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電子化と媒体への愛着について

 先日、書店へ行ってきました。
 私にとっては、多分、年単位での久々の訪問です。
 本好きの私が、これほど足が遠のいていた理由は、ふたつあります。

 ひとつは、電子書籍で、これが長期的な理由(?)と言っていいでしょう。
 これについては、後述します。

 もうひとつは、私が今年初めに負ったアクシデントに起因します。
 私は、今年になってから3回入院し、うち2回は手術もしました。
 詳細は、今回の話題にとって重要ではないので、単に一時的に自立歩行不可となったといっておきます。
 私は、つい先日、杖を手放し、完全自立歩行する許可を得ました。
 アクシデントから、ここまで回復するのに9か月かかりました。
 これが、短期的(本人にとって9か月は長かったですが)理由です。
 
 さて、私は、年末までに一定の区切りを迎えられる予定です。(とりあえずの治療終了。経過観察ヘ移行。)
 つい最近、病院で言われたのは、日常的な歩行訓練の励行です。
 約9か月間、自身の体重を支えていなかった私の下肢は、筋肉が落ちています。
 完全回復には、病院での筋トレに加え、日ごろからの訓練が必要だというわけです。
 出来るだけ外出して歩くこと、さらに、徐々に外出の距離を伸ばすよう指導されたのです。

 先日私は、それまでのごく近い距離ではなく、電車に乗って1駅往復するという、大きな冒険を成し遂げたのでした。
 駅の階段は不安な要因でしたが、実は自宅の階段に比べれば、駅のそれはとても優しいステップ幅、高さであることが分かりました。
 こういうことは、まさに体験しなければ分かりませんね。

 ここで、思い出したことを書かせてください。
 実は私は、近所にありながら(自立歩行許可が出るまで)、コンビニを利用しませんでした。
 コンビニの入り口は(有名チェーンはすべて)、押すか引くかしないと入れないドアで、しかも手を放すと元に戻ろうとするため、車椅子はもちろん、松葉づえでも一人で出入りすることは困難でした。
 これは、おそらく防犯上からの構造ではないかと推察しますが、歩行困難な人には大きなバリアーです。
 (あと、これは防犯と関係があるのか不明ですが、私の知る(駐車場のある)多くのコンビニは、入口へのアプローチがフラットではなく段差があり(健康なあなたは気づいていない)、車椅子での進入が困難です。)
 
 さて、私的なことをくどくどと、そして、問題提起的なことはあっさりと書きました。
 当ブログの趣旨(私の趣味嗜好の紹介)と外れるからです。
 
 本題に入ります。
  
 今回は、私がここ数年(とりわけ当プログを休んでいた期間)、夢中になっていた(今も継続中)のテーマについて、少し語りたいと思います。

 私は、電子書籍が好きです。
 電子書籍とは、デジタル・データ化された書籍のことで、テキストや画像等を紙に印刷するのではなく、デジタル・データ・ファイルとして提供し、専用のアプリケーションで閲覧させるものです。

 ファイルは2種類に大別でき、ひとつは文章をデキスト・データとして埋め込み、フォントを拡大縮小してもレイアウトが自動調整するもので、これをリフロー型ファイルと言います。
 一方、絵や写真などの画像を多く含み、レイアウトを崩すことが出来ないもの(雑誌や漫画等)をファイル化したものがあります。
 この種類のファイルは、ページ全体のレイアウトが固定のため、拡大すると画面からはみ出したりします。
 これを仮にイメージ・ファイルと呼びます。(有名なPDFがこの仲間です。)

 さて、話は約2年半ほど前に遡ります。
 楽天がカナダの電子書籍サービス(ショップ・サイトからガジェットまで)のKoboを買収して子会社化し、日本で楽天koboをスタートさせました。
 ですが、始まってまもなく、コンテンツ数の水増しを指導されるなどトラブル続出で、かなり多難な出だしでした。
 
 そして、少し遅れてAmazonがKindleのサービスを開始しました。
 Kindleは、Amazon com(米アマゾン)発の電子書籍サービスで、日本での開始が待たれていたものです。
 このAmazon JapanのKindleスタートは、電子書籍の黒船といわれ、先行サービス組からは脅威であるとともに、逆に、いまいち盛り上がらない日本の電子書籍事業を、本格的に隆盛させるためのカンフル剤として期待されていたものでした。

 電子書籍サービスは、日本でも独自の展開をしていましたが、さほど話題になることもなく、停滞気味でした。
 そのひとつの原因として、ビューワー(読書ツール)の問題があります。
 電子書籍をスムーズに楽しむためには、魅力的な機器と使いやすいリーダー・アプリケーションが必要です。

 それまでは、PC向けだったり、今となっては懐かしいSharpのザウルスのようなPDA(携帯情報端末)向けのアブリケーションだったりしました。
 また、携帯電話時代になり、ケータイ小説という別の流れも生まれました。
 これらツールやそれに伴うソフトは、それなりの盛衰があったのだと思いますが、黒船の来航をもって、本当の変革がやってきます。
 
 Amazon Kindleの日本上陸こそが、業界を活性化させ、新たな事業参入組の登場と、老舗の危機感からの奮起を促したのでした。
 そして、予想されたことが静かに進行しているのだと思います。
 自然淘汰です。
 魅力のある、使いやすい、蔵書数の多い、事業の安定性が高い(すぐに潰れたりしない)サービスが残り、そうでないものが消えていくことになります。
 (ただ、今のところ、新規組があっさり撤退という例はあるようですが、大手老舗が潰れたという話は未だないようです…。)
 
 さて、私が利用している電子書籍サービスのうち、上位4社の利用状況は次のとおりです。

kobo : 約3000冊 

ebookapan : 約1300冊

booklive : 約600冊

kindle : 約500冊

 私は、電子書籍を始めた当初、ソニーのリーダーとショップを専ら使っていましたが、現在は上記のような感じです。
 (ソニーは否定していますが、撤退のうわさがあり、事実、アメリカでは撤退しました。)

 様々なトラブルがあったにも拘らず、また現在も、端末、システムともに不具合が残ったままですが、私の利用一位はKoboです。
 これは、Koboがクーポン作戦で、最も値引きキャンペーンを多くやっているからです。
 日々の利用での値引きが多いほど、ついつい利用するものです。
 これで、事業運営の信頼度が高まれば、多少の問題は今後も目をつむれます。

 ebookjapanは、電子コミック事業の巨人です。
 コミックの蔵書数では本邦1位でしょう。
 さらに、システムの使いやすさ、分かりやすさ、そして(個人的見解ですが)洗練さが私の好みです。
  
 bookliveは、テキスト系の蔵書数では1位かもしれません。
 ただし、専用端末のLidioはいまいちでした。
 現状は、Kindle よりも買っていますが、今後は伸びが減るでしょう。

 Kindleは、端末の出来が素晴らしいです。
 フォントの大小の種類が増えればもっといいです。
 値引きのサービスが、日本上陸直後に比べて改悪されているのが残念です。
 潰れそうにないという安心感の高さが他社に勝っています。

 私の利用実態は、小説等のテキスト系はKoboを常用、ついでKindleです。
 利用端末は、それぞれ専用の6インチ端末がベターです。

 コミックは、ebookjapanに一本化したいと思うほど気に入っています。
 コミックや雑誌の利用端末は、10インチの汎用タブレットを使っています。(Nexus10)
 コミックや雑誌のようなイメージ・ファイルは、ある程度大きなディスプレイが必要です。
 6インチ端末を無理して使っている人は、10インチ端末を使うと世の中が変わるでしょう。ホントに。

 私は、時々考えます。
 かつて、レコードがCDへと変わっていったときのことを。
 私は、抵抗した組です。
 レコードに対する愛着は深いものでした。
 特に、当初のCDがスペックの低いものを含んでいたことから、「それみたことか」と自身の判断の正しさを誇っていたほどです。
 しかし、技術の進歩は、あっという間に凡人の認識など超越していったのです。
 価格が下がり、なおかつ質が向上したとき、私はあっさり転向しました。
 現在の私は、CDに愛着をもつようになり、欧米で主流のダウンロード配信には魅力を感じません。
 
 電子書籍について、興味がない人も多いようです。
 紙の本に強い愛着を持っている人は、読み手だけでなく、実作者にも存在します。
 エンタメ系の有名作家では、宮部みゆき、東野圭吾などがその代表でしょう。
 でも、彼らの主要な作品が電子化されるのは、きっと遠いことではないと思います。

 さて、私は音楽のストリーミング配信には魅力を感じています。
 購入した音楽ファイルは、端末に保存するのではなく、クラウド上で管理し、聴きたいときにクラウド上の音楽ファイルを再生するという技術です。
 これの利点は、自分の端末のストレージを圧迫しないことです。
 (ただし、ネットが繋がる環境にある、という条件があります。)

 私は、ジャケットやブックレットに強い愛着があり、音楽ファイルだけ購入というのは味気がなくて(今のところ)耐えられません。
 しかし、最近のアルバムの音楽ファイルには、ジャケット写真のファイルや、ブックレットのテキストを付属させる試みが増えつつあり、心が動きつつあります。
 欧米では、完全にCDが下火になっており、ダウンロード配信ではない通常のCDを、わざわざ"Physical CD"と呼んでいます。
 (一方で、レコードの復活が静かに進行していて、私には謎です。)
 
 音楽と書籍の電子化は、単純にひとくくりには出来ませんが、共通する利点、課題を含んでいるのではないかと思います。



93年 壁の穴から

 本日は、Doug Sahm Dayです。
 というわけで、今回はこちらのアルバムを聴きました。
 入手したばかりの、(小声で)ブートCDです。
 一応、複数のアーティストが参加しているライヴ盤で、誰がメインとか謳っているアルバムではありませんが、Doug Sahmの収録が目玉のブートといって間違いないでしょう。

 Doug Sahmの場合、かなりライヴ音源のソースが残っていると推察しますが、あまりブートの情報は聞きません。
 まあ、BeatlesやStones、Dylanとかと同じような期待をしても無理だとは思います。
 でも、もう少し出てもいいのでは…とファンとしては思ってしまうのです。
 ブートが一定以上流通すると、撲滅のためにオフィシャルが作られるという例がありますから。

doug sahm29.JPG

Holl In The Wall
20th Anniversary Live

1. Texas Tornado (Doug Sahm) : Texas Mavericks featuring Doug Sahm
2. We Uset to Fuss, We Used to Fight (J. Rymes) : Two Hoots & A Holler
3. Think It Over (K. James, L. James) : LeRoi Brothers
4. That's Life (Kay, Gordon, ) : Shoulders
5. Help Me Get Over You (M. Warden) : Wagoneers
6. You're The One (J. A. Lane) : Bizarros
7. I Just Do (Mitchael Hall) : Lollygaggers
8. Visions of Johana (Bob Dylan) : Texas Mavericks featuring Doug Sahm
9. I Got a Hole In My Pirogue (J. Horton, T. Franks) : Two Hoots & A Holler
10. Rumble (M. Grant, Link Wray) : Gary Dixon with LeRoi Brothers
11. Sometimes (Gene Thomassonn) : Teaxs Mavericks featuring Doug Sahm
12. Pointed Toe Shoes (Carl Perkins) : Johnathan Foose with the Bizarros
13. Pleas Don't Think I'm Guilty (M. Warden) : Wagoneers
14. Baby, You Scare Me (Michael Hall) : Lollygaggers
15. Chain of Love (Steve Doerr) : LeRoi Brothers
16. Chain Gang Woman (S. Coppinger) : Bizarros
17. Eldorado Boogie (Ike Ritter) : Bizarros

 本盤は、93年6月、オースティンの"Hole in the Wall"(ライヴハウス?)でのライヴ録音だということです。
 収録曲は17曲、ボリュームたっぷりで、しかもお目当て以外のアーティストも総じて良い感じです。

 例えば、LeRoi Brothers
 私は、昔から大好きなバンドです。
 どこがいいかと言いますと、何といってもサウンドです。 
 「コンパクト」、このバンドのサウンドの魅力は、この言葉に集約されると思います。
 ホーンはもちろん、キーボードもなしのスモール・コンボですが、音は決してスカスカに感じることのない、小気味のいいグルーヴが大変気持ちいいサウンドのバンドです。
 収録曲は3曲です。

3. Think It Over (K. James, L. James) : LeRoi Brothers
10. Rumble (M. Grant, Link Wray) : Gary Dixon with LeRoi Brothers
15. Chain of Love (Steve Doerr) : LeRoi Brothers

 そして、本盤収録の時点でのバンド編成は次のとおりです。

LeRoi Brothers
Steve Doerr : vocals, guitar
Mike Buck : drums
Casper Rawls : guitar
Mike Korpi : bass

 LeRoi Brothersは、本盤録音の前年92年にアルバム"Crown Royale"をリリースしていて、その中の1曲で、Doug Sahmがコーラスで参加しています。
 また、ドラムスのMike Buckは、90年のTexas Tornadosの1stにも参加していました。
 Doug Sahmとの関係も、なかなかなに親密なバンドなのでした。

 収録曲のひとつ"Think It Over"は、ご存知、Jimmy Donelyの代表作のひとつで、作者名にあるK. Jamesは、彼の本名(?)James Kenneth Donelyからきている署名です。
 LeRoi Brosは流石の演奏で、スワンプ・ポップの名作を彼らなりに、しかし素晴らしい王道の解釈でやっています。
 こういうところが愛すべきところだと、改めて思います。

 Bizarrosというバンドが収録されています。

6. You're The One (J. A. Lane) : Bizarros
12. Pointed Toe Shoes (Carl Perkins) : Johnathan Foose with the Bizarros
16. Chain Gang Woman (S. Coppinger) : Bizarros
17. Eldorado Boogie (Ike Ritter) : Bizarros

 メンツは以下のとおりです。

Bizarros
Moon Bellamy : vocals, harmonica
Bill Bentry : drums
Ike Ritter : guitar, vocals
John X. Reed : guitar
Brooks Brannon : guitar
Speedy Sparks : bass on track6,12
Stan Coppinger : basson track16,17, vocals 

 ギターのJohn X. Reed、ベースのSpeedy Sparksの名前が眼を惹きます。
 この二人は、Doug Sahmとの関係が深い人たちです。
 このBizarrosへの参加がレギュラーなものなのか、それとも臨時なのかが気になります。
 もしレギュラーなら、そしてアルバムがあるのなら聴いてみたいと思いました。
 (Ike Ritterというカッコイイ名前のギターリストも、それだけの理由ですが気になります。)

 1曲だけチョイスするなら、"You're The One"でしょうか。
 ブルージーなスタイルで、LeRoi Bros.にも通じるコンパクトなサウンドが魅力的です。
 小粋なフレーズを紡ぐギターと、ブルージーなハープがいい感じの佳曲です。

 Two Hoots & A Hollerというバンドにも注目です。

2. We Uset to Fuss, We Used to Fight (J. Rymes) : Two Hoots & A Holler
9. I Got a Hole In My Pirogue (J. Horton, T. Franks) : Two Hoots & A Holler

 メンツは、トリオということはなかったと思うのですが、本盤でのクレジットは以下のとおりです。

Two Hoots & A Holler
Ricky Broussard : vocals, guitar
Vic Gerard : bass, vocals
Chris Staples : drums

 "We Uset to Fuss, We Used to Fight"が、ファストかつトワンギーなナンバーで、かっこいいです。
 このバンドは、Doug Sahmが亡くなった時、Dougを偲ぶオリジナル曲を作って録音しています。
 その収録アルバムのことは、以前に当ブログに書きました。
 興味がある方は、下記のリンクからご覧ください。
 
 その他、Wagoneersは、カントリー・ロック系のバンドで、おだやかなサウンド、(ハイ)ロンサム調のボーカルが耳に残る、これまた気になるバンドです。
 やはり、ほとんど捨てバンドなし、そう言いたいライヴ・アルバムになっています。

 さて、お待たせむしました。
 本命のバンドを紹介します。
 なぜか、この名前で出演しています。

Texas Mavericks featuring Doug Sahm
Doug Sahm : vocals, guitar
John X. Reed : guitar
Speedy Sparks : bass
Mike Buck : Drums
Michael Sweetman : saxophone

 覆面バンド、Texas Mavericksが、唯一のアルバムをリリースしたのは86年でした。
 それからこの時点まで、既におよそ7年が経過しています。
 一回きりの匿名バンドだったはずですが、これ以外でもこの名前を使った出演はあるのでしょうか?
 気になります。

 本盤の編成で、何といっても気になるのは、キーボード系が不参加なことです。
 要は、Augie Meyers若しくはその代役の不在です。
 86年のアルバムでは、El Rochaという変名で(おそらくAugie)がオルガンやシンセを弾いていました、
 ギターのJohn X. Reed(当時の変名、Johnny X)、ベースのSpeedy Sparks(当時の変名、Miller V. Washington)はオリジナル・メンバーです。
 そして、ドラムスがErnie Durawa(当時の変名、Frosty)からMike Buckへ交替しているほかは、サイド・ギターのAlvin Crow(当時の変名、Rockin' Leon)が不参加です。
 わざわざ、Doug Sahm(当時の変名、Samm Dogg)をフューチャリング扱いにしたのは、名前を特記したかったのかも知れません。

1. Texas Tornado (Doug Sahm) : Texas Mavericks featuring Doug Sahm
8. Visions of Johana (Bob Dylan) : Texas Mavericks featuring Doug Sahm
11. Sometimes (Gene Thomassonn) : Teaxs Mavericks featuring Doug Sahm

 DylanとGene Thomasは、Dougのアイドルですね。
 両曲とも、ライヴ録音が聴けて感激しました。

 そして、"Texas Tornado"です。
 この曲は、予備知識なしに聴いて驚きました。
 皆さんは、ここで知ってしまいますので、知りたくない人はこの続きを読むのはやめましょう。

 この曲は、表記こそ単純に"Texas Tornado"となっていますが、実はメドレー仕立てで、オフィシャルでは聴けないレアな音源になっているのです。
 Doug Sahmの語りから入るところも素晴らしく、わくわくします。
 そして、肝心の中身はこうです。

Texas Tornado (2コーラス・プラス)
〜 Is Anybody Going to San Antone (サビ)
〜 Texas Tornado (サビ) 
〜 Lodi (1コーラス・プラス) 
〜 Texas Tornado (サビ)
〜 Is Anybody Going to San Antone (サビ〜終了)

 いやあ、書いていて、また嬉しくなってきました。
 こういう貴重なお遊び(?)が、ちゃんと記録され、繰り返し聴けることが素晴らしいです。
 レアなクリーデンスの"Lodi"の間奏の前で、Dougが「Aa〜 Johnny Reed !」、「Ah〜 CCR !」と呼びかけて、ギター・ソロを促しているところが、ばっちり記録されています。

 「神様、感謝します。」
 こういう、その場にしか存在しない至福の瞬間、それが切り取られて記録されている、そのことに感謝せずにはいられません。

 今晩は、このメドレーを繰り返し聴いて、Doug Sahmを偲びながら眠りにつきたいと思います。



Susie Q 〜 Born On The Bayou
(1994 Switzland Live)
by Sir Douglas Quintet


リード・ギターは、John Jorgenson (多分)


Green River  〜 Susie Q 〜 Land of 1000 Dances
(1994 Switzland Live)
by Sir Douglas Quintet





関連記事はこちら

Doug Sahm Day
本日は ダグ・サーム・デイ(2012年11月18日)
テキサス遥か (2011年11月18日)
白夜の国から (2010年11月18日)

Rick Broussard
悲しい知らせに空が泣いた



 

テキサス遠征 面影を追って 

 届いたパッケージを裏返して驚きました。
 若いBen Vaughnと、在りし日のDoug Sahmのツーショット写真が眼に飛び込んできたのです。

 "Texas Road Trip"という、アルバム・タイトルからして、何となく予感はありました。
 だって、Ben Vaughnは、ニュージャージーだかフィラデルフィアだかの出身のはずです。

 この人のテキサス好きは分かっていましたが、だからこそ期待していいんじゃないの?
 そんな密かな私の思いは、見事に当たっていたのです。
 「テキサス遠征」
 なんて素敵なタイトルなんだ。

 本盤は、Ben VaughnからDoug Sahmファンへの嬉しい贈り物になっています。

ben vaughn1.jpg

Texas Road Trip
Ben Vaughn

1. Boomerang (Ben Vaughn, Bill Lloyed)
2. Miss Me When I'm Gone (Ben Vaughn)
3. I'll Stand Alone (Ben Vaughn)
4. Fire in the Hole (Ben Vaughn)
5. Texas Rain (Ben Vaughn)
6. Sleepless Nights (Ben Vaughn)
7. She Fell Out the Window (Ben Vaughn)
8. Heavy Machinery (Dan Marcus)
9. Seven Days Without Love (Ben Vaughn, Bill Lloyed)
10. Six By Six (Ben Vaughn)

 本盤は、今年リリースされた、Ben Vaughnの最新作です。
 アマゾンのクレジットによれば6月24日発売となっていますが、私はつい最近まで、その存在に気付きませんでした。
 
 ルーツ・ロッカー、Ben Vaughnは、日本ではあまり話題にならない人ではないかと思います。
 この人には、"She's About A Mover"のカバーがあり、それで私もかろうじて知っていた人です。

 この人は、おそらくはエンジニア系の人ではないかと思われ、スタジオ大好きのオタっぽい匂いがします。
 私は、アーティストとしてより、プロデューサーとして先に知っていたのだと思います。

 この人は、ほぼ引退して、バスの運転手をしていた偉大な歌手をくどき、アルバム1枚分の録音をさせた人です。
 その歌手とは、Arthur Alexander
 それは結果的に、Arthurの最後のスタジオ録音になりました。
 最高の伴奏者をそろえ、素晴らしい演奏と歌唱を記録した、その功績は特筆すべきだと思います。
 Arthur Alexander最後のオリジナル・アルバム、"Lonely Just Like Me"、未聴の方はすぐ聴きましょう。

 さて、そんなBen Vaughnさんですが、今回、またも嬉しいお膳立てのうえ、本盤を創ってくれたのです。
 本盤の録音に参加したのは、以下のメンバーです。

Ben Vaughn : guitar, harmonica, vocals
Augie Meyers : vox organ, accordion, piano
Alvin Crow : fiddle
John X Reed : guitar
Speedy Sparks : bass
Mike Buck : drums
Scott Esbeck : background vocals

Produced by Ben Vaughn
Recorded at Wire Recording, Austin TX.

 思わず、「わかってるねえ Benさん!!」
 と、快哉を叫びたい、そんな仕事ぶりです。
 プロデューサーの仕事の大半は、資金繰り(調整)とキャスティングです。
 Arthurとの仕事がそうであったように、条件(場所と人とモチベーション)をそろえたら、後は自然な化学反応を待つ、ということでしょう。

 リスト最後のScott Esbeckさんは未知の人ですが、それ以外のメンツは、Doug Sahm人脈の主にリズム・セクションの常連たちで、この人たちを集めてアルバムを創ろうなんて、発想の段階で大成功ですね。
 おそらく、集められた人たちは、特別な気持ちでスタジオに入ったに違いなく、こみ上げてくる想いがあったろうと推察します。

ben vaughn-001.JPG


 Doug Sahmの盟友、Augie Meyersは、ついこの間、最新作"Santa Fe"をリリースしました。
 そして11月は、例年、Doug Sahmのメモリアル・イベントが開催されており、今年もJoe King Carrascoと一緒に出演する予定です。
 
 Alvin Crowは、久々の登場という印象です。
 Takoma時代(81〜83年)のSir Douglas Quintetで、ギター(とフィドル)を担当していた人で、自身がリーダーのバンドではウエスタン・スイングをやっていました。
 86年の覆面バンド、Texas Mavericksにも参加し、Rockin' Leonの変名でギターを弾き、ボーカルを担当した曲では、ヒーカップ唱法を聞かせていました。
 今作では、フィドルでの参加ということで、特定の曲のみの参加だったのかも知れませんが、きっと懐かしい面々と旧交を温めたことでしょう。

 ギターのJohn X Reedの近況はどうだったのでしょう。 
 少なくとも、昨年13年までは、Lucky Tomblin Bandでツアーをしていたと思われます。
 Louie Ortegaではなく、John X Reedが呼ばれたのは、特に理由はないと思いたいです。
 John X Reedは、(伝説の)Freda & The Firedogsのギターリストだった人で、おそらくDoug Sahmとの出会いはその頃だと思います。
 その後、John X Reedは、Sir Douglas Quintetの77年のアルマディロ・ヘッドクォーターの同窓会ライヴに参加したほか、80年のDougのソロ作、"Hell Of A Spell"、そして86年のTexas Mavericksでもギターを弾きました。

 ベースのSpeedy Sparksは、(存在さえ知らなかった、又は知られていなかった)97年のソロ・アルバムが、12年にMP3で配信されました。
 CDでのリイシューは、どうやらないようなので、私はしびれを切らせて購入しました。
 が、今からでも全然OKなので、出来ればCD化してほしいです。
 (実は、97年リリースというのは情報だけで、当時本当にリリースされたのか、確たることは不明です。)
 Speedy SparksとDoug Sahmとの出会いの時期はよく分かりませんが、Sparksは、81年の"Border Wave"に参加して以降、86年の"Texas Mavericks"、90年以降の"Texas Tornadosの全てのアルバムに参加しています。
 Doug Sahmのベーシストと言えば、Jack Barberか、この人という印象が強いので、Jackの近況も気になります。
 
 ドラムスのMike Buckは、Doug Sahmとの関係では、George RainsやErnie Durawa、John Perez(故人)ほどの常連ではないです。
 名前をあげた、かつての仲間たちも、当然ながら年齢を重ねているわけで、壮健でいてほしいです。
 Mike Buckは、T-Birdsの初期メンバーであり、LeRoi Brothersのメンツでもありました。
 90年のTexas Tornadosの1stでは、DurawaやRainsとともにドラムを叩いています。
 (LeRoi Brosの92年作"Crown Royale"では、Doug Sahmが逆にゲスト参加して、"Angeline"という曲でハーモニーをつけています。)

 そしてプロデュースは、当然、Ben Vaughn自身が行い、オースティンのスタジオで録音されています。

 さて、収録曲ですが、Benが最も強くイメージするDoug Sahm、ということなのでしょう。
 全曲、BenのペンによるDoug Sahm風のオリジナル曲で構成されています。
 Benは、ブラック・ミュージックにも造詣が深い人ですが、傾向としては、Doug Sahmのカオスな音楽性のうち、Tex-Mexの側面を中心にフォーカスしたアルバムになりました。

 アルバムは、Ben Vaughnの辛めの味付けを利かせた歌詞をのせ、Dougお得意のミディアム・テンポ曲でスタートし、Augieのピーピー・オルガン、のどかなアコーディオン、一転して哀愁の三連曲、ろうろうと歌い上げるバラード等々、さながらDoug Sahmのパブリック・イメージのショーケースのような展開を見せます。
 また、表面上はTex-Mex中心のようですが、ホーンレス、フィドルあり、スチール・ギターなしという制約の中で、実はDoug Sahmの多彩な音楽性を再現しようと試みた、考えた構成になっているのかも知れません。
 
 まあ、1曲くらいは、Doug Sahmのカバーがあっても良かったかも、などと思ったりしますが、きっとこれで正解なのでしょう。
 とにかく、Doug Sahmゆかりの老雄たちに囲まれ、Doug Sahmのポジションで歌い演奏したBen Vaughnは、きっと本盤の制作を心から楽しんだに違いない、そう思うのでした。



Boomerang
by Ben Vaughn Quintet


Ben Vaughn - guitar, lead vocals
Gus Cordovox - accordian
Mike Vogelmann - bass
C.C. Crabtree - sax
Seth Baer - drums



関連記事はこちら

Alvin Crow
可愛い七つの子はフィドル弾き
ロッキン・レオンのふるさと

John X Reed
おいらのいい人 完熟トマト
回想のファイアドッグス
テキサス遥か
テキサスのご婦人がた

Arthur Alexander (Ben Vaughn)
本家ヘタウマ

Augie Meyers
オーガスティンの聖なる信仰
オーギーに首ったけ
曲に歴史あり、メキシコへ旅して
曲に歴史あり、セルマからヴェルマ物語
曲に歴史あり、夜の正座ものがたり
曲に歴史あり、ケパソ物語 
三連符の調べで夢見心地
オーギー・マイヤースさん、気をつけて

パン屋の1ダース

 今回は、かなり以前に入手しながらも、その時々の理由から後回しにして聴いてこなかったアルバムを、やっと聴きました。
 多分、多くの人には馴染みのないアルバムであり、バンドだと思います。

 本盤は、テキサスのBig Shot、Lucky Tomblinがキャリアの最初に組んだバンド、Lucky 13の唯一のアルバムです。
 
 唐突ですが、ここで中身を紹介する前に、今回の警句を一言。
 「1ダースに1個おまけされると、うれしい。」

lucky tomblin3.jpg

Lucky Club Music
Lucky 13

1. Longline Locomotive (Lucky Tomblin)  
2. Halloween Blues (Lucky Tomblin)   
3. Survivor's Song (Lucky Tomblin)   
4. Strawberry Boots (Lucky Tomblin)  
5. Court of Kali (Lucky Tomblin)    
6. Hymn for Her (Lucky Tomblin)    
7. Funky Butt (Rocky Morales)   
8. Skylight (Lucky Tomblin)      
9. Russian Romance (Lucky Tomblin)   
10. Rock 'N' Roll Soul         
11. Mom and Dad Waltz (Lefty Frizzell)  
Secret Track
12. [Untitled]             
13. [Untitled]            

 本盤は、01年にTexas World Recordsからリリースされました。
 バンドの構成メンバー、というか録音参加メンバーを紹介します。
 以下のとおりです。
 
Musician
Billy Stull : Acoustic, Classical & Electric Guitars
Rocky Rodriguez : Acoustic Guitar
Mike Zeal : Bass
Max Baca : Bajo Sexto
Al 'Footsie' Catan : Drums
Heart Sterns : Percussion
Sauce Gonzales : Keyboards & Hammond Organ
Al Gomez : Trumpet
Rocky Morales : Tenor Saxophone
Spot Barnett : Tenor & Soprano Saxophone
Louis Bustos : Baritone Saxophone
Joe Hernandez : Trombone
Lucky Tomblin : Lead Vocals
Becky Tomblin, Tiffany Carnes, Illuminada : Buckground Vocals
Producer
Lucky Tomblin, Bobby Arnold, Billy Stull

 バンド・リーダーは、オースティン、サンアントニオの顔役(?)、Lucky Tomblin(vo.)です。
 実は、当ブログで、Lucky Tomblinに注目するのは2回目で、以前の回では、Lucky Tomblin Band名義の3rdアルバム、"Red Hot From Blue Rock"を取り上げました。
 本盤との関係を時系列で表すと、次のようになります。

Lucky 13
01年 Lucky Club Music(本盤)

Lucky Tomblin Band 
03年 Lucky Tomblin Band
06年 In a Honky-Tonk Mood
07年 Red Hot From Blue Rock
10年 Honky Tonk Merry Go Round

 ちなみに、Lucky Tomblin Bandのメンツは、

Lucky Tomblin : lead vocals
John Reed : lead guitar、vocals
Redd Volkaert : lead guitar、vocals
Bobby Arnold : guitar、vocals
Sarah Brown : bass、vocals
Jon Hahn : drums
Earl Poole Ball : piano、vocals

 であり、本盤のメンツとは一新されていることが分かります。
 ただ、本盤では、Doug Sahmの一派といいますか、ファミリー的なメンツがズラリと並んでいて壮観です。
 チョイスしてまとめて再掲しますと

Sauce Gonzales : Keyboards & Hammond Organ
Al Gomez : Trumpet
Rocky Morales : Tenor Saxophone
Spot Barnett : Tenor & Soprano Saxophone
Louis Bustos : Baritone Saxophone

 これは、そっくり、後のWest Side Hornsのメンバーですね。
 このメンツから、Lucky Tomblin Bandがカントリー系だったのに対して、Lucky 13はブルース、ソウル系であることが予想されます。

lucky tomblin4.jpg

 バンマスのLucky Tomblinは、Doug SahmやAugie Meyersと古くからの友人だとのことで、それは、この濃いメンバーを見ると納得できます。
 キーボードのSauce Gonzalesは、Arturo 'Sauce' Gonzalesという名で知られる人で、Doug Sahmの晩年の録音、ストックホルム・ライヴでも、Dougのバックをしっかり支えた人です。

 そしてここに、Max Baca(Bajo Sexto)も加えたいです。
 現在、Los Texmaniacsの主要メンバーであるMax Bacaは、Augie Meyersとの親交が深いバホ・プレイヤーです。

 さて、Lucky Tomblinが、ドキュメンタリー映画「ホーム・オブ・ブルース」の制作指揮を務めたという話は、以前の記事で書きました。
 さらにこの人は、Augie Meyersが70年代に立ち上げた最初のレーベル、Texas Re-Cord Companyの共同設立者でもあったようで、その関係の長さ、親密さを感じます。

 Lucky Tomblinは、アルバムのリーフレットに、こんなことを記しています。
 「ラッキー13は、時には一緒につるんだり、あるいは離れたりしながらも、結局、35年あまりも共に音楽を創り続けてきた、サンアントニオ以来の古い友人たちの集まりです。」
 また、
 「ダグ・サームの素晴らしい着想とオーギー・メイヤースの友情に感謝します。」
 とも記しています。

 ところで、Lucky 13とは何でしょう?
 ラッキーセブンは分かりますが、わざわざ13を名乗るなんて、特別な意味でもあるんでしょうか。
 メンバーの人数でしょうか。
 そういえば、バックコーラスを除けば13人です。(偶然かな?)
 案外、そういう何でもないことが真相である可能性は高いです。

 英語圏には、"パン屋の1ダース"というイディオムがあるそうで、その正しい成り立ちはともかく、要は結果的に忌み数である13を浄化(?)してしまう、そんな力技のこじつけが面白いです。
 このあたり、日本人向きの話のような気がしますが、いかがでしょうか?
 
 さて、ここまで内容に一切触れてきませんでした。
 本盤は、Lucky Tomblin Bandと比較すると、バンド・コンセプトが分かりにくいかも知れません。
 でも、実は同じコインの裏と表なのだと思います。

 本盤では、ブルージーなソウル・リビュー風の曲だったり、コットンクラブのようなキャブ・キャロウェイ風の曲だったり、さらに、サザン・ロック調のカントリー風味の曲などが散見して、とりわけ、オルガンのグルーヴィーなトーンをバックに、ホーンが短くても魅力的なフレーズを挟み込み続ける、そんなスタイルの曲に好感を持ちました。
 聴きどころは、やはり、SauceのオルガンとRocky Moralesほかのホーン陣の演奏でしょう。

 チャートとは無縁の音楽だと思います。
 しかし、そのグルーヴには不思議な魅力があるのでした。 

 ところで、1曲だけ普通にカバーが入っています。
 Lefty Frizzellの"Mom and Dad Waltz"です。
 Lefty Frizzellは、ご存知のとおり、Marle Haggardのヒーローであり、彼の憧れは何人かいましたが、歌い方まで影響を受けたのはLeftyだけです。
 
 また、Willie NelsonもLeftyが大好きで、"To Lefty Fron Willie"というタイトルのアルバムを創っているほどです。
 そのアルバムには、くだんの"Mom and Dad Waltz"も入っていました。
 聴きこむほど味わいが深まる佳曲ですね。

 本盤でのこの曲は、その後のキャリアである、Lucky Tomblin Bandへと続く伏線であるかのようです。



Illegal Man
by Lucky Tomblin Band


Lucky Tomblin Bandの1st(03)収録曲
アコーディオンはゲストのAugie Meyers


Mom and Dad Waltz
by Lefty Frizzell





関連記事はこちら

Lucky Tomblin
おいらのいい人 完熟トマト


オーガスティンの聖なる信仰

 
 赤字 追記しました。

 11月になって、初めての更新です。
 ぐずぐずしているうちに、あっという間に日が経ってしまいました。

 実は、今月はあるテーマに沿った記事で繋げられないか、と考えていたのです。
 自らしばりをかけるなんて無謀な気もしますが、出来るなら、なるべく更新回数もあまり減らさずに…。

 可能かどうか分かりませんが、まず今回は、その第一回にふさわしいアルバムを聴くことが出来ました。
 Augie Meyersの最新作、"Santa Fe"が先日届いたのです。
 (テーマについては、日々の更新からご想像ください。)


augie meyers2.jpg

Santa Fe
Augie Meyers

1. Santa Fe (Augie Meyers)
2. Something's Wrong (Augie Meyers)
3. Crazy Heart (Augie Meyers)
4. Borrow Me Some Money (Augie Meyers)
5. Dreaming On (Augie Meyers)
6. Counting Drops of Rain (Gene Jacoby)
7. Came Into My Life (Augie Meyers)
8. God Gave You to Me (Ralph Stanley)
9. Never Thought I'd Ever Fall in Love Again (Augie Meyers)
10. Joints Really Jumping (Augie Meyers)
11. I Did, You Did (Augie Meyers)

 本作は、Augie Meyersにとって、多分17枚目のオリジナル・アルバムになります。
 (完全なソロ名義及び"〜Western Head Band"名義(?)に加え、一部のDoug Sahmとの共作名義のうち、実質ソロ作である"Still Growin"を含めた数え方によります。…異論は認めます。)
 
 本作は、昨年の"Loves Lost and Found"に続くもので、快調なリリースだと思います。
 ただ、今作の収録曲は、81年から07年の間に録音した音源を元に、数曲に手を加えた作品だという説明がなされています。
 といっても、決して既発曲からの編集盤ではなく、実質新作であるのは間違いありません。
 ただ、説明の趣旨を素直に読めば、81年〜07年録音の未発表曲集という言い方も出来ます。
 それが正しければ、前作のタイトル、Lost and Foundは、今作にこそふさわしい名称なのかも知れません。

 さて、収録曲を見ていきましょう。
 録音クレジットの詳細は明らかにされてはいず、個別にどの曲が何年にどこで録音したというデータはありません。
 録音に参加したミュージシャンと4箇所のスタジオ名が、まとめて明かされているだけです。
 そこには、数年前に故人となった人も含まれていて、Rocky Morales(sax)の名前が眼をひきます。
 その他のDoug Sahm人脈では、Spot Bernet(sax)、Charlie McBurney(tp)(McBurnieと記載)、Al Gomez(tp)、Jack Barber(b)、Clay Meyers(dr)らの名前が確認できます。
 
 録音時期には、かなり幅がありますが、通して聴いても違和感は全くありません。
 一部を除き、アクースティックな印象を受ける録音が多く感じます。
 また、全体的にリラックスした雰囲気も受けます。

 まず次の3曲に注目です。
 
2. Something's Wrong (Augie Meyers)
3. Crazy Heart (Augie Meyers)
10. Joints Really Jumping (Augie Meyers)
 
 この3曲は、収録曲のうち、例外的に過去のアルバムで録音している曲です。(と、当初思いました。)
 聴き比べましたが、全て別の録音だと思います。

 まず、"Something's Wrong"ですが、10年のアルバム、"Trippin Out On Triplets"の収録曲に、"Something Wrong"という曲があります。
 ピアノの左手の伴奏が印象的な、完全にニューオリンズ・スタイルの3連バラードです。
 ファッツ・ドミノのリッチな歌声を連想する、ゆったりゆるいグルーヴがたまりません。
 しかし、今回の本盤での"Something's Wrong"は、驚いたことに全く別の曲のようです。
 スチール・ギターのイントロから始まる、調子のいい陶酔系の8ビート・ナンバー(昔の4ビート・カントリー風)です。
 どちらも自作ですので、こんな似た題名を付けたのは忘れてしまっていたのでしょうか?
 追記(14.11.8)
  何という勘違い!!  というか(本人としては)笑えない間違い。
 10年の"Something Wrong"(混乱しそうですが、実は"Something's Wrong"という表記が正解)は、自作ではなく、Fats Dominoのカバーでした。
 10年作を取り上げた過去の記事(三連譜の調べで夢見心地)を読み返したら、ちゃんとカバーだと書いていました。
 しかも、「クレジットがないので調べた」と経過まで書いているのに、すっかり忘れていました。
 今回、Fatsを連想するなどと書いていて、笑えます。
 当該記事は、下記の「関連記事はこちら」のリンクから参照出来ます。


 その点、"Crazy Heart"は、06年のアルバム、"My Freeholies Ain't Free Anymore"の同名の収録曲と同じ曲です。
 ただし、アレンジが全く違い、別の録音であるのは間違いありません。
 06年版が、アコーディオンの伴奏をメインにした、全面陽気なパーティ・ソングなのに対して、今作での同曲は、同じ陽気なナンバーでも、アコギ(ドブロ?)とフィドル、とりわけフィドルが印象に残る流麗なアレンジに仕上げています。 

 そして、"Joints Really Jumping"は、コンピ・アルバム、"Deep In The Heart Of Texas"で、"Joints Is Jumping"という表記になっていた曲だと思います。
(今、手元にないので気弱な表現ですが…。)
 "Joints Really Jumping"は、本作収録曲の中では、少し毛色が違う、タイトルどおりのホーンを強調したジャンプ・ナンバーです。
 基本的に雰囲気は同じだったと思いますが、"Joints Is Jumping"の方が、よりタイトでテンポが早いジャンプ・ナンバーだったと思います。
 今作でのそれは、ホーンこそ入っていますが、スラップ音も聴こえ、ロカビリーに近いスタイルと言えるかも知れません。

augie meyers3.jpg

 
 その他の曲は、私の知る限り、今回が初出の曲だと思います。
 ですが、決して残り物だとか、一旦没になっていた曲などといった印象を受ける曲はありません。
 いずれも、Augie Meyersらしい、「可愛らしい」曲だと思いました。
 例えが不似合かも知れませんが、私がここで思う「可愛い」とは、大きな熊のぬいぐるみのような無邪気な(?)可愛さです。
 (説明が余計に意味不明ですか?) 

 そして、今作でのカバー曲は次の2曲です。

6. Counting Drops of Rain (Gene Jacoby)
8. God Gave You to Me (Ralph Stanley)

 いずれも、私には初見の曲です。

 "Counting Drops of Rain"は、おそらく、テキサスのカントリー・シンガー、Wade Jacobyのカバーだと思います。
 美しいメロディを持った曲で、原曲は、一時期のナッシュビルのシュガー・コーティングから逃れることが出来た、オールド・タイミー、かつ時を超越したような佳曲だと思います。
 Augieの解釈は、よい曲を素直にやっていて好感が持てます。
 
 一方の"God Gave You to Me"は、作者名から、スタンリー・ブラザーズの作品だろうと思います。
 (ラルフのソロの可能性もありますが…。)
 ソリッドな定型のブルーグラスではなく、ヒルビリー・デュオ風のワルツで、とてもいい曲です。
 ドック・ワトソンやルーヴィン・ブラザーズ好きの私には、この手の曲は大好物なのでした。
 フィドル、マンドリンらのアンサンブルが見事な出来で、おすすめの曲です。

 本盤を、オール・アメリカン・ソング集などと言うと、オーギーは「大げさ過ぎる」と照れるでしょう。
 アカデミックな側面に注目したがるのは、日本人の(悪い)性癖でしょうか。
 オーギーなら、 楽しく歌える、談笑(バカ騒ぎ?)しながら軽く踊れる、そんな音楽集なのだと言うかも知れません。

 フォーキーな曲から、マウンテン・バラッド、ヒルビリー・ブルース、黒っぽいジャンプ、果てはメランコリックなジャグ風まで、聴き返すごとに様々な側面を見せ、新たな魅力に気付かせてくれる、良質のアルバムだと思います。




Dinero
by Texas Tornados




関係記事はこちら

Augie Meyers
オーギーに首ったけ
曲に歴史あり、メキシコへ旅して
曲に歴史あり、セルマからヴェルマ物語
曲に歴史あり、夜の正座ものがたり
曲に歴史あり、ケパソ物語 
三連符の調べで夢見心地
オーギー・マイヤースさん、気をつけて


ぼくの服が マッチ箱に入るなら

 
 赤字追記しました。

 久々に聴きました。
 当時、好きだったんですよね。
 実は私、この人たちのアナログLPを(多分、おそらく、少なくとも!)5枚は持っています。
 そんな私ですが、CDは1枚も持っていませんでした。
 今回、ちょっとしたことをきっかけに、CDを入手したのです。

matchbox1.jpg

The Magnet Records
Singles Collection
Matchbox

Disc 1
1. Black Slacks (Bennet, Denton)
2. Mad Rush (Steve Bloomfield)
3. Rockabilly Rebel (Steve Bloomfield)
4. I Don't Wanna Boogie Alone (Steve Bloomfield)
5. Buzz Buzz A Diddle It (Slay, Crewe)
6. Everybody Needs A Little Love (Steve Bloomfield)
7. Palisades Park (As Cyclone) (Barris)
8. Crazy Haze (As Cyclone) (Major)
9. Midnite Dynamos (Steve Bloomfield)
10. Love Is Going Out Of Fashion (New Version) (Steve Bloomfield)
11. Scotted Dick (Matchbox)
12. When You Ask About Love (Curtis, Allison)
13. You've Made A Fool Of Me (Poke)
14. Over The Rainbow / You Belong To Me (Harburg, Arlen, King, Price, Stewart)
15. Don't Break Up The Party (Steve Bloomfield)
16. Stay Cool (Redhead, Scott, Callan, Poke)

Disc 2
1. Babe's In The Wood (Steve Bloomfield)
2. Tokyo Joe (Callan)
3. Love's Made A Fool Of You (Holly)
4. Springheel Jack (Fanton, Callan)
5. Angels On Sunday (Steve Bloomfield)
6. City Woman (Callan, Scott)
7. 24 Hours (Reed)
8. Arabella's On Her Way (Steve Bloomfield)
9. One More Saturday Night (Hodgson, Peters)
10. Rollin' On (Matchbox)
11. Riding The Night (Hodgson, Peters)
12. Mad Bad And Dangerous (Hodgson, Callan)
13. I Want Out (Featuring Kirsty Maccoll) (Hodgson, Peters, Colton)
14. Heaven Can Wait (Hodgson, Callan)
Bonus Japanese Single
15. I'm A Lover Man (Tadao Inoue, English lyrics by Bill Crutchfield)
16. Little Lonely Girl (Tadao Inoue, English lyrics by Bill Crutchfield)

 
 正直、ほとんど覚えていませんでした。
 ですので、かなり新鮮な気持ちで聴くことが出来ました。
 
 ロカビリーではありますが、かなりポップです。
 オールディーズ系のノスタルジー・バンドに近い楽しさがあります。
 しかし、そのサウンドには(当時)新しさが感じられ、スラッピングの録り方など、すぐ近づいていたネオ・ロカビリーの萌芽を見る(聴く)ことが出来ます。

 本盤は、本年14年に組まれた最新編集盤で、Magnet Records時代のシングルを2枚組にまとめた、大変お得なCDになっています。
 
 オリジナルLPで言いますと、

Riders In The Sky (76年) Rockhouse (ニュージーランド?盤)
Settin' The Woods On Fire (78年) Chiswick (UK)

 の2枚を経て

Matchbox (79年) CDにはボートラ3曲追加
Midnite Dynamos (80年) CDボートラ6曲追加
Flying Colours (81年) CDボートラ3曲追加
Crossed Line (82年)

 以上4枚がMagnet Records(UK)のもので、本盤の対象の時代になります。
 最初の2枚を含めた上記6枚の内、最後の"Crossed Line"のみ、私は持っていません。(これは間違いないです。)
 また、その"Crossed Line"のみ、現時点では未だCD化されていません。
 追記:どうやら、Bear Familyから、Flying Colours+Crossed Lineという2in1盤が出でいるようです。

 ちなみに、この後、Magnetとの契約が切れ、次のアルバム、"Comin' Home"(98年)を出すまで、何と約16年のインターバルを要することになったのでした。(一旦解散、もしくは休業状態だったかも知れません。)
 そして時代は移り、CD時代になっていくのでした。

 私が今回、Matchboxに関心を寄せることになった原因は、2つあります。
 まず、あるコンピCDで、"Seventeen"というMatchboxがカバーした曲の原曲を聴いて感激したこと。
 (狙ったわけでもなく、不意打ちのように、こういう曲に出会うと興奮します。)

 そして、スウェーデンのロカビリー、R&Rバンド、Simon Crashly & The Roadmastersの最新作で、"Harricane"のカバーを聴いたことです。
 "Harricane"は、Matchbox"の中心人物、リード・ギターリストのSteve Broomfieldが書いたオリジナル曲です。

 これら2つの出来事が相次いで起こったため、Matchboxを聴きたい症候群が発生していたのでした。
 しかし、LPを引っ張りだすことは出来ればしたくありません。
 (ここ2年ほど、LPは全く触っていないため…。ぶるる)

 そんな時、この新しい編集盤の存在を知ったのでした。

 あの懐かしい代表曲がズラリ並んでいて壮観です。

Disc 1
1. Black Slacks
3. Rockabilly Rebel
5. Buzz Buzz A Diddle It
6. Everybody Needs A Little Love
9. Midnite Dynamos
12. When You Ask About Love
Disc 2
3. Love's Made A Fool Of You
14. I'm A Lover Man
15. Little Lonely Girl

 なかでも、"Rockabilly Rebel"、"Buzz Buzz A Diddle It"、"Midnite Dynamos"、"When You Ask About Love"などは、英本国での代表ヒットでしょう。
 いずれもDisc1に収録されていますが、実はDisc2も、内容的に決して負けてはいません。

 私は、これらを聴いて、久々に胸が熱くなりました。
 しかも、他にも美味しい曲があるのです。

 本盤未収録の曲では、The Blastersの"Marie Marie"、Joe Crayの"Sixteen Chicks"、Buddy Hollyの"Tell Me How"、Richie Valensの"C'mon Let's Go""なんかもレパートリーです。 
 "Marie Marie"は、本家やShakin' Stevens盤が上かも知れませんが、総じて良い出来の作品が多いです。
 
 さて、Magnet時代のLP4枚プラスCDに追加収録されたボートラ12曲を含む全62曲のうち、本2枚組にはほぼ半数の曲が収録されています。
 本盤はシングル・コレクションであるため、代表曲は網羅しています。
 しかし、アルバムのみの収録曲に良曲があることはよくあることです。
 ちなみに、前述した、"Seventeen"、"Harricane"は、いずれも3rdアルバム(Magnetの1枚目)、"Macthbox"収録曲ですが、本盤には未収録です。

 逆に、本CDでしか聴けない曲もあります。
 未CD化の"Crossed Line"からは5曲がセレクトされていて、現時点では貴重です。
 この"Crossed Line"から、それまでの中心人物、Steve Broomfield(g)が脱退し、新加入したメンバー、Brian Hodgson(b)が作曲の中心を担っていて、これがなかなか良くて新鮮です。
 1曲名前をあげるなら、"One More Saturday Night"でしょうか。
 他の曲も良いです。

 そして、日本盤LPにのみ追加収録されていた2曲が、本盤で聴くことが出来きるのですが、これは、あるいは英国初登場かもしれません。

I'm A Lover Man
Little Lonely Girl

 の2曲です。

 この2曲は、いずれも元ブルーコメッツの井上大輔(井上忠夫)氏の作品で、Bill Crutchfieldという人が英詞をつけているようです。
 サントリー(Suntori Beerと表記)のCMソングだったと、ブックレットのライナーで触れられています。
 また、日本語タイトルを"Bi Ri Te N Go Ku"だとして、Rockabilly Heavenという意味だと解説しています。
 どこかで"Ro Ka"が行方不明になったようで面白いです。

 この2曲も、やはり懐かしくて涙がでそうです。
 とりわけ、"I'm A Lover Man"は、マンブル風の口ごもった歌い方から始まるのがかっこよく、怪しげなエコーの中、しゃくりあげるヒーカップ唱法まで、日本人がイメージするロカビリーの典型そのもので、最高にムネアツです。

 このバンド、実は地味に現役のようで、しかも全盛期(Magnet時代)のメンバーが再結成しているようなので、またおっかけてみようか、なんて思いだしているこの頃です。



Rockabilly Rebel
by Matchbox



Midnite Dynamos
by Matchbox



I'm A Lover Man
by Matchbox




 関連記事はこちら

Shakin' Stevens
シェイキー、霧の中の結末
シェイキーの青空の使者
僕のシェイキーに何か
シェイキーのマンハッタン・メロドラマ
シェイキー、日の出に旅立つ
シェイキー、理由ある反抗
シェイキーの陽気にいこうぜ 
シェイキーのロッキン・クリスマス
テイク・ワン
ジス・オール・ハウス
やっかいごとはごめんだよ      
終わりだなんて言わないで      
涙はほんの少しだけ

The Blasters
前門の爆風、後門の狼

Simon Crashly
ロック、スウェディッシュ・ロール
ロックパイルが北欧に残した芽




ごきげん医師は 海賊の末裔

 今、北欧が面白い 
 全く個人的な思いですが、そう感じています。

 80年代、メジャーを離れたDoug Sahmは、北欧のレーベルの誘いを受け、自由な発想でアルバムをリリースしました。
 その作品は、適度にポップで、かつ適度にマニアックという、まさにファン感涙の絶妙なブレンドで創られていました。

 90年代後期以降のDave EdmundsやBilly Bremnerら、パブ・ロック系のアーティストもまた、似た状況をうかがうことができます。
 Sean Tylaもそうです。
 彼らは、なぜ北欧へ向かい、あるいは迎えられ、新たな活躍の場を得ることが出来たのでしょう。
 彼らが優れたアーティストであるのはもちろんですが、受け入れる土壌があったのだと思います。

 私好みのアーティストが、北欧で一定の成果を残している、このことは、私のかの国への愛着を育てました。
 そして、そこでの彼らの活動は、小さな歩みでも着実に芽吹き、今に続いている、そう感じます。

 そんな例のひとつ、新たな芽が今回のバンド、The Spellkastersです。
 
spellkasters1.jpg

Kastin' The Spell
The Spellkasters

1. Louise, Louise (Lasse Schill)
2. I Can Tell (Samuel Smith, {Ellas McDaniel})
3. Coming Home (Pete Edmunds)
4. Bad Blood and Voodoo (Pete Edmunds)
5. Casting My Spell (Edwin Johnson, Alvin Johnson)
6. Vodka Headed Woman (Pete Edmunds)
7. Going Back Home (Wilko Johnson, Mick Green)
8. Valley Girl (Pete Edmunds)
9. All Through The City (Wilko Johnson)
10. Rollin' and Tumblin' (McKinley Morganfield)
11. Ain't Getting Mad (Pete Edmunds)
Bonus Track
12. Don't Munchen It (Mick Green, Johnny Spence)
13. Gibson Martin Fender (Mick Green)

 本作は、今年14年にスウェーデンのAngel Air社からリリースされた、本バンドのデビュー・アルバムです。
 メンツは、以下のとおりです。

Pete Edmunds : lead vocals, guitar, harp
BJ Anders : bass, vocals
Romek Parol : drums, percussion

 ギター1本からなるロックンロール・トリオで、その音楽性は、The Pirates、Dr.Feelgood直系のハード・ロッキンR&Bです。
 曲目をご覧下さい。
 いかにもな、ナンバーが並んでいますよね。
 悪いはずがないですよね、楽しみましょう。
 以上。

 それで終わりたいところです。
 実際、理屈より、Don't Think, Feel It のバンドでしょう、

 ですが、本盤を聴いた私から、おせっかいなトリビアをいくつか紹介させてください。

 彼らは海賊の末裔です。
 (突然ですみません。)
 傍系かも知れませんが、正統性を主張できる材料もあります。
 なぜなら、リズム隊の二人、ベースのBJ・アンダース、ドラムスのロメック・パロルは、90年代にパイレーツの一員だったのです。

 (以下、未確認情報、推測を含みます。)

 彼らとMick Greenによる編成で、私の知る限りでも、2枚のアルバムを出しています。
 私の手元にあるアルバム、The Piratesの"Rock Bottom"(01年)と、"Land of The Blind"(99年)がそれです。
 なぜ、"Rock Bottom"を先に書いたかと言いますと、"Rock Bottom"は、録音が95年で、未確認ですが、フィンランドのレーベルから出された、"We've Been Thinkin'(96年)の再発ではないか、と私は考えているからです。
 (事実をご存知の方がいらっしゃったら、ご教示いただければ嬉しいです。)

 The Piratesは、Johnny Kid & The Piratesとして60年代半ばまで4人組で活動し、その後、70年代後半に、Mick Green(g)、Johnny Spence(b,vo)、Frank Farley(d)のトリオで再結成されました。
 そして、05年頃、病気引退したFrank FarleyからMike Robertsへとドラムスの交替はありましたが、10年のMick Greenの死をもって自然と活動停止するまで、Dr.Feelgoodの兄貴格として活躍していました。

 …と、私は深く考えずに思っていたのですが、実はそんな順風満帆な歴史ではなかったようなのです。

 Green、Spence、Farleyのトリオの最初の活動期は。どうやら76年から83年頃と、案外短いようです。
 その後、99年頃に再結成し、Farley→Robertsの交替はありましたが、Greenの死亡まで続いたのだと思います。
 では、83年頃から99年頃までの間、彼らはどうしていたのでしょう。

 私の知る限り、アルバムで判断できるのは、Mick Greenを核に別の編成でPiratesが活動していた、ということで、元のリズム隊については、よく分かりません。

 80年代後半からの数年間(?)は、Johnny Gustafson(b)、Geoff Britton(d)とMickのトリオでPiratesを名乗って活動していたのではないか、と思います。
 "Still Shakin'"というアルバムが、その時代を記録したものだと思います。
 (持っていないので、こういう表現にしています。)
 
 88年に来日した際は、ドラムスがLes Sampsonに代わっていましたが、"Live In Japan"としてアルバムが作られました。
 (私が持っている日本盤の裏ジャケ写真は、"Still Shakin'"のものを使いまわしているため、Geoff Brittonが写っています。)

 その後先述のとおり、90年代には、本盤のリズム隊で2枚のアルバムを創っています。
 "Rock Bottom"と"Land of The Blind"です。
 この間、これら2組以外にも、アルバムを残せなかったトリオがあるかも知れません。
 さらに、もしかすると、未知のメンバーと創った私の知らないアルバムがある可能性もあります。
 しかし、最終的には、Mick Green、Johnny Spence、Frank Farleyのトリオに帰結していくのでした。

 Mick Greenが亡くなったのは10年ですが、最後のオリジナル盤は、おそらく06年の"Skullduggery"ではないかと思います。
 Doctor's Orderが、Mick Greenをゲストにして創ったミニ・アルバム、"Cutthroat And Dangerous"は07年のリリースでした。
 そして、Johnny Spenceが、Johnny Spence & Doctor's Order名義の1枚目、"Full Throttle No Brakes"を出したのは09年です。
 これらから、Mick晩年の大まかな流れが見えてくる気がします。

spellkasters2.jpg


 さて、寄り道が長くなりました。
 海賊の末裔の意味を説明しようとして、こんなことになりました。
 
 本盤について、まず気になるのは、フロントマンのギタリスト、Pete Edmundsです。
 この人は、名前が英語風ですが、素直に英国人でいいのでしょうか。
 Wilkoの古くからの友人らしいです。
 突然現れたこの人、私は全く知らないので、過去のキャリアなど知りたいです。
 ギターのスタイルは、MickよりWilkoに近く、バンドもDr.Feelgoodに近いかも知れません。

 そして、ベーシストのBJ Andersですが、本盤のプロデュースをしています。
 また、バンドのワールド・ツアー(?)に併せ、本盤制作を最後に、バンドを脱退したということです。
 理由は、スタジオの運営や関連会社の経営に支障が出るからということらしいです。

 ここでまた、私の推測を述べさせてください。
 BJ Andersは、英語風の名乗りを使うためのステージ・ネームで、本名は、Bjorn Almquistというスウェーデン人ではないか。

 BJ Andersのファースト・ネームが、Bjorn(ビヨルン、若しくはビヨン)であることは、明かされていました。
 BJのJは、ミドルネームではなく、Bjornの短縮形の一部というわけです。

 Bjorn Almquistというのは、Piratesがスウェーデンで録音したアルバム、"Land of the Blind"のプロデューサーの名前です。
 つまり、プレイヤーとしてはBJ Andersという英語風の名前を使い、プロデューサーとしては本名を名乗って、使い分けしていたのではないかと考えたのです。
 今回のメンバー脱退、スタジオや会社運営への専念という事実が、私にこのような想像をさせました。

 さて、ようやく本盤の中身に触れたいと思います。
 "Rock Bottom"、"Land of the Blind"を聴かれた方は、あるいは予断を持たれるかも知れません。
 かの2作は、Piratesとしては少し変化球的なサウンドのアルバムでした。
 そこから、今作もそれに近いのではないか、と私も思いました。
 しかし、実際の音は、シンプルなDr.Feelgood、The Piratesのパブリック・イメージとおりのサウンドでした。
 これは喜ばしいです。

 1曲目の"Louise, Louise"から、かっこいいハード・ロッキンR&Bで痺れます。
 ちなみに、有名なルイ・ルイではなく、ルイーズ、ルイーズです。

 以下、Pete作のオリジナルを挟みつつく、Pirates、Feelgoodのカバーが、期待どおりのビートを展開してゆきます。
 今の私の気分では、"All Through The City"が一番のお気に入りです。
 Peteのオリジナルに、もう少し魅力的なフックが加えられたら、さらに飛躍できるバンドじゃないかと思いました。

 当分は、引き続き北欧に注目します。

 PS
 本盤には、以下のような謝辞が記されています。
 
 Inspired by Wilko、Lee、Gypie and Stevie
 This album is dedicated to Mick Green
(Gordon Russellの名前がないのが(私は)解せませんが…。)


Castin' My Spell
(Kastin' My Spell On You)
by The Spellkasters

 

'ウィルコ歩き'まで真似してる?


Louise Louise
by The Spellkasters




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The Refreshments
ブギウギ マエストロ
ベリー・ソングの詰め合わせ
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生鮮! 懐メロジュークボックス

Simon Crashly
ロック、スウェディッシュ・ロール
ロックパイルが北欧に残した芽

Billy Bremner
スカンジナビアからロッキン

Finland
Love Messengers
遥かなる スオミからの便り

Doctor's Order
老海賊 ハーレーを駆る
進撃の赤い鼻
爆走! トナカイ・ビート

Pete Gage
タフでなければ 優しくなれない

手風琴の壁

 今回は、こちらのバンドを聴きました。
 デビュー当時、Tex-Mex Beatlesと評された、The Krayolasのアルバムです。
 Krayolasは、サンアントニオを拠点とするChicano R&Rバンドで、Augie Meyers、Doug Sahm、そして彼らの周辺アーティストらと古くから交流があるようです。

 本作は、最初は新作かと思ったのですが、実は過去作からのセレクションに、新曲4曲を加えた編集盤でした。
 また、比較してはいないのですが、もしかすると一部(あるいは全曲?)ミックス違いが含まれているかも知れません。
 しかし、ほとんど初めて聴いたような感覚で聴けました。
 これを喜ぶべきかどうか、心中は複雑です。

krayolas3.jpg

Tormenta
The Krayolas

1. Americano (Hector Saldana)
2. Fruteria (The Fruit Cup Song)(Hector Saldana)
3. Quiero Ser Tu Novio (Spanish)
4. La Inundacion De Piedras Negras (Hector Saldana)
5. Wall of Accordion (Hector Saldana)
6. Under One Roof (Hector Saldana)
7. Little Fox (Augie Meyers)
8. Corrido - Twelve Heads in a Bag (Hector Saldana)
9. Exit / Salida (Hector Saldana)
10. La Conquistadora (Hector Saldana)
11. Tony Tormenta (Hector Saldana)
12. Bird Don't Fly Away (Hector Saldana)
13. Piso Diez (Hector Saldana)
14. I'm Your Dirty Mexican (Hector Saldana)
15. Lala La Lala (Hector Saldana)
16. Lazy Afternoon (Hector Saldana)
17. Epitaph Street (Hector Saldana)
18. Canicas (Hector Saldana)
19. I Wanna Be Your Boyfriend (Bilingual) (Joey Ramone)
20. Home (Hector Saldana)
Bonus Track
21. All I Really Want To Do (Bob Dylan)

 本作は、13年にリリースされたもののようですが、私は最近まで知りませんでした。
 Krayolasは、現在までに、(CD時代になってから)私の知る限り6枚のアルバムと2枚のミニ・アルバム(若しくはマキシ・シングル)があります。
 以下のとおりです。

Best Riffs Only (07年) 過去(77〜88年)のシングル等をコンパイルしたアルバム
Little Fox (07年) 4曲入りマキシ・シングル("La Conquistadora"に2曲収録)
La Conquistadora (08年) 初のオリジナル・アルバム(多分)
Long Leaf Pine (No Smack Gum) (09年)
Americano (10年)
Tipsy Topsy Turvy (11年)
Canicas-Marbles (13年) 8曲入りミニ・アルバム、全曲"Tormenta"に収録
Tormenta (13年) 本作、既発からのセレクトに新曲を加えた編集盤

 私は、このうち、"Little Fox"と"Tipsy Topsy Turvy"の2枚が未入手なのですが、特に"Tipsy Topsy Turvy"が気になっています。
 今回の"Tormenta"とは一切ダブっていないからです。
 編集盤に1曲もチョイスされなかった理由が、むしろ気になります。

 おさらいをしておきましょう。
 バンドの編成は以下のとおりです。

Hector Saldna、リズム・ギター、リード・ホーカル
David Saldana、ドラムス、ハーモニー・ボーカル(曲によりリード・ボーカルも)
Van Baines、リード・ギター、ペダル・スチール、ハーモニー・ポーカル
Abraham Humphrey、ペース

 ギター2本からなるギター・バンドです。
 ここに、しばしば、オルガンやサックスなどがゲスト参加します。
 その代表が、Augie Meyers(key)であり、Louie Bustos(sax)とAl Gomez(tp)らのWest Side Horns勢(旧Doug Sahm人脈)です。

krayolas2.jpg


 さて、本作をざっと聴いたところ、可愛いらしい曲が多いという印象を持ちました。
 可愛いらしいというのは、性急感や反抗心といった、ロックの一部のイメージとは合わない、のどかでほんわかした感じを指しています。
 比較的、ミディアム・テンポの曲が多いうえ、アコーディオンのゆったりした響きがからむ曲などの印象が強いからかも知れません。
 
 そんな中、今作の私の注目曲は、以下のとおりです、

3. Quiero Ser Tu Novio (Spanish)
5. Wall of Accordion (Hector Saldana)
6. Under One Roof (Hector Saldana)
14. I'm Your Dirty Mexican (Hector Saldana)
19. I Wanna Be Your Boyfriend (Bilingual) (Joey Ramone)
21. All I Really Want To Do (Bob Dylan)

 3曲目の"Quiero Ser Tu Novio"は、本盤が初出の4曲のうちの1曲です。
 実は、19曲目のラモーンズのカバー、"I Wanna Be Your Boyfriend"(英語、スペイン語のちゃんぽん版)の完全スペイン語バージョンで、おそらくリズム・トラックは同じものだと思います。
 黒い皮ジャンだとか、不良だとか、バイクだとか、全く連想できない、ポップ・ソングに仕上がっています。

 5曲目の"Wall of Accordion"は、出落ち的なネタが(初めて気づいた時には)面白かった曲です。
 フィル・スペクター風のドラム・イントロから始まる曲で、音の壁ならぬ、手風琴の壁ということでしょうか。
 全体的に、アンダー・プロデュース風な曲が多く感じる中、色々と工夫を凝らしたアレンジになっています。
 "Americano"(10年)初出の曲です。

 6曲目の"Under One Roof"は、本盤初出の曲です。
 アコーディオンがアレンジの柱になる曲で、フォーキーな雰囲気で進行する、ゆったりしたアクースティック・ナンバーです。

 14曲目の"I'm Your Dirty Mexican"は、やはり本盤初出の曲です。
 オルガン伴奏がメインの曲で、歌詞はなく、時折り「ラーララ」というコーラスが入る、聴き方によってはアシッド、またはノベルティック(?)な、グルーヴィー・ナンバーです。
 タイトルの意味は、うかがい知れません。

 最後はボートラで、ディランのカバー、"All I Really Want To Do"です。
 本盤が初出の曲です。
 あっという間に終わる短い構成の曲ですが、タイトな伴奏、厚みのあるコーラスなど、初期のコレクション・アルバム、"Best Riffs Only"に入っていても違和感のない、若さを感じさせる、力強いフォーク・ロックに仕上がっています。

 そろそろ、完全新作のリリースを期待します。



La Conquistadora
by The Krayolas




関係記事はこちら

The Krayolas
マージーでフォーキー、そしてテキサス
テックス・メックス・ビートルズ



遥かなる スオミからの便り

 最近、ビート・バンドをよく聴いています。
 そして、それがなぜか北欧のバンドだったりします。
 別に意識してチョイスしているわけではありません。

 私は普段、ロックよりも、古いブルースやR&B、サザン・ソウルなどを聴くことが多いです。
 そんな私ですが、最近、バイオリズムがロックを聴く体調になっているらしく、その流れが当ブログの再開のきっかけとなり、そして、ここ何回かの記事になりました。

 ただ、なぜか普通に英米のロックを聴いていないのが不思議です。
 ちなみに、現在、本盤と並行して聴いているCDは、スウェーデンのビート・バンドとイタリアのジャンプ、スイング・バンドです。 
 
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We Said We Said
Love Messengers

1. Save My Soul (Dee Christopolus, John Kelman)
2. Don't Look Back (Billy Vera)
3. Handbags And Gladrags (Mike D'Abo)
4. I Need You (Ray Davies)
5. She Said Ride (Steve Kipner, Steve Grovers)
6. Security (Otis Redding)
7. Answer To Life (Pembroke)
8. Your Body Not Your Soul (Eelco Gelling, Harry Muskee)
9. Can't Help Thinking About Me (David Bowie)
10. I Can Tell (Ellas McDaniel)
11. War Or Hands Of Time (Mick Bower)
12. Coast To Coast (Sean Tyla, Nick Garvey)
13. Love Hound (Dennis Linde, Alan Rush)

 今回聴いたのは、フィンランドのビート・バンド(R&B系パブ・ロック風)で、「愛の使者」という気恥ずかしい名前を持つ、イカツイおっさんのバンドです。
 本作は、10年にリリースされました。
 
 いつものように、メンバー、編成をご紹介します。
 以下のとおり、ギターは1本で、キーボードを擁する4人組です。

Jussi Reunamakr : keyboards
Keith Hall : drums
Timo Paakko : guitar, vocals
Tarmo Lehtonen : bass

 例によって、カナ表記に迷うような名前が多いですね。
 ドラムスのみ、英語圏のような名前ですが、北欧のミュージシャンで、ステージ・ネームを英語風にしている人が案外いるようなので、油断はできません。

 さて、先ほど、R&B系パブ・ロックと書きましたが、そんな風なイメージを持っていただければ、ほぼ間違いありません。
 重ねて、本バンドの姿を伝えるとすれば、3つのキーワードが浮かびます。
 それは、60s British Beat、Dr. Feelgood、Lenny KayeのNuggetsです。

 初めの2つのワードは説明不要ですね。

 レニー・ケイのオリジナル・ナゲッツは、60年代の半ば、ブリティッシュ・インベイジョンの襲来で衝撃を受けた米国のティーン達に、いったい何が起こったかをドキュメントした、優れた仕事でした。
 あのコンピレーションに、大きな影響を受けた人は多いと思います。

 70年代パブ・ロックの雄、Count Bishopsは、1stアルバムで、Standellsの"Sometimes Good Guys Don't Wear White"をカバーしました。
 Inmatesは、やはり1stで、Standellsの"Dirty Water"をカバーしています。
 御大Dr.Feelgoodは、Strangelovesの"Night Time" をやっていたはずで、これらは、いずれもNuggetsで広く知られるようになった曲だと思います。

 ブリティッシュ・ビートの本家である英国の若者たちが、一回りして、米国のガレージ・パンクに逆に感化されたわけで、ナゲッツは、それも当然と思える魅力的な音が詰まったコンピでした。

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 さて、それらを踏まえて、本盤の(私の)注目曲は、以下のとおりです。

2. Don't Look Back (Billy Vera)
4. I Need You (Ray Davies)
6. Security (Otis Redding)
10. I Can Tell (Ellas McDaniel)
12. Coast To Coast (Sean Tyla, Nick Garvey)
13. Love Hound (Dennis Linde, Alan Rush)

 まず、"Don't Look Back"です。
 この曲は、くだんのナゲッツの収録曲で、ボストンの学生バンド、Remainsのナンバーです。
 渋いチョイスで、私は、正直、あまり注目していなかった曲ですが、これを契機に興味がわいてきました。
 時代の熱気を感じさせる曲だと思います。

 続いて、Kinksの"I Need You"です。
 これまた渋い選曲です。
 あまたあるKinksの曲の中でこの曲を選んだのは、もしや、Count Bishopsの影響でしょうか?
 ビショップスの1stの1曲目を飾ったのは、この曲のヘヴィなカバーでした。
 初期キンキー・サウンドは、ハード・ロッキンなR&Bバンドにぴったりだと思います。

 次は、"Security"です。
 オーティス・レディングのカバーで、さすがにボーカルはつらいですが、健気なビート・バンド・アレンジの演奏に、頑張れと声援を贈りたくなります。

 そして、"I Can Tell"の登場です。
 この曲は、人気ありますよね。
 ボー・ディドリーは、60年代ビート・バンドがこぞってカバーしていましたが、この曲の北欧での人気は、やはりDr.FeelgoodやPiratesのカバー盤によるところが大きいでしょう。
 ここでも、Dr.Feelgood風のギターが聴けます。

 そしてそして、何と"Coast To Coast"です。
 私は、あくまで個人的な思いではありますが、本作のハイライトと言いたい曲です。
 Ducks DeLuxeのカバーで、作者は、ダックスのメンバーのSean TylaとNick Garveyです。
 Love Messengersのダックスへの愛情が感じられるカバーだと思いました。

 ラストは、"Love Hound"です。
 Dr.Feelgoodが、Nick Loweのプロデュースでリリースしたアルバム、"A Case Of The Shakes"(80年)の収録曲です。
 かの盤は、オーティス・ラッシュのカバーもありましたが、ニックの制作は全体的にブルージーさは抑え気味で、タテにもヨコにも乗れるような、スピード感あふれるロックンロール・アルバムでした。
 Gypie Mayoは、もっとソロが弾きたかったかも知れない、と想像します。
 思い入れが先行する私は、今作のカバーに甘い点数を付けています。

 本盤は、私の経験からいって、初見だけでは、人見知りのように無愛想かも知れず、何度か聴いて自然と旨みを味わっていくのが正解なのかな、などと思っています。




Love Hound
by Love Messengers




関連記事はこちら

Nuggets
from英to米、and to英again
ほら吹き半ズボン


キッズ アー アイリッシュ オール モルト

 いやー、どうもです。
 ようやく私も聴きました。

 久々ですね。
 ロックの大御所なら別ですが、ロック雑誌の表紙を飾るような新人(まだ、そうですよね)のバンドを聴いたのは…。
 なにしろ、ティーンネイジャー、それも、やっとこさ中坊終わったような子どもらなんでしょ。
 えっ、17歳くらい?
 どっちにしても若いよね。

 それで、リズム&ブルースが好きで、60年代のビート・バンドや、70年代のパブ・ロックに傾倒しているなんて素敵すぎる。
 オールド・ファン感涙もののksgkたちですね。
 やっぱり、一部のビート・バンド好きたちの間では、結構盛り上がっているのかな?
 
strypes1.jpg
 
Snapshot
The Strypes
 

1. Mystery Man (Evan Walsh, Josh McClorey, The Strypes)
2. Blue Collar Jane (Album Version)(Josh McClorey, The Strypes)
3. What The People Don't See (Album Version)(Josh McClorey, The Strypes)
4. She's So Fine (Josh McClorey, The Strypes)
5. I Can Tell (Album Version)(Elass McDaniel, Huey 'Piano' Smith)
6. Angel Eyes (Josh McClorey, The Strypes)
7. Perfect Storm (Josh McClorey, The Strypes)
8. You Can't Judge A Book By The Cover (Album Version)(Willie Dixon)
9. What A Shame (Josh McClorey, The Strypes)
10. Hometown Girls (Album Version)(Josh McClorey, The Strypes)
11. Heart Of The City (Nick Lowe)
12. Rollin' And Tumblin' (Niall Walsh, The Strypes, Mckinley Morganfield)
13. I'm A Hog For You Baby (Jerry Leiber, Mike Stoller)
14. Monkey (Cris Difford, Glenn Tilbrock )
15. Shot Down (Gerry Roslie)
16. It Ain't Right (Walter Jacobs)(Live At King Tuts, Glasgow/2013)

 今回は、アイルランドのビート・バンド、The Strypesの1stアルバム、"Snapshot"(13年)を聴きました。

 ジャケ写をご覧ください。
 子どもですよね。
 欧米には、(日本でいう)アイドルはいないそうですが、この雰囲気だけを捉えれば、我がクール・ジャパンが輸出する、"Kawaii"じゃないでしょうか。

 でも、このルックスで、Dr. FeelgoodやCount Bishopsみたいな音を出すなんて、天然記念物ものです。
 白人のガキんちょが踏ん張る、青いボーカル(green voice)が好みすぎます。

 さらに、彼らの音からは、60年代ビート・バンドのような、青臭くてもひるまず、ひたすら頑張るR&Bの解釈や、70年代のR&B系パブ・ロック・バンドのような、パンクに通じる性急さ、疾走感溢れるスタイルが容易に連想されます。

 私は、全体の雰囲気から、一部の方が言っている(らしい)意見、「ビートルズの若いころみたい」に、現時点では激しく同意します。
 (彼らのPVを見て、(恐らくは監督の狙いどおり)、見事に感化されました。)

 さて、バンドのメンツ、編成は以下のとおりです。
 ボーカル、ギター、ベース、ドラムスからなる、4ピース・ギター・バンドです。 

Ross Farrelly : lead vocals, harmonica, percussion, guitar on 6,9
Josh McClorry : lead guitar, slide guitar, backing vocals, lead vocals on 4,7
Pete O'hanlon : bass, harmonica on 2, 12, keyboards on 9
Evan Walsh : drums, percussion, keyboards on 9

 ボーカルのロス・ファレリーの青い声と、ドライブするブルース・ハープ、そして、オリジナルのほとんどを書いている、ジョシュ・マクローリーによる、存在感たっぷりに駆け回るリズムとスライドのプレイが、このバンドの看板です。
 疾走するビート・ナンバーでありながら、メロディックな曲が多いのも特徴です。
 こういうものをこそ、私はポップと言いたいです。

strypes3.jpg


 さて、収録曲ですが、オリジナル、カバーを含めて、とても聴かせます。
 というか、現時点では、オール・オリジナルではなく、この形がベストかな、と感じました。

 (小声で)
 「オリジナルに、まだバリエーションが少ない。
 今なら、粒よりの好曲ぞろいといわれそうだけど…。
 オール・オリジナル(若しくはそれに近い形)で打って出たときの評価が勝負かな。」

 オリジナルで特に耳に残ったのは、現時点では以下の曲です。

1. Mystery Man (Evan Walsh, Josh McClorey, The Strypes)
2. Blue Collar Jane (Album Version)(Josh McClorey, The Strypes)
4. She's So Fine (Josh McClorey, The Strypes)
7. Perfect Storm (Josh McClorey, The Strypes)
10. Hometown Girls (Album Version)(Josh McClorey, The Strypes)

 R&B系パブ・ロックあたりをスタートにして、表面には出ていませんが、その後のロックの発展を消化して血肉にした感じです。

 私は、冒頭の2曲、"Mystery Man"、"Blue Collar Jane"が、本作の顔になる曲ではないかと思います。
 いずれも、オールド・ファンが喜びそうな(私は喜んだ)ハード・ロッキンR&Bです。

 ところで、虚心で選んだのですが、"She's So Fine"と"Perfect Storm"の2曲が、ギターのジョシュのボーカル曲でした。
 ロス・ファレリーの声を「青い」と言いましたが、ジョシュ・マクローリーは、それに加えて「可愛い」です。
 もう一人のボーカルまで「良い」と感じるなんて、これはもうファンになったかも…。
 
 そして、"Hometown Girls"は、ポップな味付けが若干強めな曲です。
 とんがったコーラスの感じなどから、私はThe Knackを思い出しました。

 さて、カバーにも触れます。
 すべて注目といいたいですが、ここでは(これでも)絞り込んで、以下の曲に焦点を当てます。

5. I Can Tell (Album Version)(Elass McDaniel, Huey 'Piano' Smith)
8. You Can't Judge A Book By The Cover (Album Version)(Willie Dixon)
11. Heart Of The City (Nick Lowe) 
13. I'm A Hog For You Baby (Jerry Leiber, Mike Stoller)
14. Monkey (Cris Difford, Glenn Tilbrock )
15. Shot Down (Gerry Roslie)

 ポー・ディドリー関連の2曲、そして、コースターズの"I'm A Hog For You Baby"、さらに、ディフォード&ティルブルックの"Monkey"まで、これらは間違いなく、Dr. Feelgood経由で、彼らのお気に入りになった曲でしょう。
("I Can Tell"では、期待通り、Wilko Johnson風のギターが聴けます。)

 ここからあえて1曲に絞るなら、"Monkey"が(私には)ベストです。
 "Monkey"は、もともと大好きだった曲ですが、ここでの演奏も性急感たっぷりに、突っ込み気味に迫るバンド全体のノリが、オリジナル(82年、"Fast Women Slow Horses"収録、Dr.Feelgood、(gt)=Johnny Guitar)に負けないかっこよさです。

 そして、15曲目の"Shot Down"は、Sonicsのカバーのようですが、1stを2枚持っている(得意のダブリ買い)けれど、2nd以降は持っていない私は、早速検索したのでした。(YouTubeで聴けました。)
 
 今後についてですが、現時点では、オリジナルにこだわらず、本作のようなバランスで、カバーの好曲を交えたアルバム作りをしていってほしいと、おじさんである私は思うのでした。
 


Mystery Man
by The Strypes



Blue Collar Jane
by The Strypes



Got Love If You Want It (Live)
by The Strypes




PS
"I Can Tell"の作者名に、Huey 'Piano' Smithのクレジットがあるのが気になります。

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