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スワンプ・ポップ・ア・ラ・カルト

 少し前に、Thank You Bobbyというコンピレーションの楽しさについて書いたことがありました。
 このコンピは、主にデューク時代のBobby Blandのスタイルを意識して吹き込まれた楽曲を集めたものでした。

 その中で、Margo Whiteという女性シンガーがやったブランドのカバー、I'm Not Ashamedについて、少し触れたのですが、その曲が入っているLPを所有していたことに気が付きました。

 このLPは、75年に発売されたものですが、いつごろ購入したのかは不明です。
 今回、ちょっと楽しくなったのは、このLPが、なんとスワンプ・ポップのコンピレーションだったからです。


South Louisiana Juke Box Hits

Side One
1. Before I Grow Too Old : Tommy Mclain
2. Big Blue Diamonds : Clint West
3. Your Arms Around Me : Charles Mann
4. I'm So Lonesome I Could Cry : Tommy Mclain
5. Lil' Cajun Girl : Gene King
6. Think It Over : Tommy Mclain

Side Two
1. You Got Me Whistlin' : Johnnie Allan
2. When My Heart Hurts No More : Clint Weat
3. Sweet Soul Music : Lil Bob & Lollipops
4. When A Man Loves A Woman : Tommy Mclain
5. I'm Not Ashamed : Margo White
6. Mr. Jeweler : Clint West
 

 発売元は、Jin & Swallow Recordで、いなたいジャケット・デザインが、このアルバムの内容が垢ぬけないものであることを示唆しています。

 内容は、曲目リストをご覧になればお分かりのとおり、Tonmmy MclainClint WestJohnny Allanという、スワンプ・ポップを代表する白人シンガーの録音が中心になっています。

 彼らの吹き込みに共通するのは、哀愁を漂わせるアレンジであること、青臭く(黒っぽくない)、か細い印象を与えるボーカルであることなどです。

 私は、彼らのリーダー・アルバムを持っていて、気に入っていますが、黒人音楽のファンの中には、一顧だにしない方もいるに違いありません。

 白人でも、エディ・ヒントンのように、その素性を知らなければ黒人だと思って疑うことがないほど、黒い雰囲気を醸し出す人も存在します。

 しかし、先にあげた3人は、一聴して明らかに白人だと分かる青さが特徴です。
 ニューオリンズR&Bのカバーなどでは、さほどではありませんが、メンフィス・ソウルのカバーとなると、やはりボーカルの青臭さ、演奏のチープさを感じてしまいます。
 私などは、「精一杯がんばっているなあ…」「危なっかしくて放っておけないなあ…」という印象を受け、愛おしくなってしまうのでした。
 
 このあたりが、同じスワンプ・ポップでも、Cookie & The Cupcakesなどの黒人ボーカル&インスト・グルーブとは違うところです。

 このアルバムの収録曲の中で、私が注目せずにいられないのは、選曲からして愛おしさが溢れる、チャールズ・マンのYour Arms Around Meと、クリント・ウエストのWhen My Heart Hurts No Moreです。
 何というのでしょう。
 私が想起するのは、例えが唐突ですが、あかぎれの手をこすりあわせて、白い息を吐いている、ほっぺの赤い少年を見るような感じです。

 そして、Before I Grow Too Oldと、You Got Me Whistlin'にもまた、大きな魅力を感じます。
 Before I Grow Too Oldは、ファッツ・ドミノ盤はもちろん、オーギー・マイヤース盤も大好きな、お気に入りの曲です。

 You Got Me Whistlin'は、ジョニー・アランのレパートリーの中でも好きな1曲です。

 そして、 Big Blue Diamondsは、このクリント・ウエスト盤が、この曲との初めての出会いでした。
 原曲は、ヒルビリー・ブギのRed Perkins盤(50年)らしく、同年にシンギング・カウボーイのTex Ritter盤も出ているということを、最近知りました。

 テックス・リッター盤のサンプルを試聴しましたが、クリント・ウエスト盤のおもかげは有りません。
 ウエスト盤のお手本は、フタミジュンさんにご教示いただいたとおり、Little Willie John盤(62年)だと思います。

 おそらく、黒人シンガーでこの曲を最初に取り上げたのが、リトル・ウイリー・ジョンだと思います。
 レッド・パーキンスとリトル・ウイリー・ジョンは、同じキング・レコードの所属でした。

 ただ、このアレンジで、最初にヒットを出した白人シンガーは、Gene Summers盤(63年)のようです。

 近年では、ヴァン・モリソンによって、06年にカントリー・アレンジ盤が世に出ていることを、Mr.Pitifulさんのブログ、R 'n' S & B+Cで知りました。

 今、私が気になっているのは、Mr. Jewelerという曲です。
 またまた、私の中の原曲探しの衝動が、むくむくと大きくなりつつあるのでした。


こちらは、クリント・ウエストのBig Blue Diamonds(65年)です。




こちらは、リトル・ウイリー・ジョン盤(62年)です。



こちらは、ジーン・サマーズ盤(63年)です。



そして、こちらがヴァン・モリスンのパフォーマンスてす。




 関連記事はこちら サンキュー、ボビー
             生鮮 ! 懐メロジュークボックス

カーリーン・カーター、消されたブレイク・イン

 今回は、パブ・ロック・ファンには、ベタなアルバムを選んでしまいました。
 「いまさら、カーリーン・カーターのミュージカル・シェイプスかよ」という声が聴こえてきそうです。
 でも、私はこのアルバムのCDについて不満があり、いつか誰かにぶちまけたい、と思っていたのでした。


Musical Shapes
Carlene Carter

Side One
1. Cry
2. Madness
3. Baby Ride Easy
4. Bandit Love
5. I'm So Cool
6. Apalachian Eyes

Side two
1. Ring Of Fire
2. Too Bad About Sandy
3. Foggy Mountain Top
4. To Drunk (Too Remember)
5. Too Proud
 

 このアルバムは、皆さんご承知のとおり、もう一枚のRockpileのアルバムとでも言うべきものです。

 整理しましょう。
 ロックパイル名義で出されたアルバムは、80年のSeconds Of Pleasureのみです。

 しかし、私は、デイヴ・エドマンズ、ニック・ロウ、ビリー・ブレムナー、テリー・ウイリアムスによるアンサンブルをもって、事実上ロックパイルであると定義したいのです。
 賛同いただける方は、多いのではないかと考えます。

 その意味においては、ロックパイルのアルバムは、次の7枚であると、私は強弁します。

・Tracks On Wax 4 (78) : Dave Edmunds
・Jesus Of Cool (78) : Nick Lowe
・Repeat When Necesary (79) : Dave Edmunds
・Labour Of Lust (79) : Nick Lowe
・Seconds Of Pleasure (80) : Rockpile
・Musical Shapes (80) : Carlene Carter
・Twangin (81) : Dave Edmunds


 あるいは、これにMickey JuppJuppanese(78)を加えるという考え方もあります。
 でも、Juppaneseは、片面のみですから、加えるとしても追補という位置づけですね。

 ミッキー・ジャップといえば、79年のLong Distance Romancer は、Nick Loweが取り上げたジャップのナンバー、スイッチボード・スーザンの歌詞に出てくるフレーズですね。
 私は、持っていないのですが、その意味で一度聴いてみたいです。

 さて、最初に記述した、「CDに不満がある」という意味ですが、ここで対象とするのは、91年にDemonからリリースされた、Musical Shapes(80)とBlue Nun(81)の2イン1のCDです。

 このCDの冒頭に、Cryという曲が入っています。
 問題にしたいのは、この曲のエンディングです。
 テリー・ウイリアムスのドラムが、たたみ掛けるように、前のめりに突っ込んでくる感じが耳に残ります。 

 LP盤では、カーリーンのボーカルが「Cry Baby Cry Baby, Cry Cry Cry…」と終わり、2秒ほど無音となッた後、カーリーンが「Cry, Cry !」とフィニッシュ・フレーズを決め、間髪をいれずに、次の曲、Madnessのイントロのギターのストロークが切り込んできます。
 この部分の編集が、実にカッコよくて、私には非常に印象に残り、大好きです。

 しかし、Demon盤CDでは、LP盤の2秒のブレイクのところで、完全に終わる編集に変更されているのです。
 カーリーンの最後の決めフレーズ「Cry, Cry !」は、このCDでは聴く事が出来ません。

 これは、単に好みの問題かも知れませんし、CD化の際に確たる方針を持って、新たに編集し直されたのかも知れません。 
 しかし、私はLP盤のテイクが好きです。

 05年リリースの米Wounded Bird盤(Two Sides to Every Woman(79)とMusical Shapes(80)の2イン1)では、この部分はどうなっているんでしょうか?
 いつもながら、些細なことが気になる私なのでした。




カーター・ファミリーのカバーを歌うデイヴとカーリーンです。



こちらは、おまけです。アルバート・リー先生の勇姿も見られます。



嵐の時代にケ・セラ・セラ

 9日は、少し時間があったので、スピーカーの背後に隠れていた、レコード棚の最下段のガラス扉を、何年振りかで開けてみました。

 いくつか手にとって、しげしげと眺めたレコードが何枚かあったのですが、中でも、あまりにも懐かしい1枚が出てきましたので、今回はそれを聴きます。


Liverpool 1963-1968

Side one
1. Ferry Cross The Mersey :  Gerry And Pacemakers
2. Abyssinian Seacret :  Cilla Black
3. Sanday :  The Swinging Blue Jeans
4. Everything In The Garden :  The Fourmost
5. Break-A-Way :  Beryl Marsden
6. Que Sera Sera :  Earl Royce & The Olympics
7. America :  Rory Storm & Hurricaines
8. I Gotta Woman :  The Black Knights
9. I Love Her :  The Kubas
10. Why Don't You Love Me :  The Blackwells

Side Two
1. Skinnie Lizzie :  Gerry And Pacemakers
2. One Way Ticket :  Casey Jones And The Engineers
3. It's Too Late Now : The Swinging Blue Jeans
4. Angel Of Love : The Black Knights
5. I Really Do : Earl Royce & The Olympics
6. Magic Potion : The Kubas
7. For No One : Cilla Black
8. The First Cut Is Deepest : The Koobas
9. Don't You Do It No More : Billy J. Kramer And The Dakotas
10. How I Won The war : Musketter Gripweed And The Third Troop


 このアルバムは、83年に、女の子が額に手をかざして遠くを見つめるロゴマークも懐かしい、See For Milesが製作して、英チャーリがー配給(?)した、60sブリティッシュ・ビート・バンドのコンピレーションです。

 中身は、20曲入りですが、そのうちA3,5,7とB2,3,8を除く全ての曲が、ジョージ・マーティン製作で、ほとんど「ジョージ・マーティン・ワークス」とでも呼びたい内容になっています。

 このうちの数バンドは、ブライアン・エプスタインがマネージメントしていたアーティストだと思います。
 シラ・ブラックとか、フオーモスト、ビリー・J・クレイマー&ダコタスなんかは、確かそうですよね。

 音源としては、63年から68年までのものをコンパイルしていますが、この6年間というのは、嵐のような騒ぎだったに違いないです。
 英ビート・バンド時代の栄枯盛衰を記録した1枚と言えるかも知れません。

 ほとんどが、絶頂期、または爆発直前の時期のものが多いと思われますが、B面の最後あたりになると、さすがに時代の移り変わりを感じます。

 B8に入っているKoobasというバンドは、全く知りませんが、やっているThe First Cut Is Deepestは、ロッド・スチュワート盤で有名な、キャット・スティーヴンスの名曲です。
 今日のビリが、明日のトップになるかも知れない時代が、すぐそこまで迫っていたのでした。

 全体的に、ビート・バンド時代の爆発直前から最盛期のバンドの演奏は、時代の勢いを感じます。
 中でも、私が初めて聴いたときから気に入って、注目しているのが、アール・ロイス&オリンピックスのQue Sera Seraと、ロリー・ストーム&ハリケーンズのAmericaです。

 ロリー・ストーム&ハリケーンズは、ビートルズ加入前に、リンゴ・スターがドラムを叩いていたバンドとして有名ですね。
 このAmericaという曲は、ウエスト・サイド・ストーリーの挿入歌です。 

 しかし、私の一押しは、何と言っても、アール・ロイス&オリンピックスのQue Sera Seraです。
 このツイスト・アンド・シャウトのパターンを借りたような、リズム・アレンジがたまりません。
 久しぶりに聴いて、大興奮しました。

 しかも、好きものは、世界のどこかにひっそりといるようで、YouTubeにアップしている人がいました。
 ありがとう。
 ギークな趣味のあなたが好きです。

 ところで、Gerry And PacemakersGerryのファミリー・ネームは、 Marsdenじゃなかったですか?
 そして、Break-A-Wayを歌っている、Beryl Marsdenは、彼の妹だったのでは? 
 
 Break-A-Wayは、本人のジャッキー・デ・シャノン盤も、アーマ・トーマス盤も、私は大好きです。


こちらは、ケ・セラ・セラです。



そして、こちらが、アメリカです。



バルデマール・ウエルタ、サン・ベニート生まれ

 今回のアルバムは、万人向けではありません。
 まず「ラテンでもOKです。」と言う方、そして若干珍品の匂いがしますので、そのあたりも含めてお聴きください。

 このアルバムは、もう随分と以前に購入して、1,2回聴いただけで放置していたものですが、なぜかここ数日、その存在を思い出して、久しぶりに聴きたくなり、探していたものです。

 多分、未CD化だと思いますし、今後もビニールの遺産として消えていく運命ではないか、と推測しています。



Aqui Estoy Yo
Freddy Fender

Side One
1. El Cofre
2. Nunca
3. Porqoe Encontre
4. Amor, No Fumes La Cama
5. Dejame Ensenar

Side Two
1. Bote De Vela
2. Escarcha
3. Adios Jamaica
4. Ahora Vuelves
5. Aqou Estoy Yo
 

 このアルバムは、87年にCBSからリリースされた、Freddy Fenderの全編スペイン語による作品です。
 フレディには、色々とどさくさっぽいベスト盤のたぐいが「出されては消え」していますが、これはちゃんとしたオリジナル・アルバムです。

 70年代の全盛期のABC盤は、まともな再発がないので、ぜひオリジナル・ジャケットでCD化してほしいです。 
 できれば、オリジナルにボートラ追加のスタイルか、オリジナル・アルバムの2イン1かどちらかの形態を希望します。

 ごく簡単に言います。
 このアルバムは、イーグルスの有名曲をスペイン語でカバーした曲を2曲含んだ内容になっています。
 とりあえず、そのことのみからでも興味を持って聴いて下さい。
そこから、フレディ・フェンダーの世界へと足を踏み入れてほしいです。

 該当の曲は、A面5曲目が、Hotel Californiaで、そして、B面4曲目が、New Kid In Townです。

 歌詞は、フレディ自身がスペイン語詞をつけています。
 アンプラグドで演奏され、1曲の長さも短いため、あっと言う間に両面が終了します。

 話のタネとして、聴いてみるのも決して無駄ではないと思います。






テキサス・アップセッターズ、お得感満点

 今回は、アルバムの選定に迷いました。
 なぜなら、少し前から探していたLPを見つけたからです。
 しかし、前日の流れから、やはり今夜はこれだろう、と決めたのがこの1枚です。


Full Gain
Grady Gaines & Texas Upsetters

1. Mr. Blues In The Sky  : vo.Roy Gaines
2. I've Been Out There  : vo.Grady Gaines
3. If I Don't Get Involved (I Can't Get Hurt)  : vo.Joe Medwick
4. Full Gain [Instrumental]
5. Shaggy Dog Listen  : Teddy Raynolds
6. Soul Twist [Instrumental]
7. If I Loved You A Little Less  : vo.Big Robert Smith
8. Your Girlfriend  : vo.Joe Medwick
9. Stealing Love  : vo.Roy Gaines
10. There Is Something On Your Mind [Instrumental]
11. Gangster Of The Blues  : vo.Roy Gaines
12. Miss Lucy Brown  : vo.Teddy Raynolds


 このアルバムは、88年にブラック・トップからリリースされたもので、アルバム・タイトルも、ジャケット写真も、そしてもちろん中身の演奏も、全てが私好みです。

 インストが3曲も収録されていますが、バンドの演奏が最高なので、曲によっては歌ものよりも心躍る楽曲だったりします。

 このアルバムは、RoyGradyGaines兄弟に、Cralence Hollimanを加え、最高のアンサンブルを聴かせてくれる、ジャンプ、リズム・アンド・ブルース・アルバムです。

 ゲストで3人のボーカリストが参加していますが、メインは、Joe medwickでしょう。
 メドウィックは、ボビー・ブランド・スタイルの重厚なボーカリストで、 If I Don't Get Involved (I Can't Get Hurt)などでは、ブランドのブルー・バラードを連想させる歌唱を聴かせてくれます。

 Teddy Raynoldsは、ブルース系のボーカリストに思えますが、実は、デューク時代から、ジョー・スコット楽団でピアノの弾いていた人で、ボビー・ブランドの録音では、ロイ・ゲインズやクラレンス・ハラマンと一緒にセッションした、昔馴染みなのでした。

 Big Robert Smithさんは、私は知らない人です。

 そして、インストでは、アップ・テンポのFull Gainが抜群の乗りで、途中から切り込んでくるギターも素晴らしいです。

 クレジットによれば、左チャンネルのギターがロイ・ゲインズで、右チャンネルのギターがクラレンス・ハラマンだそうです。

 ただ、ヘッドホンで聴けば分かるんでしょうが、こたつから1歩も出たくない私には、チャンネルの聴き分けは困難です。
 耳に飛び込んでくるギター・ソロが、どちらのプレイなのか興味がありますが、私をこたつから引っ張りだすまでには足りないのでした。

 それに、推測できるトラックもあります。
 ロイのボーカルのバックで弾きまくっているのは、クラレンスでしょう。
 それとも、いまどきは、この手のバンドでも、バックのオケを完成させてから、それに合わせて、ボーカルを何テイクも録り直したりするんでしょうか?

 さて、私には疑問があります。
 それは、クラレンス・ハラマンの名前の表記に関することです。
 カタカナ表記は、この際棚上げにします。

 ここで、私が知りたいのは、Cralence Hollimanなのか、Cralence Hollomanなのか、ということです。
 この疑問の真相や経緯は、既にブルース・ファンの間では周知のことかもしれませんが、私は知りません。
 
 デューク時代のボビー・ブランドのバックでギターを弾いていたのは、Cralence Hollomanという人でした。
 ブランドの伴奏での初期の代表曲は、I Smell Troubleや、I'm Not Ashamedです。
 そしてダグ・サーム・ファンとしては、I Don't Believeの名前もあげておきたいです。

 ちなみに、同じくロイ・ゲインズが弾いた初期の代表曲は、It's My Life Babyですね。
 この曲は、ボビー・ボランドがスタイルを確立した重要曲だと思います。
 このあたりの一連の曲は、ジョニー・ウインターのカバーが懐かしいです。

 そうでした、ハラマン問題です。
 ブラック・トップのアルバムでは、ファミリー・ネームの表記が、Hollimanとなっています。
 カタカナ表記のハラマンというのも、Hollomanを念頭においた表記だと思うのですが、いかがでしょうか?

 さて、このアルバムで私が好きな曲は、ロイがボーカルを取る3曲が全て好きですが、他では、グラディがボーカルを取るファンキーなI've Been Out There、最高にドライヴするインスト・ナンバー、Full Gainが、特にお気に入りです。 



ソウル・レビュー風の最高にごきげんなバンドてす。




 これは、アップセッターズが伴奏した、ビッグ・ウォルター・プライスのPack Fair & Squareです。
 J.ガイルズ・バンド盤では気づきませんでしたが、 ジョー・ターナーのFlip Flop And Flyにそっくりですね。



アップセッターズ、心をかき乱されて

 よくあることなのですが、特定のレコードを探している時、全く見つからなくて、イライラし始めたころ、別の気になるレコードがひょっこり現れて、結局当初の目的を脇に置いて、その気になるレコードを夢中になって聴きだしてしまった、ということがあります。

 今回も、何年ぶりかで聴いた、このレコードがたまらなく今の気分にはまって、聴き惚れてしまいました。
 アナログ・レコード・プレイヤーを何年ぶりかで買ってから、私の音楽ライフは、とても豊かなものになったと思います。

 ただ、LP盤の数は、CDに比べれば大した量ではないんですが、ほとんど規則性なしに収納してしまっているので困ったものです。
 (目測で、2000枚以下、多分1600から1700枚くらいだと思います。)


The New Orleans Connection
The Upsetters

Side One
1. Hatti Malatti : Lee Diamond And The Upsetters
2. The Strip : The Upsetters
3. A Girl In Every City : Lee Diamond
4. Wake Up : The Upsetters
5. Baldhead Baby : Lee Diamond
6. Upsetter : The Upsetters
7. Mama Loochie : Lee Diamond
8. Upsetter Rock : The Upsetters

Side Two
1. Pigtails And Blue Jeans : Leonard Carbo
2. So Tired : Leonard Carbo
3. I'm Pleading Just For You : Larry Birdsong
4. If You Don't Want Me No More : Larry Birdsong
5. Time : Larry Birdsong
6. My Darling : Larry Birdsong
7. Baby, Baby : Leonard Carbo
8. I Don't Want Lose Her : Leonard Carbo


 やはり、50年代のリズム・アンド・ブルースは、コーヒーに例えるなら、芳醇な香りに溢れています。
 そのサウンド、空気感に触れているだけで、幸せな気分になれます。

 ひとときではありますが、俗世間のくだらないことを忘れさせ、私をリラックスさせてくれる、魔法の処方箋なのでした。

 このアルバムは、英チャーリーが84年にリリースしたもので、レイ・トッピング先生がコンパイルしたものです。

 内容は、シカゴのレーベル、ヴィー・ジェイが、57年から59年にかけて、ニューオリンズへ、タレント探しに出張して、コシモ・マタッサのスタジオで録音したもののようです。

 アップセッターズは、リトル・リチャードのツアー・バンドをやっていたことで一部で有名(?)なバンドで、テナー・サックスのGraddy Gainesを中心とした、サックス3本、ビアノ、ギター、ベース、ドラムスからなる7人編成のチームです。

 ちなみに、グラディ・ゲインズは、ボビー・ブランドの初期のデューク録音でギターを弾いた、Roy Gainesの兄弟です。(兄なのか弟なのか分からないのが英語の困るところですね。)

 80年代後半には、兄弟で組んで、ブラック・トップで新録アルバムを出しています。

 アップセッターズは、キャリアをヒューストンでスタートさせていて、ゲイトマウス・ブラウンのバックなども経験し、ビッグ・ウォルター・プライスの55年のピーコック録音、Pack Fair And Square(J.ガイルズ・バンドを思い出します。)で、バックを担当したようです。

 そういったバックボーンもあるのでしょうか?
 ボーカリストのバックを務めた演奏が、ニューオリンズR&B臭たっぷりなのに対して、アップセッターズ名義で出されたインスト・ナンバーは、ヒューストン・ジャンプというか、テキサスを感じさせる演奏に、私には聴こえます。

 
 とりわけ、それはA面に顕著で、リー・ダイアモンド名義の曲でもアップ・テンポの曲は、ニューオリンズ、というか、リトル・リチャーズ風を連想させます。
 リーの歌い方や声質がリトル・リチャードに似ており、意識しているのか、影響を受けたのか、それ風に歌ったりしています。

 対して、アップセッターズ名義の曲では、The Stripなどのサックス・リフ中心の曲は、ニューオリンズ風ですが、アグレッシブなギターをフューチャーした曲では、テキサスを感じます。
 ギターは、ナサニエル・ダグラスという人で、よく知らない人ですが、カッコいいプレイです。

 イビキのSEで始まる、Wake Upでは、ゲイトマウスとか、ピーウィーを思わせる、ニワトリの鳴き声風のせわしないフレーズを聴かせてくれます。
 サックスとギターが、せっかちにブリブリ、パキパキとリフを繰り返す、Upsetterというインストもカッコいいです。

 一方、B面は、レオナード・カーボと、ラリー・バードソングというボーカリスト名義の作品が収録されていて、はっきりと歌い手の個性による違いが感じられます。

 レオナード・カーボは、ヘイワード・カーボの兄弟だそうで、それって誰と思われるでしょうが、ヘイワードはチャック・カーボのことです。
 レオナードにも、チックという二つ名があって、レオナード・"チック"・カーボというそうです。

 チャック・カーボは、スパイダースという、ニューオリンズの有名なドゥ・ワップ・グループのボーカル出身で、のちにソロになったと思いますが、ソロの音楽は、よく知りません。
 ドゥ・ワップは、北部の都会のストリートを中心に発達した音楽でしたので、南部でナショナル・ヒットを出して成功したグループは希少です。

 レオナード・カーボ名義のPigtails And Blue Jeansには、エドガー・ブランチャードによる、ボ・デイドリー・スタイルのギターがフューチャーされています。
 エドガー・ブランチャードは、スワンプ・ポップ系のコンピなどで聴いていた人ですので、懐かしい名前を久しぶりに見て、嬉しいです。

 ラリー・バードソングは、なかなか個性的なボーカリストで、エクセロなど、ナッシュビルのレーベルに録音が有る人です。
 ろうろうとした歌い方に特徴があって、いいボーカリストだと思いますが、60年代のアーリー・ソウルの時代になっても、古いスタイルしか出来なかった人で、割り切って聴けば、私はいい歌手だと思います。

 私の趣味では、断然A面が好みです。

 このように、時折り予期しない良いアルバムを再発見したりするので、LP棚をごそごそするのも楽しいです。

 そうして見つけたアルバムは、大抵ほとんど内容を忘れているものばかりです。
 これは、幸せなことだと思います。


こちらは、リー・ダイアモンドのHatti Malattiです。



 
こちらは、ニワトリ・ギターが聴ける、Wake Upです。



ハーモン・ヒットソン、君は手に負えない

 昔、LP時代のことです。
 Soul Deepというアルバムがありました。

 アトランティックを中心に、当時のワーナー傘下のレーベルのサザン・ソウルの名曲を集めたコンピレーションでしたが、主にフル・アルバムが出そうにない人たちばかりを集めていたのが、とても貴重でした。

 探すのが面倒なので、記憶で書いているんですが、そのVOL.2(?)に気になる曲(歌手)が3曲ありました。

 まずはレン・ウェイド、CD時代になって再び聴くこともないかと思っていましたが、この人は、英KentのDial Records Southern Soul Storyで再会することが出来ました。 

 さらにゴージャス・ジョージ、この人は、スタックスのコンプリート・シングルズ・ボックスで聴けました。

 そして、最後に今回の主人公、ハーモン・ヒットソンです。


You Are Too Much for the Human Heart
Hermon Hitson

1. You Are Too Much for the Human Heart [Unsweetened Version]
2. I Got That Will
3. Show Me Some Sign
4. Yes You Did
5. Bad Girl
6. Don't Take Your Love
7. Georgia Grind
8. Why Is It Taking So Long
9. Walkin' in the Park
10. Where Can I Find My Baby
11. You Can't Keep a Good Man Down
12. Ain't No Other Way
13. Please
14. Tired of Tryin' (To Make You Love Me)
15. Love Slipped Through My Fingeres
16. Been So Long
17. Sweeter
18. Ayanna
19. Dream I Had (I Love Her)
20. They Kept on Laughin'
21. You Are Too Much for the Human Heart


  タイトル曲の、You Are Too Much for the Human Heartで聴けるダーティーな歌声、そのデフォルメされたような歌い方は、まるでサザン・ソウルのパロディであるかのようです。

 歌手としての実力は、さほどではないかもしれませんが、この曲でのパフォーマンスは、正にヒットソン一世一代の名演といっていいでしょう。(別テイクも凄いです!!)

 このアルバムは、未発表曲もたくさん収録した、おそらくは二度と出ないに違いない決定盤です。
 ジャケットのセンスのないつくりも、いかにも手作り感たっぷりで愛おしいほどです。

 既に入手困難になっていると思いますが、仮に大型ショップに残っていたりしたら、まずワゴン・セールなどで、投げ売りされているに違いありません。
 (まあ、大型ショツプは、仕入れたりしていないでしょうが…。)

 ごくごく一部の人向けの超貴重盤です。
 もし安価で見つけたら、胸の動悸を押さえながら、何食わぬ顔でレジへと直行しましょう。


このダーティーな歌声は耳について離れません。




 追記
 …実は、ここまでのつもりでした。
 後は、いつものように、YouTubeを検索して、ほかにも適当な動画があれば貼り付けて終了です。
 ところが、動画を見つけて驚きました。

 ごく一部の好きものの記憶だけに存在する人だと思っていたのですが、なんと、この人は、現役のようです。
 ライヴの動画が、何本かアップされていたのです。
 新しいもでは、09年のものも見つけました。
 しかも、それは、私のイメージを大きく覆すものでした。

 驚いたことに、この人は、単なるローカル・サザン・ソウル・シンガーではなく、自らリード・ギターを弾いて歌う、例えばリトル・ミルトンのような、ブルーズン・ソウル・シンガーのようなのでした。
 そういえば、ジャケットで、ギターを構えています。

 自らの曲だけでなく、ジミ・ヘンのRed Houseや、JBのナンバーなんかも得意としているようで、まったく驚きです。

 うーん、思いこみで聴きっぱなしにしていたら、すごい衝撃を受けることになりました。
 もちろん、嬉しい衝撃です。
 久しぶりに関心が蘇ったので、少し追っかけてみたいな、などと思う深夜なのでした。


 
 こちらはスライドですが、JBを連想させるMCのコールで登場する様子が記録さています。

 


代表曲を演奏するライヴ映像です。




 

ケイティ・ザ・フィーメル・ジュークボックス

 ワンス・アポン・ア・タイム…、LP時代のことです。
 私は、ワニのマークのレコードを、わりと買っていた時期がありました。

 たとえば、白人では、デルバート・マクリントンのライヴ盤、ジョニー・ウインター、黒人では、アルバート・コリンズ、ジェイムズ・コットン、ロニー・ブルックスなど、ブルース関連のアルバムをよく買っていました。(ハウンドドッグ・テイラーは、CD時代になってから買いました。)
 アリゲーター・レコードです。

 そして、女性黒人シンガーでは、88年リリースの、このアルバムがお気に入りでした。


The Swamp Boogie Queen
Katie Webster

Side A
1. Who's Making Love / Banks、Jackson、Crutcher、David
2. Sea Of Love / Batise、Khoury
3. Black Satin / Webster
4. After You Get Rid Of Me / Webster
5. Fa-Fa-Fa-Fa-Fa(Sad Song) / Redding、Cropper

Side B
1. Try A Little Tenderness / Connelly、Woods、Cambell、Robbins
2. Hold On To What You Got / Tex
3. Somebody's On Your Case / Randle
4. On The Run / Webster
5. Lord、I Wonder / Webster
 
 
 Katie Wbsterは、60年代から、エクセロやゴールドバンドなどで録音していた人で、ブルース、リズム・アンド・ブルースからソウルまで、そして、ブギからバラードまで、なんでも歌える人間ジュークボックス的なシンガーでした。

 ピアノとギターの違いこそありますが、女性版スヌークス・イーグリンとでも言うべき存在です。
 あるいは、スヌークスのほうを、男性版ケイティ・ウェブスターと呼ぶべきかも知れません。

 なにしろ、引き出しが多く、ふところの深いシンガーです。
 ニューオリンズR&Bからスワンプ・ポップ、ブルース、メンフィス・ソウル、ゴスペルまで何でもありです。

 しかし、このアルバムでは、メンフィス・ホーンズをバックに迎え、ソウルの要素が強めになっています。

 ジョニー・テイラーのファンキーなWho's Making Loveでは、当時話題の人だった、ロバート・クレイがゲストで、かっここいギター・ソロを弾いているほか、キム・ウイルソンがボーカルで参加しています。

 そして、次のSea Of Loveでは、一転、フィル・フィリップスのワン・ヒット・ワンダーで、聴きてをドリーミーなスワンプ・ポップの世界へといざなってくれます。
 また、ビアノ・インストでのタッチは、力強くロールします。

 オーティスを2曲、ジョー・テックスを1曲やっていますが、このアルバムのハイライトは、オーティスのTry A Little Tendernessと、ジョー・テックスのHold On To What You Gotでしょう。

 Try A Little Tendernessは、オーティスが乗り移ったかのような、雰囲気満点のカバーです。
 メンフィス・ホーンズが、さすがのプレイを聴かせていて、心が洗われる気持ちなる名唱です。

 そして、Hold On To What You Gotもまた、優しさと力強さがあいまったエモーショナルな歌いくちで、プリーチの箇所も切々とした語り口が素晴らしいです。

 また、ボニー・レイットが2曲でゲスト参加していて、Somebody's On Your Caseでは、デュエットしているほか、On The Runでは、レイットが得意のスライドを聴かせます。

 ラストのLord、I Wonderは、タイトルからゴスペルかと思いきや、ブルースの偉人たちの名前を次々と唱えていくブギになっています。

 さて、実は、あえてコメントを最後に回した曲があります。
 私と趣味が近い方なら、聴くと「あれっ」と思う曲があるのです。

 それは、自作となっている、After You Get Rid Of Meなんですが、これは、まんまチャーリー・リッチのWho Will The Next Fool Beではないですか?

 ブルージーな主旋律から、ピアノのイントロも、特徴的なブレイクも、そしてなんと、Who Will The Next Fool Beという、そのままの歌詞まで出てくるではありませんか?
 
 ケイティ盤の出だしはこうです。
 After You…(ここでためます) Get Rid Of Me 
 Tell Me Who Will (Your) Next Fool Be ? …こう聴こえます。
 I Know, I Know, I Know, I Love To Be The One …こう聴こえます。
 I Love So Be The One
 To Tell That Other Woman So (Yeah) 

 'Cause After All is Said And Done
 (Wow) You Won't Be Satisfied, No, No No Anyone But Me 
 So After You Get Rid Of Me (You… Better Tell Me Baby…早口でアドリブ言ってます。)
 Who Will The Next Fool Be ?

 そして、チャーリー・リッチはこうです。(Sunのバージョンを聴きました。)
 After You Get Rid Of Me
 Who Will The Next Fool Be ?
 I Know, I Know, I Know, I Know
 There's Things I Gotta Know 'Bout The Girl That I Love So

 And After All is Said And Done
 You Won’t Be Satisfied With Anyone
 So After You Get Rid Of Me
 Who Will The Next Fool Be ? 

 うーん、ここまでやると、いっそ見事というべきでしょう。
 (ただし、リッチ盤の歌詞は、録音時期によって、微妙に違うようです。SUNとHI以外にも録音ががあるようで、以前、リッチの記事に貼りつけた動画は、SUNでもHIでもないようです。)

 私のおすすめは、クレイのギターがかっこいいWho's Making Love、胸に迫る2曲のサザン・ソウル・バラード、Try A Little TendernessHold On To What You Got、そして、このアルバムをお持ちの、すべてのチャーリー・リッチ・ファンに、ぜひとも再度聴き返してほしい、 After You Get Rid Of Meです。


こちらは、Hold On What You Gotです。



そして、こちらが問題のAfter You Get Rid Of Meです。



 
こちらは、チャーリー・リッチのWho Will The Next Fool Beのサン録音です。
 ハイ録音は、ベースのイントロで始まり、女性コーラスが入っています。

 


 追記 : ケイティは、ダク・サームと同じく99年に天に召されました。

 チャーリー・リッチの関連記事はこちら  チャーリー・リッチのこの1枚

オーギー・マイヤースさん、気をつけて

 近々、Augie Meyersの新譜が出ます。
 健康不安が心配だったオーギーですが、元気に新作をリリースするようで、嬉しいです。
 そこで、今回は、おさらいの意味で最近作を聴き返してみました。
 09年発売のこのアルバムです。


Country
Augie Meyers

1. Sometimes *
2. I Can't Believe My Eyes
3. Hey Sarita
4. I'd Be Ashamed
5. The Pain Of Her Leaving
6. I Cried My Last Cry
7. She's Not You
8. Good Chance For Romance
9. Walkin The Back Streets
10. Just Another Day
11. Just Can't Let Myself
12. Here I Go Again
13. Going Back To Tijuana *


 今回、私はこのアルバムを、いかにおざなりに聴いていたか、ということを思い知らされました。
 収録曲は、トラック1と13以外は、全てオーギー・マイヤースが書いた曲です。
 そのようにインナーに記載されています。

 ただ、そのことは推測によるものです。
 なぜなら、クレジットは、このように記載されているのみだからです。
 All Songs Written By Augie Meyers (Except Where Noted)

 つまり、特記のない曲以外は、全てオーギー作であるということです。
 ところが、曲名欄にあるのは、アスタリスク・マークのみなのです。
 このことで、トラック1と13がオーギー作ではないと分かるだけなのです。

 作者名も、楽曲出版社名も一切記載されていません。
 これは、ちょっとどうかと思います。

 実は、セッション・メンバーのバック・コーラスのクレジットのあとに、Gene Thomasの名前が記されてます。
 しかも、そのまま謝辞のような文章が続きます。
 「ジーン・トーマス、あたながどこにいようとも、つねにあなたは私のヒーローです。」
 まるで、故人や遠くへ去った人に対するコメントのようにも思えますが、私の誤訳かも知れません。
 ちなみに、原文は、Gene Thomas : Wherever You Are, Your Still My Hero です。
 Your Stillの箇所がどうも変に思えて、かってに、You're Stillで訳しています。

 そうでした、言いたいことは別にありました。
 このように、謝辞まで載せていながら、1曲目の作者がジーン・トーマスであることを記載していないのです。
 どうなっているんでしょう?

 ジーン・トーマスは、Doug Sahmも、Freddy Fenderもリスペクトしている、テキサスのシンガー、ソング・ライターです。
  
 実は、私はこのSometimesが、ジーン・トーマスの曲とは同名異曲だと思っていました。
 今回、じっくり聴いてみて、初めて歌詞が同じだということに気付きました。

Sometimes I cry when I'm lonely
Sometimes I cry when I'm blue
Right now I'm cryin' 'cause I love you
I`m cryin' 'cause you don't love me too


 私は、英語の歌詞を言葉ではなく、単にメロディにのった音として捉えていたのでした。
 というのも、この曲は、さらっと聴くと全く別の曲に聴こえます。
これは、メロディをフェイクしているというのか、リズムを変えているというべきかも知れません。

 原曲は、哀愁の三連系のバラードです。
 しかし、ここでのオーギー盤は、ツツチャチャ、ツツチャチャという、ミディアム・テンポの8ビートにアレンジされているのでした。
 いつものオルガン・サウンドに和んでしまう、明るいアレンジです。

 正しい例と言えないかも知れませんが、イメージしていただくために、サム・クックのテネシー・ワルツを思い浮かべて下さい。
 ブンチャンチャンのワルツをエイト・ビートでやった、あの曲です。
 まあ、あれ以上に別の曲に聴こえるとご理解ください。

 このアルバムは、オーギー・マイヤースのアルバムとして、平均以上の出来だと思います。
 しかし、このクレジットの不備は、やはりよくないですし、アルバム・タイトルが、シンプルにカントリーとなっているのもよく分かりません。

 自作曲は、改めてカントリーと謳うほどのことはない、いつものオーギーの曲です。
 ただ、全曲にスチール・ギターとフィドルが参加しているので、カントリー風サウンドと言えなくもないです。
 あるいは、ツーステップというか、ポルカをやっていないので、ラテン系のファンに対して、それを伝えるタイトルだったのかも知れません。
 そういえば、アコーディオンを弾いていません!

 というわけで、13曲目、Going Back To Tijuanaの作者は不明です。
 どなたかご存知の方がいらしたら、ご教示ください。
 
 録音メンバーには、ドラムで、息子のクレイ・マイヤースが、ベースでジャック・バーバーが参加していて、いつもながらアットホームな雰囲気の仕上がりです。
 ギターは、Joe Forliniと、トラック13のみ、Chris Holzhausという人が参加しています。
  
 色々と気になることはありますが、演奏内容は、とてもいいアルバムだ思います。






Chris HolzhausAugieが共演している動画です。




 関連記事はこちら  ジーン・トーマスを探して

オール・アメリカン・ハイウェイ・ソング

 しりとりじゃないんですが、前回のCharles Brownつながりで、今夜はこのアルバムを選びました。

 ルート66という有名な曲があります。
 もともとは、ジャズ・ピアニストのボビー・トループが書いた曲で、ナット・コールがヒットさせたことで世界的に有名になりました。
 ほかにも、ビング・クロスビーを始め多くの人がやっているスタンダードですが、チャールズ・ブラウンもやっています。

 今回のアルバムは、ルート66をテーマにした曲を集めたアルバムで、Asleep At The Wheelのドラマー、デイヴ・サンガーが製作編さんしているものです。


Songs of Route 66
All-American Highway

1. Theme from Route 66 / Route66 Orchestra
2. Route 66 / Bobby Troup
3. The Mother Road / Alan Rhody
4. What's Left of 66 / Jason Eklund
5. Willy Rogers Highway / Kevin Welch
6. The Long Red Line / Mary Cutrufello
7. Used to Be / The Red Dirt Rangers
8. 2200 Miles / The Mad Cat Trio Featurling Cindy Cashdoller
9. Don't Haul Bricks on 66 / The Dusty Chaps
10. Route 66 Revisited / Jimmy Lafave
11. Route 66 / Charles Brown


 でも、私たちにとっては、やっぱりストーンズですよね。
 ストーンズの記念すべき1stアルバムに入っていたのが、ルート66でした。
 これは、もちろんチャック・ベリーのバージョンをカバーしたもので、以降、様々なバンドのお手本になりました。

 シカゴからLAへ
 ミズーリ州セントルイス、ジョプリン、とてもかわいい(Mighty Pretty)オクラホマ・シティ、アマリロ(テキサス州)、ニューメキシコ州ギャラップ、アリゾナ州フラッグスタッフ、忘れちゃいけないウイノナ(ミネソタ州)、キングマン(アリゾナ州)、バーストウ、サン・バーナーディノ(カリフォルニア州)まで…。

 ルート66の歌詞に出てくる町の名前です。
 かっこ書きの中の州名は、私が付け加えたもので、歌詞にはありません。
 ジョプリンとか、ギャラップ、フラッグスタッフ、ウイノナ、キングマン、バーストウ、サン・バーナーディノなんて、皆さんはご存知でしょうか?

 私は、調べないと分かりませんでした。
かっこ書きは、私自身が覚えるために加えてみたのです。 

 チャック・ベリーのバック・イン・USAもそうですが、観光案内のように町の名前が歌われる曲って、いいですよね。
 ただ、バック・イン・USAは、「アメリカにいて良かった」と歌った母国賛歌でしたが、黒人で皮肉屋のベリーの歌詞が、そのままの意味であるとは思いにくいです。

 その点、ルート66は、「ドライブで西へ向かうならこの道だよ」と、風を切ってハイウェイを突っ走る快感を素直に歌った曲です。
 その経路で出会う町を歌詞に登場させているんですが、我々日本人にはマイナーな町が多いです。

 実は、沿道には、ピバリーヒルズやサンタモニカなんていうメジャーな町もあるのに、あえてこういう町を歌いこんでいるのでした。

 ボビー・トループは、女友達とのドライブ中に、この曲のアイデアが浮かんだとのことですから、美しい景観など、私たちが知らない要素があるんでしょう。

 オクラホマ・シティのみ、マイティ・プリティと形容しているのは、どうでしょう?
単にメロディの流れに合わせるためというのが、正解かも知れませんが…。

 プロデューサーのデイヴ・サンガーは、エリザベス・マックイーンと結婚したことで、初めて知った人です。
 このアルバムは、95年リリースで、もう随分前に買ったものですが、その時はデイヴ・サンガーという人を知りませんでしたし、Asleep At The Wheelのドラマーだということにも、全く気づいていませんでした。
 
 冒頭には、テレビ・ドラマのテーマ、そして作者のバージョンを押さえ、ラストには、カンバック後のチャールズ・ブラウンのおしゃれな名唱を配置しています。
 これらの曲は、既存曲のコンパイルですが、その他の曲は、このアルバムのために吹き込んだ曲を含んでいます。

 カントリー、ブルーグラス、ないしはカントリー・ロック風の演奏が中心ですが、ブルース調の曲もあり、アルバムとしての流れが気持ちいいです。

 アスリープの元スチール・ギタリスト、シンディ・キャッシュダラーも参加していて、いい感じです。
 シンディが参加した曲は、2200マイルという曲ですが、本家ルート66の歌詞では、2000マイルと歌われています。(Wikiによれば、2347マイルらしいです。)

 私のお気に入りは、The Mother RoadWilly Rogers Highway Used to Be といったあたりです。
 曲は、オリジナルが多いですが、Willy Rogers Highway は、ウディ・ガスリー作となっています。(…残念ながら、私は原曲を知りません。)

 オリジナルのルート66は、既に廃道となっていますが、マザー・ロードの愛称で、アメリカ人の郷愁を誘う遺産のひとつとなっているようです。
 
 実はこのアルバムには、00年リリースの続編があって、同じくデイヴ・サンガーがプロデュースしているんですが、こちらにはアスリープの演奏や、アスリープのフイドラー、ジェイソン・ロバーツのソロも含んでいて、更にごきげんな1枚になっています。


 




これは、おまけです。



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