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2021年10月23日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 91

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 91
Chemistry51

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”




 organic chemistry

第一次世界大戦で大脳の後頭葉に損傷を負った兵士・シュナイダーは、
多くの解剖学者、心理学者や精神科医などに研究された有名な事例となった。
彼は視野狭窄、色覚異常、形態の把握困難などの視覚の障害が注目された。
生活のなかで具体的な意味をもつ身体行動は難なくできるが、
生活にとって意味をもたない抽象的振る舞いをすることができない。
たとえばコップの水を飲むことは自然にできるが、空のコップで水を飲む真似をすることはできなかった。
彼の知覚する世界には、対象の表情といった詩的雰囲気はなく、散文的なものであった。
表面的であって奥行きというものはなかった。



M.ポンティMaurice Merleau-Ponty, 1908 – 61)  曰く
「奥行は私の視線のもとで生まれる。私の視線は何かを見ようと試みるから」。

「見る」とは己を現す存在者のなかに入ることである。
そうでなくては単に眺めているだけである。
「ある対象を見るとは、その対象のなかに住みつくことであり、対象と一心同体になる事である。
そこから他の一切の事物を、それら事物がその対象の方に向けている面に従って捉えることでもある。
各対象は他の一切の対象の鏡なのである」



マルシャンAndré Marchand 1907 – 97)曰く
「森の中で、わたしが森を見ているのではないと感じた。
樹がわたしを見つめ語りかけているように感じた。
画家は世界によって貫かれるべきなので、世界を貫こうなどと望むべきでないと思う」

「完全な観察者というものは、
想像力を沈黙させておき、しずかな心で、自己の判断をさしひかえ、
現にはたらいている一つの感覚の報告するところを待っていることができる人である」


ある対象を見るとは、その対象のなかに住みつき、対象と一心同体になる事である。
観察者のまなざしは対象の一面しか見ることができない、対象をその十全性において見ることはできない。
入って行かなければ十全には見えないのである。
「見る」とは対象をそれ自身によって語らせ,またそれに答えることである。
そのとき対象はなにひとつ隠さず、いわば全面開陳である。


ミシェル・フーコー(Michel Foucault ,1926 – 84) 曰く
「まなざしが沈黙の中で事物の上に注がれるならば、そして、
まなざしの見るもののまわりで、すべてが沈黙するならば、
まなざしは自分自身の真理において完成し、事物の真理に到達することであろう。


【演技】に於けるなまなざしというものは一つの逆説的な特性をもっていて、
ある光景を知覚する瞬間に、ある言葉を聞く。
つまり、【演者】においては、現れ来るものは根源的に語るものなのである」


西洋哲学 キリスト教の基本用語であるロゴスlogos は、言葉を意味することが多い。
「はじめにロゴス(ことば)ありき。ロゴスは神とともにありき。ロゴスは神であった」
(『ヨハネ福音書』冒頭)。
だが、ロゴスは言葉のほかに理性、判断、概念、定義、根拠などをも意味し、
きわめて多義的である。
隠れているものを明るみに引き出すとは、まさにロゴスである



と たのしい演劇の日々

2021年10月22日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 90

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 90
Chemistry50

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する” 
 

 organic chemistry

なんであれこの世に単独で存在する事物はない。
もの(図)は必ずなにか(地)の中にある。
地があってはじめて図は在る、図として知覚される。
知覚される図はいつでも地のなかに在る。
地球や太陽のような巨大な物だって宇宙のなかに、宇宙という地があるから在る、在ることができる。
地球は宇宙という地のなかの図である。

全体という地についての理解があって初めてそこにある特別なものである図に注意がいく。
地があって図が活(い)きてくる。

「見えないもの」が図になるためにはどのような地を想定しなければならないであろう。
地なくして見るすることはできない。
われわれは物(図)だけを見るのではなく、周囲(地)との関係において見る。

“見る”には2通り、待機状態と達成状態とがある。
前者はなにかを視野の周辺に保ち、いつでもそれを凝視しうる状態に置くことで、
後者は待機の状態にあるものを実際に凝視する、視線を全体のうちの一部に据えることである。
その部分は図となって自己を主張し、他の部分は地となって周縁での待機状態に退く。

見るとはまた己を主張する図の世界に入り込むことで、
見られる図は常に他のものである地の最中に在り、他のものは図の背後に身を隠す。

だまし絵、たとえば老婆(A)と若い女性(B)あるいは杯と見つめあう2つの横顔などがある。
その絵では、同一画面に2つ以上の図があり、片方(A)が見えているとき、他方(B)は見えない。
だからだまし絵という。
最初はなにも見えないが、見ているうちになにか(A)が意味ある図として見えてくる。
しばらく見ているうちに今度はまったく違う図(B)が見えてくる。
対象は周りが地とならなければ図となることはできない。

どちらかが図になれば他は地となり、A・B両方とも図となることはない、地がないからである。

何かが見えているときにはそのために見えなくされている何かがある。しかし、
両方とも地となってなにも見えないことはある。

なにかが図になって地から浮き上がらないので何があるかはわからないから。

何かが在るようだけれども見えない、光は捉えているが 脳に術はない。



と たのしい演劇の日々

2021年10月21日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 89

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 89
Chemistry49

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”


 organic chemistry

ベルクソンHenri-Louis Bergson, 1859 – 1941)  『物質と記憶(1896)』)
「精神活動にはさまざまな高さの調子があり、わたしたちの精神活動は、生活への注意力の度合いに応じ、
行動に近づいたり遠ざかったりしながら高低さまざまに演じられている。
見るにも深かったり浅かったりさまざまなレベルがある。
ベルクソンは直観を哲学の方法とした。
直観とは対象を外からではなく内から、内に入って見ること。
直観は言葉と相いれない。
言葉はそれを発することによって、その発せられたものを分かった気にさせる。
直観は正しいことも正しくないこともある。
正しい直観を得る、本当に内に入るための能力を身に着ける。

普通の人の普通のものの見方は「物は見える通りに厳然としてある」というもの。
その対極は、それは希望的観測にすぎない、妄想である。
見えているものはすべて心が生み出した幻にすぎない。
そして真相為るものもあり。

バークリーGeorge Berkeley,1685 – 1753) 曰く
「存在するとは知覚されること、あるいは知覚することである To be is to be perceived  」
見える通りと妄想の間で人は物を見ている。たとえば、人間が知らないものは存在しない、無い。
もし人間がいなかったら宇宙の存在を知らない。その場合この宇宙というものはない。

ベルクソンは
 外的世界というイメージ集合体のなかで
真実に新しいものは生命体というわたしの身体の介在によってしか生みだされることはない。
その身体はさまざまな外的事物を動かすための一個の作用中心である、と言う。
物自体からの触発によって与えられる感性的直観をもとに、その素材に形式を与える。

「見えない」とは、どういうことであろうか。
なにかが見えるためには、見る対象があってそれを認識する主体があること。
見えないとは、
1.在るはずの対象が実はないかハッキリしないか。
2.在るはずの主体が確固としていない、あやふやである。
3.主体と対象をつなぐ経路が機能不全に陥っている。

見えないものが見える、とは

プラトン曰く 
至高の存在(神から非存在すれすれの被造物まで)この世はあらゆる階層(境位)のもので充満している
 階層は、見えるものと見えないものに分裂している、ということもできる。
人はだれでも見るが、階層のどのあたりまで見ることができるようになるかは人それぞれである。

眼に頼りすぎる者にはあまり見えない。
何をどのように見るかは各人各様、各人の能力に応じる。
その人の器量に合ったようにしか見えない。
全体を見る者には部分は疎かになる。
部分にこだわる者は全体に意が向かわない。
なにかを得ればなにかを失う。なにかを失えばなにかを得る。
だれよりもよく現実の世界を見ることのできた者(スフィンクスの謎を解いたオイディプス)には
深層の世界が見えず、
それを見ることができた者(ティレシアス)は実は盲目であり現実を見ることはできなかった。

見えないものを見るという場合、
まず見えないと見るの定義をハッキリさせておくことが前提であるが、とりあえず 
見えないものとは 
在るけれども見えないもの と 無いので見えない の二群に大別できる。
ともに見る側の問題であるが、前者は人の能力に左右されるが後者はそうでもなくて性能の問題である。
形あるものは誰でも見ることができる。
隠れていて見えないものに関してはどうであろうか。
たとえば樹木や草の根。
目には見えないけれども経験を積んだ庭師には地上の姿から地下の根の状態を的確に見うる。
あるいは、空を飛ぶ鳥はなにゆえに飛びなにが飛ばせるか、
庭に咲く花はなに故に咲き何が咲かせるか。
科学的に見ることも、詩的に見ることも、誤って見ることも可能である。
「見えているのに誰も見ていないもの」を見えるものにするが一流の芸術である。
それは詩であると言ったのが長田弘であった。

登竜門を上って龍になった鯉のように、思い切って越すに越せない壁を超す、
人は見えない物が見える通路を見いだす域に達する。
超せなくても裂け目を見つけそこから壁の向こうが見える。

フィヒテJohann Gottlieb ,1762 –1814)  曰く「見るは、自己を見る、として見る」
どのような眼も見なかったものを見、どのような耳も聴かなかったことを聴く者がいる。
そういう者はもはや問うことをしないで聞きまた見る。
われわれが生きて行くということは、見えないものが見えるに近づくことである。
だが、何を見る。自分自身をである。

われわれは日々を生きるために見る。
物(対象)も人も、それぞれ多層構造をなしている。
人間は容器に喩えられ、浅深は別にして底というものがあり、
底は深めることができ、深まると自我がだんだん薄れてきて対象の見え方も深まる。

意識の多層構造モデルで、
一番浅い表層意識として位置づけられるのは、日常的意識の眼に映った事物であり、
はっきりした輪郭線によってそれぞれ他から区別されている。
それらの存在単位は時空的に自立して、個々別々のものとして知覚される。
AはどこまでもAであり、BはあくまでもBである。
深層意識が開かれると、AB間の区別は次第に薄れ混沌としてきて存在の相互抵抗はなくなって、
最終的に「一・空」となる。
そこでは、事物のもつ個性が薄れ個性を超えた本質が見えてくる。



と たのしい演劇の日々

2021年10月17日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 88

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 88
Chemistry48

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”



 organic chemistry

ものの本性は、隠れることを好む
(Heraclitus of Ephesus 535–475 BC ギリシャ自然哲学〔断片集.122〕)

ものは「在る」から見えるか、「見る」から在るか。いわゆる主観・客観の認識問題であり。
在りさえすれば誰にでも見えるか、見る力を磨かないと見えないか。
どちらをとるかは、その人の考え方の根本にあることである。

認識の起原については、経験論と合理論とがある。
認識の源泉を経験に求める経験論は「在るからみえる」、
すなわち「先にものがあって、それを見るから認識が成り立つ」。
反対に、認識は経験に基づかない先験的(アプリオリ)な理性的なものであるとする合理論は
「見るから在る」、すなわち「見る能力があるからものを認識できる」。

「もの」を芸術における美と言い換えると、
美の成立根拠について、主観主義的美学 と 存在論的美学 が対立するものとしてある。

前者に立つカントらの立場は、美の成立根拠を主観の自由な遊びにある、
「見るから在る」である。それに対し、
ハイデッガーに代表される後者は、
美・芸術とは「もの」の真理が作品化されたものであるとする。
在るもの・真が迫って来るから在るである。

物世界は表象であるという面の他に「世界は私の意志である」というもっと根本的な面をもつ。
世界の根底には物自体が潜み、それを見るための終わることない努力があるのみである。

あらゆる客観(現象)は意志の現れとして眼に見えるようになったものである。
(他方、物自体は妄想に過ぎないという考えもある)。
物自体が有る、無いは考え方の問題で解決はつかないと思うが、
自分はどう考えるかは大きく重要な問題である。
私がいるから物があり、物が在るから私がある。人間すなわち眼が先である。

在るから見えるではない。在っても見えないものはいくらでもある。
なにかが見えたらそのことによって隠されているものがある。

これはなんだろうと眺めているうちは ただ見ている「ふりをしている」だけである。
見る準備があるときにのみ物は見える、すなわち見るから在る、在るから分かる。
もちろん在るのでなければ見えない、そういう前提のもとで「見るから在る」。

“在るから見える”ではなく、“見るから在る”にくみするべきか?

と たのしい演劇の日々

2021年10月14日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 87

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 87
Chemistry47

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”

“化学結合とは、原子が安定性を求めて閉殻構造を獲得する反応であり、それ故に 
     原子は分子や結晶などを作り存在す”

“物質中での原子と原子の結び  結合の力は 粒子間の電子の授受による”    

  有機反応の基本的な考え方:分子は頑張らん 楽な方へしか移動せん
分子が頑張るのは光でシリを叩いて励起する時くらい。
絶対に頑張らん分子的思考により化学反応は理解される。 

 organic chemistry

合成計画/デザイン

特定の化合物を合成するための一連の反応を考えること。
合成計画を立てるためには、これまでに学んだすべて の反応を思い出し、
 求める化合物を合成するのに適した反応を選択する必要がある。

有機化学反応の多段階合成について
「なぜ起きるのか」「どのように反応が 進行するのか」「何が生成するのか」を個別に学ぶ。
同程度に重要なのは、
「これらの反応をどのよ うに組み合わせれば、望みの化合物が合成できるか」という考え方。


逆合成解析 retrosynthetic analysis」;
目的化合物から逆向きに反応をたど っていく
合成計画を立てるために極めて有効な方法。

目的物質は  3-ヘキサノン とすると これはケトン。
今 までに学んだ反応で、ケトン を生成するものは何があるだろう?。
それは、アルキン の  水和反応 だ。
3-ヘキシン の水和により  3-ヘキサノン が生成するから
「3-ヘキサノンを合成するための 出発物質」として適している。
これを、二重矢印(有機化学は、二重矢印で逆合成を示す) を 使って記述

3-ヘキサノンを生成する可能性のあるアルキンには 2-ヘキシンも考えられる。しかし、
2-ヘキシンは、水和により  3-ヘキサノンと 2-ヘキサノンの混合物を選択性なく与える
ので、出発物質として適さない。
目的物質が「主生成物」として選択的に得られるのでない限り、
 出発物質として選択してはいけない。

次に、3-ヘキシン を合成するための反応を考える。
出発物質として 1-ブチン が与えられているので、
1-ブチンの アセチリド と ブロモエタ ンの反応を思いつくのは難 しくない筈。

逆合成を続けて、条件に合う出発物質にたどりついたらば、
そこから逆向きにたど って合成計画を書き出せばよい。
このとき、必要な反応剤や触媒などを書き加える。





と たのしい演劇の日々

2021年10月09日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 86

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 86
Chemistry46

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”

“化学結合とは、原子が安定性を求めて閉殻構造を獲得する反応であり、それ故に 原子は分子や結晶などを作り存在す”

“物質中での原子と原子の結び  結合の力は 粒子間の電子の授受による”    

  
 organic chemistry

. 立体化学stereochemistry

反応物や生成物が立体異性体を持つとき、
反応物のどの異性体が反応しやすいか、また生成物のどの異性体が生成しやすいかを取り扱う化学の領域

立体異性体; 原子の結合の順序が同じで、立体構造のみが異なる異性体。

アルケンに対する付加反応では、反応物が平面構造の sp2 炭素であるのに対し、
生成物が四面体構造 sp3 炭素 のとき、
付加する原子が二重結合平面の「同じ側」から結合する場合と、
「反対側」から結合する場合あり。

「同じ側」から結合する 付加反応;syn addition、
「反対側」から結合する付加反応;anti addition

シン付加、アンチ付加は化学物質への反応の形態を表した用語
これらの付加方法による生成物が「シス体となるか、トランス体となるのか」を判別する。

アルケン/アルキンなどπ結合をもち、電子が豊富にある物質は、その電子を元に求核付加反応を引き起こす。
これら付加反応が起こる際  この結合が切断され二つの原子となり、反応物質に付加される

シン付加が起こる代表的反応 「接触水素化(接触水素添加)」。
 接触水素化反応;
アルケン/アルキン 不飽和結合 π結合をもつ反応性の高い物質に対し、
Pt(白金)、Ni(ニッケル、Pd(パラジウム)などの触媒活性の高い触媒の存在下で水素を付加させ、
アルカンに還元する反応。

このとき、触媒の表面に一度水素が吸着してから反応が発生するため、
物質に対して同じ側から水素原子がつく。
シン付加が起こるときの生成物は、同じ側にその原子が付加されシス体となる。

Picture;

構造が簡単なエチレン(アルケン)への接触水素化の反応式。
1. PtやNiなどの活性の高い触媒表面で、水素分子の結合が切れ、原子として吸着
2. アルケンにおける電子が豊富な部分を元に、求核付加反応が起こる
3. 一連の電子の移動が起こり、最終的にエチレンに水素が付加された、エタン生成
Picture

シン付加 を引き起こす代表の一つ エポキシ化。 
エポキシ化: アルケンなどに対し過酸peroxyacid を加え エポキシ化(エポキシ環.三員環の環状エーテル )epoxide の生成を引き起こす反応。

Picture

アンチ付加;
アルケンなどの反応において他の物質がアルケンに付加される際
 二つの原子中の各々の原子が別の方向からの付加される。
アンチ付加は 物質に対して別の方向から原子の付加反応が起こり、生成物はトランス体。

アンチ付加を引き起こす代表的な反応 アルケンへのハロゲンの付加反応。
臭素の付加反応。

picture

反応により、
シン付加/アンチ付加 どちらも起こ得 生成物は立体異性体の混合物になる。

シン付加 or アンチ付加のみが選択的に起こり、生成物は特定の立体異性体のみを与える。

「立体選択的stereoselective である」;特定の立体異性体のみが生成する反応。
光学活性な触媒を使う等,一方の鏡像体を過剰 につくることができる。
 このように反応機構的には 1紳士服 1 の混合物になるべきなのに,
 なんらかの理由で一方が 過剰になるとき,これを選択的反応と呼ぶ。

アルケンに対する付加反応のうち、カルボカチオンを経由する反応は、立体選択的ではない。
何故なら 中間体カルボカチオンに対し求核剤が反応するとき、
カルボカチオ ン平面のどちらからでも反応できるから。


立体選択的である(カルボカチオンを経由しない)二つの反応

1. ヒドロホウ素化
協奏反応
新しい C–B 結合と C–H 結合は、二重結合平面の同じ側か ら同時に生成するシン付加
ヒドロホウ素化の生成物をアルカリ性過酸化水素で処理してアルコールを得ると、
OH 基はホウ素と同じ位置に結合 得られたアルコールも syn 付加の生成 物 シス異性体

2. Br2の付加
協奏 反応
中間体 環状ブロモニウムイオンが生成る。
2本の C–Br 結合が、二重結合平面の同じ側から同時に生成す シン付加。

次の段階で、Br– が求核剤として背面攻撃。
このとき、攻撃を受けた炭素原子 の立体配置は反転。
その結果、得られる生成物は、最初のアルケンに対して Br2 の アンチ付加したもの。

Br2, Cl2 の付加反応は、
中間体を生成する段階はシン付加で、生成物まで 考えるとアンチ付加。

sp2 炭素に結合している2つの置換基が異なる場合、
 付加反応で生成した sp3 炭素が 不斉炭素になることがある。
エナンチオマーを区別して生成させることは(特別な工夫 を行わない限り)不可能なので、
 生成物は両方のエナンチオマーの1:1の混合物(ラ セミ体)となる。





と たのしい演劇の日々

2021年10月02日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 85

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 85
Chemistry45 Not printed

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”

“化学結合とは、原子が安定性を求めて閉殻構造を獲得する反応であり、それ故に 原子は分子や結晶などを作り存在す”

“物質中での原子と原子の結び  結合の力は 粒子間の電子の授受による”    

 

 organic chemistry

現代の有機化学は、quantum mechanics 物理学の手法を用いて、物質内の電子の動きを明らかにする 。
できる限り分子内の電子の動きに注目して、有機化合物の性質や反応 を理解する。
「○○という化合物は××という性質を持つ、 △△ の位置に電子が偏っているため□□の位置と反発し合うからである」というように物質の性質、反応を電子の動きと関連付け理解する。
電子の動きに注目すること によって、有機化学をより深く理解できる。また、電子の動きは無機化合物 においても共通する部分が多い。


有機化学に必須元素の価電子数 

ハロゲン17族原子価7つ  Fフッ素 Cl塩素 Br臭素 Iヨウ素 Atアスタチン

価電子数 1   3   4   5   6   7
元素   H   B  C   N, P  O, S  F, Cl, Br, I

分子中の電子の数を正しく数える為 分子中の原子の電子数を「最外殻電子」「価電子」使い分ける。

・ 最外殻電子outer-shell electron :他の原子と共有する電子対を「2個」と数えたときの電子数。

・ 価電子valence electron :他の原子と共有する電子対を「1個」と数えたときの電子数。
「最外殻電子」は、オクテット則を判定し 分子の安定性を判定す。
「価電子」は、原子がもともと持っている電子の数と等しく、 共有結合を作っても変化しない。
この考え方は「電荷を持つ分子(分子イオン)」 について考えるときに必要。


形式電荷
水酸化物イオン HO– や、アンモニウムイオン NH4+ のように、電荷を持つ分子(分 子イオン)

HO– が –1 の電荷を持っているのは「電子が一つ多い」ためである。
O 原 子の価電子が1つ増えたと考え、ルイス構造( Lewis structure(各原子の最外殻電子を点で表記)を書く。
「価電子が1つ増えた」 ことを示すため、O 原子の近くにマイナス記号を書き加える:形式電荷formal charge。形式電荷とは、原子の持つ価電子の数と、
その原子が「本来」持って いる価電子の数(周期表上の位置で決まる価電子数)の差。

形式電荷を持つ原子は、1つの分子中に2つ以上存在することもある。この場合、
分 子内のすべての形式電荷の総和は、分子がもつ電荷に等しい。また、
分子が電荷を持た ないのに形式電荷を持つ原子が存在することもある
これらの分子では、どの 原子に形式電荷を置くか、選択の余地あり。

Ex, CO3 2– 炭酸イオ ンのルイス構造は、3通りに書ける。
これら構造は、原子の配置は同じ(同じ分子)なのに、電子の配置が異なり 
これを 電子は「非局在化して いる」と呼び 有機化学で非常に重要なトピック。


ケクレ構造Kekulé structure (共有結合の電子対を直 線で示す)は、
有機化学の反応を表す際に最もよく用いられる表記。
正しいケ クレ構造を作るために、
正しいルイス構造を書き、その後共有結合の電子対を直 線で置き換える。
結合線は「そこに電子対がある」と見ること。
有機化学の反応を理解するために、「どの電子がどこに移動したか」を正しく 記述する必要がある。
結合線の位置に「電子対がある」と認識し、多 くの有機化学反応を統一的に理解する。


ローンペアlone pairの存在は、ケクレ構造ですべての価電子を明記すると、簡単に認識できる。
すべての電子対は共有結合の電子対か ローンペアかのどちらかであるが、
ケクレ構造では 共有結合の電子対は直線で表すので、
各原子上に電子対のまま書かれ ているのがローンペアである。

ローンペアの電子は、共有結合の電子よりもエネルギーが高く、化学反応に関与しや すい。
このため、分子中のどの原子がローンペアを持っているかは、化学反応を理解するために重要なポイント。

有機化学 分子構造を簡潔に記述する記法
骨格構造」 に炭素原子の骨格を線で表記
骨格構造を正しく作るには、次の手順で進める。

1.炭素原子carbonの “C” 記号を消す。
2.炭 素に結合している水素原子hydrogenの “H” 記号と結合線を消す。
3.炭素原子の位置がわかるよう折れ線にする。折れ線にしてはいけない場合あり「アルキン」)

骨格構造 注意点。
1、「結合線の両端には必ずC炭素原子があり、その先にはさらにH水素原子がある」

C炭素原子 4つ      C炭素原子 3つ + H
  (pictures)
2.「C炭素原子だけを書いてH水素原子を省略する」は誤記。 必ず、
「C炭素もH水素も両方書 く」か「C炭素もH水素も両方省略する」かどちらかにする。

3、「H水素原子を省略できるのは、C炭素原子に結合している場合のみ」
   ex,  CH3CH2CH2OH ( CH ) + OH
(pictures)


と たのしい演劇の日々

2021年09月30日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 84

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 84
Chemistry44 Not printed

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”

“化学結合とは、原子が安定性を求めて閉殻構造を獲得する反応であり、それ故に 原子は分子や結晶などを作り存在す”

“物質中での原子と原子の結び  結合の力は 粒子間の電子の授受による” 

"つまり、絶対に頑張らん分子的思考により化学反応は理解される。" 


 organic chemistry

酸の強さは何で決まる?

物質の化学的性質は、その物質に含まれる電子の振る舞いによって決まる。
「酸 の強さ」も化学的性質の一種。

ある物質の「酸としての強さ」と、その物質に含まれる「電子の性質」の間には、どのような関係があるか?

酸の強さについて、
原則「共役塩基が安定であればあるほど、その酸は強い」は、
「共役塩基が安定であるほど、酸と共役塩基の間の平衡 が共役塩基側に偏る」という理由による。
「共役塩基側に平衡が偏る」と「H+ が放出されやすい」ので「強い酸として働く」。

共役塩基は、必ず非共有電子対lone-pairを持っている。
酸が H+を放出するとき、H との結合 に使っていた電子対を受け取るためである。

共役塩基が安定かどうかは、このlona-pair電子のエネルギーによって決まる。
lone-pairのエネルギーが低ければ(安定であれば)、共役塩基も安定。

lone-pairの安定性を決める要因

(1) 電気陰性度
電気陰性度は原子が最外殻電子を引きつける力の尺度。
最外殻電子lone-pairは 原子の電気陰性度が高いほど、原子に強く引きつけられ安定す。
電気陰性度は、同じ周期の原子に結合した水素原子の酸性度を比較する際に、よい指標。

   CH4  NH3    H2O    HF
pKa  60  >36  >  15.7  > 3.2


(2) ローンペア軌道の混成
同じ原子の上のlone-pairでも、入っている混成軌道が異なると、安定性は異なる。
lone-pairのエネルギーは

 sp3 混成軌道> sp2 混成軌道 > sp 混成軌道の順に低くなる
(つまり後ろの方が安定になる)。
混成軌道のなかの「s 軌道の成分」が大きくなるほど、lone-pairの電子が原子核に近づきやすくなり、
より強い引力を原子核から受け取る故に

        CH3CH3  H2C= CH2   HC 三 CH
      pKa  60  >   44    >   25

「s 軌道の成分」が大きいほど、その軌道の電子は原子核により強く引きつけられる。
とは「s 軌道の成分が大きいほど、その原子の電気陰性度は高い」。
通常、電気陰性度は原子の種類によって決まるが、
その原子がとっている「混成状態」によっても小さな影響を受ける、
(「混成状態」は、その原子が結合している他の原子の数と、lone-pairの数 により決まる)

(3) ローンペア軌道の大きさ
水素原子が異なる周期の原子に結合している際、
電気陰性度よりも「lone-pairが入っている原子軌道の大きさ」の方が強く影響す。

ex、Cl– と Br– を比較
Cl– は、lone-pairは 3p 軌道にあり、
Br– は 4p 軌道にある。

3p 軌道よりも 4p 軌道の方が原子核から離れているため、空間的な 広がりが大きい。

lone-pairの電子は、同じ原子の他の電子との間の反発力を常に感じているが、
空間的な広がりが大きければ、電子間の反発力は小さくなる
したがって、 この場合は Br– の方が安定。
4種類のハロゲン化水素の pKa を比較するば 電気陰性度の順序 とは逆転していることに注意。

   HF   HCL    HBr    Hl
pKa 3.2   > -7   > -9   > -10


*************************************************************************


アルデヒドやケトンにおける2種の形「ケト-エノール互変異性(keto-enol tautomerism)」は、
原子の位置が変化している「構造異性体」であり、「共鳴混成体」とは全く別の概念。
共鳴混成体は、量子力学的な電子配置の重ね合わせを表し、
共鳴とは「原子の動き」ではなく、「電子の動き」に関する理論。

カルボニル化合物をケト形からエノール形に変換するためには、
カルボニル基(-CO-)に隣接する炭素原子上に、水素原子が結合している必要あり。
この「α水素」カルボニル化合物の有機反応は、このα水素の挙動が非常に重要。
さらに、カルボニル基(-CO-)から遠ざかるにつれて、β水素、γ水素、δ水素、ε水素・・・・・・となる。



と たのしい演劇の日々

2021年09月28日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 83

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 83
Chemistry43

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”

“化学結合とは、原子が安定性を求めて閉殻構造を獲得する反応であり、それ故に
 原子は分子や結晶などを作り存在す”

“物質中での原子と原子の結び  結合の力は 粒子間の電子の授受による”       


 organic chemistry


求核剤Nu/nucleophile の影響
Nuは、反応性の高い非共有電子対lp/lone pair を持つ化学種
C原子に非共有電子対を与え、新しく共有結合covalent bond を作る。
Nuと似た定義に「ルイス塩基/Lewis base」あり。
ルイス塩基;ルイス酸に非共有電子対を与え新しく結合を作る化学種。
ルイス塩基は、Nuよりも広い定義 特にC原子と反応するものをNu。

一般的に求核性の強いNuほど、C原子を攻撃しやすくなり、
求核性の強いNuは、求核置換反応においては有効。

一般的に求核性の強いNuほど 、求核性が強くなる。しかし、
塩基性が強くても、求核性の弱い物質があり、逆に塩基性が弱くても、求核性の強い物質があり。
この違いは、攻撃するCの空軌道に対し、Nuが有効に作用するかどうかを考えることで理解す。

一般的に「塩基性」とは「ブレンステッド塩基(Bronsted base)」の強さのことを意味す。
「塩基性が強い物質ほど、求核性が強くなる」という表現における「塩基」とは、
「ルイス塩基Lewis base 」ではなく「ブレンステッドBrønsted 塩基」のこと。

B塩基性は、「水素の空の1s軌道」との相互作用の尺度であり、
求核性は、「炭素の空軌道」との相互作用の尺度。

被占軌道と空軌道の相互作用は、エネルギーの近い軌道同士が重なる場合に、
最も大きな安定化が得られることに注意。すなわち、
Nuの軌道が、炭素の空軌道のエネルギーに匹敵することが、求核性を決定する上で極めて重要。

求核性の強さは、SN2反応の速度に大きな影響を与える。これは、
SN2反応の速度が、Nuと基質の両方の濃度に比例するから。つまり、
強力なNuを用いると、SN2機構が優勢になる。それに対して、

SN1反応は、Nuは反応速度に影響せず、反応速度は基質の濃度のみに比例す。これは、
SN1反応の速度を決める律速段階は、基質のみが関与し、Nuは全く反応に関与していないから。


脱離基L/leaving group の影響

多くのLは、陰イオンとして脱離す。
したがって、Lの陰イオンが安定になるほど、Lは置換されやすい。

求核置換反応(SN1反応、 SN2反応)は Lの陰イオンが安定であるほど、反応速度は速い。

Lの陰イオンは、その陰イオンが弱い塩基であるほど、安定。つまり、
その共役酸conjugate acid HLのpKa値と相関す。

pKa値は小さいほど強酸となり、その共役塩基は、弱塩基で優れた脱離基となる。

一般的に塩基性が強いほど求核性は強くり、「脱離基は弱いLであるほど優れている」。
ハロゲン化物イオンは、一般的に優れたLであり、有機合成化学において、
簡単な構造を持つ有機ハロゲン化合物(塩化物と臭化物が多い)は、
多くの用途を持った原料化合物として利用される。



B.Rの酸塩基理論 Brønsted–Lowry acid-base theory
H+プロトン/陽子をベースとし 酸と塩基の概念を再定義

酸:プロトンH+を他の物質に渡すことができる物質; プロトン供与体
塩基:プロトンH+を他の物質から受け取ることができる物質; プロトン受容体

B.Rの定義では 通常の分子  イオン化した分子 に対し酸や塩基 を定義。

B.Rの定義は、アンモニアNH3が 水H2Oに対し 塩基 になる事を説明。

  アンモニアが水分子と反応して加水分解する過程


アンモニアは 水分子からH を奪い B.Rの定義における 塩基


B.Rによる酸と塩基の定義は、反応相手となる「他の物質」の存在があって初めて意味を持つ。
 ある物質Aが 他の物質Xに対しては 「酸」である にも関わらず、
  Xとは異なる 他の物質Yに対しては 「塩基」である という事も起こりうる。
 Ex, 水は 塩酸に対して「塩基」である  アンモニアに対しては「酸」 として働く

酸(acid)を HA、塩基(base)を B とすると、
B.Rによる酸塩基反応は一般に次の化学反応式で表される

 HA(acid) + B(base) ⇔ A-(conjugate base) + HB+(conjugate acid)


この式 可逆反応 左辺から右辺への反応と、右辺から左辺への反応がともに起こる反応
 (この化学平衡の平衡定数から酸解離定数を定義する)。
逆に、右辺から左辺への反応過程を見てみれば
  (B.Rの定義における)「塩基」と「酸」が反応して、HAとBとを生成。

A-を酸 HAの共役塩基conjugate base HB+を塩基Bの共役酸conjugate acid

ルイスの電子対の授受による酸と塩基の定義は、B.Rの定義より更に広範な範囲をカバーする:
酸:電子対の受容体
塩基:電子対の供与体

B.Rの塩基Bは、プロトンH+を受け取る際、B内にある電子対をH+に供与する事により、HB+を作るので
、B.Rの塩基はルイスの塩基であり 同様にB.Rの酸はルイスの酸でもある。
しかしルイスの定義は、プロトンH+の授受を伴わない反応に対しても酸や塩基を定義できる事に利点。
EX, AL3+ + 6H2O ⇔ Al(H2O)63+
ではプロトンH+の授受は行われないが、H2Oが電子対を供与しAl3+が受容するため
、ルイスの定義における酸Al3+と塩基H2Oである。


と たのしい演劇の日々

2021年09月26日

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 82

俳優の錬金術Alchemy of Actor 知覚の哲学Philosophy of perception 82
Chemistry42

“本当に大切なものは目には見えない”
  “ 目に見えないところで何が起こっているのかを想像する”

“化学結合とは、原子が安定性を求めて閉殻構造を獲得する反応であり、それ故に 原子は分子や結晶などを作り存在す”

“物質中での原子と原子の結び  結合の力は 粒子間の電子の授受による”       

 organic chemistry

有機反応の基本的な考え方:分子は頑張らん 楽な方へしか移動せん
化学反応は基本的にエネルギーが低い方へしか進まん。
反応する場所に邪魔ものがあれば、それを避けて反応(orそもそも反応せん)、
反応に大きなエネルギーが必要なもの(脱離しにくい等)は反応せん。
 
共鳴ができる分子の一箇所だけ高エネルギー状態になった時は、
すぐにエネルギーを分散し楽になろうとする。
分子は、辛さを周りに広めることで自分は楽をする。
分子は炭素に大きな官能基(ヨウ素基等)がついていると結合が切れやすい。
 つまり 大きな官能基は、手が疲れるからすぐに手放す。
分子が頑張るのは光でシリを叩いて励起する時。

つまり、絶対に頑張らん分子的思考により化学反応は理解される。


有機反応機構の規則
有機化学は「電子の化学」
有機反応は、電子の動きによる物質の化学変化。
有機反応は、電子/価電子 の動きを理解す。
価電子は、化学結合や物性に深く関係している


有機化学では、価電子の動きを曲がった矢印で示す。
「両刃型矢印」2電子の存在位置の変化を見失わないために使う。
物理的意味は無いが、電子の出発地点から始まり、終着地点で終わる。
式を正しく書くための工夫として重要

「片刃型矢印」1電子の動きを示すときに使う。
 両刃型矢印が2電子の動きを示すときに使うのに対し、


有機反応の大別
電気的性質で解釈されている反応 と
分子の軌道により解釈されている反応 の2種類あり。

電気的な解釈による反応
 求核置換反応Sn1, Sn2,
 求電子置換反応,
 脱離反応E1, E2,
 求核付加反応,
 求電子付加反応



分子中の官能基の動きに着目した言い方
置換反応:置き換わる反応。
脱離反応:取れる反応。
付加反応:付着する反応。

反応中の電気的な性質に着目した言い方
求核反応:核(+)を求める反応。
求電子反応:電子(ー)を求める反応


有機反応は、2種類以上の反応が同時に起きる。

1.置換反応substitution reaction ;
分子に1つの官能基が別の官能基で置き換わる形式の反応
 1つの官能基が付き 別の官能基が取れる反応   3種あり
共有結合の1つが切断され、それに代わる新しい共有結合が1つ形成される
電子が置換反応のときにどういう挙動をとるかに注意!

求核置換反応(Sn1反応, Sn2反応)と求電子置換反応があり。

1-1 求核nucleophilic 置換substitution 反応
分子に対し求核剤Nu/nucleophile(マイナスの性質を持つ)が反応し、一部が置き換わる反応。
 
 1-1-1 Sn1反応
「1」は、2段階の反応のうち、反応速度の遅い第1段階に、反応基質だけが関与すの意
先に脱離基L/leaving group が取れ カルボカチオン中間体が発生し、それにNuが攻撃することで反応。
カルボカチオンの空のp軌道の両方からNu攻撃することができるので、
キラル化合物維持できずラセミ化racemization する。
2つの向きに官能基が Nuが入った構造体

 1-1-2 Sn2(2分子反応) 反応
先にNuが攻撃することで、遷移状態を経て反応が進行す。
Nuと基質Rの2つの分子が、反応機構の主要な段階/遷移状態に関与している2次反応。
NuがC-L結合の背面から攻撃してくるので、完全な立体反転を伴って反応が起る
;ワルデン反転(Walden inversion) 。
必ずLの逆側からNuが攻撃するので、キラル化合物はラセミ化しない。
分子の形状は反転す。


1-2求電子置換反応;
分子に対し、求電子剤(プラスの性質を持つ)が反応し、一部が置き換わる反応。
芳香族の配向性の説明の時に使われる。



脱離反応elimination reaction ;
反応前と後を比べて、分子から何かが取れるだけの反応。
一般的に、脱離反応をすると、不飽和結合(二重結合などの多重結合)生成。
脱離反応は、E1(一分子)脱離 と E2(二分子)脱離の2種類あり。

E1(1分子)脱離反応 1分子
SN1反応と似てSN1反応と同じように2段階反応 、
まずLが取れ カルボカチオン中間体 を生成。
そして、カルボカチオン近辺のプロトンが塩基をとることで反応。
Sn1反応と似て、Nu(求核攻撃をする)と塩基(Hを取り去る)の役割の違いを理解することにより、
Sn1とE1のどちらの反応が優先的に進行するかを判断。
もちろん両方が起きる


E2(2分子)脱離反応
SN2反応と同様に遷移状態を経て反応し、プロトンとLの脱離が同時に起きる反応。
SN2反応と同じように1段階反応




付加反応は、反応の前後を比べて官能基が付着するだけの反応。
主に求核付加反応と求電子付加反応あり。


求核付加反応
分子に対し、Nu(マイナスの性質を持つ)が反応し、付着する反応。
置き換わり(官能基の脱離)が起きないので付着のみの反応。


求電子加反応
分子に対し、求電子剤(プラスの性質を持つ)が反応して、付着する反応。
置き換わり(官能基の脱離)が起きないので付着のみの反応。




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