<現地到着>
ここは川崎市北部の多摩丘陵。城が築かれたと思われる山は比高だと20m程度と思われます。低層の丘に築かれた山城ということですかね。丘の上には鉄塔が見えます。あそこが頂上でしょうか?
<もみじ広場>
麓は公園として整備されている様子。本当にここで良いのか不安もありましたが、説明板を見つけてちょっとだけ安堵しました。
<現地説明板>
説明文は長文で、上段には『古代東海道』に関する記述がありました。この付近を古代の東海道が通っていたという興味深い話ですが、下段の『丸山城』に関するところ(画像部分)を紹介させて頂きます。タイトルは『丸山城と烽火台』となっています。ほうかだい?どういうことでしょう。以下に抜粋させて頂きます。
『この正面の斜面上にある高台(現・黒川配水場)の付近を黒川側の人々はかつて丸山城と呼んでおり、中世の通信基地としての物見や狼煙台(煙を高く上げて連絡をとる施設)が存在したとも考えられます。
また古代の東海道が存在したならばそれに沿って、中国の唐の制度にならった古代の烽火台(とぶひ=火を高く上げて次の中継地から目的地へとつないでいく施設)が併設されていた可能性もあり、ここに続く中継地の考えられる南方の野津田上ノ原の高台には 「飛尾」「飛平」などの地名も残っています。』
とのこと。最後の地名のフリガナは「とびお」「とびひら」です。
城というより、物見や狼煙台があったと推定されているわけですね。それは相模と武蔵をつなぐ『古代の東海道』とも繋がる話。なるほどです。まぁ何であれ、現地ので来たのですから、とりあえず山へ入ることにしました。
<普通の道>
この道を行けば、しかるべき所へ着きそうな気もしましたが、山は低いし、迂回する必要などないだろうと思い…
<突入>
中途半端なところから山へ入りました。誰かが通った痕跡があるのですから、何とかなるであろうと
<鉄塔>
行き止まり。見上げれば鉄塔。まぁ山城探索では時々遭遇する構造物です。それは良いとして、何とかここを通り抜けたいのですが…
<柵>
鉄塔の敷地を通過することは叶わないようです。一旦戻ることにしました。
<登山道>
普通の登山道に戻りました。最初からこの道を行くのが賢い人です。
<坂の上>
平な場所が見えてきました
<頂上>
低層の山の頂上です。何かあります。
<諏訪ヶ岳>
国土地理院、そして144.3mと記された杭。比高はそれほどでもありませんが、ここが川崎市最高峰とのことです。
<道しるべ>
丸山城に関する表示はありませんが、ここが鎌倉街道から2q以内だということは分かりました。そして、よこやまの道というのが、いわゆる古代東海道ということですね。海沿いの東海道ではなく、相模の国府と武蔵の国府を多摩川や多摩丘陵を越えて繋がる内陸の道。よこやまの道という呼び名は、万葉集で「多摩の横山」と詠まれたことに由来するとのこと。
<よこやまの道>
この山には古代東海道のための烽火台があった?あるいは、鎌倉街道のすぐ東側なので、この山には街道を見渡すための物見台を兼ねた城があった?いろんな想像が膨らみますが、探しているのは城の痕跡なので、また動き始めました。
<古道>
またてくてくと歩き始める。そして
<黒川配水場>
どうやらここまでか。これ以上は進めない…
丸山城の中核があったと思われる場所は、現在は黒川配水場となっています。門が閉ざされ、当然関係者以外は立ち入り禁止です。仮に入れてもらえても、この様子だと遺構は無いでしょう。そもそも低層の山ですし、この付近のみを整備した単郭式の城だったと思われます。城というより、砦といった方がイメージが近いのかもしれません。
ということで
謎多き川崎市麻生区黒川の城跡のご紹介でした。
---------■ 黒川丸山城 ■---------
別 名:丸山城
(築城者・城主他:詳細不明)
現 況:黒川配水場
[神奈川県川崎市麻生区黒川]
■参考及び抜粋
・現地説明板
・Wikipedia:2021/11/13
お城巡りランキング
------------(追 記)------------
城は謎でしたが、すぐ近くでのどかな景色と出会えたので、とても満足な訪問となりました。城とは無関係ですが、画像だけ貼っておきます。
<川崎市黒川地区の農地>
ここが川崎市とは思えません
<黒川池谷戸緑地>
[川崎市麻生区はるひ野] 3丁目
------------(追々記)------------
川崎市最高峰として諏訪ヶ岳をご紹介しましたが、下記2点を補足させて頂きます。
@諏訪ヶ岳頂上は多摩市
諏訪ヶ岳を川崎市最高峰とする情報が多く、私もそう信じていました。しかし正確に言うと、山頂点は多摩市になります。後方の「たきび禁止」の警告の下に、多摩市と記されていますね。この山は川崎市と多摩市の境界線上に位置するので、曖昧なまま伝わっているのでしょう。川崎市にとってもこの付近がもっとも標高が高い場所であることに変わりありません。
A最も標高が高い場所は配水場
丸山城の中核があったと思われる場所としてご紹介した黒川配水場(正式名:黒川高区配水池 )が、川崎市でもっとも標高が高い地点という情報を得ました。大まかに「この付近」であることに変わりありませんが、配水場の標高が最も高いというのも興味深い話です。
以上です。
Twitter経由でご指摘頂いた川崎のKさん、ありがとうございました。私にとっては、ときどきご一緒させて頂いている街探索の師匠のような方です。下記にご本人のTwitterブログをご紹介させて頂きます。黒川地区を訪問された時のツイート集です。
■タイトル:
黒川の「ふたつの里山アートをめぐる散策ツアー」に参加!
http://kawasakifp.livedoor.blog/archives/cat_139921.html
タグ:神奈川