「肺気腫」という病気をご存知でしょうか。
2014年に亡くなられた俳優の宇津井健さんが生前に患っていた病気ということで、一躍有名となりました。
さて、肺気腫とはどういう病気なのでしょうか?
肺気腫とはどういう状態?
肺には「肺胞」とよばれる小さな袋のようなものがあります。この肺胞が壊れてしまう病気が「肺気腫」です。
また、喉や鼻から空気を通す管は「気管」と呼ばれます。気管は肺に近づいて2つに分かれますが、そこから肺に届くまでの箇所を「気管支(※注訳1)」といいます。この気管支が炎症を起こすことを「気管支炎」といいます。
「気管支炎」が長期間続き、かつ原因が不明な場合は「慢性気管支炎」とされます。
「肺気腫」は「慢性気管支炎」と一緒に発症することが多いといいます。また、慢性気管支炎や肺気腫は、まとめて「慢性閉塞性肺疾患(COPD/Chronic Obstructive Pulmonary Disease)」と呼ばれます。
(※注訳1)・・・二手にわかれた箇所のみを指すこともあります。
どんな症状が現れる?
肺気腫を患うと、次のような症状が現れます。
軽く体を動かしただけで息切れしやすい
咳や痰が続く
病気が進行するにつれて、運動をしなくても息切れがしやすくなる、といった症状が出てきます。
さらに重度となれば体が動かなくなり、寝たきりの状態となる、または心不全や呼吸不全を引き起こすなど、命に関わります。
肺気腫となる原因は?
肺気腫となった人の95%が喫煙者です。そのため、原因のほとんどは喫煙によるものだとされています。
また、大気汚染や化学物質なども原因のひとつとして考えられています。
肺気腫の治療方法は?
現代の医学ではもとの状態に肺を戻す治療法はありません。しかし、次のような治療をおこない、症状が悪化するのを防ぎます。
禁煙
薬の摂取
酸素吸入
なお、肺気腫が進行して肺胞が壊れると、肺は弾力性を失い膨らみます。肺が膨張している場合は、肺の一部を切る手術をする場合があります。
また、風邪やインフルエンザにかかると症状が悪化する可能性があるため、ワクチンの摂取をすすめられるケースもあります。
肺気腫を予防するには?
肺気腫となる最大の原因は、前述の通り「喫煙」とされています。そのため、禁煙するのが第一の予防となります。
また、40代の前半くらいまでには肺のCTスキャン検査を受けることが推奨されます。万一肺気腫が見つかっても、早期のうちに見つかる可能性が高くなるためです。
早期発見が大切!
肺気腫は、別名「タバコ病」とも呼ばれる病気です。初期症状は、咳や息切れなど、老化と間違えられやすいため、病気が進行するまで気づかない人も多いといいます。
定期的な検査を受けて、早期のうちに病気を発見することが大切なのかもしれません。