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2023年11月16日

ひっそり佇む重要文化財(金沢城)三十間長屋

見どころの多い金沢城内にあって、やや地味な区画にひっそりと、しかし堂々と佇む建物を見つけました。

<三十間長屋>さんじっけんながや
ICP-Sanjikken-Nagaya-Kanazawa-Castle.JPG
なんだか凄い建物だが、周りに誰もいないなぁ…

ここへ着くまでに多くの観光客とすれ違っていましたので、何となくもの寂しさすら感じてしまいました。

<説明板>
Sanjikken-Nagaya-Guideplate.JPG
三十間は長さとして、長屋?城詰め藩士のアパートのようなものか?

あまり予習しないで訪問したため、長屋という呼び名から勝手な想像をしました。しかし説明板をよく読んで納得。『金沢城では倉庫と防壁を兼ねた建物を長屋』と呼ぶそうです。

<武器庫>
Important-cultural-asset-Sanjikken-Nagaya-storehouse.JPG
もともとは食器類を納めた倉庫だったようですが、江戸時代後期には武器や弾薬が保管されていたとのこと。防壁を兼ねているのだし、これはもう完全な軍事施設ですね。鉄砲蔵とも呼ばれたようです。

<多聞櫓>たもんやぐら
Sanjikken-Nagaya-Kanazawa-Castle.JPG
形状で分類すると多聞櫓(石材等の土台の上に乗せるように築く細長い櫓)です。かなり細長いです。幅3間に対し、長さは26間半とのこと。ん?30間ではないのですね(少なくとも今は)。1間182pとして、幅は約5.4mで長さは約48mということになります。

<金場取り残し積み>かねばとりのこしづみ
Sanjikken-Nagaya-Ishigaki.JPG
土台には多彩な石材。あまり詳しくないのですが、石は酸化する時間によって色がまちまちになるようです。近世の城らしく、積み方はいわゆる「打込みはぎ」と受け止めましたが、現地説明板には『金場取り残し積み』という技法が紹介されていました。簡単に言えば、これは石材の加工具合が違うようです。表面の縁取は揃えて内側はわざと粗く残した石材を積む。これを金場取り残し積みと呼ぶそうです。


建物は1759年の「宝暦の大火」で焼失し、長らく土台だけだったようです。それはちょっと寂しい光景ですね。この付近、本丸の中心からはずれている(本丸附段と呼ばれる場所)とはいえ、大枠では本丸の一部です。それにも関わらず長いあいだ放置された理由は分かりかねますが(城の中心が既に二の丸御殿に移っていたから?)、1858年になってようやく再建されました。安政5年なので、ギリギリですが江戸時代です。貴重な遺構であり、石川門と並んで国の重要文化財に指定されています。

石川県のホームページによれば、金沢城にはこの他に計14の長屋があったと伝えられているとのこと。繰り返しますが防壁も兼ねています。金沢城内はかなり重厚な構造だったことが想像できますね。

■訪問:金沢城三十間長屋
(金沢城公園内)
[石川県金沢市丸の内]


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■参考及び抜粋
・現地説明板(金沢市)
・石川県HP
>建造物(国指定)>金沢城石川門・三十間長屋

https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kyoiku/bunkazai/kenzoubutu/9.html

タグ:石川
posted by Isuke at 21:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 城跡[北陸]
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