僕が警備員を辞めた理由

緊急雇用対策も終わりのんびりしてもいられないので、
仕方なく就職活動を始めました。ハローワークに通う日々。

バイト扱いでも良いので設備管理の職につくか、それとも
つなぎで警備に戻りチャンスを伺うか、思案に暮れました。

緊急雇用対策時代外回り中、官庁街にある証券会社から警備員
制服で出てきた、A社時代の市役所警備隊T副隊長と会いました。

聞けば彼は証券会社の窓口警備をしており、聞き慣れない全国
規模の横文字警備会社。半年ほどで辞めてしまったようです。

後日元T副隊長に会った時、何故辞めたか尋ねてみましたが
「人事側の都合で・・・」はっきりしない返事。会社都合？

その横文字警備会社が求人を出してきました。とりあえず話
だけでも聞いてみよう。かつてのB社と同じく全国規模の会社。

平日昼間のみの勤務で時給千円。面接に行くと地元の現場は
証券会社１か所のみの一人勤務と説明を受けましたが・・・

求人票に明記していない駐車場警備の話も出てきました。話が
違う。面接官も胡散臭いB社・C社のオーラ。結局辞退しました。

就職活動で次にアプローチしたのが、地元水道業者共同組合。
数年前から、市役所水道局の守衛を委託されています。

かつて僕が市役所警備員時代、水道局守衛室に詰めていた頃
隣に座っていた守衛さんです。（当時は市の嘱託職員でした）

勤務時間はかつての守衛さんとほぼ同じ。ただ社会保険がない
のが痛いところ。それでも話を聞こうと面接へ行きました。

水道業務についての実務経験があるので、面接では手ごたえは
あったのですが、社会保険がないので結局辞退してしまいました。

困った僕は、警備会社D社の求人を見つけました。D社は
地場中堅警備会社で、社長はやり手で伸びているとの噂。

現場はビジネスホテル駐車場警備。勤務は日勤のみで給料
もそこそこ、社会保険あり。一応応募してみるか。

本音は警備の仕事はしたくありませんでした。そのために
設備管理の資格も取ったのですから。現実は厳しい・・・

面接では社長と警察OBの部長が対応しました。数日後
結果を連絡する、との話になりD社を後にしました。

面接の翌日D社社長から採用の連絡がありました。社長曰く
フライング気味なのだが・・・と何やら含みのある発言。

一旦警備業界に不本意ながら戻る。ここも持って１年かな。
なんとなく入社時からそんな予感というか予測がありました。

入社手続きで、D社に来てもらう日時が連絡されました。
そこでとんでもない事態が起こりました。

同期入社としてD社に来る人間の名前を聞いた時、B社時代の
隊長の名前が。珍しい苗字なので間違いない、大変だ・・・

B社時代の隊長は、同社の現場保険会社ビルが強制契約解除
に等しい形で終わった後、半年間職業訓練に行ったらしい。

タイミング的にはつじつまが合う。しかしあんな結末でよく
警備業界に就職できるなあ。他に就職口がないのが現実か。

慌てた僕はD社に連絡し、時間を変えてくれるよう頼みました。
最初事務員からは、聞き入れられたような返事でしたが・・・

社長が出てきて、「同席したからと言って殴られる訳ではない」
と却下されました。殴る蹴るだけが暴力なのでしょうか・・・

確かに僕の行為は、一般社会人として非常識なのは承知です。
雇われの分際でわがままを言うなと、叱られて当然でしょう。

しかし今までに、非常識以上の事をまかり通す輩たちが、
警備業界でのうのうと生きている耐えがたい現実を見てきました。

お世話になった手前不謹慎ですが、元隊長のB社時代の狼藉を
D社社長に伝えました。掲示板書き込みで職場転覆の件も含めて。

社長は「過去は過去、使えなければ辞めてもらう」とだけ言い
ました。水道局守衛を辞退せず、Ｄ社を辞退すれば良かったのか。

因縁の元隊長ですが、配属先は大学の夜間守衛の現場でした。
僕はビジネスホテルの駐車場警備現場に、研修で入りました。

駐車場警備は、一応施設警備ではありますが交通誘導の要素
も多分に含んでおり、ホテルなら接客の要素もあります。

ホテルの現場は平置き10台、立体駐車場30台の計40台です。
入庫ラッシュ時は狭いスペースを走り回り、車を誘導します。

入社時例の件で凹んだ精神状態、モチベーションが下がった
状態で業務に従事するとどうなるか、災難が待っていました。

研修が終わるとすぐ、書き入れ時のGWに入りました。
ホテルには普段閑散とした時間から入庫が続きます。

現場は警備員２人１組のチームを組んでいますが、
昼休み休憩で１人の時があります。その時でした。

平置き駐車場が混雑していた所に、新たに入庫してきたので
僕は一旦移動させ、スペースを作ろうとバック誘導中・・・

「ガスッ」鈍い音と共に、バックした車が駐車している車の
前方にぶつかりました。慣れないとはいえ、僕の不注意でした。

事故発生後、僕はすぐに休憩中のもう一人の隊員を呼びに
行きました。お客様にホテル側の従業員と共に謝罪。

幸いけが人はなく、物損事故で処理されるとの事。
費用はD社の保険で対応してくれるそうなのですが・・・

社長が稟議にかけ決済するとの事で、僕は朝出勤前D社に
行き、報告書を添えて社長に報告、承認はされました。

社長は僕に顔色が悪いぞ、とたしなめ気味に指摘した後
例の元隊長はちゃんとやっていると、釘を刺されました。