2015年08月13日
顔 FACE
さて、本日はこちら
横山秀夫著『顔 FACE』
組織の一員として、傷つきながらも、
婦警として、誇りと誠実さを持って
生きているヒロイン
平野瑞穂という、
小学生から、婦警に憧れ、
そして、その夢をかなえた
女性が主人公です
とにかく、最初は
あまりにも
彼女の置かれた立場が
辛すぎて、
ページを繰る手が
滞りそうなほど。
「だから女は使えねぇ」
一体、この作品の中で
どれ程飛び出した
セリフであることか
婦警を、マスコット的に
使うことしか
考えない男達
それに対して、
自分の仕事に誇りを
持って、、男と対等に
やりあいたいと
心の奥から叫ぶ女性達
平野は似顔絵婦警でしたが
とある事件をきっかけに
似顔絵婦警を
やめざるをえなくなる
その事件は、平野にとって
あまりに屈辱的で
自己嫌悪をもよおすもので
あったにも関わらず
男は、「しょうもないこと」で
片づけるのみならず
嫁にいくあんたはいいけど
あんたの割をくった
男の上司の方が
出世をたたれて
被害は大きかったね
等、のうのうと、言う
婦警はおもちゃじゃない、
心がある、と言えば
そんな甘ちゃんは
お前だけだ、と
返される
彼女は心の傷を
癒すこともできないまま
否応なく事件へ
対峙しなければならない
そんな、男と女と対等に
活躍したい!
という女性の叫びが
つまった作品ですが
女性が男性ばりに
大活躍する、というよりも
むしろ、女性と男性の
違いが如実に
描かれていて、
こういう、婦警もので
想像したくなる
とてつもなくたくましい
男みたいな女性、は
見当たらない
良くも悪くも
女らしい女達が
警察という組織の中で
戦っている
そうして、事件がまた
不可解なものが多く、
それを、平野が
解いていく
まさに、これは
女だからできた、
というような
そんな方法と発想で。
ミステリーとしても
とても面白く
先が読めないまま
不気味な事件が
何度も何度も起こり
その事件を解明する
かたわらで、
先の、女と男の対立の
ようなものも
見えてくる
女らしい、弱さのような
ものを持ちつつも
正義感がおそらく
人一倍強いのであろう
平野が、
真実を見極めたい一心で
時にズタズタに
傷つけられながらも、
奔走していく
そうして見えてくる
驚きの真実。
ただの人間の内面を
描き出す小説でもなく
ただのミステリーでもなく
二重の意味で非常に重く
質の高い作品です
是非是非、お試しください
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