はやり病や悪霊などの侵入を防ぐために、村堺に縄を張ったり札を掲げたりする「道切り」という習慣。かつては日本各地で行われていましたが、いまではあまり見かけません。
今回はこの古き習慣が受け継がれている川越市笠幡を訪問しました。
<笠幡の道切り>
水路沿いの道に設置された道切りの札。辻切りなどとも呼ばれますが、ここでは「ふせぎ」と呼ばれています。「防ぎ」ということですね。
<ふせぎの札>
村を守っているふせぎの札。ここがかつての村堺なのでしょう。いわば結界の類をはって、内と外を遮断するわけですね。
道切り(ふせぎ)の方法は地方によって異なり、注連縄を貼ったり草鞋をぶらさげたり、いろいろです。ここ笠幡では札(辻札)を掲げるわけですね。割った篠竹に御札を差し込み、ひもで縛りあげてあります。先端には藁を束ねて造った独特の飾り(と表現して失礼でしたらスミマセン)が備え付けられています。
別な場所も見てみますかね
<辻札>
ここは坂道の下に位置しています
言い換えると丘の麓。いかにも村の境という感じがします。丘の上に、ふせぎ行事が行われる神社があるということで、てくてくと登ることにしました。
<さざんか通り>
台地の隅であることを実感する坂道
<丘の上の神社>
坂を登りきると鳥居が見えてきました。尾崎神社です。東征途上のヤマトタケルが、台地の先っぽで見晴らしの良いこの場所を「尾崎の宮」と称えて神を祀ったと伝えられています。
<尾崎神社参道>おさきじんじゃ
両脇に木々が生い茂る長い参道。鎮守の森といった感じでしょうか
<拝殿>
<本殿>
<境内>
立派な神社です。全てご紹介できませんが、雰囲気は伝わるかと思います。ここでふせぎの行事が行われるわけですね
<説明板>
『芳地戸のふせぎ』と題して詳細が記されています。冒頭をそのまま転記させて頂くと『悪魔払いの神事である「ふせぎ」を笠幡の芳地戸では毎年春の彼岸の中日に行っている』とのこと。ふせぎは悪魔払いの神事、そしてこれを春分の日に毎年行っているようです。芳地戸は「ほうじど」と読みます。ふせぎ行事は昔ながらの方法で執り行われ『神社でふせぎの祈禱を行なったあと、芳地戸の全部の家を廻る』とのこと。辻札については『村境にたてる辻札八組と尾崎神社の幟一本』とありますので、計9本ということですね。
<村境>
いまからおよそ3百年前、疫病が蔓延したことがあったそうです。そんな災いが芳地戸地区に入るのをふせぐために、ふせぎ行事が始まったそうです。こういった習慣には、はやり病に日本人がどう向き合ってきたが垣間見える気がします。それがいまでも伝承されいる。つまり日本人らしさが伝承されている。素敵なことですね。そして、現代人がそこから学ぶべきことがあるような気がします。
ということで
川越市笠幡の道切り行事のお話でした。芳地戸のふせぎは市の無形民俗文化財に指定されています。
■訪問:尾崎神社
(芳地戸のふせぎ)
[川越市笠幡]1280
■参考
Wikipedia:2022/6/12
現地説明板(川越市教育委員会)
猫の足あと
・尾崎神社の概要
https://tesshow.jp/saitama/kawagoe/shrine_kasa_ozaki.html
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2022年06月12日
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