<空堀の説明板>
先日小机城跡を訪問した際に、城用語が丁寧に説明されていることに感心しました。当ブログにも「お城初心者」の方が来てくれることを期待して投稿させて頂きます。
■水の無い堀■
お城の堀というと、まず水のある堀を想像するのが一般的ですね。そもそも城と聞いてまず頭に浮かぶのが、江戸期に造られた近世城郭である場合が多いので、これは自然なことかもしれませんね。ただ、水の無い堀は特別なものではなく、むしろ普通なのです。
■空堀が基本■
土を掘って造るから堀。字の如くです。これが基本なので、土を掘っただけの溝、つまり「空堀」が堀のもともとの意味です。のちに水を引き入れた水堀も登場しますが、中世の城の多くは山城で、水を引き込んだり溜めておくことが困難。よって堀は水のない空堀が中心でした。空堀は古い城の堀?というわけでもなく、近世の城でも使用されています。
<空堀>
[小机城]
<空堀の底>
[小机城]
■堀切ってなに■
丘陵地帯や山に築かれる城で見かけるのが「堀切」です。これも大きな意味では空堀とお考え下さい。
山で比較的移動しやすいのは?山の尾根ですね。これを削るのが代表的な堀切です。まるでナタで切ったかのように、鋭角に土を削り取ります。堀切を設ける場所は、曲輪の手前とか、曲輪と曲輪の間が多いですが、必要とあらば山のどこでも削るので、決まった形はありません。
<堀切>
[山上城]
この例は曲輪と曲輪を分断するための堀切です。城が現役の時には、もっとシャープな角度だったと思われます。
■空堀の効果は?■
<大空堀>
[興国寺城]
この例は巨大な空堀(大空堀)です。実際、凄い迫力でした。
ただこういうのはレアケース。なんでもかんでも「敵の侵入を防ぐ」と思わないで、敵の進攻を遅らせるとか、体力を奪うとか嫌な思いをさせるとか、広い意味で空堀を見てやって下さい。要するに、守る側が有利になるなら、効果の大小に関わらず意味があるのです。そこに込められた思いを感じると、どれも感心させられます。
■水堀■
山城の麓や平城については、中世末期から近世にかけて水堀が用いられるようになります。城の防衛施設であると同時に、水運にも利用するケースもありますね。
<水掘>
[新庄城]
お城の堀として普通に連想される姿ですね。
■最後に漢字の話■
壕と濠。どちらもホリ又はゴウと読みますね。ただもうお気づきの通り、土を掘るという意味なら壕、水をはる場合は濠になります。壕の字は空堀に限らず、防空壕とか「土を掘る」ことに幅広く使用されてますね。
<道灌濠>
[江戸城:半蔵門付近]
以上
堀の基本は空堀というお話でした。見てくれた人の参考になれば幸いです。
[小机城]
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