アップルの創始者であり、前CEOでもあったスティーブ・ジョブズが亡くなった。

謹んで哀悼の意を捧げる。
この世に生を受け、約半世紀の間ひたすら発明すなわち過去の捉え方をひっくり返し、新しい価値観を生み出し続けたスティーブ。

もうその禅僧のような静かな横顔を見ることはできない。

彼が生前(この言葉も不思議な言葉ですね)語った貴重な精神の吐露を味わってみよう。

スタンフォード大での講演から・・・。
「もし今日が自分の人生最後の日だしたら今日やる予定のことは私は本当にやりたいことだろうか？」それに対する答えが「ノー」の日が何日も続くと私は「何かを変える必要がある」と自覚するわけです。なぜなら、他人からの期待、自分のプライド、失敗への恐れなど、ほとんど全てのものは…死に直面すれば吹き飛んでしまう程度のもので、そこに残るものだけが本当に大切なことなのです。

君たちが持つ時間は限られている。人の人生に自分の時間を費やすことはありません。誰かが考えた結果に従って生きる必要もないのです。自分の内なる声が雑音に打ち消されないことです。そして、最も重要なことは自分自身の心と直感に素直に従い、勇気を持って行動することです。心や直感というのは、君たちが本当に望んでいる姿を知っているのです。だから、それ以外のことは、全て二の次でも構わないのです。

そして最後に。Stay hungry, Stay foolish. (貪欲であれ、愚直であれ。と訳されていますが、上記のような考えに到達した彼の言葉の意味としては、あまりに意訳に過ぎるような気がします。私の理解は次のようなものです。「清貧に身を置け、そしてもの判りの悪いままでいなさい。」と)

常にあした死ぬかもしれないと思い続けることは、とても困難なことです。しかしそこで引き返しては、唯の「参考になった。」「考えさせられた。」になってしまうんです。
そうではなく、おのれを捨ててその真っ只中に入り込むんです。そうすることでいつの間にか「己が周囲を見ているのでなく、周囲が己をその一部に取り込んで主語の無い世界」に入ります。
そのような状態でいられれば、緊張が緊張でなくなる世界に住めるんだと思います。

そうして視界の開けた様々な縛りから解放されたところに辿り着くのでしょう。

「一日」とは人生の始まりと終わりのモデルである。

一日を「完了」と見なせないで、明日もあさっても続いていく多くの中の１つと考えていると、生き物としてのリズムが狂ってくる。やがて何もかもが狂ってくる。

「宇宙の中にいくつもの超銀河があり、十数億年に１度回転している。その中の一つが我々の生きている銀河で二億年に１回転する。太陽も数百年に１度回転し、その周りを１年かけて我々地球が回っている。おまけに自らも１日に１回転しながら。」(２１世紀精神)
一日とはこのような宇宙回転の条件下におかれた地球函数のようなものなんです。どうあがいてもそこから抜け出すことはできない存在なんです。人間は。一日一日、一回一回をこれで最後と理解しての行動。その「覚悟の行動」を先送りして、二の次に逃げている、自分を・人生をごまかしている。彼が伝えたかったことではないでしょうか。

皆さんも、今日が最後の日だとしたら、何をしましょうか？
たまには考えてみましょう。新しい人生のトリガーになるかも知れませんよ。

私はといえば、そうですね、あまり気負わずに、「笑顔を皆さんに」でしょうか。

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