2016年02月29日
体内時計のメカニズム。体と時間のカンケイ
体内時計という言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。人間の体の中には、時計のようなシステムが働いていて1日のリズムを調整しているのだといいます。一体なぜ、このようなシステムが備わっているのか、またどのような機能が体内時計を司っているのか。今回は、この気になる“体と時間”のカンケイについて医師に伺いました。
体内時計って何?
私たちは通常、朝になったら起床し、夜になったら眠るという生活を繰り返しています。これは外の時間に合わせて、意図的に取っている行動ではなく、1日の中で起こる体内の体温や血圧、ホルモンの分泌量の微妙な変化によって引き起こされる現象だといわれています。
この体の日内変動がいわゆる体内時計といわれるものです。これは、脳内の視床下部の近くである、視神経があつまった視交叉上核(しこうさじょうかく)というところにあります。これが体の末梢の時計遺伝子に働きかけ、体内のタンパク質の合成や抑制を起こして、一日のリズムを刻んでいるといわれているのです。
体内時計は24〜26時間!?
この日内変動のシステムには一定のサイクルがあり、この時間を算出してみると人間の場合、約24〜26時間であるといわれています。つまり、地球の自転による1日のサイクルと誤差があることがわかるでしょう。
この誤差の修正にひと役買ってくれるのが朝の太陽なのです。この光りを浴びることで、脳にある体内時計の針が進んだ状態になります。
睡眠障害は、体内時計が機能していない証
この体内時計がうまく機能しなくなると、概日リズム睡眠障害といわれる、うまく睡眠がとれなくなってしまう状態になります。このように、日中と夜のサイクルと体内時計のリズムが合わないことで、次のような症状が引き起こされます。
<概日リズム睡眠障害の症状>
・学校や会社に行かなければならない時間に起きられない。あるいは活動できない。
・自分が望む時間帯に睡眠を取ることができず、社会活動が困難になってしまう。
・朝方まで眠りにつけず、いったん寝ると昼過ぎまで起きられない睡眠相後退症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん)を伴う。
・無理をして起きると、眠気や強い倦怠感などの症状が出る。
体内時計を整えて、すっきりした生活を送るためには光の調整が大切になってきます。 朝は、しっかり光を浴びて体内時計をリセットし、夜はスマートフォンなどあまり使わず光をセーブする。このようなちょっとした工夫によって、きちんと睡眠がとれるようになることで日中のリズムが整うでしょう。