鷹山の足跡をたどる旅
今回は米沢市の小野川町です。
財政難の藩を救うため、率先垂範で倹約を促す一方、農業を奨励し、更に数々の殖産興業政策を打ち出した上杉鷹山。人里離れた山奥にもそのなごりがあると聞き、訪問してみました。
<上杉鷹山公塩田碑>
塩田跡地の石碑です。
塩田というと、みなさんはどういうイメージを持つでしょうか?私の場合、例えば赤穂とか、漠然と海の近くというイメージなのですが・・・なんでこんな山奥に?
この地の温泉の湯は塩味が強い。そこで塩田が試みられたようです。これも鷹山が掲げた沢山の経済政策の一つ。財政難脱却を目指す米沢藩の製塩事業です。
<案内板>
下の方の絵。こんな感じだったようですね。
■小野川温泉■
山奥ではありますが、市街地からそんなに遠い訳ではありません(10q未満)。古くから地元民に親しまれ、もともと米沢の領主だった伊達氏にも慕われた温泉地です。
現在では、小野小町に由来する「美人湯」が売りとなっており、遠方から訪れる人も多い行楽地となっています。
<鬼面川>
きめんがわではなく「おものがわ」と読みます。最上川の源流のひとつです。
病により衰弱した小野小町が顔を映したといわれる川。なんでも、川面に写った姿が(本人にしてみれば醜く)鬼のようだったとか。しかしこの地で温泉につかると、病が癒えた上に美女に生まれ変わった。小野川温泉はそんな伝説のある場所です。
それにしても自然豊かで風情のある場所。いいですね。夏にはホタル舞うそうです。平凡な会社員が、里山の温泉宿に泊まって晩秋の米沢を満喫した・・・わけではありません。そういうの、いつかはしてみたいですが、宿泊は市街地のビジネスホテル。小野川は小説『上杉鷹山』にも登場するので足を延ばしました。
<足湯>
無料です。おカネなくても気分は味わえます。
注)温泉にご興味を持たれた方は、どうぞちゃんとした旅のサイトを参考にして下さい。この記事は、交通費で精一杯の貧乏旅行。温泉の魅力は伝えられません(小野川温泉のためにひとことでした)。
<山側からの眺め>
甲子大黒天などがある山から撮影。冒頭の塩田を含む小野川温泉全体を見下ろせます。いかにも温泉地という景色ですね。
(話を鷹山に戻します)
■政策は枠組み作り■
多くの政策を試みた鷹山。これに応える家臣たちと領民。全体の調和なくして、改革は成しえなかったことでしょう。
米沢の人、というより日本人全般がそうだと思うのですが、基本的には真面目な人が多いような気がします。ただ、どちらかと言えば決まったことをきっちりやる気質。だからこそ伝統が守られたり、良いものを更に良くする細かい工夫を思いついたり、魅力的な側面が沢山ありますね。成功する改革者は、枠組みそのものを構築、あるいは修正できる人ではないでしょうか。枠組みを提供すると、もともと真面目な人たちが良い仕事をしてくれる。そして富を生む。働く人も全体も豊かになる。
鷹山の時代のたくさんの枠組みは、のちに米沢の主力産業となったり、あるいは名物となるものに繋がっています。
人が意欲的に働き続けられる枠組みの構築。つまりは環境作り。現在の企業でも求められているテーマですね。
■つわものどもが夢の跡■
これも枠組みの一つでした。塩田は大事業とまではならなかったようですが、財政を何とかしたかった鷹山の夢の跡です。
■参考にした文献■
小説 上杉鷹山(集英社文庫)
著者:童門冬二
お城巡りランキング
2017年12月28日
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