<日ノ池>
こちらです。大きさは直径16mくらい。結構大きいです。深さは約2mから2.5m程度。金山城の溜池と受け止めて間違いないとは思いますが、見た瞬間に違和感というか、不思議に思いました。
土に浸み込んだ雨水が、山の中腹や麓で湧水となるのはよく分かります。そして、それらを利用して溜池が設けられる。城を訪問するよく見かける光景です。しかしこの『日ノ池』は山の頂上付近です。標高にして約240m、麓からでも150m以上はあります。構造として不思議な上に、枯れることがないとまで言われています。冒頭でご紹介の通り、軍神と呼ばれた男でも落とせなかった城。地形や縄張りに加えて、水の確保が完璧であったことも城兵を有利に導いていたのでしょうね。
実際に水は湧き出ているのかもしれませんが、素人がザッと見た感じでも、頂上付近の地形及び張り巡らされた排水路に、水が枯れない理由があるような印象でした。
<復元された城内の排水路>
<日ノ池の位置>
頂上付近とはいえ日ノ池は周辺よりは低い場所になっています。もともと岩の多い山ですが、その表面に更に石を敷くことで水は地面に浸み込まないまま低い場所へ集まる。そういう構造なのかもしれません。
それにしても
石で象られた円形の池はまるで西洋の神殿のようです。
独特の美しい形が、なんとも神秘的です。実はこの池は、何らかの信仰の場だったのではないかとも考えられています。
発掘調査の結果、城が築かれるより前の時代の土馬(どば)が出土しているそうです。土馬とは馬の形をした土製の人形ですね。こういったことから、池そのものは築城とは関係なく既にここに設けられていて、何らかの信仰の場だったのではないかという説があります。土馬は川跡などからよく出土され、雨乞いなどの祭事で本物の馬の代わりに使われたれするので、日ノ池もそういった祭事の場だったのではないかと推定されています。
また、金山城が築かれ、城に内包される構図になってからも、神聖な場所であることに変わりはなく、例えば武将たちが戦を前に神社で戦勝祈願をするように、ここで武運を祈願するようなことが行われていたのではないかとも考えられているようです。
特別な場所
まずは籠城の時に機能する溜池としてご紹介しましたが、もっともっと人らしい意味で特別な場所だったのかもしれませんね。
そして城内にはもう一つ
『月ノ池』と呼ばれる池があります.
<月ノ池>
こちらは直径約7mの溜池。日ノ池よりサイズは小さくなりますが、こちらもしっかりと石に囲まれた円形で、独特の雰囲気を醸し出しています。なんとも神秘的な溜池です。画像の奥は大手虎口。城の縄張りでは、大切な水場は目立たないところに設けられ例が多いですが、ここ金山城では堂々と入口付近で異彩を放っています。
向こう側に谷状の地形が見えますね。もともとの地形ではなく、二つの曲輪を遮断するために設けられた堀切です。そこから池の方向に向かって、いかにも水が集まってきそうな感じがします。日ノ池同様、水は湧き出るだけではなく、周辺の雨水が集まりやすいような構造になっています。
ということで
城内の溜池のご紹介でした。金山城は堅城と称される山城であるとともに、神秘的な雰囲気を醸し出す不思議な城でもありますね。
■訪問:金山城
[群馬県太田市金山町]
お城巡りランキング
-----------(追 記)-----------
金山城の本編はこちらです。良かったら覗いてみて下さい。
■投稿:2020年04月18日
■タイトル:難攻不落 金山城のなごり
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