2015年08月21日
イン・ザ・プール
さてさて、こんな
時間になってしまいましたが
奥田英朗著『イン・ザ・プール』
以前ご紹介した、『空中ブランコ』
と同じ、伊良部シリーズになりますが
こちらのほうが、第一作目。
「いらっしゃーい」という声で
迎えられる神経科
普通じゃない医者
普通じゃない看護師
なのに、軽く
はい、また来てね
と言われて、
通ってしまう病院
収録されているのは
「イン・ザ・プール」「勃ちっ放し」
「コンパニオン」「フレンズ」
「いてもたっても」
の5作品
どれもこれも、
ある意味変わった人が
患者というか、
なんというか
普通、だった日常が
突然、普通じゃなくなって
しまう
プールで泳がなければ
体調が悪くなったり、
誰かにずっと
つけられていると
思い込んでしまったり
火事が怖くて家から
出られなくなったり……
患者自身は本当に
悩んでいるというのに
伊良部先生は
軽く、注射を打ちましょう
マユミちゃーん
と、看護婦を呼ぶ
ちょっとした、精神的な
無理が、ある日どん、と
襲ってきて
パニックに陥る
そんな患者たちと
どんな精神的な
苦痛も感じた事が
ありません、という
風な伊良部先生
伊良部先生は
一見話も聞かず
ついには
患者の不安を
増幅させるような
ことまで言ってのけたり
するのですが、
果たして……
伊良部先生、
どこまで本気で
どこから演技なのか
いや、演技なんぞ
していないにしても
案外鮮やかに
患者を治して
しまったりして
しかし、患者自身が
自分の心と向き合って
解決したりもして
伊良部先生の
ずけずけと
いう物言いは
めちゃくちゃなようで
実は的を射ている……
ようでめちゃくちゃ……
一つ一つの短編は
かなり短く
さらっと読める
快適さ
それぞれの短編が
繋がっているという
こともないので、
ちょっとした時間に
読むにもってこいの
一冊ではないでしょうか
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