2013年12月27日
利休に尋ねよ2
(続き)
≪死≫
茶室のところで書いたように、利休が茶碗や茶室造りでやろうとしたのは「見る」茶の否定で、それは秀吉の(政治的)茶の否定でした。でもそれをさせたのは、彼らの立場でした。
出逢いからタッグを組んだ頃の立場とは訳が違います。利休が紹鴎のものまねから、珠光の詫び茶に傾いて言ったのは、このあと六十を過ぎてからのことです。
何があったのでしょうか。「侘しさという感情は、不足や不完全である事に抱くものですが、人は例え栄華を極めても侘しさから逃れることはできない。
日々人生を少しずつ失い、しかもそれを取り戻す事はできないということにおいて、おそらく人は根源的に貧しいのです。天下を取った後の秀吉は、利休の前にそうした貧しさ、侘しさの権化として
あらたに立ち現れたのではないか。(木村宗慎)」
「庭の朝顔がいっぱい咲いております。どうぞ朝顔をご覧においでください」と秀吉に朝の茶会に招待した利休は、こともあろうに秀吉が来ると言うのにその庭の朝顔をことごとくちょん切り、それを見て怒りまくる秀吉がどかどか茶室に入っていくと、ほの暗い床の間にたった一輪それはみごとに朝顔が生けられていたというエピソードは、
栄華を極めている秀吉の本来の姿を自覚してもらいたかったのでしょうか。多くの人を殺戮し、その犠牲の上に立っているあなたさま。
余りに危険な賭けであり、自分自身詫びの道に生きる決意を示したかったのでしょうか。
利休が楽とは正反対の井戸を愛したのは、井戸茶碗が、茶道具」では例外的に瑕(kizu)ものでも評価される理由に、それが「老い」の姿を愛でるものだというところを、すなわち花のように、時の流れには打ち勝てずしおれていく姿に無常を感じるところをだったのではないか。花も人も名物にはなれない。時には打ち勝てない。
「利休が名物を否定し、最後は道具まで否定しようとした」のは、秀吉という花に(木村宗慎)」殉じたからではなかったのかと推察しています。
世の栄華を一身に受ける秀吉にひたひたと忍びよる老いの恐怖。限りある命を花の姿に重ねた利休は、実は真の詫び茶の体現者ではなく、演出者に過ぎなかった。体現者は秀吉その人だったということでしょうか。
これも私の想像ですが、秀吉も自身、名物にはなれない「花」に過ぎない事を彼も判っていたでしょうし、利休も秀吉がそのことを察してなお切腹を命じなければならなかった訳は判っていたのではないでしょうか。そう思う様になりました。世間を驚かす待庵や禁中茶会で御所へ運び込んだ黄金の茶室も、共に発案は秀吉、制作は利休でした。
最高にして親密なコンビでした。部下や取り巻きの甘言に惑わされる筈も無かったのです。
「利休めはとかく冥加のものぞかし管丞相(kanjyousyou)になるぞと思えば」と辞世をの句を残します。
秀吉を甘やかせ過ぎた三成による讒言(zangen)により、左遷憤死した菅原道真に自分を重ねたといわれています。事実その通りでした。
もともとが「冥加」(知らず知らずのうちに神仏の加護を被ること。その実先に述べた、神仏というより世俗的な秀吉の加護を得ていた)だったわけだから。「新しい価値」を世間に認めさせるのに、天下人の力を借りたのは事実でしたね。矛盾を背負っていたんですね。
しかし立場が、自分達だけではもう思うようにはならない、高見に迄、来てしまっていたという事ではないでしょうか。
前の月に、最大にしてかけがえのない助言者であり、知恵者であった弟秀長を失い、今また最大の理解者であり、部下の様に自分を甘やかさない利休に、みづから手を掛けざるをえなかった秀吉は、いよいよ朝鮮出兵という愚行に取りつかれたように突き進みます。これも彼の本意ではなく、今太閤という考えもしなかった権力の座が秀吉をして(武士たちへの)新たな恩賞のネタを
必要とさせたのではないでしょうか。もうこのころから秀吉は、自分が何をしているのか見えなくなっていた、自分を見失っていたのではないでしょうか。
「唐御陣(朝鮮出兵と明征服)は明智討ちのようにはいくまい」との言葉をトリガーに、秀吉の今迄の鬱積がはじけた。この鬱積は決して利休一人に対してでは無かった。
すべての後悔、いや残された時間の短さにも向けられていたかもしれない。
動いていたのは、太閤という権力と(宗易でなく)利休という茶の達人との、名声と名声とのぶつかり合いで、それはもう当の本人たちにはあずかり知らぬ力だった。
いつも同じ詩で申し訳ないのですが、志貴皇子の歌を。
ムササビは木末(konure)求むとあしひきの山の猟夫(satsuo)にあひにけるかも
どちらが秀吉でどちらが利休かは全く謎です。政治の側から見れば、山の猟夫は秀吉でしょうし、茶道(この言葉は後の人が名付けたものらしいですが)から見れば山の猟夫は利休でしょうか。
どちらもこうなることを判っていて避けられなかった。
或いはこうなることで「葛藤」から解放されたかった?
(利休にとってばかりか、秀吉にとっても最大の権力者である自分が、茶道ばかりか政治むきのことすら冷静なアドバイザーで欠かせない存在であった利休に頭が上がらなかったという葛藤があったでしょう。)
切腹の当日、外は大雨で、雹(ひょう)が降り、雷鳴もとどろいたそうです。聚洛屋敷に遠くない秀吉の耳にも雷鳴は届いていたでしょう。利休の怒りは己自身への怒りだったでしょうし、秀吉にとってはと言えば、世間の目や取り巻きの目、更には自身のみえの為に、消去法で決めざるを得なかった決断に追い込まれた自分に、利休とともに苛立っていたのでしょうか。
突っ伏した利休の背を通り抜けたひと吹きの風は、死人の衣を返し、その生臭い匂いをあたりに漂わせた。とその時、彼の懐からころころと毀れた蘭奢待の香木(※)の香が、間を入れず周囲の臭気をぬぐい取るように拡がり、再び静謐が訪れた。
※足利義政に倣って、信長公が正倉院の香木、蘭奢待(らんじゃたい)の一部を伐りとった時のくださりもの
追伸; 2013年9・16の「豊かな社会」2に、追加文を載せました。よろしかったらご一読を。
≪死≫
茶室のところで書いたように、利休が茶碗や茶室造りでやろうとしたのは「見る」茶の否定で、それは秀吉の(政治的)茶の否定でした。でもそれをさせたのは、彼らの立場でした。
出逢いからタッグを組んだ頃の立場とは訳が違います。利休が紹鴎のものまねから、珠光の詫び茶に傾いて言ったのは、このあと六十を過ぎてからのことです。
何があったのでしょうか。「侘しさという感情は、不足や不完全である事に抱くものですが、人は例え栄華を極めても侘しさから逃れることはできない。
日々人生を少しずつ失い、しかもそれを取り戻す事はできないということにおいて、おそらく人は根源的に貧しいのです。天下を取った後の秀吉は、利休の前にそうした貧しさ、侘しさの権化として
あらたに立ち現れたのではないか。(木村宗慎)」
「庭の朝顔がいっぱい咲いております。どうぞ朝顔をご覧においでください」と秀吉に朝の茶会に招待した利休は、こともあろうに秀吉が来ると言うのにその庭の朝顔をことごとくちょん切り、それを見て怒りまくる秀吉がどかどか茶室に入っていくと、ほの暗い床の間にたった一輪それはみごとに朝顔が生けられていたというエピソードは、
栄華を極めている秀吉の本来の姿を自覚してもらいたかったのでしょうか。多くの人を殺戮し、その犠牲の上に立っているあなたさま。
余りに危険な賭けであり、自分自身詫びの道に生きる決意を示したかったのでしょうか。
利休が楽とは正反対の井戸を愛したのは、井戸茶碗が、茶道具」では例外的に瑕(kizu)ものでも評価される理由に、それが「老い」の姿を愛でるものだというところを、すなわち花のように、時の流れには打ち勝てずしおれていく姿に無常を感じるところをだったのではないか。花も人も名物にはなれない。時には打ち勝てない。
「利休が名物を否定し、最後は道具まで否定しようとした」のは、秀吉という花に(木村宗慎)」殉じたからではなかったのかと推察しています。
世の栄華を一身に受ける秀吉にひたひたと忍びよる老いの恐怖。限りある命を花の姿に重ねた利休は、実は真の詫び茶の体現者ではなく、演出者に過ぎなかった。体現者は秀吉その人だったということでしょうか。
これも私の想像ですが、秀吉も自身、名物にはなれない「花」に過ぎない事を彼も判っていたでしょうし、利休も秀吉がそのことを察してなお切腹を命じなければならなかった訳は判っていたのではないでしょうか。そう思う様になりました。世間を驚かす待庵や禁中茶会で御所へ運び込んだ黄金の茶室も、共に発案は秀吉、制作は利休でした。
最高にして親密なコンビでした。部下や取り巻きの甘言に惑わされる筈も無かったのです。
「利休めはとかく冥加のものぞかし管丞相(kanjyousyou)になるぞと思えば」と辞世をの句を残します。
秀吉を甘やかせ過ぎた三成による讒言(zangen)により、左遷憤死した菅原道真に自分を重ねたといわれています。事実その通りでした。
もともとが「冥加」(知らず知らずのうちに神仏の加護を被ること。その実先に述べた、神仏というより世俗的な秀吉の加護を得ていた)だったわけだから。「新しい価値」を世間に認めさせるのに、天下人の力を借りたのは事実でしたね。矛盾を背負っていたんですね。
しかし立場が、自分達だけではもう思うようにはならない、高見に迄、来てしまっていたという事ではないでしょうか。
前の月に、最大にしてかけがえのない助言者であり、知恵者であった弟秀長を失い、今また最大の理解者であり、部下の様に自分を甘やかさない利休に、みづから手を掛けざるをえなかった秀吉は、いよいよ朝鮮出兵という愚行に取りつかれたように突き進みます。これも彼の本意ではなく、今太閤という考えもしなかった権力の座が秀吉をして(武士たちへの)新たな恩賞のネタを
必要とさせたのではないでしょうか。もうこのころから秀吉は、自分が何をしているのか見えなくなっていた、自分を見失っていたのではないでしょうか。
「唐御陣(朝鮮出兵と明征服)は明智討ちのようにはいくまい」との言葉をトリガーに、秀吉の今迄の鬱積がはじけた。この鬱積は決して利休一人に対してでは無かった。
すべての後悔、いや残された時間の短さにも向けられていたかもしれない。
動いていたのは、太閤という権力と(宗易でなく)利休という茶の達人との、名声と名声とのぶつかり合いで、それはもう当の本人たちにはあずかり知らぬ力だった。
いつも同じ詩で申し訳ないのですが、志貴皇子の歌を。
ムササビは木末(konure)求むとあしひきの山の猟夫(satsuo)にあひにけるかも
どちらが秀吉でどちらが利休かは全く謎です。政治の側から見れば、山の猟夫は秀吉でしょうし、茶道(この言葉は後の人が名付けたものらしいですが)から見れば山の猟夫は利休でしょうか。
どちらもこうなることを判っていて避けられなかった。
或いはこうなることで「葛藤」から解放されたかった?
(利休にとってばかりか、秀吉にとっても最大の権力者である自分が、茶道ばかりか政治むきのことすら冷静なアドバイザーで欠かせない存在であった利休に頭が上がらなかったという葛藤があったでしょう。)
切腹の当日、外は大雨で、雹(ひょう)が降り、雷鳴もとどろいたそうです。聚洛屋敷に遠くない秀吉の耳にも雷鳴は届いていたでしょう。利休の怒りは己自身への怒りだったでしょうし、秀吉にとってはと言えば、世間の目や取り巻きの目、更には自身のみえの為に、消去法で決めざるを得なかった決断に追い込まれた自分に、利休とともに苛立っていたのでしょうか。
突っ伏した利休の背を通り抜けたひと吹きの風は、死人の衣を返し、その生臭い匂いをあたりに漂わせた。とその時、彼の懐からころころと毀れた蘭奢待の香木(※)の香が、間を入れず周囲の臭気をぬぐい取るように拡がり、再び静謐が訪れた。
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