ここは山形市小姓町の通り沿いです。歩道に石塔が建っています。
文字が刻まれているようです
こちらは「たつぬる方」
逆側は「をしへる方」
たつぬる・をしへる?
これは
尋ねる・教える
です。
どういうことかというと
例えば迷子など困ったことが起きた場合は「たつぬる方」に紙を貼っておきます。すると、それを見た人のうちどなたかが「をしへる方」に情報を貼ってくれることになっています。
なるほど
こういう情報伝達手段があったわけですね。役人が設置する高札場とは異なり、庶民同士のコミュニケーション手段。SNSなど無い時代の素晴らしいシステムです。かなり重要な役割を担ったことでしょう。
この石は江戸時代末期に造られたものとのこと。貴重な歴史の記録ですね。こういったいわば掲示板のような石は、この地に限ったことではないようですが、こうして残っているのはかなり珍しいようです。説明文によれば『全国で三〇基近く』は確認されているとのことですが、全国ですからね。山形県内では2基とのこと。市の指定有形民俗文化財に指定されています。
現地文の『迷子だけでなくあらゆる情報の仲立ちをするために』という言葉が心に残ります。比較的気軽なものもあったかもしれませんが、切実な願いの方が圧倒的に多かったのではないでしょうか。庶民の日々の暮らしをサポートした石とも言えますね。
現地はこちらの大日堂参道入口付近です。先ほどの説明板によれば石塔は『道路拡幅工事に伴い、平成二六年に、以前の位置から約六m南の現在地に移設』とありましたので、ちょうど北側のこの境内にあったものと思われます。まぁ6mですから、大幅なお引越しというわけではないですね。
ここ小姓町は、最上氏時代に小姓役が住んだところで、明治以降には遊郭などもあったそうです。いまでは綺麗に整備され、そういった面影はありません。長い歴史がありながら、街からいろいろな痕跡が消えていくなか、「なかたち石」はむかしを今に伝える貴重な存在です。人通りのないところに設置しても意味がないので、ここは多くの人が行き交う場所だったのでしょう。
なかたち石に足を止め、のぞき込む人を勝手に想像して、現地をあとにしました。
■訪問:なかたち石
(新山寺大日堂前)
[山形県山形市小姓町] 149番
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■参考及び出典■
・現地説明板(山形市教育委員会)
・山形市HP 市長のやまがた自慢
「なかたち石・おたすけ石」
https://www.city.yamagata-yamagata.lg.jp/shiseijoho/shicho/1006787/1006792/1005473.html
2023年09月17日
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