<国府台の道切り>みちきり
悪い病気や悪霊などの侵入を防ぐために、集落の出入り口に縄を張ったり、札を掲げたりする『道切り』という習慣。いまはあまり見かけませんが、かつては日本各地で行われていました。
■国府台の辻切り■こうのだいのつじきり
今回訪問した市川市国府台では『辻切り』と呼ばれています。『斬り』だと物騒ですね。『切り』です。念のため。
<藁の大蛇>
ここはかつての集落の入り口
ワラで作った大蛇が木に備え付けられています。首には木の札が結びつけられていますね。道切り(辻切り)の方法は地方によって異なりますが、暮らしの場への出入り口に何かしらを設置することは同じ。内と外を遮断するわけですね。
<国府台天満宮>
国府台の辻切り行事は、毎年1月にこちらの境内で行われます。藁で造り上げた大蛇にお神酒を飲ませ、魂入(たまい)れをしてから木に結びつけるそうです。室町時代から伝わる伝統行事です。
<説明板>
ちょっと光の関係で見えにくいですが、天満宮と辻切り行事に関する説明がなされています。まず、こちらの天満宮があの太田道灌により建立されたと伝わると記されています。すぐ近くの里見公園は、道灌の弟が築いた国府台城跡です。説得力がありますね。つづいて『辻切り』について。一部抜粋させて頂きますと『辻切りとは、人畜に危害を与える悪霊や悪疫が部落に侵入するのを防ぐため、部落の四隅の辻を、霊力によって遮断してしまうことから起こった名称です』とのこと。ここでいう『辻』とは境界のことですね。四方の境に大蛇を祀り、その霊力で悪しきものの侵入を防ぐということです。
藁の大蛇は全部で4体。最初にご紹介した大蛇は集落の西(里見公園の西北)にあたります。他の3か所も見てみますかね。
<南側>
こちらは別の場所の大蛇
江戸川沿いの道から里見公園へ入ってすぐの場所(公園の南西隅)です。
こちらの『羅漢の井』のすぐそばです。
<北側>
こちらは天満宮から見て北東に位置する大蛇。天満宮から歩いてすぐの場所です。私の訪問は2月上旬ですので、備え付けられてからまだひと月以内の比較的新しい状態です。
<東側>
こちらは大きな通り(松戸街道)に面しています。これで四体すべて確認できました。
日本では古くから「怪しいものは境界からやってくる」といった考え方が広く浸透していたようで、道切り(辻切り)の習慣に限らず、石仏などが村境に設けられている例をよく目にします。現代とは異なり、暮らしの場から遠くに出かけるという機会は滅多になかったわけですから、日々を脅かすものは外からやってくるという感覚も、何となく解るような気がしますね。道切り(辻切り)という習慣は、日本人の実生活を背景に生まれたわけですから、日本らしさがこもった文化といえます。分かったようなことは言いたくありませんが、国府台への訪問で、それをほんのちょっとだけ感じることはできまた。
ということで
国府台の道切り(辻切り)のご紹介でした。
最後に
今回は国府台天満宮で行われる辻切り行事を実際に見学したことのあるKazMiyamoさんにご案内頂きました。私にとっては、街探索で時々ご一緒させて頂いているお仲間です。地図まで用意頂き、非常に効率的に四体の大蛇を確認することができました。ありがとうございます。同時に、辻切りの保存会の皆様にも感謝申し上げます。とても有意義な訪問となりました。
■訪問:国府台天満宮
(大蛇はその周辺)
[千葉県市川市国府台]3-11
2021年02月11日
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10533186
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
国府台は二度目の訪問でしたが、やはり皆さんと探索すると実りが多いですね。普段の『一人探索』のクセが出て、またもやお仲間を見失うこととなり、失礼致しました。緊急事態宣言も延長となりましたが、またしかるべき時にご一緒させて下さい。コメントありがとうございます。
またよろしくお願い申し上げます。