2017年11月30日
我慢したオナラは何と口から出てくる! オナラ研究最前線
オナラには、私たちの健康状態を知るうえで重要な情報が満載である。腸管の中のオナラを回収するカプセルも開発中で、近い将来、呼気検査や糞便検査に加えて、オナラ検査も実用化されるかもしれない。
□我慢したオナラは何と口から出てくる!
「オナラを我慢するとよくない」これはよく聞く話だろう。おなかの中にガスがたまると、おなかが張って何とも不快な気分になるし、ガスが腸の動きを妨げて便秘の原因にもなるからである。しかし、オナラを我慢したらそのオナラはどこに消えてしまうのだろうか?
実は、我慢したオナラは腸の表面の血管を通過して血液に溶け込むのだ。そして、血液に溶け込んだオナラは全身を巡り、その一部は肺から呼気として排出されるのである。
呼気検査でメタンや硫化水素といったオナラのガス成分を検出できることからも分かるように、我慢したオナラはなんと口から出ていくのである。
□頻繁・臭いオナラで考えられる病気は?
おなかにたまった過剰なガスによる臭いオナラや頻繁なオナラは、腸の乱れや病気のサインの可能性もある。例えば、おなかの中にガスが貯留する「鼓腸症」では、腸管粘膜が荒れている場合や腸に炎症が起こっている場合、腸内細菌のバランズが乱れている場合などに起こる。
また、その背景には腸のガンが潜んでいる可能性もある。したがって、オナラはただの排出物ではなく、私たちの健康状態を知るうえで重要な手がかりとなるものなのだ。
現在のところ、オナラ検査は一般的な検査として実用化されてはいないが、研究は進んでいる。もし、オナラ検査が実用化されれば、呼気検査や糞便検査よりも直接的に腸管内の状態を把握できるようになるだろう。
□オナラ検査 オナラ回収カプセルの開発が進行中
オーストラリアのモナシュ大学では、腸管内のあらゆる場所からガスを回収することができるカプセルを開発している。
薬を飲み込むようにカプセルを飲み込むことで、そのカプセルは腸管内を数日間かけて旅するのである。旅の途中、カプセルは、その場その場でガスを回収し、最後に体の外にカプセルごと排出される。こうして回収したガスを分析することによって、腸のどこで、どのようなガスが産生されるのか、そして、それが健康にどのような影響を与えるのかを調査する計画だという。
□便秘を引き起こすメタンは腸管内のどこからやってくる?
例えば、メタンは便秘を引き起こすと考えられているが、メタンが腸管内のどこで、そして、いつ産生されるのかということについては、今のところあまり分かっていない。
しかし、このカプセルを使ってリアルタイムに解析を行うことができれば、便秘メカニズムの解明にもつながるかもしれない。すでに豚を使った研究が行われおり、今後、人でも研究を行う予定だという。
オナラなんて口にするのも恥ずかしいというイメージがあるかもしれないが、オナラの情報は私たちの健康上の重要な指標であり、実はこんなにも有用性が高いものなのなのである。