2016年03月27日
人間と違いすぎる? 驚くべきカタツムリの睡眠
ある日、カナダの科学者2人が、カタツムリの不思議な姿を見た。触角は少しだけ引っ込んだ状態で、殻は体からダランとぶらさがった状態。足はリラックスしているように見える。
「カタツムリは眠るのか?」 2人の頭に浮かんだ疑問はこれだった。
■カタツムリは眠るのか?
あんなにスローな動きをするカタツムリにも、睡眠は必要なのだろうか。カタツムリが本当に眠るのかどうか、2人は観察を始めた。2人とは、カナダのトロント大学で細胞システム生物学を専門としているリチャード・スティーブンソン准教授とバーン・ルイス博士だ。
もしかしたら、カタツムリは体をすこし休めているだけなのかもしれない。寝ているのか、休んでいるのか。
それをはっきりさせるために研究チームは、動いているカタツムリと動いていないカタツムリに、それぞれ 3つの刺激を与えてみた。殻を叩く、金属の棒でつつく、あるいは食べ物を与えてみるという3つの動作だ。眠っていれば、どちらの刺激にも、反応がゆっくりになるはずだと推測したのだ。
■動いているVS動いていないカタツムリ 食欲に7倍の差
動いているカタツムリは金棒で殻をノックされると、動かないカタツムリより2倍も速く体を殻に引っ込めた。また、食事である砂糖水には7倍も速く反応した。
休憩しているように見えるカタツムリは、リラックスしているというより、むしろ眠っている可能性が高いと考えられた。
■カタツムリは30時間以上活動する
研究チームは、79日間にわたり8匹のカタツムリを使って、カタツムリの睡眠サイクルについても調べた。その結果、睡眠サイクルが人間とは全く違うことが分かった。
カタツムリは、30時間以上活動し続け、その後、13〜15時間以上の睡眠を7回ほどに分けて取る。24時間サイクルではなく、2〜3日サイクルだというのだ。
動物とはいえ、30時間も活動を続けられるの?と思われたかもしれないが、カタツムリは、あのスローさが物語るように精神的に過酷な生活は送っていない。そのため他の動物のように、いつも睡眠が必要というわけではないのだ。
■単純な神経系を持つ生物でも睡眠は大切
カタツムリは単純な神経系を持つ生物だが、睡眠が必要であることが分かった。ショウジョウバエ、ザリガニなども眠る。
複雑な神経系を持ち高度な活動をする動物だけが睡眠を必要とするわけではないのだ。カタツムリのような生物にも睡眠が必要という事実は、生物にとって睡眠がいかに基本的なもので、大切なものかを教えてくれている。