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冬の紳士
定年前に会社を辞めて、仕事を探したり、面影を探したり、中途半端な老人です。 でも今が一番充実しているような気がします。日々の発見を上手に皆さんに提供できたら嬉しいなと考えています。
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2013年12月10日
「誰でもいい」と「誰もがいい」2
如何ですか?長くなりましたがとても注目すべきところを、うっかり読み過ごしていたのです。
「ワンダフル!」はどうして発せられたんでしょうか?東洋の不思議な生活制度に何かアバンチュールを感じたからでしょうか?違うと思います、これほどはっきりミステリアスでなくワンダフルを言ったのには訳があると感じました。河合さんはおもしろい事と控えめにおっしゃってますが、そこに何か古代の人達の無意識な知恵が働いていたのに気付いたのではないか。
男女の相手選びには、現代の私達は「どう生きるか」より「如何にいいスタートができるか」にばかり気が行ってしまっています。顔はイケ面か、資産は、経済力は、学歴は、果ては優しくても、親から自立しているか(つまりマザコンでないか)まで、チェック、チェックの連続でなかなか決まりません。条件闘争としてでも、今の自由な選択制度の中でいくら頑張ったとしても、一生のうちで、一体何人の異性と出会うことが可能でしょうか?お見合いの方が、最初から目的も割り切っている事も手伝って、より多くの出会いの機会に巡り合えるでしょう。
しかも世の中に、ごまんといる異性の中で、既にこんなに小さな小さな分母に絞られた中(出会えることができる数)から、一体お望みの方と意気投合できる確率は(もう既に絞られた分母の中にはいないのかもしれません)何と小さなものでしょう。それでもみんな最後には、自分のお眼鏡に適った相手と思ってしまう。つまり最初の条件などあまり関係なかったということでしょう。
どうせ考えていた通りの出会いなんて確率的にもあり得ない。どうせままならないのなら、ああでもないこうでもないと費やす時間と労力を、これからの(納得いく)物語づくりに費やそうと。

「この人でなければ絶対駄目」と思う気持ちの中には、何か相手を自分の大切なコレクション(所有物)の一つとでも思っているところがあるのでは無いでしょうか。その気持ちは「愛」ではありません。愛されたがっている、つまり甘えたいだけなんです。だから最悪ストーカー殺人の様なことに発展することがある。所有物を誰にも取られたくない。究極には燃やしてしまえになるわけです。
そのとりかえしのつかないところまで行って初めて愛の苦しさに気付き、そんなところで帳尻が合う人もいますが、これではやられた方は、たまったもんじゃない。それでもまだ気付かない救いようのないものもいますが、今日はその話では無いので・・・。

一方で「私でなければ」とおもい、相手を受け入れてくれる寛大な方もいらっしゃるでしょう。それも愛じゃないと言いたいところですが、厳密な定義をするようなものでは無いので広い意味で愛としましょう。子を甘えさせる親の様な愛ですね。いつかは子は親から「出家」しなければなりませんから、たいていはそこで捨てられるでしょう。親ならそれを喜ばなければなりませんが、果たしてそこでも「広い慈愛」を発揮できるでしょうか。こうなるともう男と女の愛からずーっと離れていきますね。
愛とは互いに、自分をひざまずかせるような、全身全霊で自分を無にしてでも(犠牲にしてでも)相手を歓ばせたい(喜ばすではありません)気持ちが生まれることです。だから愛は負けることであり、負けた相手の為に自分という「個」を越えてつくしたいが、越えられないが為に苦しいのです。

自己犠牲を伴わない愛なんてない。求めたがるものじゃない。与えたいものなんです。ことほどさように愛は損で辛いものなんです。ですから、そんな簡単に年中愛してるなんて言ってられないんです。本当にその出会いが人生を賭した物語であるのなら、それは一期一会でなければならないし、朝から晩までそんなんことをしてたら、身が持たない。
どんなにすばらしい歌だって、繰り返し聞いていれば、飽きてくる。つまりあの時の感情が湧いてこなくなるものなんです。
だから、最初から次に何が来るか予想出来る愛なんてありえない。あとからついてくるんです。お互いの交流によって、徐々に深まってくるものなんです。そのころには、最初に感じた違和感なんて関係ないことがわかってくるんです。それを最初から計算して有利になんて、全く違う代物ですね。
愛は仕事や結婚(社会生活の為の決まりごと)とは違うんです。表面的にかぶる事はありますが、本質的に違うんです。そこを掛け間違うと、こんなはずじゃなかった・・・・・ということになる。
もっとずっと死と直結しているものなんです。生まれてこの方、ずーーーーーーーーーっと、目をそらせてきた「現実の現実」との出逢いなんです。存在を揺り動かされる体験なんです。失う者もたくさんあるんです。それは犠牲の初体験です。そこから、断念から得られるものこそ、狭い「個」を越えた、「たましひ」=「他者」との繋がりなんです。
それを知らずに一生を終える人だってたくさんいます。セックスだけを割り切って遍歴する人もいますが、そういう人は「たましひ」が腐ってきます。命の交歓を知らないからです。(対動物ではありますが、スペインで闘牛がすたれないのは、あれも「命のやり取り」だからでしょう。ずいぶん身勝手な遊びではありますが。かなり人間の方に安全の軸を偏らせてはいますが、最低限人間の命の危険も伴ってやっていますからね。)

話が又逸れそうになってきました。修正します。ワンダフルでしたね。
彼女は現代人が忘れかけている、人間としての本質的な営みの一典型をそこに見た、思い起こされた事に感動したんでしょうね。

一番大事なものは何なのか。
それはずばりと言えば、たちまち嘘に変わってしまうものでしょう。定義されてしまったり、これからどうなるか予測できるものに感動は無いですよね。これから創っていく、その過程に生まれるドラマが人を動かすんですから。なにしろ、相手があることなんですから。小さな「個」に囚われていると、自らの人生の幅を狭めて、損ばかりしているとしか思えない生き方に嵌ってしまいますね。
よーーーーーーっく考えてください。「自分が決めた」のではない出逢いに、自分をゆだねる事が出来ますか?平安時代の人はそこまで考えてしたとは考えにくいですが、少なくともそれで支障の無いことは知っていた。
これはとても大事なことで、自分の人生が計算だけのちっぽけなものに終わるか、広い心(たましひ)に生かされて、命の歓びの一端に触れることができるかの、境目なんです。自分しか信じられないか、「他者」を信じられるか、と言い換えてもいい。他力本願の本当の意味もここにかかっています。前回法然さんンと弟子の親鸞さんの話をしたように、「阿弥陀」とは人間にとっては「他人」のことなんですね。(勿論「たましひ」も他人のことでしたね)。
その何をされるかもわからない「他人」を信じられますか?と法然さんは問うたんですね。
出来ることは全てやった。あとは「他者」である阿弥陀さんの裁量にお任せします。「運を天に任せる」というのも、何も努力しないということではないですね。全力を傾けた、だからこそ後は例えどのような結果が出ようと、お任せしようという気持ちになれるんですね。

Other Voices,Other Room(遠い声、遠い部屋)でカポーティーはそのお相手が、同性であってもいやむしろ、かえってその方が人の旅の本質が際立つ事を示して見せた。
事ほど左様に、性は深いものなんですね。なめてかかると、大やけどしますよ。

自棄になって「誰でもいい!」じゃなくて、(ルール破りで暴力を振るう人以外なら)「誰もがみんないい」んですよね。

顔じゃねー!. 金じゃねー!。

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