2016年04月02日
殺人出産
さて、本日はこちら。
村田沙耶香著『殺人出産』
![出産殺人.png](/tanpekinosiori/file/E587BAE794A3E6AEBAE4BABA-thumbnail2.png)
短篇集です。
殺人出産/トリプル
清潔な結婚/余命
現代の「悪」が
神聖なものとして
称賛される、
そんな時代
けれども、まだ現代の
感覚を持っている人もいて
その一方で、
新しい時代の感覚しか
しらない人もいる
どの話もそんな世界を
舞台としています
繋がっているのかどうかは、
微妙なところですが
表題殺人出産は、
10人子どもを産めば、
1人殺すことが出来る、
という世界
男性であれば、
人工子宮を
とりつけて……
10人子どもを産む人は
「産み人」とあがめられ
殺される人は「死に人」と、
やはり尊い犠牲として
盛大に「送り出される」
人々は子どもを産む、
ということを
もはや恋愛の延長上
のものとは
考えなくなっていて
子育ても、自分が
産んだ子どもを
育てる、という
意識は希薄になっています
普通の人は子どもを
産まない世界、なんですね
普通の人は「産み人」が
産んだ子どもを引き取って
育てる
「産み人」はただただ
尊いものとして誰もが崇め、憧れる
10年以上もかけて、
ひたすらに子どもを産む、
その原動力は、
激しい殺意のみ。
殺意こそが命をつなぐ
殺意が神格化されている、
そんな世界で
善とは何なのか、
悪とは何なのか、全くもって
分からなくなっていく不気味さ
そして、その新しい価値観に
馴染めない人もやはりいたりして
けれども少数派になってしまっている
これが時代の
自然な流れだったのだ……
そう適応する力が
人にはある、
そのこともまた、恐ろしい
同じように、
価値観の違う者同士が
全く分かり合えない「トリプル」
逆に、全く同じ
「新しい」価値観の夫婦
そして、最後の「余命」は
かなりはっとさせられます
常識の脆さを
今さらながら感じさせられて
それが変わればまた、
人の生き方から死に方まで
全てが変っていく、
そのことに気づかされてしまう
なかなか、刺激的な短篇集です。
いかがでしょうか?
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タグ:村田 沙耶香
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