嘗て人が猿から進化して、直立二足歩行を始めてから、大きく分けて
およそ３つの変化があったと言われています。

おお急ぎで言えば、1つ目は、前足つまり手が自由になったということです。
それによって、物を持ったり、模様のようなものを書いたりしているうちに、手の形も変わり親指と他の指が向かい合う形になりました。そして縦ばかりか横の線も描けるようになったり、ものを道具として使う様になったり指を折って数を考えられるようにもなりました。
そこから先は、文明を生み、また狭い地域ごとには文化を発達させていったことは容易に想像されます。
2つ目は直立したことで視点が高くなり、遠くを見渡せるようになり2つの眼が感覚が狭まり、前を向くようになったことでしょう。
これにより、2つの眼で1つの対象を見ることで、立体感=距離感が生まれるようになりました。（1度に見られる視野は狭くなりましたがね。)
これが、「こちら」と「あちら」の違い、「近いと遠い」を認識するきっかけになったと言われています。
「あちら(の世界)には何があるんだろう?」・・遠いあの世を意識するまであと一歩ですね。
3つ目は、女性の方には言いにくいのですが、立ちあがったことで産道が狭められ、出産が簡単では無くなり、赤ちゃんがおなかの中にいる期間が長くなり、脳も大きくなりました。(だからと言って十分に成長してから出てくるわけではないんですが、これはﾈｵﾃﾆｰ(幼形成熟)といって、人の遺伝子戦略上の失敗(?）によるもので、人はなぜ小さいものを可愛いと思うのかとか、そういうものを守ろうとするのかとか、ピーターパン現象などの秘密が隠されているのですがその話は又別の機会に譲りましょう)
いずれにしてもこうして人は言葉を生み、それを更に多様に変化させ、表現=コミュニケーションの種類を豊富にしていったわけですね。
母音(a i u e o）を基本にそれを変形させて、sa si su se so 〜ra ri ru re roなど子音を増やしていったわけですね。(発音の末尾には個々にa i u e oが残されています)
またそれを記録する為の文字も発明した。

さてコミュニケーションをとると言うことは、当然「他者」ととると言うことです。それは今迄漠然としていた「自己」というものを、対照的に意識することに
成ります。それはやがて自己と自然との分離にも繋がります。そして「こちら」と違ってコミュニケーションのとれない「あちら」の様子を知りたくなります。或るいは不安に思うようになります。
「孤独」の発生です。「こちら」と「あちら」は時間的に言えば「現在」と「未来」です。
来年は今年と同じ様に豊作だろうか、地震のような災害が襲ってこないだろうか?
人はいつ死ぬのか？
こうして人は「見えないもの」や「わからないもの」を意識し、それを克服しようとします。
「神」さまの誕生です。将来どうなるか判らない、それを「運」と名付け、「運」を司る存在が何処かにいると思った。そしてそれに向かって祈った。東洋ではそれを「無」と言った。

或るところでは、森に似せた教会と壁画やイエス像であり、或るところでは悟りを開いて運命を宿命に「空」じた釈迦の像であり、修行が済んで、「衆生」を救う為に待っている「菩薩像」でもあった。或いは「聖書」であり「ｺｰﾗﾝ」であり「般若心経」であり、神社のしめ縄や十字架であった。
これらは皆、まだ見ぬ「あちら=彼岸」の世界に入る為の入り口のマークだった。つまり「アイコン」だった。

私達が、Internet Explorerをクリックして、ﾊﾞｰﾁｬﾙな空間に入っていくように、本を開いて、音楽を聞いて、未知の世界に入るように、イエス像や仏像や般若心経をクリックして、現世の悩みや苦しみを相談しに行った古代の人たちだけでなく、
我々現代人にも金もうけや娯楽の為だけではない新しくバージョンアップしたアイコンが求められているのだろうか？

なぜなら古代のそれは、現代の我々にとって余りにかけ離れて、非常に理解困難なものになってしまっており、多くの誤解を生みやすいから。

宗教に入れと言っているのではない。もとより、宗教の類の必要性は認めながら、
それを通じて、宗教からの、また科学からの自由を獲得すべきだと思うからだ。

こんな文章を書いている最中に、ｵｻﾏﾋﾞﾝﾗﾃﾞｨﾝの殺害が報道された。
如何にｱﾒﾘｶの憎しみが大きくとも、復讐は復讐の連鎖を生むだけだ。
民主主義がこの連鎖を断ち切ることができない限り、このイデオロギーはいつか悪魔に乗っ取られるだろう。

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