たのしい演劇

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演技　俳優とキャラクター02


それは俳優の務めなのですが
　戯曲とキャラクターのバックグラウンドを　可能な限り手に入れます

RSC/ロイヤル.シェークスピア.カンパニー教育部　演技術講師は
キャラクター創造に「スポットライト」の技法を用いました

俳優たちは　先ず　名の知れた故人を一人選びます　
宿題は　その故人について　出来る限りの情報を収集すること

そして数日後　それを持ちより発表しますが

スポットライトの当たる舞台に椅子を一脚置き　そこに俳優は順次　
　その選んだ故人（キャラクター）として　座り　インタビュー/質問に答えるのです

先ず講師は　椅子に座る俳優に　生い立ちの基本事項を問います
続いて参加俳優たちが　それぞれ（約13人）一つづつ質問を投げかけます

どんな質問でも構いません　　故人に成り代わり　返答します

情報収集出来ていない質問の場合　その場ででっち上げ　あくまで故人として　答えます
　が事実ベースでなくてはなりません　もし誰かが　正しい情報を持っていた場合は

　反論が返ってくることも考慮に入れ　返答をします

　インプロヴィゼーションの能力もためされるのです



マイズナー演技法のウィリアム.スコットは
　俳優に台詞の書かれたシーンの紙切れを渡し
　その戯曲と役のバックグラウンドを可能な限り調べてくくる事
　しかし台詞を覚えようと一人で取り組んではいけない　を宿題として出します
　
翌日　相方とそのシーンを演じるのですが
　そのシーンより　一息分づつ台詞を覚え　相方とアイコンタクトを採りながら演じるのでした



クリス.ニュウも　戯曲とキャラクターの情報収集を必須とします



それらの情報を素材と呼びますが
　全ての素材が　役を演じる際　微妙に絡み合い反応し　俳優を刺激するのです　


このバックグラウンド収集は　俳優の錬金術　に欠かせない下地創りです
　

　




　


と　たのしい演劇の日々

俳優修行　 「キャラクター　そんなものはありません/There’s No Such Thing as Character」
アクターズセンターActors Center London　02

クリス.ニュウChris Newの演技クラスは
　毎回10名程の俳優（プロ）参加を得
　既にレギュラー.ワークショップ（毎土曜午前中）の地位を得ています


彼のような天才俳優は　RADAで学んだとは言え
　本人の自覚無しに演技が出来てしまう　神秘体験　である故
　それを他の俳優たちと　ワークショップを通し理論化/概念化　する作業は容易くはありません

　使われる言葉/英語は　参加俳優たち共通言語認識があって
　共有され成り立つ議論でありますから
　クリスが　彼の信じる　観客を感動で唸らせる演技　について
　適切な言葉を探りながら進められるワークショップは
　往々にして言語の認識差により　脱線を伴います　

しかもそれは　実際に　演技され　観客の満足に至らなければ　言葉遊びに過ぎない

この実際　参加俳優が　では演じてみますと　もう明白なのは　

何故　クリスには出来て　他の俳優には出来なかいのか？
　
俳優の個体差/天性の才能　抜きにして　観客を虜にする　演技はあり得ないのです

クリスは　天性の豊かな才能を与えられた俳優である己を　RADAで見出しました

それを傍らに置いといて　共有できる演技術　なるものを　皆で探る
　かつてロシアでスタニスラフスキーKonstantin Stanislavski (1863 – 1938) が成し得たように

彼の才能は　観客の為に齎された贈り物　　決して彼の自惚れの為ではない
　観客に奉仕するのが彼の俳優としてミッションだ

彼のワークショップは　俳優の質の向上を目指す
演技術は大事な基礎固め　なので欠けてはいけない

しかし　結局とどのつまりは
　俳優夫々が己の俳優としての質を知り　どう磨きをかけるか
に掛かっている　　

そして　その努力も全ては観客に演劇の魔法をかける為である　






と　たのしい演劇の日々

演技　英語の台詞03

記憶術では　言葉に　イメージを貼り付け　それを頼りにし　記憶に留めた
しかし　演じる為の台詞という言葉に　イメージは貼り付けられるものではない　

記憶する為だけのイメージは　此岸に留まり　俳優を縛り付けてしまうのだ

インターネットのお陰で　素材はパソコンから収集できるようになった

かつては　外へ出向いて　素材集めをしたものだ
　それは　俳優の五感全を刺激し　更に　未知なる感覚をも開いた

寺山修司の「書を捨て町へでよ」が　頭部で鳴り響いている


ドイツ　ハンバーグの図書館の様に　蔵書を詰め込む為に建てられた屋敷に生まれ
蔵書にまみれ育った　主人公
その膨大な蔵書にまぎれて　僅かばかり　本人に所属する児童書の中から
「もじゃもじゃピーター」を思い起こす　何故なら
その物語も　挿絵も　子供にとってあまりに奇想天外で刺激的で
指を挟みで切り落とされる子供や
寝ている間に　歯が抜け落ち　それを飲み込んでしまう子供や
屋根裏部屋で火に巻かれ　大人は誰も気付かず　焼け死んで灰になった子供等と
不幸な子供の数々が描かれ語られるから

また　主人公は　ユダヤ教のハヌカの祭りに灯す　特別な蝋燭を思い出し　語る


それら全ての素材を　パソコンはいとも簡単に提供してくれる

　しかし　それらは　単なる二次元イメージとして視覚にとどめられるだけ

言葉/台詞　は異次元に現れるのだ　そのイメージを俳優は視覚で捉えるが
しかし　事実は　視覚+α　感覚による　


なので　パソコンの素材は　あくまで　情報収集のカタログでしかない

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と　たのしい演劇の日々

シュタイナー神秘劇4「魂の目覚め(上梓:1913)(劇中年代設定:1924)」
反ユダヤ主義の背景 35


ドイツのオカルト文化と疑似科学による人種理論15

ハーバート・ホープ・リズリー
Herbert Hope Risley インド帝国勲章/KCIEインドの星勲章/CSI (1851 – 1911)
　英領インド植民地管理官.インド高等文官/ICS（上級国家公務員） 　民族学研究者

1872　オックスフォード大学法律.現代史卒業

1873　インド高等文官として着任
　サー・ウィリアム・ウィルソン・ハンター Sir William Wilson Hunter (1840 – 1900)
の国勢調査を担当　リズリーは頭角を現す

『リグ・ヴェーダ』(古代インド聖典
凡そBC18.中央アジア遊牧民インド・アーリア人のインド侵入詠歌)　に習い
　更に科学的人種分類の指数として　鼻の幅.高さの比を割出し(ポール・トピナルドPaul Topinard (1830– 1911仏医師.文化人類学))の技法
　インド人をアーリア人種とドラビダ人種に
　そしてそれらの人種を7階層のカーストに割り振った

以下　インド人7種によるカースト　
Aryo-Dravidianアーリア.ドラヴィダ人 ,
Dravidianドラヴィダ人
 Indo-Aryanインド.アーリア人
Mongolo-Dravidian,モンゴル.ドラヴィダ人
Mongoloid, モンゴロイド
Scytho-Dravidianサイコ.ドラヴィダ人
Turko-Iranianトルコ.イラン人

1891 『インド民俗研究The Study of Ethnology in India』出版

1901年の英政府による国勢調査で　インド全土ヒンズー教住民にカースト制度を当て正式に適用　

それは1498年以降　欧州植民地下にあったインドは　1857年インド大反乱勃発
　新型銃を用いた武力で　インド民族軍による反英動乱を抑え込んだ　しかし
　キリスト教より遥かに古く　異なる教義のヒンズー教の下にあるインド人その社会を
　植民地として効率的に確実に管理する為の術を　再考に至った英政府は
　ダニエル.チャールズ.ジェフルベトソン
Sir Denzil Charles Jelf Ibbetson KCSI (1847 – 1908. インド高等文官員）の

”植民地の文明に対する無知を意に介さない姿勢は
　英文明の進展を削ぐのみかその支配権をも失う”との進言を受け
　　インド文化人類学研究を図る
　　
リズリーは傑出した公務上の研究者となり
　英国の植民地支配における有能な公務員であり続け
　1911年にはロンドン.インド省永久次官/PUS の地位についた　

　


次回へと続く

と　たのしい演劇の日　

魂より魂に伝う花07 　2015年ラグビーワールドカップ

折々に受け取るメッセージ




　　　　　　　　　　　動画はWEBより拝借致しました



2015年ラグビーワールドカップは英国で開催されました
日本選手の輝かしい戦いぶりは　英主要紙で紹介され
　五郎丸歩選手は　世界のトッププレイヤーに交り　15人の一人に選ばれる偉業をなしました

五郎丸/Goromaruは　英ラジオBBC4で何度も耳にしました

五郎丸選手のオフィシャルサイトを訪ねますと


ラグビーの素晴らしさが紹介されておりますが
その中でも　サイトのタイトルでもあります『ONE for ALL,ALL for ONE』　
について　彼は以下（抜粋編集）　のように書いております

「自分の勝利はみんなの勝利。みんなの幸せが自分の幸せ。」

ラグビーが他のスポーツと大きく異なる点は　とにかくいろいろなタイプの選手で成立する
背が高い選手　低い選手　痩せている選手　太っている選手など
　体格の異なる1チーム15人が一つのフィールドで共存する
これは　ラグビーが球技の中でも特に
ポジションによって求められるプレーや役割が大きく異なるためで
　どのポジションのメンバーが欠けても勝利にたどり着くことはできない

ラグビープレイヤーは　これを心の底から理解しているから
　自分のためではなく常に仲間のために無心でプレーする

その気持ちや姿勢がメンバーの心を互いに前に動かし　時には勇気を与える

スポーツに限らず　仲間と切磋琢磨し　共に掴み取った喜びは
　自分一人だけでつかんだ喜びの数倍も大きい
勝利を掴みとれなかった時の悔しさも同じ分だけ大きい

悔しさは　絶対に勝ちたいという思いから生まれる熱意
　悔しさを強く感じられてこそ　より高みを目指せる前向きな感情の源だ

ラクビーは　自分一人では不可能なことを皆して達成に至るという
　より難しい物事への達成感というだけでなく
　人が相手の気持ちを受け取って自分のものにすることができる
という共感能力で成り立つ　素晴らしいスポーツなのだ




そして付け加えたい　それはフィールド内.スタジアム内に限らない　と云う事

魂は眼には見えない幾万もの糸で互いに繋がっており
　それは今生だけに限らず　異次元ともつながって　互いに共鳴共感しあっているようだ

2015年ワールドカップ日本選手の偉業/プラスのエナジーは
　それだけに留まってはいない
　何の関係もなさそうな出来事をも動かしている


感謝

と　たのしい演劇の日々

シュタイナー神秘劇4「魂の目覚め(上梓:1913)(劇中年代設定:1924)」
反ユダヤ主義の背景 34


ドイツのオカルト文化と疑似科学による人種理論14

カール・クリストフ・フォッグ
Karl Christoph Vogt ( 1817 – 1895)独.
科学者（動物学.地質学.生理学).哲学者
.政治家（憲法制定ドイツ国民議会議員.フランスの密告者）


二元論進化論に立つ
　ダーウィン系一元論を強く反発　各人種は各々違った類人猿を始祖とする　と信じる
二グロはサル系と関連すると観る　
白人種は二グロは全く別人種である　彼の著書『Lectures on Man (1864)』では
　白人種と二グロは　二つの極端に異なる種で
　この二つの人種の違いは　サル類の間の異種の差　といったレバルにない　大差があり
　故に二グロは白人種とは違った個体である と結論している

叔父のチャールズ・フォレンCharles Follen (1796 – 1840)独
.詩人.米移住後初代ハーバード大学ドイツ文学教授. は奴隷制度反対運動の先駆け


次回へと続く

と　たのしい演劇の日　

魂より魂に伝う花06 『マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語/Maus』　

折々に受け取るメッセージ


『マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語/Maus』
作 アート・スピーゲルマン Art Spiegelman (1948-) 米漫画家.編集者

この漫画本は　作者アートが1968年神経衰弱により一月精神病院入院
　退院後間を置かず母が自殺
　母が息子アートに託した　ホロコースト体験の日記を
　父親は最愛の妻を自死で亡くしたショックにより
　諸悪の根源の根絶　逃避に駆られ　焼却してしまう　

しかし　それは　アートにとって　二重な母の死を意味し
　　父親を母殺しと責め立てる

父親は重なる精神的ダメージに苛まれ
　癒しを求め　それは妻への弔いであり
　悪夢の記憶　自らの体験を
　母に代わって息子アートに伝える事となった
　
1992 ピューリッツァー賞の特別賞グラフィック小説　

　登場人物の人種を動物に見立て暗喩的に表現している　

ユダヤ人：ネズミ
ドイツ人：猫
アメリカ人：犬
ポーランド人：豚
フランス人：蛙
スウェーデン人：トナカイ
イギリス人：魚
ロマ（ジプシー）：蝶　

マイダネク絶滅収容所生還者である　父親の口述　を基に書き上げた漫画は
　若いユダヤ人米移民2世の視点で書かれたもので　それは
　息子の父親に対する厳しい立場
　イスラエル.ユダヤ人にたいする疑問
　ポーランド人に対する父親のイメージ　が加わり
　ホロコーストの生還者の記録と云うより
　絶滅収容所生還者を両親に持った子供が
　父母を通して無意識に体験する　未知の恐怖/悪夢を
　白黒のゴシック調劇画で　グロテスクに描いき
　強烈な負のスパイラルを読み取れらせる　　




合掌

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と　たのしい演劇の日々

俳優　此岸と彼岸を跨ぎ役を生きる08


彼らは　演劇の神様より　使命を授かっている

彼らは　俳優は詩人

　詩人が　呼吸と共に詩を　血の一滴を　魂を　詠うように
　　　　　　　　
　　　　　　　　　俳優は演じる

観客は　物語を楽しみながら

　彼らの存在を通して　此岸と彼岸の間を覗くのだ　

そして　魂が異次元を確認したとき　エクスタシーを覚える

　


　　



と　たのしい演劇の日々

シュタイナー神秘劇4「魂の目覚め(上梓:1913)(劇中年代設定:1924)」
反ユダヤ主義の背景 33


ドイツのオカルト文化と疑似科学による人種理論13

ジョゼフ・アルテュール・ド・ゴビノー伯爵
Joseph Arthur de Gobineau (1816 – 1882)
フランス貴族.外交官.小説家.
疑似科学による人種差別.人種統計学.アーリア人至上主義を最も煽った存在だとして知られる　

フランス革命1848後　の著作
『諸人種の不平等に関する試論An Essay on the Inequality of the Human Races(1853–55)』
　貴族は下位種族（アルプス人.地中海人）との交配が少なく
　より純アーリア人遺伝子を保持し　故に最優れた人間であると主張

人種は
　黒人black, 白人white 黄色人 yellow　に分かれ
　優生学の見地から　多種交配は文明文化崩壊を招く

　白人は美.知.力.を生来備える
　稀に黒人.黄色人による建設的成果や思考は　白人との混血による　

異種発生は生息した土地の違いによる
　 白人種はシベリア.
アジア人種はアメリカ
.　黒人種はアフリカ　 夫々の土地に発生した

彼は白人種の優勢を固く信じており

人種平等を唱える友人等が　宣教師や航海士の経験に基づく事実だとして
　野蛮人が上級建築士　アフリカ原住民が有能な執事
　しかも技芸に優れダンス　バイオリンも弾く.算術に優れる
　などと戯けた話を持ち出すが　子供じみた見解は脇に置き
　それらを人種として括った場合の比較検討するなら　答えは明らかだ　と云う

彼は　ドイツ人をアーリア人だと表現　がむしろ親ユダヤ人の立場で
　イスラエルの土地に関わる不利益はあるが　自由.強靭.知的な人種である
　と書いてる
　彼のアーリア人至上主義と優先学は
　ナチスにより　都合よく解釈　プロパガンダに利用され
　まるで彼をしてナチ党基本理念提唱者にしている

晩年　清仏戦争（1883-1885）ベトナム領有を巡るフランスと清の戦争
に至る背景は　むしろ反中国/黄色人種　感情を掻き立て
　それは　ロシアが世界を征服した後
　中国がイスラムをその野蛮性で壊滅し
　世界を手にいれる/黄色人種脅威論 と　暗黒時代の到来に怯えた　



次回へと続く

と　たのしい演劇の日　

鑑賞　「ルネサンス期ヌード」王立芸術院The Royal Academy of Arts


英 国立美術学校 美術館併設 展示期間2019/ 3/3 -6/2 ピカデリーサーカス.ロンドン
https://www.royalacademy.org.uk/exhibition/the-renaissance-nude



画像はWEBより拝借致しました　デュラー作「アダムとイブ(1507)」



ロイヤルアカデミー美術館は 英婦人参政権運動から１００年記念
　されにハリウッドを始め映画界を揺るがした#MeToo
（運動始動者イタリア女優が未成年少年俳優へ性暴行.和解金支払いの事実により
　運動の意味再考すべきだが....）
の時代を踏まえ

女性鑑賞者の為にと銘打ち
　男性ヌード作品を　女性ヌード作品と略同じ量展示する　と云う

男と女を対等に据え　空気のように浸み込んだ性役割の概念　を問い直す時代の到来なのだ

男女のヌードを鑑賞しながら
　身体の差　作品が表現された西欧ルネサンス期(1400-1530)性差概念
　男とは　女とは　を探ってみる　

展示は以下を筆頭に　ルネサンス期を代表する作家の作品群

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ Titian英/ Tiziano Vecelli(1488/1490–1576)伊
ラファエロ・サンティ Raphael (1483 – 1520) 伊
ミケランジェロ Michelangelo (ˈ1475 – 1564) 伊
レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo di ser Piero da Vinci(1452 – 1519)伊
アルブレヒト・デューラー Albrecht Dürer (1471 – 1528 独
ルーカス・クラナッハ Lucas Cranach the Elder (1472 – 1553) 独

また美術館側は　女性芸術家が　圧倒的に少ない現実をも見出し
　それは　既存の性差.性役割を取り払う
　これからの美術教育の在り方を問う　よい起爆剤となるであろう　


と　たのしい演劇の日々