日光街道が利根川に差し掛かる地点に設けられた関所跡を訪ねました。
<栗橋関所址>
立派な石碑です。
<記念碑と説明板>
説明板によれば、石碑に刻まれた文字は徳川宗家16代当主の徳川家達の書とのこと。関所そのものの姿はもうありませんが、ここ栗橋の地にかつて関所があったなごりです。後ろに見えている堤防の向こう側は利根川です。
栗橋に関所が設けられたのは江戸時代初期。よく「入鉄砲に出女」という言葉を耳にしますが、これは江戸時代の関所の役割を端的に表していると思います。江戸に鉄砲を持ち込まないか、あるいは人質である諸大名の妻子が江戸から国元へ逃げないか。行き交う人を厳重に取り締まりました。
関所というと、税の徴収などもやっているようなイメージがありますが、江戸時代に設けられた関所はあくまで警備が目的。人や馬、運搬される物資を念入りに調べたようです。
<利根川橋>
いまはこの橋で川を渡れますが、防衛の観点から、江戸時代には橋は架けられませんでした
橋がない
船で渡るしかありませんね
日光街道の宿場となった栗橋と対岸の中田(茨城県古河市)の間に渡船場が設けられました。栗橋の関所は渡船場の前に設置されましたので、避けて通るわけにはいきませんね。この渡船場の名から、関所は房川渡中田御関所と呼ばれていました。房川とはこの区間の利根川のことです。
さて
せっかくここまで来たので、宿場跡も散策してきました。その一部をご紹介させて頂きます。
<栗橋宿>くりはしじゅく
日光街道栗橋宿。江戸時代以前に北へ向かう主要街道は別ルート(奥州街道)だったので、日光街道の整備とともに成立した(いわば移転してきた)宿場です。日本橋から数えて7番目の宿で、対岸の中田宿と合宿の形態をとっていました(セットで交代交代に役割を果たすという意味です)。
<現在の栗橋>
街道が利根川と交差する地点の宿場跡。この通りそのものが宿場町のなごりですね
<ちょっと立ち寄り>
こちらはあまりに立派だったので足を止めた石の蔵。本陣跡は工事中で近づけませんでしたが、その近くで良い景色と出会えました。表札からして、栗橋宿の開拓者に名を連ねた方のご子孫かとも思いましたが、あくまで個人宅なのでこのヘンでやめておきます。
<深廣寺>じんこうじ
こちらは宿場と深い関りのある深廣寺さん
<無涯山單信院> むがいさんたんしんいん
無涯山単信院深廣寺と号する栗橋を代表する名刹です。小田原北条氏の元家臣で、栗橋宿の開拓に尽力した並木五良平光盛が開基とされています。
<深廣寺六角名号塔>
南無阿弥陀仏と彫られた21基の六角形の石塔。かなり大きいです。石は江戸時代に伊豆から船で運ばれたそうです。久喜市の指定有形文化財です。
<栗橋の町並み>
関所と宿場があった栗橋。いろんな人がいろんな思いで行き交った通りということですね
ところで
<記念碑の設置場所>
記念碑そのものは立派ですが、周辺が若干寂しい光景です。これには訳があります。ここは旧栗橋町商工会館跡地で、もともと別のところに設置されていた記念碑が、利根川堤防強化事業の影響でこの地に移されたとのことです(久喜市ホームページより)。ここはいわば仮の場所ということですね(2022年5月現在)。
<碑建立記念写真>
説明板に掲載されている古い写真。利根川橋が開通した大正13年に碑が建てられたので、その時のものです。関所そのものの遺構が残っているわけではないので、この記念碑が設置される場所が旧跡となります。堤防工事が終了すれば、別な場所に移されることとなりそうですが、とりあえず、旧跡の象徴たる記念碑を訪ねることができたので満足な訪問となりました。
最後に
<関所番士屋敷跡>せきしょばんしやしきあと
こちらは関所の番人たちが住んだ屋敷跡です。人と物の往来を監視することが仕事と言ってしまえばそれまでですが、栗橋は数ある関所の中でも重要地点です。更に、大名や幕府のお偉いさんの送迎などにも気を使ったことでしょう。屋敷そのものは残っていませんが、この説明板がかつて任務を全うした人たちのなごりとなっています。
ということで
利根川沿いの栗橋関所のご紹介でした。
■訪問:栗橋関所址記念碑
(2022年5月現在)
[埼玉県久喜市栗橋北2丁目]5-19
■参考
現地説明板(久喜市教育委員会)
・栗橋関所址記念碑
・関所番士屋敷跡
久喜市ホームページ
・県指定栗橋関跡
https://www.city.kuki.lg.jp/smph/miryoku/rekishi_bunkazai/bunkazai/shiseki/kurihashiseki.html
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2022年06月26日
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