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なぜ笑う? チンパンジーの笑顔の意味とは

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ひとにとって重要な感情表現である「笑い」。赤ちゃんが最初に覚えるコミュニケーションなのに、笑うのは人間と霊長類だけなのはご存じでしょうか?

しっぽを振るなどで感情を表す動物は多くいますが、表情や笑い声を発するのはチンパンジーやゴリラが属する霊長類(れいちょうるい)だけ。ちびっ子と同様に「遊び」のサインとしても利用するのです。ただし嘲笑(ちょうしょう)やバカにされた感は人間固有の感情で、霊長類には笑いがもとでケンカが起きることはありません。人間の笑いは、コミュニケーションや喜びと同時に災いのもととなる、ビミョウな存在だったのです。

■笑いは「遊び」のサイン

笑いは人間に必要不可欠な感情表現で、新生児の段階からおこなわれています。これは新生児微笑とも呼ばれ、生まれて間もない赤ちゃんがほほえむのは有名な話で、コミュニケーションのためと考えられています。ただしこの時期はまだ「感情」ではなく筋肉が勝手に動くのが正体…ちょっと残念に思えるかも知れませんが、「笑い」が良いコミュニケーションになることを本能的に知っている証拠なのです。

人間以外にも「笑う」動物はいるのでしょうか? 感情表現はどの動物にもみられるものの、「人間のように」笑うのは霊長類だけ。声や表情だけでなくジェスチャーをおこなうこともあるのです。

8歳までのチンパンジーを観察した研究では、追いかけっこやくすぐり遊びをしながら、人間の幼児と同じように笑うことが確認されました。この笑いは人間と同様に「楽しい」だけでなく「遊び」の合図でもあったのです。

くすぐられて笑うのはなぜでしょうか? 当然でしょ? と思うのはおとなになった証拠で、赤ちゃんの足の裏をくすぐると、

 ・生後2〜3ヶ月 … 足を引っ込める

 ・生後7〜8ヶ月 … 笑顔を見せる、手足をバタつかせる

とリアクションが異なります。1歳以上になると「くすぐり」と「笑い」が連動するようになり、

 ・笑いながら避けようとする

 ・本気で逃げるわけではない

と、くすぐったいからではなく、これが「遊び」だと理解しているから笑うのです。逆に、くすぐってもリアクションがなければ「遊び相手」と認められていない証拠。本気でイヤがられないうちに止めておきましょう。

■「嘲笑」するのは人間だけ

これは幼児と霊長類の行動パターンが「同じ」意味なのでしょうか? 遊ぶ、楽しいに関してはYesですが決定的な違いがひとつ。チンパンジーは「自分」のためにしか笑いません。

2歳を過ぎたぐらいが一般的でしょうか、人間の場合は「おどける」という行動がみられるようになります。これは相手を「笑わせる」、相手の笑いを誘うことで喜びを感じるなど「高度な笑い」と表現できます。この行動はチンパンジーにはなく、つられて笑う「共有」もありません。

また、「あざけ笑い」「笑われてアタマにきた」も人間にしかみられず、霊長類にはない行動として挙げられています。これは「おどけ」よりもさらに複雑で、自分が失敗した、真剣にやっているのにバカにされたなど状況分析が必要なので、幸か不幸か人間固有の現象なのです。

コミュニケーションの手段や遊びの合図など、好ましいサインが災いのもとになるのも進化の証拠でしょうか。お酒の席では「なに笑ってるんだよ!」的にケンカが始まるパターンが多いので、くれぐれもご注意を。


 ・ヒトのように「笑う」のは霊長類だけ

 ・赤ちゃんや幼児がくすぐられて笑うのは「遊び」のサイン

 ・「嘲笑」や「笑われてアタマにきた」は人間固有の「笑い」





タグ:ニュース

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