所沢市の断崖上に残る城の痕跡を見に行きました。
<滝の城>たきのじょう
滝の城と呼ばれています。別名は本郷城。埼玉県所沢市といっても、お隣の清瀬市(東京都)との県境に位置しています。県境を流れる柳瀬川北岸の断崖上に築かれた山城です。現在では滝の城址公園として整備され、本丸跡には城山神社が祀られています。
■ 小田原北条氏配下の城 ■
築城の時期は明らかではありませんが、山内上杉氏配下の大石氏によって築城されたと推定されています。河越夜戦※で上杉氏が敗退すると小田原北条氏の配下となりました。北条氏康の三男・氏照が城主を務める武蔵滝山城(現在の八王子)の支城というポジションのようです。
※河越夜戦とは
細かい説明は省略しますが、小田原北条氏3代目当主の氏康が、圧倒的な兵力の差を奇襲で覆した戦いです。北条氏を潰そうとする関東の連合軍に勝利したことで、逆に北条氏の実力が世間に知れ渡ることになりました。今回訪問の滝の城は、そんな勢いに乗っている北条氏の配下に組み込まれていったわけです。
■ 小田原征伐で廃城 ■
やがて1590年の秀吉による小田原征伐により北条氏は滅亡。総勢20万人ともいわれる天下軍が相手ですからね。関東の覇者となっていた北条氏もかないませんでした。滝の城もこの時の戦いに巻き込まれ、豊臣軍の一翼を担う北国勢が攻め寄せたと伝わります。北国勢(北国軍)といえば、前田家や上杉家、そして真田家も含まれる軍勢です。いい伝えが事実なら、この地に前田利家や上杉景勝といったそうそうたるメンバーが攻め寄せたことになります。滝の城の名は全国的にはあまり知られていませんが、歴史ロマンを感じさせる城跡です。
■ 訪 問 ■
埼玉県内の城跡です。そして私は埼玉県民。しかし頻繁にタテ移動(北へ行ったり南へ通勤したり)するわりに、所沢方面を含むヨコ移動する機会がなく、なんとなく遠く感じていました。実際に行ってみると近い近い。慣れてなかったというだけですね。更に、城跡は東所沢駅から徒歩で約20分強でした。
「こんな駅から近いところに中世の城跡なんてあるのかね?まぁきっと市民の憩いの場所として整備された公園に、ちょっとした遺構があるのだろう」
そんな程度の期待だったため、突然目の前に別世界が広がり鳥肌が立ちました。
「こんなに凄いのか〜」
<説明板付近>
『滝の城跡入口(←ここ入る) 埼玉県指定文化財』更に左側の『滝の城跡散策道』という名の縄張り図。
画像ではややラフに見えますが、これが極めて分かり安い。細か過ぎないのが逆にいいですね。物見櫓跡と空堀・空堀・空堀・・・そして本丸跡。小規模なわりに曲輪が多いことに戸惑いました。また「7世紀頃の横穴墓群が発見されたところ」という説明もありました。城が築かれる以前から、人の暮らしと関りのある場所ということですね。
入口で大筋は理解できました。あとはただただ歩き回るのみです。久しぶりに『中世の土の城』と出会えた気がしてワクワクした瞬間です。
<つわものどもが夢の跡>
凄い!入口より先はこういった堀、また堀の連続です。構造がとても分かりやすい。
表現が適切かどうかわかりませんが、「中世の土の城のショールーム」にでも来たかのような分かり安さ。コンパクトな空間に、城のノウハウが凝縮されています。
<本丸跡>
ここはある程度の広さが確保された曲輪です。現在は城山神社となっています。
予習不足ということもありますが、とにかく遺構が良好な状態で保たれていることに感動しました。埼玉県民でも知らない人が多いのではないでしょうか?ここは「中世の土の城」が感じられるお勧めの場所です。他県にお住まいの城ファンの方にも、ぜひ訪れて欲しいですね。
ちょっと拙文が長すぎたので、次の投稿で城の内部の様子をご紹介させて頂きます。
■訪問:滝の城
[埼玉県所沢市城]
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