2016年03月24日
寝入りばなに「ビクッ」となる あの現象の正体は?
ほとんどの人が経験したことがあると言っても過言ではないだろう。「寝入りばな、突然、高いところから落ちたり転んだりしたような感じがして、体がビクッとして目が覚める」…。なぜ、起こるのだろうか。予防はできるのだろうか。
■寝入りばなの「ビクッ」、メカニズムはしゃっくりと同じ
寝始めに起こりやすいこの現象は、医学的には「ジャーキング」と呼ばれている(※1)。無意識に起こるけいれんだ。
ジャーキングは自分の意思と関係なく起こるが、これを筋肉の不随意運動である「ミオクローヌス」という。突然始まり、突然終わるというものだ。
この現象、どこかで経験したような…そう、しゃっくりと似ているのだ。しゃっくりも突然始まり、突然終わる。横隔膜のミオクローヌスによって起こる現象がしゃっくりだ。
しゃっくりも何らかの原因で横隔膜が刺激されて起こるのだが、ジャーキングもなぜ起こるのかについては、はっきりとした理由は分かっていない。
■なぜ寝入りばな起こりやすいのか?
イギリスのシェフィールド大学で心理学が専門のトム・スタッフォード博士によると、眠りにつく時、脳の中では覚醒状態を維持しようとする神経細胞と眠気をコントロールするシステム「VLPO」が戦い始めているという。VLPOが優勢になると睡眠がスタートするのだが、寝始めはまだ、覚醒状態が維持されていて、昼間に活動するための脳の運動系のコントロールが完全に停止していない状態だ。
ジャーキングはこの時に起こると考えられている。スタッフォード博士は、ジャーキングとは睡眠状態に入る前に起こる、日中活動の「最後のあがき」と考えている。
■寝入りばなの「ビクッ」、ジャーキング防止には十分な栄養と休息を
眠いのに体がビクッとして何度も目が覚めてしまう、何とも不快なこのジャーキング。特に疲労が強い時に起こりやすい。
予防のためには、まずは、肉体的・精神的な疲労を取らなければならない。十分な睡眠はもちろん、入浴やマッサージ、適度な運動、太陽の光を浴びて体内時計を正常化させること、音楽を聴くなどしてリラックスすることが大切だ。
また、高タンパク、低脂質の食事が不足したエネルギーを補ってくれる。鶏のささみや低脂肪牛乳、豆腐、エビなどがおススメだ。
■ジャーキングが病気のサインの場合もある
ジャーキングはほとんどの人が経験するものなので、多くの場合、心配はいらない。しかし、時に、病気のサインの場合があるという。
てんかん発作の「進行性ミオクローヌスてんかん」という進行性の神経の病気の症状として現れることがある。顔面や手足に筋肉がピクピクする動きが見られる病気だ。また、アルツハイマー病やクロイツフェルト・ヤコブ病などに伴って起こることもあるという。頻繁に起こったりして、心配な場合は専門医を受診していただきたい。
タグ:睡眠
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