土浦城跡探索の帰り
水郷に相応しい城下町のなごりを探索しました。ただの散歩ですが、こだわるところはこだわって。
■川の無い橋■
まず城付近でこんな橋を発見
<お志ろはし>
お城の水堀と繋がっている水路があった。そう思われます。橋だけが残り、水路の姿はありません。いわゆる暗渠(あんきょ)です。ここ土浦は、こういう痕跡がところどころに残されています。
<道路のひび割れ>
歩道だけでなく、車道も同じ方向に向かってひびが入ってますね。道の下の構造が、他の場所とは異なる証拠です。橋との位置関係からして、ひび割れは水の流れる方向と一致。姿は見えませんが、水の通り道が地下に確保されているのが分ります。
■水郷の城下町■
<水堀>
歴史の古い土浦城ですが、城下町の本格的な基盤造りは江戸時代初期です。この地は複数の川の水が霞ヶ浦へ流れ出る低地。水は人の暮らしを豊かにしてくれますが、厄介な存在でもありますね。何の工夫も施さなければ、ただただ水の気紛れに翻弄されてしまいます。ここ土浦では、近世に相応しい城の整備と並行して、水郷に相応しい城下町の整備が地道に行われてきました。そのなごり、現在の街並にも見ることができます。
■川のなごり■
<モール505>
[茨城県土浦市川口] 1丁目
川口ショッピングセンター。細長く巨大な商店街です。長さはなんと505m。
<立体商店街>
初めて見ました。たいへん珍しい構造です。シャッターが閉まっている店がやや多く感じられますが、完成した時はきっと凄い賑わいだったことでしょうね。高校時代とか、通学途中にこんな施設があったら入りびたりそうです。
このユニークなエリア、もともとは川でした。開発の都合で埋め立てられましたが、ゆるやかなカーブがそのなごりを留めています。高架は土浦ニューウェイ。1985年のつくば科学万博に合わせて造られたものです。
また、城跡からこの付近ここまで続いていた道、「亀城通り」といいますが、これも古くは川でした。同じく、開発の都合で埋め立てられました。
■川口川■
姿を消した川の名は川口川。この川は、かつて霞ヶ浦と城下町をつなぐ運路の役割を果たしていました。土浦城の堀とも繋がっていたそうです。水郷の城下町土浦は、この川口川沿いに栄えました。武士の家々や蔵が建ち並び、人の暮らしの中心であったようです。
水の力は凄いですね。いや、大雨ともなれば、たびたび水害にあっていたようですから、水との付き合い方を考えていった人の力、これが凄いですね。
その川口川、今は見ることができません。埋め立てられる背景には、人の暮らしや物流の変化がありました。貢献できなくなると、不便さの方が際立った。そういうことですね。
■暗渠■あんきょ
暗渠について、当ブログでは「地下に埋設された川や水路」と説明しています。冒頭のお志ろはしは、明らかに暗渠に架かる橋ですね。水は人知れず道の下を流れています。
さて、かつてあった川口川ですが、これは何とよんだらいいのやら。川が地下を流れているわけではなく、そのものが埋められてしまっています。構造的に暗渠とは異なりますね。川跡?と呼べば良いのですかね。ちょっと普通すぎますが。
異なるものなのに、私が川口川の川跡に、暗渠と似た感覚を持ってしまうのはどういうことでしょうか。
本来の姿が失われ、忘れ去られる。
このあたりが、情緒的に暗渠と重なるのでしょう。埋もれた城跡に心ひかれるのも、同じ理由なのかもしれません。それがどうして心の琴線に触れるのか、自分でも良くわかりません。
■その他の訪問■
<日本のベネチア>
暗渠マニアで治水に詳しい友人Tがそう言ってました。なるほど〜と納得。といっても、ベネチアというところに行ったことはありませんが・・・。彼が言いたかったのは、水と格闘してきた街ということなんでしょう。
<霞ヶ浦>
いまさらですが、琵琶湖に次いで日本2位の湖。
<水天宮>
日本三大水天宮のひとつです。他は東京と久留米。久留米藩の姫さまが、土浦藩(土屋家)へ嫁入りした際、土浦の地に分霊されたことが始まりとのこと。水の街を湖畔から見守ってくれています。
<揚水ポンプ>
川口川の河口部分で実際に使われていた揚水ポンプ。街なかに展示されていました。昭和51(1976)年に川口川が埋め立てられ、霞ヶ浦の逆流に立ち向かっていた閘門が役割を終えると、この揚水ポンプも不要になりました。
■散策終了■
くりかえしになりますが、繁栄する城下町の中心だった川口川は、都市開発により姿を消しました。しかしその余韻、街歩きで多少は感じることができました。川だった道、川だったショッピングセンター。その延長には霞ヶ浦があります。水の流れが途絶えても、ちょっとした気づきで感じることはできます。
水郷の街
いろいろ勉強になりました。
お城巡りランキング
2017年09月15日
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