2014年09月29日
進撃の赤い鼻
今回は、前回に言及しました、「ここ最近で、ダブリ買いしてしまったCD」を取り上げたいと思います。
今回の主人公、Doctor's Orderは、00年に自主レーベルからCDデビューしたフィンランドのバンドで、The Pirates、Dr.Feelgood直系のグッド・ロッキンなビート・バンドです。
彼らの最新作が、この9月26日に発売とのことで、予習のつもりで直近作を聴こうとしたところ、持っていたはずのアルバムが見当たりません。
「ジャケット写真に見覚えがあるんだけどなあ…、勘違いかな」とつぶやきながらもオーダーしたところ、ある日、ポロリと現物が出てきて、ダブリが発覚したのでした。
今回発覚したダブリ3枚のうち、唯一未だ到着していないCDです。
誤ってダブリ・オーダーしてしまったCDの到着を待つのって、何とも切ないんですよね。
(もっと言えば、気持ちとしては待ってなどいないし、むしろ忘れたいし…。)
最新作はといえば、発売前に予約オーダーしたのですが、どうもバックオーダーになっているようで、本日現在、まだ発送されていません。
1. Serious (Hamalainen, Nattila, Oikarinen)
2. And The Show Goes On (Hamalainen, Nattila, Oikarinen)
3. If You Don´t Shut Up (I'll Find Somebody Who Will) (Hamalainen, Nattila)
4. Gonna Bop Till I Drop (Raymond Dorset) / featuring Mungo Jerry
5. Just Me, Myself And I (Nattila)
6. Stop Sneakin' Around (B. Night) / featuring Pete Gage
7. We Do Mean Business (Hamalainen, Nattila, Oikarinen)
8. Tore Down (Freddy King) / featuring Johnny Spence
9. Great Mick Green (Nattila)
10. Legato Grande (Hamalainen)
11. Had Enuff (Hamalainen, Nattila)
Bonus Tracks
Live At International Gastro Blues Festival 2012
12. So It Is (Hamalainen)
13. Big Bad Doc (Hamalainen, Nattila)
14. Los Mas Rapidos (Hamalainen, Nattila)
15. Great Balls Of Fire / Balinka / Whole Lotta Shakin' (Blackwell, Hammer / Rio / Williams)
16. How Do You Sleep At Night (Hamalainen, Nattila, Vaatainen)
17. When The Shit Hits The Fan (Nattila)
本作は、ダブリでしたが、どうも未聴だったようです。(…と思います。)
本作は、13年にリリースされたもので、11曲の新曲に、12年にハンガリーで行われたブルース・フェスでのライヴ音源6曲を加えた内容になっています。
自主レーベル発のアルバムと、Goofin Recordsからの最初の2枚は、既に入手困難で持っていないので、ライヴ音源でも初期の曲が聴けるのはうれしいです。
さて、バンドの編成をおさらいしましょう。
メンツは以下の通りで、トリオ編成の3ピース・ギター・バンドです。
Grande-Archie Hamalainen : guitar
Teddy Bear Nattila : bass and vocals
Mighty Man Oikarinen : drums and backing vocals
近作の2枚は、ここに(元?)The PiratesのJohnny Spenceが加わり4人組として、Johnny Spence & Doctor's Order名義でリリースしており、最新作もこの編成です。
トリオ編成と人数が少ないため、多分意識してヘヴィなサウンドを出していて、重戦車のようなたたずまいを感じさせる、ハード・ロッキン・ビート・バンドとでも呼びたいサウンドです。
金太郎飴のような、Mick Green、Wilko Johnson直系のビート・サウンドで、同じような曲が「これでもか、これでもか」、「まだまだいくぞ」という感じで迫ってきます。
それで飽きてしまうかと言えば、そんなことは全くなく、むしろ常習性たっぷりの危険な香りに酔わされます。
今作の聴きどころの一つは、ゲスト・ボーカリストが参加した曲です。
まあ、今作ではゲスト扱いのJohnny Spence参加曲はともかく、まずは残りの2人のゲスト曲に注目です。
ほとんど2パターンくらいしかないんじゃないか、と極論したくなるようなビート曲の嵐の中で、トラック4の"Gonna Bop Till I Drop"では、Mungo Jerry主導でロカビリーをやっています。
これが新鮮なのです。
もともとJohnny Spenceのバックボーンには、Johnny Burnette TrioのPaul Burlisonのサウンドがある(?…と思う)ので、Spenceと組んでいる限りこの手の音が出ても珍しくないんですが、本作では「ゴリゴリ・サウンド」ばかり(?)の中で、明らかに風合いの違う音がアクセントになっています。
私は、マンゴ・ジェリーを知らないのですが、歌い方もマンブル多用で、ロカビリー系の人なんですかね。
この曲の作者、Raymond Dorsetは、ジェリーの本名らしいです。
そして、トラック6の"Stop Sneakin' Around"は、Pete Gageがボーカルをとるファスト・ブルースです。
ご存じのとおり、ピート・ゲイジは、リー・ブリローの後を受け、Dr.Feelgoodの二代目リード・ボーカルを務めた人です。(と言っても、98年の"On The Road Again"1作だけですが…。)
この人は、ブルース、R&B志向のピアノ・ロッカー(?)ですが、今回はボーカルのみの参加です。
ここでは、しわがれ声でブルース・ロックを激渋に決めています。
ギターのバッキング・リフがピタリとはまっていて、かっこいいです。
ピート・ゲイジのソロ・アルバム、10年リリースの"Tough Talk"は、フィンランドで録音され、Doctor's Orderが全面バックアップしたほか、Gypie Mayoも多数の曲でギターを弾いた、この手の音楽好きなら必聴といいたいアルバムでした。
そして、Johnny Spenceが歌うトラック8の"Tore Down"は、Freddy Kingの歌ものの代表作のひとつで、選曲こそ若干新鮮さに乏しいですが、ここでのSpenceは性急さを抑えたアレンジにのせ、余裕のある歌い方をみせていて、彼の別の魅力を引き出しています。
そして、この曲に触れましょう。
トラック9の"Great Mick Green"です。
歌詞の全貌が知りたいと思わずにはいられないナンバーです。
ウィルコの師匠、なんて言われることも多いグリーン先生、当然Doctor's Orderにとっても憧れの人だったのでしょう。
彼らの07年のミニ・アルバム、"Cutthroat And Dangerous"では、先生が全面参加し、Doctor's Order with Mick Greenの名義で出されたのでした。
先生お得意の"Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Dee"でのプレイが痛快丸かじりでした。
ここでは、先生の思い出を懐かしむとともに、その功績を称えています。
最後に、ハンガリーでのライヴ音源について少しだけ触れます。
基本的に、ただただかっこいい、そして貫禄さえただようプレイと言ってしまいましょう。
ちなみに、トラック15の"Great Balls Of Fire / Balinka / Whole Lotta Shakin'"で演奏される50sメドレーですが、ジェリー・リーの代表作2曲に挟まれた"Balinka"という聞きなれないタイトルの曲があります。
これは聴けばすぐ分かるとおり、Champsのあの曲です。
「テキーラ!!」と叫ぶ箇所で「バリンカ!!」とのたまっています。
これって、北欧の強いお酒の名称なのかな?
それとも全く別の掛け声?
関連記事はこちら
Doctor's Order
爆走! トナカイ・ビート
Pete Gage
タフでなければ 優しくなれない
今回の主人公、Doctor's Orderは、00年に自主レーベルからCDデビューしたフィンランドのバンドで、The Pirates、Dr.Feelgood直系のグッド・ロッキンなビート・バンドです。
彼らの最新作が、この9月26日に発売とのことで、予習のつもりで直近作を聴こうとしたところ、持っていたはずのアルバムが見当たりません。
「ジャケット写真に見覚えがあるんだけどなあ…、勘違いかな」とつぶやきながらもオーダーしたところ、ある日、ポロリと現物が出てきて、ダブリが発覚したのでした。
今回発覚したダブリ3枚のうち、唯一未だ到着していないCDです。
誤ってダブリ・オーダーしてしまったCDの到着を待つのって、何とも切ないんですよね。
(もっと言えば、気持ちとしては待ってなどいないし、むしろ忘れたいし…。)
最新作はといえば、発売前に予約オーダーしたのですが、どうもバックオーダーになっているようで、本日現在、まだ発送されていません。
Mean Business
Doctor's Order
Doctor's Order
1. Serious (Hamalainen, Nattila, Oikarinen)
2. And The Show Goes On (Hamalainen, Nattila, Oikarinen)
3. If You Don´t Shut Up (I'll Find Somebody Who Will) (Hamalainen, Nattila)
4. Gonna Bop Till I Drop (Raymond Dorset) / featuring Mungo Jerry
5. Just Me, Myself And I (Nattila)
6. Stop Sneakin' Around (B. Night) / featuring Pete Gage
7. We Do Mean Business (Hamalainen, Nattila, Oikarinen)
8. Tore Down (Freddy King) / featuring Johnny Spence
9. Great Mick Green (Nattila)
10. Legato Grande (Hamalainen)
11. Had Enuff (Hamalainen, Nattila)
Bonus Tracks
Live At International Gastro Blues Festival 2012
12. So It Is (Hamalainen)
13. Big Bad Doc (Hamalainen, Nattila)
14. Los Mas Rapidos (Hamalainen, Nattila)
15. Great Balls Of Fire / Balinka / Whole Lotta Shakin' (Blackwell, Hammer / Rio / Williams)
16. How Do You Sleep At Night (Hamalainen, Nattila, Vaatainen)
17. When The Shit Hits The Fan (Nattila)
本作は、ダブリでしたが、どうも未聴だったようです。(…と思います。)
本作は、13年にリリースされたもので、11曲の新曲に、12年にハンガリーで行われたブルース・フェスでのライヴ音源6曲を加えた内容になっています。
自主レーベル発のアルバムと、Goofin Recordsからの最初の2枚は、既に入手困難で持っていないので、ライヴ音源でも初期の曲が聴けるのはうれしいです。
さて、バンドの編成をおさらいしましょう。
メンツは以下の通りで、トリオ編成の3ピース・ギター・バンドです。
Grande-Archie Hamalainen : guitar
Teddy Bear Nattila : bass and vocals
Mighty Man Oikarinen : drums and backing vocals
近作の2枚は、ここに(元?)The PiratesのJohnny Spenceが加わり4人組として、Johnny Spence & Doctor's Order名義でリリースしており、最新作もこの編成です。
トリオ編成と人数が少ないため、多分意識してヘヴィなサウンドを出していて、重戦車のようなたたずまいを感じさせる、ハード・ロッキン・ビート・バンドとでも呼びたいサウンドです。
金太郎飴のような、Mick Green、Wilko Johnson直系のビート・サウンドで、同じような曲が「これでもか、これでもか」、「まだまだいくぞ」という感じで迫ってきます。
それで飽きてしまうかと言えば、そんなことは全くなく、むしろ常習性たっぷりの危険な香りに酔わされます。
今作の聴きどころの一つは、ゲスト・ボーカリストが参加した曲です。
まあ、今作ではゲスト扱いのJohnny Spence参加曲はともかく、まずは残りの2人のゲスト曲に注目です。
ほとんど2パターンくらいしかないんじゃないか、と極論したくなるようなビート曲の嵐の中で、トラック4の"Gonna Bop Till I Drop"では、Mungo Jerry主導でロカビリーをやっています。
これが新鮮なのです。
もともとJohnny Spenceのバックボーンには、Johnny Burnette TrioのPaul Burlisonのサウンドがある(?…と思う)ので、Spenceと組んでいる限りこの手の音が出ても珍しくないんですが、本作では「ゴリゴリ・サウンド」ばかり(?)の中で、明らかに風合いの違う音がアクセントになっています。
私は、マンゴ・ジェリーを知らないのですが、歌い方もマンブル多用で、ロカビリー系の人なんですかね。
この曲の作者、Raymond Dorsetは、ジェリーの本名らしいです。
そして、トラック6の"Stop Sneakin' Around"は、Pete Gageがボーカルをとるファスト・ブルースです。
ご存じのとおり、ピート・ゲイジは、リー・ブリローの後を受け、Dr.Feelgoodの二代目リード・ボーカルを務めた人です。(と言っても、98年の"On The Road Again"1作だけですが…。)
この人は、ブルース、R&B志向のピアノ・ロッカー(?)ですが、今回はボーカルのみの参加です。
ここでは、しわがれ声でブルース・ロックを激渋に決めています。
ギターのバッキング・リフがピタリとはまっていて、かっこいいです。
ピート・ゲイジのソロ・アルバム、10年リリースの"Tough Talk"は、フィンランドで録音され、Doctor's Orderが全面バックアップしたほか、Gypie Mayoも多数の曲でギターを弾いた、この手の音楽好きなら必聴といいたいアルバムでした。
そして、Johnny Spenceが歌うトラック8の"Tore Down"は、Freddy Kingの歌ものの代表作のひとつで、選曲こそ若干新鮮さに乏しいですが、ここでのSpenceは性急さを抑えたアレンジにのせ、余裕のある歌い方をみせていて、彼の別の魅力を引き出しています。
そして、この曲に触れましょう。
トラック9の"Great Mick Green"です。
歌詞の全貌が知りたいと思わずにはいられないナンバーです。
ウィルコの師匠、なんて言われることも多いグリーン先生、当然Doctor's Orderにとっても憧れの人だったのでしょう。
彼らの07年のミニ・アルバム、"Cutthroat And Dangerous"では、先生が全面参加し、Doctor's Order with Mick Greenの名義で出されたのでした。
先生お得意の"Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Dee"でのプレイが痛快丸かじりでした。
ここでは、先生の思い出を懐かしむとともに、その功績を称えています。
最後に、ハンガリーでのライヴ音源について少しだけ触れます。
基本的に、ただただかっこいい、そして貫禄さえただようプレイと言ってしまいましょう。
ちなみに、トラック15の"Great Balls Of Fire / Balinka / Whole Lotta Shakin'"で演奏される50sメドレーですが、ジェリー・リーの代表作2曲に挟まれた"Balinka"という聞きなれないタイトルの曲があります。
これは聴けばすぐ分かるとおり、Champsのあの曲です。
「テキーラ!!」と叫ぶ箇所で「バリンカ!!」とのたまっています。
これって、北欧の強いお酒の名称なのかな?
それとも全く別の掛け声?
Great Mick Green
by Doctor's Order
by Doctor's Order
曲中に、Mick Greenの、というか
Paul Burlisonの得意フレーズが出てきます。
(1分40秒あたり)
Paul Burlisonの得意フレーズが出てきます。
(1分40秒あたり)
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