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冬の紳士
定年前に会社を辞めて、仕事を探したり、面影を探したり、中途半端な老人です。 でも今が一番充実しているような気がします。日々の発見を上手に皆さんに提供できたら嬉しいなと考えています。
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2014年06月12日
ビッグデータ社会の希望と憂鬱を読んで


現代はデジタルネットワーク社会と呼ばれている。しかしその始まりは僅か20年余り前から始まったばかりの「米国立スーパーコンピュータ応用研究所の学生だったマーク・アンドリューセンの発明になるモザイクと呼ばれたブラウザソフト」に始まる。「そこから情報革命は始まった(1)。」世界に点在するサーバーを接続するインターネットがアメリカ陸軍総省から商業用に開放されてからは今迄のパソコン通信とは全く違う、世界と繋がる通信ネットワークが民間に拡がったのだ。一度開発された技術は瞬く間に世界中を駆け巡り共有され新しい知を刺激する。世界中の共同作業であっという間に大量情報が蓄積され、続いてそれらをどう活用するかの技術も広まっていく。情報革命はアナログからデジタルへの対象の捉え方の変換でもある。実はそもそもの情報社会の問題もここにあった。生身の人間を数字でいくら大量の数値で置き換えそっくりの人間の形や人工知能をつくってもそれはあくまでロボットで、人間では無い。しかし「便利の追求」はこれを良しとした。そこでのデジタルへの「置き換え」によって捨てさられた人間性や多様性が如何に貴重なものであるかに気付くには、長い時間を要する。既に兆候は出始めている。しかし未だこの革命が始まったころの幸せな楽観主義が一大勢力として君臨している。嘗て政府が定めたバラ色のIT基本法を再検討しようという危機感は見られない。

第1章:ネットワーク社会の現実と問題点
序章で述べた様に単純であるが為に間違えないデジタル。より情報量を増やせば増やす程実態に近づくこともできるがその手間が膨大であったデジタル、その弱点を補った高速コンピュータとの融合によりデジタル技術は飛躍的に実力を発揮した。この技術によってあらゆるものがデータに置き換えられた。しかも高速で。データに置き換えられることによって規格も統一され保存も取り出しも送信も安全・確実・高速に実施されるようになった。家庭においても職場においてもデジタル技術に繋がっていないところは殆んど見受けられない。パソコン、家電、スマートフォン、自動車等々、大変便利であり、簡単にできる。生活も仕事も飛躍的に能率が上がった。余った時間で更なるデータ化を進める。「便利だけ」で満足せず、今度は企業は更なる発展に利用しようともくろむ。ビッグデータの利用である。ここにおいてデータというものの使われ方が変わる。いままで利用する主体の為の手段であったデータ化が、その主体をもデータ化し始めた。人間をものとしてデータで評価し、ビジネスや犯罪防止などに役立てようということだ。唯のゴミの様な大量データの集合に、今まで気付かなかった個人の法則や傾向を見つけ、捉えた一面をデータで捉えた個人像として利用する方法だ。生産に、消費に、スポーツに、観光・レジャーに、医療に消費者の行動パターン・性向、病歴、果ては遺伝情報迄もが様々な機会に収集されデータ化され、ネットワーク上に飛び交い個人情報として首根っこを掴まれる。「企業の本音は、購買に伴うカードの持ち主の軌跡を記録するトラックカードが欲しい。」「カードを媒介に、顧客の顔を知りたい」というところまで来ている(2)。顧客の顔とは即ち「個人情報」のことだ。まだ出来て日も浅い我が国の「個人情報保護法」の規定する住所・氏名・生年月日・性別の組合せなどという楽観的なそれではなく、個人の体から頭の中まで裸にする個人情報なのだ。もう顧客へのサービスで売上促進などという甘い世界では無い。それは名目のことで、裸にした顧客の癖や好みから弱みを掴んで商品を売りつけるに近い世界に踏み込んでいるのだ。人間主体のデータ化は商業だけでは無い。特に犯罪の検挙、予防の研究は著しい。街のあらゆるコーナーに取り取り付けられた監視カメラ。犯罪者だけでなく全ての住民がデータ化の対象たりうる。即ち当局の監視下に多かれ少なかれおかれるということだ。監視社会の始まりでもある。インフォームドコンセントが(言葉の上では)常識となっている医療の世界でも、病院側と患者との「共有情報は余りに非対称であり患者側の立場も弱い。患者のゲノム情報や遺伝子情報が電子カルテに加わる日は近い。この情報がビッグデータとなる日は遠くない(3)。「もし今後何も行動が起こされないなら、生まれつつある一望監視(パノプティコン)方式のアーキテクチュアによって、プライバシーと言論の自由の重要な側面が消されていっても、傍観するだけだろう」(4)これは米シカゴ大 ローレンス・レッシング教授)の著書「コード(社会規律)」での言葉だが、それよりもネットワーク社会の上に乗って、都合の悪いことは機密情報でガードし、反体制側には監視で対応し、経済という目先の人参で、それを覆い隠そうとする、国民に頼まれてもしない個人的なイデオロギーに基づくナショナリズムの実現にまい進している観すら窺える今日の動きである。

第2章:情報疎外の構造と待たれる対策
ネットでは、「パーソナライゼーション(ネットを利用しながら様々な情報のやり取りをしているうちに、ばらまいてしまった属性が情報として統合されてもう一人の私を指図するエージェントがネット上に出現する)」、「クライスター化(限られた気の合う小集団が形成されて、自由に出入りし必要な時に相談できるという集団)」が進行する。入口に立っている間は便利で孤独感解消ができて頼りになるが、ひとたび中に踏み込んだ世界では声の大きい人、影響力のある人を中心に考えが統制されたり(ノイマンの「沈黙の螺旋」現象)、多数が同じ意見ならと同調したり、もともと気の合う同じ考えの集団だったことから、市民としても知っておかなければならない違う考えでもそれを取り入れないといったスモールワールドを形成し、膨大な数のコメントやトラックバックの海を前に抜け出すこともできず、全体主義すれすれの排他集団となる危険が潜んでいる。簡単なネット上なら尚更その傾向は加速する。アダムスミスの見えざる手はこの世界ではさながら「エージェント」に代表される見えざる人格だが、その向かっている方向は残念ながら、儲けの論理のようだ。しかし、これらいわばネット中毒患者は、突き放して言えば自業自得であり、危険性に気付き、降りるしかないが、ではその様な情報リテラシイのない情報弱者(障害者や子どもばかりでは無く、何も知らない勤労者の上にも監視の目は拡がっている。)はどうだろう。便利で快適な面の恩恵にさほど浴することができないばかりか、ますます情報社会から取り残され、あろうことかネットワークの監視下にだけは置かれ、コントロールされることに抵抗できず(手が届かず)、彼らの頭上で、一部のネットワーカー達によって富が(極端に言えば)横流しされ、格差は拡大するばかりである。「ベンサムの提唱した「パノプティコン(一望監視型監獄)」で解明された心理効果」(5 )は、牢獄ばかりか病院、図書館、工場や都市にも応用され、人々を従順にしている。個人情報保護は、国民には守りたいものだが、大企業にとってはビジネスに面倒な規制と捉えられている節がある。
行政は「平等」という縛りで「格差」のどちらにも付くことはできない。個別対応ができないのだ。大企業はその法の弱点をくぐって自身の利益の追求に走る。逃げ道は無いのか。

「僕は自分のプライバシーを完全に諦めることで、それを守っているんです。すべてを明るみにだしてしまえば、もうわざわざ気にする人はだれもいません。こう語るのは米国のメディアアーティスト、ハサン・エビラ」(6)。これは嘗て「大衆の反逆」で20世紀を特徴付けたスペインの思想家オルテガが、その著書の中で「(ギリシャの女神)セーレンの美しき歌声による誘いに乗って海中に引きずり込まれるのを、船乗りたちが防ぐ手立ては唯一つ、彼女の歌を後ろから逆さまに歌い返してやることだった」と述べているように逆手にとって攻撃を意味の無いものに変える戦略だ。だがそれは余りに代償が大きく、危険である。国民にその様な方法を要請できるだろうか。できる筈もない。これは海の向こうの人ごとでは無い。行政には直ちにこの膨れ上がったネットワーク情報社会の暴走のリスクを真摯に計り、産業の発展と個人のプライバシーとの調和へ向け、歴史の浅く(個人情報保護法から9年、情報公開法に至っては僅か3年)不備(例えば個人情報保護に関するガイドラインは、労基法と矛盾する点が存する点がある(7)ことなど)の指摘されている法制度の矛盾解消とともにネットワーク環境下での法適用との整合性を含め、更なるスピード感を持った対処が望まれる。

注)
(1)ビッグデータ社会の希望と憂鬱 森健著  河出文庫  P29
(2)ビッグデータ社会の希望と憂鬱 森健著  河出文庫  P214
(3)ビッグデータ社会の希望と憂鬱 森健著  河出文庫  P342
(4)ビッグデータ社会の希望と憂鬱 森健著  河出文庫  P357
(5)ビッグデータ社会の希望と憂鬱 森健著  河出文庫 P301
(6)ビッグデータ社会の希望と憂鬱 森健著  河出文庫 P373
(7)ビッグデータ社会の希望と憂鬱 森健著  河出文庫 P275

(参考文献)
インターネットストラテジー 吉村伸、金子郁容他著 ダイアモンド社
情報化での二重のうねり (国領二郎、松岡正剛対談)  日本経済新聞


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