帰ろうと
するのを、引き留めようと
するあさえ
そして一人になって
ほっぺこちゃんを
抱きしめて
布団の中にくるまる
あさえ
この流れもまた
リアルで素晴らしい
思いがけず
幼少期に
心が戻ってしまいます
そして、
「おみまいに、なにを
もっていこう……」
そう言いながら
おりがみを折るあさえ
分かる分かる、と
頬が緩んでしまう
「つるとしゅりけんとばらのはな」
というラインナップ
お手紙も書いて
それでも
「あやちゃんが、もっと
よろこぶものって、
なにかしら……」
幼いながらにも
あやちゃんが
入院・手術をして
どれだけ
こわいか、不安か
思いやって
考えに考えるあさえ
次の日、
病院にお父さんと
訪れたあさえは
何だか
とても大きな
ものをきれいな
紙にくるんで
持っています
この包装の感じも
リアルで個人的に
大好き
幼稚園のあさえは
きれいに
包めなくて
なんとか隠したよ、
みたいな
いびつな形の
お見舞い品
読者はもう
これが何なのかは
ぴんと、分かってしまうのですが
「おねえちゃん
きてくれたの?」
あやちゃんは、
すこしちいさくなったかおで、
にこにこしました。
この文章の秀逸さよ
思わず落涙するかと
危ない危ない…
と思っていたら
「ほっぺこちゃんだ!
おねえちゃん、ほっぺこちゃんを
くれるの?
あたしに?
ほんとう?」
あさえは、ちからをいれて
うなずきました。
はい撃沈。
いや、分かってた
分かってたよ
それがほっぺこちゃんって。
でも、
こわくて痛い手術の後だけれども
輝くような笑顔で
ほっぺこちゃんを
抱くあやちゃんと
後姿だから
その表情が見えないあさえ
という挿絵も
素晴らしすぎて
本当に、泣いてしまう……
あさえは、どんな
顔をしているのでしょう?
ちからをいれてうなずいた
あさえは、どんな気持ちで
自分にとって
一番大切な「お友達」を
あやちゃんに
あげたのか。
あさえの切ないような
誇らしいような
喜びを感じるような
何とも言えない
気持ちが伝わってくる
素晴らしい場面
でも、ちからをいれて
うなずいた瞬間は
あさえは本当に大きく
成長した瞬間でもあります
次のページで
お母さんに褒められて
肩を抱かれながら
微笑するあさえの
表情が、とってもとっても
大人に見える
この暖かい絵にぴったりの
暖かさに溢れるお話
読むだけで心の奥から
じんとします
何と言いますか
心が洗われます
絵本作家さんって
すごい……
実を言いますと
子どもの頃は
この絵本、
それ程思い入れが
なかったのですが
(だって、
『くろねこギャッグ』や
『おおきなきがほしい』
みたいに
ファンタジーで
どきどきわくわく出来る
お話が大好きな
夢見がち少女
だったものですから…笑
妹の入院という
だけでもう、
ヘビー過ぎて
あまり好きでは
なかったんです笑)
いやはや、これは
さすがの名作
手にとって
開けば
本当に短時間で
読めるのが
子ども用絵本の良い所
是非是非
読んでみてください
この絵と一緒に
読んだら結末が
分かっていようと
何度読もうと
心が震える
名作です
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おまけ:郵便局にて
2016年08月09日
お久しぶりです
お久しぶりでございます
色々と片付きまして
晴れやかな気分です
読みたい本ばかり
膨れ上がっていたので
さあ!
これから読むぞぉ!
そんな気分
そして、こちらも
それに合わせて再び
ちょぼちょぼと。
更新していきます
そんな予定でございます
長らくほったらかしに
しておりました故
何となく気まぐれで
覗いてみたら
あれ?更新されてる?
と驚く方もいらっしゃるやも
しれませぬが
ちょぼちょぼと。
お付き合い願います
それではそれでは
2016年05月29日
各書名言集(小説pert35)
さてさてお久しぶりです
『タイタンの妖女』
たぶん、天にいるだれかさんは
おれが気に入ってるんじゃないかな
こんな名台詞を残した
全米一の大富豪
マラカイ・コンスタント
が辿る運命とは……?
紹介記事はこちら
『さがしもの』
まったくおそろしいことだと思う、
恋人にふられても、
こっぴどく傷ついても、
毎日はおんなじようにやってくる。
それぞれの
何気ないような
日々の中に
そっと寄り添って
記憶に残る
本の話が沢山。
紹介記事はこちら
『アイの物語』
それはフィクションではあっても、
現実の歴史より正しい
こんな文を書けてしまう
作者の恰好良さよ……
フィクションの持つ
力を本当に
信じたくなる、
信じてしまう作品です
紹介記事はこちら
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しばらく忙しいといいますか
余裕がないため
更新が途切れることと
なりそうです……
また舞い戻ってきた際には
よろしくお願いしますm(__)m
それでは。
2016年05月01日
夜のピクニック
さてと、本日はこちら
恩田陸著『夜のピクニック』
高校三年生にとっては
高校最後の行事となる
「歩行祭」
全校生徒が24時間かけて
80kmを歩くという伝統行事
が舞台となっています
辛くて辛くてたまらない
行事だから嫌だ嫌だと
思いつつ、終わってみれば
楽しかった、という
記憶しか残っていない
そんな行事も
もう最後なのだと
痛い程分かっている
三年生達
そんな三年生の
一人である甲田貴子は
仲良しの女の子と
他愛のない話で
足の痛みを
誤魔化し誤魔化し
歩きながら
密かなる「賭け」を
していました。
それってどんな?
一方で、周囲が
甲田貴子と
相思相愛
なのでは?と
噂する西脇融
やはり親友の
戸田忍とともに
歩いているのですが、
戸田や、ロックが
大好きなおちゃらけ
少年高見光一郎が
悪ノリをはじめて……?
甲田貴子と
西脇融の関係は
割と早々に
読者には
明かされるのですが
そこからが、また
いいんですね。
この二人の成長が
この物語の主題の一つ
でありましょう
この二人が心の中で
悶々と悩む描写からは
目が離せなく
なってしまいます
しかし、それ以上に
この物語、
THE 青春物語として、
楽しめ過ぎるくらい
楽しめます
偶々私の高校では
似たような行事が
あったため
余計に、もう
胸の奥をぎゅうっと
やられましたね笑
見事です。
フィクションとして
これは本当に、見事。
登場人物達が
絶妙に懐かしい
こんな子いたいた、と
なりそうな、
あー高校生って
こんな距離感だった
こんなノリだったって
胸が締め付けられそうに
なったりします笑
けれども皆
絶妙にデフォルメ
されていて
現実には
あり得ない
だから、フィクション
として抜群に
面白いという
そのさじ加減が
素晴らしい
わざとらしくないのに
ちゃんと刺激的
デフォルメされているのに
自分の経験として
体験できてしまう
そして、この
高校最後の行事を
舞台として
高校生達の、心情の
描かれ方がもう。。。
高校生に一瞬だけ
戻ったような気になります
とてつもなく切ないのですが。
終わる、ついに
高校が終わる、
終わりたくない、
けれどもしんどい、
足も痛い
体中がだるい
肩も凝ってしんどい
はやく帰りたい
けれども、帰りたくない
この感じ。
はじまるまでの
緊張と興奮が
はじまってからは
何だか拍子抜けして
なかなか最後の
行事に参加しているという
実感が持てない……
この感じ。
うわー分かる。
と何度唸ったことか。
とにかく、
リアルなんですね……
歩行祭の様子なんかも
目に浮かぶように
描かれていて
それだけでお腹一杯に
なれちゃいそう。
感情移入というよりも
過去へ本当に戻って
そこの景色を
見ているみたい
読了後の心地よさは
稀に見る程では
ないでしょうかね、これ。
いやはや、素晴らしい。
ノスタルジックに
浸りたくなったらば
とりあえず
読んでみてください
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恩田陸著『夜のピクニック』
高校三年生にとっては
高校最後の行事となる
「歩行祭」
全校生徒が24時間かけて
80kmを歩くという伝統行事
が舞台となっています
辛くて辛くてたまらない
行事だから嫌だ嫌だと
思いつつ、終わってみれば
楽しかった、という
記憶しか残っていない
そんな行事も
もう最後なのだと
痛い程分かっている
三年生達
そんな三年生の
一人である甲田貴子は
仲良しの女の子と
他愛のない話で
足の痛みを
誤魔化し誤魔化し
歩きながら
密かなる「賭け」を
していました。
それってどんな?
一方で、周囲が
甲田貴子と
相思相愛
なのでは?と
噂する西脇融
やはり親友の
戸田忍とともに
歩いているのですが、
戸田や、ロックが
大好きなおちゃらけ
少年高見光一郎が
悪ノリをはじめて……?
甲田貴子と
西脇融の関係は
割と早々に
読者には
明かされるのですが
そこからが、また
いいんですね。
この二人の成長が
この物語の主題の一つ
でありましょう
この二人が心の中で
悶々と悩む描写からは
目が離せなく
なってしまいます
しかし、それ以上に
この物語、
THE 青春物語として、
楽しめ過ぎるくらい
楽しめます
偶々私の高校では
似たような行事が
あったため
余計に、もう
胸の奥をぎゅうっと
やられましたね笑
見事です。
フィクションとして
これは本当に、見事。
登場人物達が
絶妙に懐かしい
こんな子いたいた、と
なりそうな、
あー高校生って
こんな距離感だった
こんなノリだったって
胸が締め付けられそうに
なったりします笑
けれども皆
絶妙にデフォルメ
されていて
現実には
あり得ない
だから、フィクション
として抜群に
面白いという
そのさじ加減が
素晴らしい
わざとらしくないのに
ちゃんと刺激的
デフォルメされているのに
自分の経験として
体験できてしまう
そして、この
高校最後の行事を
舞台として
高校生達の、心情の
描かれ方がもう。。。
高校生に一瞬だけ
戻ったような気になります
とてつもなく切ないのですが。
終わる、ついに
高校が終わる、
終わりたくない、
けれどもしんどい、
足も痛い
体中がだるい
肩も凝ってしんどい
はやく帰りたい
けれども、帰りたくない
この感じ。
はじまるまでの
緊張と興奮が
はじまってからは
何だか拍子抜けして
なかなか最後の
行事に参加しているという
実感が持てない……
この感じ。
うわー分かる。
と何度唸ったことか。
とにかく、
リアルなんですね……
歩行祭の様子なんかも
目に浮かぶように
描かれていて
それだけでお腹一杯に
なれちゃいそう。
感情移入というよりも
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タグ:恩田陸
2016年04月02日
殺人出産
さて、本日はこちら。
村田沙耶香著『殺人出産』
短篇集です。
殺人出産/トリプル
清潔な結婚/余命
現代の「悪」が
神聖なものとして
称賛される、
そんな時代
けれども、まだ現代の
感覚を持っている人もいて
その一方で、
新しい時代の感覚しか
しらない人もいる
どの話もそんな世界を
舞台としています
繋がっているのかどうかは、
微妙なところですが
表題殺人出産は、
10人子どもを産めば、
1人殺すことが出来る、
という世界
男性であれば、
人工子宮を
とりつけて……
10人子どもを産む人は
「産み人」とあがめられ
殺される人は「死に人」と、
やはり尊い犠牲として
盛大に「送り出される」
人々は子どもを産む、
ということを
もはや恋愛の延長上
のものとは
考えなくなっていて
子育ても、自分が
産んだ子どもを
育てる、という
意識は希薄になっています
普通の人は子どもを
産まない世界、なんですね
普通の人は「産み人」が
産んだ子どもを引き取って
育てる
「産み人」はただただ
尊いものとして誰もが崇め、憧れる
10年以上もかけて、
ひたすらに子どもを産む、
その原動力は、
激しい殺意のみ。
殺意こそが命をつなぐ
殺意が神格化されている、
そんな世界で
善とは何なのか、
悪とは何なのか、全くもって
分からなくなっていく不気味さ
そして、その新しい価値観に
馴染めない人もやはりいたりして
けれども少数派になってしまっている
これが時代の
自然な流れだったのだ……
そう適応する力が
人にはある、
そのこともまた、恐ろしい
同じように、
価値観の違う者同士が
全く分かり合えない「トリプル」
逆に、全く同じ
「新しい」価値観の夫婦
そして、最後の「余命」は
かなりはっとさせられます
常識の脆さを
今さらながら感じさせられて
それが変わればまた、
人の生き方から死に方まで
全てが変っていく、
そのことに気づかされてしまう
なかなか、刺激的な短篇集です。
いかがでしょうか?
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タグ:村田 沙耶香
2016年03月28日
去年の冬、きみと別れ
さてさて、本日はこちら
中村文則著『去年の冬、きみと別れ』
異常な程、カメラに執着する
木原坂雄大というカメラマン
彼は被写体を
燃やした罪に問われ、
今、死刑施行を
待つ身となっています
そして、そんな
彼について書こうとする
ライターである僕
僕は、木原坂雄大や
その周囲の人々、
そして彼の姉と
接していく中で
木原坂雄大について
考えようとするのですが……
狂気が伝染しているのか
それとも狂気は
集まるのか、
とにかく、木原坂雄大の
関係者はこぞって
狂人と言われても
仕方のない人々ばかり
木原坂が目指したのは
「地獄変」の境地?
木原坂雄大の姉、
朱里もまた、
敵の多い、人を
人とも思わぬ
人間のようで
そのくせ異常な程
異性を惹きつけてしまう
強烈な、出来れば
一生のうちで
出会いたくは
ないような人々が
自然と結びつき
常人には
理解できないような
理屈で、世界を生きていく
そうして紡ぎ出された
どろどろとおぞましき
悲劇……
なぜ、事件は
起こったのか?
それを、僕が
理解することは
出来るのだろうか?
ひたひたと感じる気味悪さ
何かがおかしい、という
不安感……
なかなか読みごたえの
ある作品です
補足ですが
口コミを見ていると
結構好き嫌いが
分かれているようですね
個人的に思うことは
ミステリーが好きで
ミステリーとして
読もうとすると
無理があるかも
しれないです
ミステリーとかではなく
人のどろどろしている
心を描いている作品
そのどろどろ具合に
引きつつ惹きこまれる作品
だと思います
そのつもりで
読めばなかなかに
満足感のある
ものではないでしょうか?
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2016年03月24日
各書名言集(小説pert34)
さて、本日も名言集を。
スカイクロラシリーズ
なるほど、
ようするに、
ここが子供だ。
今のままで
いさせてほしい。
チルドレ達の「今」とは…?
紹介記事はこちら
『ワイルド・ソウル』
この男は常に陽気だ。
悪党だからだ。
悲惨な過去を
持ちながらも
陽気に成長したケイの
キャラクター的な魅力は
抜群です
紹介記事はこちら
『オーダーメイド殺人クラブ』
夢見たことなら何度もある。
ある日急に、誰か、
私も尊敬できるような
大人がやってきて、
肩に手をおいて
「君は特別だ」と
はっきり告げてくれること
中学生らしい、
私は特別である、
という感覚。
そして、それゆえ
感じる日常への
不満、
心の奥をうずかしてくる
ような、感覚だけれども
なんとなく、分かる
気がしてしまう……
紹介記事はこちら
本日はここまで。
それでは、また。
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2016年03月23日
各書名言集(小説pert33)
久々に名言集です。
いってみましょう。
『静子の日常』
「まあ」静子は思わず声を上げたが、
それはどちらかといえば感嘆だった。
あれが女たらし。
言葉は知っているけれど、
実物を見たのははじめてだわ。
静子おばあちゃまの
このおっとり感最高です
紹介記事はこちら
『旅屋おかえり』
旅が始まる前夜は、
どうしてこんなに
わくわくするんだろう
主人公おかえりを
非常によく表している一言
紹介記事はこちら
『隠蔽捜査』
おまえは、嘘をつくことで、
警察組織を守れると、
本当に思っているのか?
こんなことを平気で
言えちゃう主人公。
そんな彼だからこそ
降りかかった試練は
大きなもので……
紹介記事はこちら
本日はこれまで。
さて、春休みの
終わらぬうちに
沢山本をば
読まねば……!
桜もそろそろ
咲いてきましたね……
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2016年03月22日
家守綺譚
さてさて、本日はこちら
梨木 香歩著『家守綺譚』
いやはや、これですね
私がすごく好きなタイプの
小説です。
こういうの、
好きなんです私。
ツボを突いてきて
おります。
元々は主人公が
亡くなった友人の
ご両親邸を
借りることになる
ところからはじまります
なんでも、留守中
邸宅を管理してほしい
とのことで
売れない作家だった
主人公にとっては
棚から牡丹餅状態で
一つ返事で
引き受けるのですが……
ゆるやかに、穏やかに
不思議な世界が
展開していく世界
沢山の小話で
構成されているのですが
その題名は全て
植物の名前
目次を見るだけでも
何だかほう、と
息をつきたくなる
美しさです
登場するキャラクターは
全て本当に素敵
次第次第にこの
作品の不思議な世界へ
ひたひたと浸かっていく
さらっとあり得ない
ことが起こりつつ
でも、それが
日常で
誰もが少し
妄想したことの
あるような
そんな素敵な
「あり得ない」が
おだやかに
訪れては去っていく
ほんの少しでも
内容を話すと
とても無粋な
ネタバレをしてしまい
そうなので
こわくて言及
できていないのですが
とりあえずは、
読んでみてください笑
しっとりと、
本の世界へ誘われ
浸って静かに
読みたいときに
最も最適かと
思われる作品の
一つです
是非是非
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2016年03月18日
TUGUMI
春が見えてきた
のでしょうか?
そんな本日はこちら
吉本ばなな著『TUGUMI』
確かにつぐみは、
いやな女の子だった。
そんな一行から始まる
この物語。
語り手は白河まりあ
聖母の名を持つ女の子。
そんなまりあが、
少女時代を過ごした
海辺の町に、
最後の帰省をした時の
夏の思い出が
語られる、そんな物語。
まりあが、「良くも悪くも」
仲良くなってしまった
つぐみという少女は
病弱で、その為に
甘やかされた結果
悪魔みたいに
開き直った性格に
なってしまった
とびっきりの美少女です
そんな、つぐみという
少女と共に
過ごした最後の青春
この、つぐみという少女が
魅力的なキャラクターで
彼女が、この物語の全て、
この物語にある
きらめき、切なさ、力強さ
はかなさ、透明感
などなどを
つくりだしている
ように思えます
この物語はつぐみの
魅力でとにかく
成り立っていると
感じるほどです
まりあの言葉を借りれば
この物語は
彼女たちの全てを
凝縮した物語であるのに
重量感を感じさせない
手のひらから
するすると吹き流れて
しまう砂みたいに
軽い気がするんですね。
けれども、
その軽さ、
儚さがいい。
ただ、センチメンタルな
ものが好きな方でないと
ちょっと辛いかもしれない
話の流れは特に
起伏があるかと言われると
微妙ではあるし、
その起伏に見える場所も
特段劇的な書かれ方を
しないから、
はらはら、どきどきも
しない。
多分、この小説は
時間がさらさらと
物凄いはやさで
過ぎていくのを
眺めて、ちょっと
切ないな、と感じて
その「切ないな」
という感覚が
本当に切なくて
切なくて
胸が締め付けられる
感覚に酔える小説です
物語としての
エンターテイメント性ではなく、
その「切なさ」が
群を抜いている、そんな
小説。
青春小説だけれども
若くて泥臭い
見ていてはらはらするような、
そんなものを
期待して詠み始めると
拍子抜けしてしまう
かもしれないですね
この小説はあくまで
透明で、きらめきに
満ちていて、
なんだか、とてつもなく
清らかなんです
よくよく考えると
別に登場人物達が
特別清らかという
訳ではないし
むしろ、つぐみは
清らかから最も
反対側にいる
キャラクターである
ように思えるのに、
時につぐみが見せる
ぞっとするほどの
純粋さと儚さは
秀逸です
二度と戻らない癖に
とてつもない速さで
あっけなく過ぎてしまう
時間が非常にうまく
描かれていて、
唸らされてしまいます
そんな時間の
切なさ以上に
美しさが強調されている
ような気がするところも
また一興
個人的に
お気に入りなのが
お祭りの場面で、
もう、目の前に
風景が浮かんで
涙が出そうに
なっちゃいます
この、
情景描写の
透明感は
さすがだなぁ。
さらりと読める
けれども
心の奥深くに
沁みていく、
そんな名作です
是非是非
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タグ:吉本ばなな