アナログ・・・ある量又はﾃﾞｰﾀを連続的に変化しうる物理量で(電圧・電流など)表現すること。
デジタル・・・ある量又はﾃﾞｰﾀを有限桁の数字列(例えば２進数)として表現すること。

この広辞苑の説明で、両者の内容がおわかりでしょうか？私には判りません。
私はこう考えています。
例えば曲線を考えた場合、アナログではなめらかな曲線になるところが、デジタルでは、角のあるぎざぎざの集まりで、遠くからみれば曲線に見えるが、近寄ってみると小さな直線(点ではありません。点は場所があって、面積は無いので)が１本１本少しづつずれながら「飛び飛びに」集まった集合体に見えます。この「飛び飛び」が特徴で、限界でもありますが、それはあとのお話として、詰まる所、「元の形と類似(相似でもある)した形で表されるのがアナログ、敷居値を設けてそれを境に存在するかそうでなければ存在しないという形で数値に置き換え・表されるのがデジタルということになります。
従って一般的にはアナログは滑らかに変化するものを指し、デジタルは角のあるイメージかもしれません。」これでアナログとデジタルの説明は終わりですが、話はこれからなんです。

私達の生活にアナログとデジタルは切っても切れないほど、深く入り込んでいます。時計や音波・画像、音楽録音等々。そして最近の傾向としてあらゆるものがデジタルに置き換えられようとしています。
そして世の風潮も、「アナログだ」と言われれば、古臭い、鈍い、のろいという言葉を総称しているくらい形勢は不利なのです。私の友人も、時代遅れのアナログに何の価値も無い。過去の遺物に過ぎない。過去を懐かしんでも何も生まれない。今やデジタルからハイデジタルの時代に入っているんだ、と時代の先端を走っているとばかりの鼻息です。確かに録音音楽でもアナログレコードは、CDと比べフラジャイルですぐに傷つきやすいし、雑音は入るは、盤のゆがみで針は飛ぶはで、いいところが見られないのも事実です。一部の好事家(こうずか)に支持されるだけでもう振り向く人も少ないのが現状です。私はこの傾向(といっても今更というくらい、デジタルはあらゆるところに浸透していますが)は、ある重大な忘れ物をしているということに警告をならしたいと思っています。

話は大きくなりますが、その忘れ物の正体が、「人間」というものの本質に係る重大な問題だからです。ご存じのように、我々の住んでいる宇宙は、今から約137億年前、無限の空間の一部が「きまぐれ」を起こし、そのバランスを崩し、すさまじい勢いで爆発(膨張)を始めました。
これが宇宙の誕生です。誕生といったっら、その前からバランスの取れた宇宙はあったんでしょ？
と考えるのが普通ですよね。ところが違うんです。
「前」というは、「今」があるから成り立つのであって何も動きの無かったときは、時間が無かったので｢無」なんですね。だからその前は無いんです。あるのは「無限」であって、時間は無限を刻むことは出来ないんですね。
つまり私達が、言葉を使い、論理的に思考を進めるのは、「無いけれど理解できるもの」を使って人間の可能能囲内での認識の統一を図っているんですね。それが無かったら「統合失調症」になってしまう。だからと言ってその方法を無理やり「無限」にまで当てはめようとしても、それは違うんですね。単なる約束事に過ぎない。いいかえれば、同じものを「人間的」に見るか、そのものとして見るかの違いに過ぎないんですね。

嘗て、平和な全体がありました。そこには皆を区切ったり、差別したり、我先にと奪い合うものはいませんでした。或る時そこによそ者が入ってきました。彼は「所有」という概念を植え付けました。
俺のもの。彼の物。強い者のもの。

・・・・「博識なｳﾞｨﾙｶﾆﾖﾝよ、あなたのｱﾒﾘｶのように、ほとんど技巧を知らない民に才知を授けようとするのは・・・・・どうか、そっとしておいてやってくれ、もし哀れと思うなら。もしも彼らに土地に「境」をつける事を教えたら、畑を広げる為にかれらは戦いをするだろう。訴訟もおこり、友情は消えてなくなり激しい野心に苦しめられるだろう。だから彼らをそっとしておいてくれ・・・・・」ﾛﾝｻｰﾙ(ﾌﾗﾝｽ)

そんな願いもむなしく、「境」はつけられ、「全体」は、2つに、3つにと分けられていきました。数の誕生です。やがて「全体」は１となずけられました。巨大な、平和な「全体」が、唯の何万分の何千万分の「１」になり下がったのです。数が増えれば増えるほど、嘗て「全体＝無限」であったものは、更に下位に押しやられました。こうして時は刻まれ、時間が始まりました。やがて争いが始まるのも「時間」の問題でした。

これがアナログやデジタルと何の関係があるか？ですって？あるんですね、それが。
境をつける、数字で刻むなど、これらは顔の輪郭や風景で山の稜線を描くのと同じで、更には「時間」もそうですが、実際は「無いもの」ですね。それでもそのような架空の線や時間に置き換えることで、境が・前と後の区別が見えるようになる。つまり流行の「見える化」ですね。
工場の労働者も、いろんなものを見える化されて、息がつけませんね。管理者や経営者は大喜びですが。ここには何か、人が人を競争させるという悪意が匂ってきて鼻持ちならないですね。

(だからと言って、何処かの校長先生のように、競争はさせないなんて言いませんよ。だって、世間は弱肉強食でありそれが現実なんですから、それに打ち克つ訓練は・免疫を作るのは必要ですからね。問題はそれで終わるから・それを目的化してしまうから駄目なんですね）

これがデジタルの正体なんです。数学と同じです。この世に無いきれいな芸術作品なんです。だからデジタルを崇拝するということは、我々の生命とはかけ離れた、血も涙もない規律に我々の生き方を捧げることに繋がるんです。確かに、これは「理論」であって現実でないから、矛盾も、誤差も、遊びも、そして生命の最大の特徴である「気まぐれ」もありませんから、スッキリしています。
自分だけは別に考えるのが好きな方は、このすっきりが大好きです。
ｺﾝﾄﾛｰﾙする側は、自分だけはちゃっかり「暖かい」家族や「世間」を確保しておいて、ｺﾝﾄﾛｰﾙされる側に対しては、整然と理論通り計算通りに操ります。

一方アナログはというと、現実にあるものを使って、それが出来上がるまでの痕跡を出来るだけ相似形で残そうとするんです。自然の相似形である地図や象形文字、音の変化の痕跡を残すレコード盤の非常に細かいぎざぎざの溝、何時と何時の間にいるかが直感的につかめる針時計などなどです。ところがこれには、致命的な欠陥があります(私にとってはこれこそ生の証で、欠点なんぞでは無いのですが)。それは「誤差」です。
ぴったりじゃないんです。必ず合わない、計算どうり行かないところがでてくる。予測がつきそうでつかないところがある。つまりここには何が潜んでいるかということなんです。誤差なんて、ただの測り間違えで無視するものだと考えるか、そこに巨大な次元の境目が顔をのぞかせていると見るかなんです。
まどろっこしいので、結論を先に言いますが、誤差が出るということはこの観察方法が全く見当違いだったということなんです。デジタルはこれを「無視していい範囲」として先に進めて行きます。つまり裏を返すと、それだけ狭い範囲しか通用しない世界しか考えていないということです。あたかもﾆｭｰﾄﾝ力学が、地上の狭い範囲でしか適用できなかったように。
アナログは、この誤差を承知で隠そうとしないということです。残そうとする。ですからこの誤差の解明をしたわけでは決してないけれど、そこにあるよと認めて進めるんです。
誤差は、科学が現実とは違うことのアリバイみたいなものですね。(続く)

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