2018年06月20日

城用語 枡形 (ますがた)・枡形虎口・枡形門

城の出入り口の説明で、よく「ますがたもん」とか「ますがたこぐち」なんていう言葉を耳にしますね。今回はその「枡形」についてです。

<江戸城和田倉門跡>
sirononagori194 (4).JPG
この石垣も枡形のなごりです。石垣の内側が、方形の広場のようになっていること、伝わりますでしょうか。

■枡形■ますがた
まず「枡形」の枡ですが、これは字の通り。計量するための四角形の容器のことです。まぁ身近なところでは、日本酒を飲む時などに使うあの枡のことですね。あの形を想像してみて下さい。綺麗な方形をしていますよね。その形こそが、城でいう枡形の呼び名の由来です。

■枡形虎口■ますがたこぐち
二の丸とか三の丸といった区画への出入り口のことを、城用語では虎口といいます。四方を壁で囲む枡形と、2つの虎口を組み合わせた出入り口の構造を枡形虎口といいます。ご紹介している画像は石垣ですが、別に土塁でも木製の壁でも、構造が同じならそれはやはり「枡形虎口」です。侵入者はまず最初の虎口を通過すると、直進を拒まれた上に壁で囲まれた窮屈な区画に入り込むことになります。次の虎口を通過できて、ようやく城内への侵入を果たすことになります。

■枡形門■
守るための施設で、出入り口が開けっ放しということはありませんよね。枡形の虎口には当然のように門が設置されます。枡形門です。枡形の構造は時代とともに進化を続け、外側に面した虎口に高麗門、次の虎口には櫓とセットになった重厚な門が築かれるようになりました。この構造は枡形のほぼ完成形です。冒頭の和田倉門跡は石垣しか残っていないので、大手門で説明させて頂きます。

■枡形門の実例■ますがたもん
こちらは石垣と門をセットで見られる枡形です。

<大手門>
shirononagori239aa.JPG
このケースだと手前は水堀。虎口に通じる道を通るしかありません。攻め手は大勢で押しかけても、この道の幅に合わせて縦長になって進むしかありませんね。桝形門に到着する以前に、既に動線が制限されているわけです。さて、門については、画像に加筆して説明させて頂きます。

<大手門>加筆
shirononagoriP (1).JPG
青は人の動線です。まずは最初の門。オレンジの門が高麗門です。死角を減らすためにやや低めに造られています。攻め手がこの一つ目の門をくぐると、四角く囲まれた小部屋のような空間、つまり枡状の区画が待ち受けています。攻め手が更に城内へ進むには、次の虎口がある右手に曲がらざるを得ません。そこに設けられているのが二つ目の櫓門(やぐらもん)。門の上が頑丈な櫓となっており、枡に入り込んだ敵を狙い撃ちすることができます。

櫓門で良いのですが、この枡形の場合、石垣と石垣との間を渡すように(まるで渡廊下のように)櫓門が築かれていますよね。こういう場合、渡櫓門(わたりやぐらもん)とよぶ場合もあります。まぁ櫓門で良いですが、念のため。

<枡形図解>門は省略
SN239AD.JPG
ちょっとシンプルな図ですが、構造としてはこんな感じです。この方形の区画ですが、まずは外敵に備えて城兵が待機できる場所であり、最初の門を破られた場合は、攻め手の直進を防ぎ、徹底的に迎え撃つ機能を持っています。

枡形という構造
なんとなく伝わりましたでしょうか?


■高麗門■こうらいもん
門についてもうちょっと補足します。高麗門。これは城用語というより、門そのものの型式の一つです。

城の大手門はいわば家の玄関のようなもの。威厳を保ちたいところですね。戦国期以前は、薬医門と呼ばれる形の門が流行りました。屋根が大きく、風格があります。ただ、これだと城内からの視界を遮るので、死角が増えてしまいます。戦乱の時代に突入すると、屋根がコンパクトな高麗門が主流となりました。造られ始めたのは1590年代のようです。豊臣秀吉の朝鮮出兵以降に導入された形式ということですかね。

<桜田門>
sirononagori sakuradamon (2).jpg
有名な門ですね。厳密に言うと外桜田門といいます。ここも桝形、そして最初の門は高麗門です。

<桜田門の高麗門>
sirononagori sakuradamon (1).jpg
屋根が重厚過ぎないことが防衛上のポイントです。シンプルでありながら、格式も感じる門です。


■外枡形と内枡形■
今回は枡形が伝われば充分ですが、構造によって外枡形と内枡形の二種類に分類できます。時々耳にする言い方ですので、最後にご紹介させて頂きます。要するに、枡形を城から飛び出したところに築くか、内包するように築くかの違いです。言葉より図解の方が分りやすいですね。

<図解>
shirononsgori243M.jpg
左が外枡形、右が内枡形です。図の上方向が城内だと思って下さい。

以上です。典型的な枡形を例に説明させて頂きましたが、実際には城によっていろんな工夫が施されています。基本さえ知ってしまえば、その違いすら楽しめます。この記事が、そのきっかけになれば嬉しいです。

拙い説明、お付き合い頂きありがとうございました。


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■お勧め本(入門者向き)■
当ブログ内でも『枡形』とか『野面積み』『狭間』といった城用語をときどき説明させて頂いてますが、この本ではもっとわかりやすく、そしてなにより「実感」がわくような説明がなされています。科学というとひいてしまう方?いますでしょうか。いえいえ、本当に分りやすい。私自身も愛読者のひとりです。

タグ:城用語
posted by Isuke 2020 at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | その他
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