北条氏邦の居城
<天然の要害>
蛇行する荒川沿いの断崖上に築かれた山城。そして城の内部は深沢川の渓谷(画像)。
まさに天然の要害です。
<堀>
伝逸見曲輪の空堀(水はたまたま溜まってるだけ)。
<堀切り>
<堀切だった道路>
(この道は本丸と二ノ丸の間)
■四男坊の氏邦■ 藤田
北条氏康の四男である氏邦。このブログでは北条氏邦で通しますが、地域の豪族である藤田氏に娘婿として入り、その家督を継いでいます。つまり、藤田氏邦さんということですね(藤田重氏と名乗ったという説もあります)。戦国時代、外交政策として血縁関係を利用する例は多いですね。小田原北条氏の3代目(氏康)は子だくさんです。地方領主との婚姻関係を広げて、実質的支配力を拡大しました。氏邦の婿入りにもそんな背景があります。
■弟は上杉謙信の養子■ 御館の乱(1578年)
氏邦の弟(七男坊)には、上杉謙信の養子となった後の「景虎」がいます。謙信本人の初名だった「景虎」の名を与えられました。謙信亡きあと、やはり養子の上杉景勝と家督を争います(御館の乱)。この時氏邦は、弟に加勢すべく兄の氏照(三男坊)と共に越後に攻め入ります。周辺の戦国大名はことごとく北条出身の景虎に加担(北条は当然として武田・伊達・蘆名など・・・)していることから、後継者争いでは景勝が不利と思われました。しかし武田が景虎から景勝へと鞍替えすると形勢は大きく変わります。争いは長引き、冬の到来で氏邦たちは弟への支援を断念。結果として見捨てる形となりました。
■武勇に優れた氏邦■ 神流川の戦い(1582年)
氏邦は武勇に優れ、遠く離れた北関東の最前線で小田原北条氏を支え続けます。本能寺の変直後の「神流川の戦い」でも活躍。氏政(次男坊※)の息子である氏直を助け、信長から上州を任されていた滝川一益を敗走させています。
※長男が若くして他界したため、次男ですが実質は長男の役割を背負った跡取りです
---------【補助資料】-----------
●北条五代(歴代当主)
早雲⇒氏綱⇒氏康⇒氏政⇒氏直
●氏政兄弟
@(新九郎)A氏政B氏照C氏邦D氏規E氏忠F上杉景虎B氏光
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■北条と真田■ 名胡桃城事件(1589年)
秀吉の意志に反して、北条氏が真田氏の城を奪ってしまった事件。これが小田原征伐の誘因となったことは有名ですね。それまで城の奪い合いなどは当たり前でしたが、北条側の名胡桃城(なぐるみじょう)占領は、秀吉が大名同士の私闘を禁じた(惣無事令の)あとでした。具体的に行動を起こしたのは北条氏家臣の猪俣邦憲ということになりますが、これが独断なのか、あるいは北条一族の誰かの指示なのか、あまりはっきりしていません。ただ、猪俣邦憲は氏邦の配下だったいう説もあります。北条兄弟では一番上州に近い拠点を任された氏邦ですからね・・・あり得ます。もしそうなら、数々の実績を残した氏邦にしては痛恨のミスでしたね。
繰り返しますが、このヘンははっきり分かっていないようです。
■鉢形城の戦い■ 小田原征伐(1590年)
結局、北条氏は秀吉の天下軍と戦うことに(北条8万対天下軍20万)。名胡桃城事件がきっかけということになりますが、それがなくても、衝突は時間の問題だったとする考え方もあります。
氏邦が3千の兵で守るここ鉢形城は、前田利家他で編成された北国軍3万5千に取り囲まれます。北国軍の主力には、家督争いで弟の景虎を死に追いやった上杉景勝率いる1万の兵も含まれます。
勝ち目のない戦い。氏邦はどんな思いで籠城し続けたのでしょうか・・・
1ヶ月後、北条氏邦は城兵の助命を条件に開城しました。
やがて小田原城も開城となり、長い戦は終わりました。
■金沢で没す■ 57歳
敗軍の将となった北条氏邦。前田利家の助命嘆願の甲斐あって、剃髪を条件で命までは取られませんでした。ただ兄である氏政・氏照は開戦の責をとわれて切腹。介錯役はなんと弟の氏規(うじのり・五男)でした。
一命を許された氏邦は、僅かながら知行も得て、小田原からは遠く離れた加賀金沢にて病没(57歳)。
武勇に加えて、鉢形城時代に殖産でも大きな業績を残した北条氏邦。
統治者としても立派だったようですね。
その人望から、法要には大勢が参列したと伝わります。
つわものどもが夢の跡
[埼玉県大里郡寄居町大字鉢形]
-------------(余 談)-------------
■前田慶次と北条氏邦■
知行を引き継いだ氏邦の子は、前田利益(とします)の娘と結婚しました。前田利益・・・つまりあの「前田慶次」のことですね。私「花の慶次」の大ファンです。原作の小説も読みました。猛将にして統治者としても立派な実績を残した北条氏邦なら、あのお話に登場しても、きっと慶次に「もののふ」として認めてもらえる。そんな気がします。
<堀跡の底にて>
たくさんの小さな花が咲き誇っていました。
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