2017年11月24日
ジョギングの速度は時速12qまで。超えれば長生きできない?
日本全国でマラソンブームが続いている。皇居の周りを走る「皇居ランナー」のみならず、河川敷や公園、近所の小さな道でもジョギングをしている人のいる光景は日常的なものになっている。
マラソン大会があれば、有料だったり、抽選を勝ち抜かないと参加することすらできない大会だったりすることも多い。
ランニング人口は、2014年では1998年の約1.5倍(986万人)になっているという。健康目的のためにジョギングをしている人は多いようだが、そのジョギング、本当に健康にいいのだろうか?
□適度なジョギングが寿命を延ばす
デンマークのコペンハーゲンで、ジョギングのペース・時間・頻度と死亡率の関係を2001年から継続的に調査した研究がある。調査対象は、1,098人のジョギングする人(ジョガー)と3,950人のジョギングしない人である。
死亡率が低かったのは
・ジョギング時間:週に1〜2.4時間
・ジョギング頻度:週に3日以下
・ジョギングのペース:遅いあるいは平均的
この結果は、年齢や性別、喫煙の有無などを考慮に入れた結果である。特に、上記のような低リスクグループでは死亡率が70%も低下していることを意味している。
□持続12km以下のゆったりしたペースを守ることが長寿につながる
ちなみに、今回の研究では6METs以下のジョギングを遅い、12METs以上を速いとしている。その間を平均的としている。
METsは代謝の強さの指標であり、運動時の環境や運動する人の年齢・性別・体重などによって変わってくる。時速約7qのジョギングが6METs、時速12qのジョギングが12METsくらいと考えてもらってもいいだろう。
時速12qを下回るような、ゆったりとしたペースの方が長寿のためには良いということになる。
□激しい運動、心臓負荷と活性酸素が悪影響を及ぼす
運動が激しくなると、死亡リスクが高まる理由はいくつかの説がある。
この研究では、過剰な心臓負荷が心臓の線維化や血管壁の硬化を招き、そのことがハードなジョギングによる死亡率の増加に影響しているのではないかと結論付けている。
運動をすると体内に酸素を多く取り込むため、活性酸素が大量に発生することが寿命の低下に関係しているという報告も多い。
□長生きするなら「気軽な運動」が一番!
スポーツ好きの人であれば、走るからには全力で成績を伸ばしたいと考える人は多いだろう。だが、ゆったりとただ気持ちよく走る方が、健康には良いという結果が出ている。
古代中国の儒教の祖である孔子の言葉に「中庸の徳たるや、其れ到れるかな」という言葉がある。「中庸(節度を守る事)の徳には至上の価値がある」という意味であるが、ジョギングなどの運動にも通じるようである。ストイックに自分を追い込むのではなく、気軽に運動を行うことが長生きの秘訣なのかもしれない。