2016年12月05日
観劇「Kiss Me」Hampstead Theatre Downstairs
観劇「Kiss Me」Hampstead Theatre Downstairs
劇作 Richard Bean(1956-)
演出Anna Ledwich
ハムステッド劇場 80席の地下スタジオでした
劇作 Richard Bean はその劇作で数々の賞を受けている 英国の劇作家 心理学者です
「Kiss Me」は第一次大戦後の英国を舞台に 妊娠を望む戦争未亡人に
精子を提供する目的で医師より派遣された若者 との淡く悲しい出会いを描きます
事実を基に書かれたとありますが 記録として確かなものは残っていないもようです
タイトルの「Kiss Me」とは
未亡人が愛を求めることを避けるために「口づけ」を禁止事項にした契約からきています
ビジネスに徹した精子提供者 Dennis をBen Lloyd-Hughesが怪しげに演じ
哀しい未亡人 Stephanie をClaire lams がその揺れる心を演じておりますが 未熟観が残ります
シンプルに言えば 男女の出会いの芝居 しかし
その社会的背景は戦争により 男性国民の多くを失った国家を再建する計画に医者も加わり
未亡人の元へ若者を派遣する という滑稽でおぞましい物語なのです
観客は20代のジゴロもどきの男性と三十路を超えた未亡人との情事を通し
戦争によるトラウマを読み取るはずなのですが その為に俳優は多層な演技が求められます
しかし 残念ながら 間男と既婚者との情事を描いたとしか観てとれませんでした
これには演出Anna Ledwich の歴史の読み 戦争に掻き立てられた西欧の背景 大英帝国の野望
それらを成し振り回される人間の性 演出家には演劇を立ち上げる地盤となる哲学
人間観 歴史観 社会観は勿論ある訳です
今英国を二分したEU離脱問題の背後にある社会分断へと導く時間軸を
この若い世代で読み直し 演出を再確認してほしいと願わずにはおけない作品でした
と たのしい演劇の日々
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