<馬場下通路>
この光景、自分が攻め手だと思って眺めて下さい。攻めにくいように道幅は狭くなっており、石垣の陰には城兵が潜んでいそうな予感がしますよね。でも何とか突破すれば、城の奥へと進める予感もします。
すべては攻め手の予感。実際には障害物に邪魔され、更に通路が曲がっているので、この位置からでは奥が見通せません。では奥に進んでみますかね。
死角になって見えなかった奥です。通路の左手には堀に架けられた木橋、右手は道なりに進めるように導線が二手に分かれます。どちらを選べば城の奥まで攻め込めるのでしょう?
実は、木橋を渡っても、あちらこちらから攻められやすい造りになっているだけで、それらをかい潜っても行き止まりとなっています。では右側へ進めば良いのか?こちらは竪堀に繋がっていて、上部からただただ城兵の洗礼をあびながら下方向へ進めるだけです。つまり、本丸へ繋がるルートにはなっていないのです。
要するに
攻め手からみればいかにも何かありそうで、実は突破してもなんの成果も得られない道なのです。
兵は詭道なり
(へいはきどうなり)
兵法によれば、戦は所詮は騙し合い。謀り事が多い方が有利という非情の世界です。この通路ひとつとっても、そんな思惑を感じずにはいられません。
<説明板>
厳密にいえば、細い登り口があることはあるのですが、とても城兵に邪魔されながら上がっていける状態ではありません。ここ金山城の場合、こういったことが詳しく説明板に記されています。とても分かりやすいですね。ここに限らず、城跡には如何に守りを有利にするかという思いが込められています。土塁でも堀でも、ちゃんと狙いがあって設けられているわけですね。
金山城は復元により、そういった思惑が見た目にも分かりやすくなっています。ただ、長年風雪にさらされて遺構が分かりにくい城跡でも、構造さえ分かればやはり人の思いは伝わってきます。
どんな思いだったのか
これを感じるのも城跡巡りの面白さのひとつです。今回は、そんなことが共有できれば幸いです。
ということで
金山城の追記として投稿させて頂きました。本編はこちらです。良かったら覗いてみて下さい。
→『金山城のなごり』
■訪問:金山城
[群馬県太田市金山町]
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