2016年04月09日
第2回 歴史 第1部--2 (注)
注4)4つの力
物質は、少数のクォーク、レプトン(軽粒子と呼ばれる強い力を感じない素粒子)からできている、そして、それを支配しているのはたった4種類の力である。しかもこれらの力は全て力の粒子を交換することによって働く。以下詳細。
≪重力≫
すべての素粒子に引力(万有引力)として働きます。重力は遮られることなく無限遠まで働くため、マクロの世界を支配しています。地球、太陽、銀河系などの天体の運行をつかさどり、巨大な宇宙の構造を作り出しています。
≪電磁気力≫
静電気や磁石の力だけでなく、私たちが日常経験する重力以外のすべての力は電磁気力です。 特に、電子と原子核を結びつけ原子を作る力、原子同士を結びつけ分子を作る力は、電磁気力です。 電磁気力は、光子の交換によって伝わります。光子は質量を持たないので、遮られなければ電磁気力も遠くまでとどきます。
≪弱い力≫
弱い力はとても短い距離の間でのみ働きます。通常、電磁気力よりもはるかに弱いのでこの名前がつけられました。すべてのクォーク、レプトンに働きます。
これは、原子核のベータ崩壊、中性子、パイ中間子などの粒子の崩壊の原因となる(粒子の種類を変えることのできる)力です。弱い力を媒介する力の粒子、W、Zは大きな質量を持っています。そのため、力の本質的な強さを表す結合定数は電磁気力と同程度ですが、力が届く距離が非常に短く、力の見かけの強さが弱く見えるのです。力の強さが弱すぎて、日常世界で感じることはありません。
W粒子や、Z粒子は、もともと光子と同様に質量を持たないゲージ粒子ですが、真空中のヒッグス場との相互作用により質量を持ったと考えられています。ヒッグス場との相互作用がなければ、これらの力の粒子の運ぶ力は、もともとは同じものだと考えられます。そこで、現在では、光子の伝える電磁気力と、WやZが伝える弱い力は、電弱力としてまとめられています。
≪強い力≫
強い力は全てのカラー荷を持つ素粒子に働きます。電磁気力の 100 倍程の大きさを持つ最も強い力なので、この名前がつけられました。クォークを結びつけ、陽子 (p) や中性子 (n) を作り、また陽子同士の間に働く電気的な斥力に打ち勝ち、中性子とともに原子核を作ります。
注5)
これは10のマイナス34乗秒ということです。10の34乗分の1秒にあたります。
*マイナス乗について
例えば2の3乗は2×2×2=8ですよね。で、2の2乗は2×2=4ですが、これは(2の3乗)÷2と同じなのがわかると思います。
なので累乗の数字が一つ減るのは、その数字で割るのと同じと解釈できるわけです。
ですから、
2の1乗は、(2の2乗)÷2=2
2の0乗は、(2の1乗)÷2=1 となります。
さて問題のマイナス累乗ですが、同様の方法で
2のマイナス1乗は、(2の0乗)÷2=1/2 というような考え方になります。
同様に
2のマイナス2乗は、 (2のマイナス1乗)÷2=1/2÷2=1/4
2のマイナス3乗は 、(2のマイナス2乗)÷2=1/8
というようになります。
というわけですから、Xのマイナスn乗=1/(Xのn乗)と覚えてください♪
注6)国立天文台・宇宙図解説より
注7)クオーク
物質をつくる基本粒子。このうち互いに近ずくと素粒子の「強い力」を及ぼし合うのがクオーク。1964年、M.ゲルマンとG.ツワイクが提唱、ゲルマンがJ.ジョイスの作品『フィネガンズ・ウェイク』に出てくる鳥の鳴き声から名づけたとされる(コトバンクより)。「素粒子」には、原子レベルより更に基本的な物質で、原子核を構成している「陽子」「中性子」、また原子核の周りを回っている「電子」、光であるところの「光子」などがあります。この陽子、中性子などよりもっと「基本的な粒子」として仮定されたのが「クォーク」です。陽子も中性子も「クォークの組み合わせで出来ているようです。「強い力」でできている為取り出すことは難しく、その存在は、高エネルギーのレプトン(軽粒子)で陽子を激しくたたく(非弾性散乱)実験により、陽子の中に存在する点状粒子(パートン)として確認されているようです。
注8) 国立天文台・宇宙図解説より
注9)宇宙の晴れ上がり
宇宙誕生から約38万年後、「宇宙の晴れ上がり」が起こります。それまでの宇宙は、高温のため大量の「電子」が飛び交っていました。光は、この電子と衝突してしまって直進できず、そのため宇宙は雲の中のように不透明だったのです。しかし宇宙の放射温度が約3000Kまで下がると、放射が水素を電離できなくなり、陽子と電子結合し水素原子となった。電子が水素原子の中に取り込まれ、光が自由になりました。こうして、宇宙は見通しが良くなったのです。原子のなかでも同じ性質を持つもの同士を元素といいますが、この元素が、最初の星たちの材料となっています(国立天文台・宇宙図より)。
だから何なの?と言われそうですが、前にも言ったように、宇宙が不透明ということは、放射(光子)と物質(陽子や電子)が衝突し、物質が互いの重力で集まろうとしても、放射の圧力が強く、反発してもとに戻ってしまう。つまり、天体のような物質の集まりは、存在できないということで、地球もなければ、我々も発生しなかったということです。
注10)
核融合も、核分裂(=原発の仕組み)ほどではないが、低レベルの放射性廃棄物は多く出る。半減期が100万年後としても、爆発後の数億年後の地球誕生時には考慮外でいいでしょう。なお、地球の約4億5,000万年前に起きた生物の大量絶滅が超新星爆発(最初の1回だけでは無く、現在でもどこかで起きている)時のガンマ線バーストによって引き起こされたという説があるようですが、近々の予想されている超新星爆発は地球から600光年と距離があり影響はなさそうです。
注11) 「らせん」と「リズム」
解剖学者三木成夫さんによれば、ゲーテは晩年、植物の成長過程にみられる、らせん形成、垂直に伸びると見せてその実、螺旋の軌跡を描きながら上昇するイメージを生の根本原理と洞察したという。朝顔の弦にしろ同様だろう。やがて頂点に達すると花弁の渦巻きに変容する。私達でも体毛がところどころ捻じれながら全体の毛流を形成しやがて、頭の頂点で「つむじ」として渦巻いて終わるのも同様だろう。マンモスの牙も、伸ばし過ぎた爪も、血管も腸管も、指の「指紋」も、染色体もらせん構造をとる。火山の噴煙、台風の渦、星雲の世界にまで渦巻きの形態を取らないものは無いと言っていい。世界遺産となっている約5200年前のアイルランドにあるボイン渓谷の遺跡・ニューグレンジは、紀元前4世紀ごろの森の民・ケルト人よりも、3000年も前の先住民の遺跡だが、そこには古代遺跡の定番とも言える、「冬至」の日にだけ朝日が墓の一番奥まで届く仕組みを持っている。それは1年の中で太陽の力が最も弱くなる日である「死」と、ここを境に恵の春に向かう「再生」を感じられる儀式の意味をもつのだが、その建物の周囲の石に、内部の壁面に一面に刻まれているのが「渦巻き」模様だ。これらは既に見てきたように何かに向かう力がとる形態であり、回転モーメントとも言われる。これらは、その様な宇宙の力の形態を身体で感じていた事の証左ではないだろうか。様々な部族の刺青の初期に多く見られるのも渦巻き模様であり、部族の統一を、宇宙に繋がる力を連想させる渦に見ていたのかもしれない。
しかし一方で空間的に見たこの「らせん」も、時間的にミクロの眼で見れば、一直線に進むものではなく、一定の周期・リズムを持った流れであることがわかる。寄せては返すさざ波から、光の波、電磁波、音波、地震波と上げればきりがない。命の営みにも呼気・吸気の呼吸、活動と睡眠の昼夜リズム、週リズム(7日周期は、肉親の死の悲しみが、8日目にははっきりと遠ざかる初7日や四十九日(*1)やカレンダーの週暦、夫婦げんかの仲直り周期など)、潮汐リズム(月の誕生、注14参照)、年リズム(年輪や活動と冬眠など)、食欲と性欲・サカリの入れ替わりリズム(人は直立歩行で、性器を隠してしまったことでこのリズムを、消してしまった。お陰で化粧や衣装やセクシーポーズや言葉が必要になったし、年中サカリがついてしまった。もっと言えば、犬猫のように、さっきあの行為をした後に、知らん顔ですれ違うことができなくなった。自意識の誕生かもしれない。)と枚挙にいとまがない。もっと大きいリズムだってある。ゲーテの7年のうつ病周期、伊勢神宮の周期は20年、竹の花の周期は60年から120年と気が遠くなる。
お母さんのお腹の中の胎児の、奇跡にような38日周期(受胎して27日目で魚(ここで成長が止まってしまうとサリドマイド)、34日目に両生類・カエル、36日目に爬虫類(脊椎動物が1億年もかけて上陸した、困難を、3億年前経った今思い起こし「つわり」が始まり、流産の危険も高まる)、38日目でようやく半分哺乳類に、という変身をみんな潜り抜けてきます)もあります(*2)。
(*1) 「人間は桁で違いを感じる」とは、東工大の本川達雄先生ですが。2倍3倍ではなく、対数で世界を認識しているというんです。このお話の場合は7進法でなく10進法で説明されていますが、実際の刺激の強さが10倍になっても、感覚のほうは一目盛分強くなったとしか感じないというウエーバー・フェフィナーの法則を説明されています。10の対数は1、100の対数は2という風に、10倍ずつで感覚していくわけです(10の1乗=10、10の2乗=100、10の3乗=1000・・・)。またまた脱線しますが、現代人の(1992年の)国民一人当たりのエネルギー消費量は約5500ワットだそうで、これを標準代謝率に直すと、半分の2750ワット位です。これを自然界のヒトとしての標準代謝率73.3ワットと比較すると37.5倍に当たります。ちなみにこの消費量は5.9トンの象並みだそうです。恒温動物になっただけでは満足できず、「恒環境動物」に変身したわけですね。明治10年代は200ワット位だったようですから、2倍強だったわけですから、ほんの100年ちょっとだけで地球のエネルギーを食い尽くそうとしているわけですね。ちょっと苦情を言えば「無責任だ!」が返ってきます。「どっちが無責任だ!」と言いたくなりますが、自分にも責任はありますので・・。では、その10倍とはいつ頃だったのでしょう。昭和30年代だったそうです。このころ、身体が感じていたんでしょうね。「あー、いい世の中になったなー!」と。
しかし「感覚」の上に立って管理しようとする「意志」の力が見直しを阻み、3交代など昼夜のリズムすら無視して、経済一辺倒の道を突き進みました。どこに向かうんでしょうか。
「明るい寝たきり生活」が理想なんでしょう。「情報さえ脳にうまく送り込んでやれば、他人と会うために、身体を動かす必要もなければ、旅行の必要もない、最後は、脳以外の器官はは必要ないことになる」というバナール「宇宙・肉体・悪魔」の世界です。皆さんは、まっしぐら派ですか。無責任だといわれても、ライトサイズ派ですか?
本川達雄「時間」NHK出版参照。
(*2) 三木茂夫著「生命とリズム」「内臓とこころ」河出文庫参照
注12) カオス
「およそこの世で「変化するもの」は不確定・不確実なことが普通であって、例外的ではない、因果論的に説明できる部分こそ例外的なのだということを発見したのが、カオスの発見でした」。そして「ポアンカレというフランスの数学者は、3つの天体が互いに万有引力で相互作用をすると、数式の操作によっては、決して解を求められないような極めて複雑な運動、今日いうところのカオス運動が生じることを数学的に示しました(*)」。これがきっかけでした。ローレンツは散逸力学系(散逸構造とは、燃え続ける蝋燭が燃焼によって生じるエントロピーを輩出続けることで(構造や運動の破壊、消失で)炎という構造を維持し続けるもの・私たちの体もそうです)で、カオスの存在を示しました。
身近な例でいえば、幼児が覚えたての三輪車のペダル操作をうっかりバランスを崩しただけで後ろに進んでしまうようなものだそうです。カオスの入り口・出口は、我々の頭としっぽに繋がっている。コンピュータの16桁以降の切り捨てだって、積算されてどんなカオスをもたらすか分かったものじゃないですね。
(*)蔵本由紀「非線形科学」集英社新書P160〜164
注13)熱力学の法則(松田卓也「正負のユートピア」岩波書店参照)
a. 第1法則〜エネルギー保存の法則ともいわれ、無からエネルギーは発生しないという法則をさす。永久機関は作れないということでもある。(してみると、宇宙創成のゆらぎのもとは何だったのか。これは無というより全といったほうがいいとも言いましたが、時空や質量・エネルギーの定義できない世界ですから法則を超えた世界です。カオスの世界です。)
b. 第2法則〜熱は高温部から低温部にには自然に流れる。しかしその逆は何らの痕跡も残さずに起こすことはできない」という法則です。痕跡とはそのために別のエネルギーを消費するとかです。ここでクラジウスという物理学者がエントロピーという概念を導入した。エントロピーとは、「内なる多様さの目安。系全体が、ある状態(巨視状態)をとるとき、系内粒子の状態のとり方(微視状態)がどれほど多くありうるかを意味する。多様さが許される巨視状態ほど実現の確率が高いため、孤立系では増える一方(熱力学第2法則)。一般に無秩序へ向かう傾向は、この法則で理解できる。机の上が乱雑になるのは実感例。湯と水を混ぜたぬるま湯が湯と水に戻らないように不可逆だ。情報理論では不確定さを表す量として使われ、情報が失われると増える(知恵蔵2015)」ということで、この概念を使って「孤立系(熱の出入りのない系)では、エントロピーは一定か、ないしは増大する」といえるようです。進退窮まって、がっちり決まって、他の可能性が全くない場合、エントロピーはゼロです。第2法則のことを、エントロピー増大の法則といいます。
ほとんど松田さんの受け売りで説明してしまったが、聞き捨てならないことも書かれている。それは「宇宙の時間の両端に低エントロピー状態と、高エントロピー状態があった場合、我々人間は低エントロピー状態を宇宙の始まりと「認識」し、エントロピーが増大する方向に「時間」が進むと認識すると、私は考えている。」という文章がそれです。これは渡辺慧「時」(河出書房新社)にも出てくる洞察で、不確定性原理の説明のところでも述べましたが、「観測(認識)」の瞬間にエントロピーが増大し、この不可逆性こそ時間というものだということを知らされる。誤解を恐れずに言えば、「知ろうとするから時間は発生し、そうしなければ時間というものはない。従ってその時第2法則の不可逆性というものも存在しない。認識とは時間であり、不可逆性そのものだ。これは、自分が勝手に作り上げているものに過ぎない」と大胆に推測してみました。身震いしますね。如何ですか?
聖アウグスチヌスは「時間とは何か?人が私に問わなければ、私は知っている。問う人に説明しようとすれば私はもはやそれを知っていない」と書いています。
ところで、宇宙全体は孤立系だから、エントロピーは増大し続ける。ところが、宇宙の初めはあらゆる素粒子がバラバラにあったが、時間とともに、原子核ができ、原子が、分子が、銀河や星ができ、そのうえで生命ができ、人類が発生した。これはエントロピーの減少に見える、とも書かれていました。事実ですね。これは宇宙の膨張に伴う温度の低下で、一時的に生まれた、仮初めの秩序体なんですね。
物質は、少数のクォーク、レプトン(軽粒子と呼ばれる強い力を感じない素粒子)からできている、そして、それを支配しているのはたった4種類の力である。しかもこれらの力は全て力の粒子を交換することによって働く。以下詳細。
≪重力≫
すべての素粒子に引力(万有引力)として働きます。重力は遮られることなく無限遠まで働くため、マクロの世界を支配しています。地球、太陽、銀河系などの天体の運行をつかさどり、巨大な宇宙の構造を作り出しています。
≪電磁気力≫
静電気や磁石の力だけでなく、私たちが日常経験する重力以外のすべての力は電磁気力です。 特に、電子と原子核を結びつけ原子を作る力、原子同士を結びつけ分子を作る力は、電磁気力です。 電磁気力は、光子の交換によって伝わります。光子は質量を持たないので、遮られなければ電磁気力も遠くまでとどきます。
≪弱い力≫
弱い力はとても短い距離の間でのみ働きます。通常、電磁気力よりもはるかに弱いのでこの名前がつけられました。すべてのクォーク、レプトンに働きます。
これは、原子核のベータ崩壊、中性子、パイ中間子などの粒子の崩壊の原因となる(粒子の種類を変えることのできる)力です。弱い力を媒介する力の粒子、W、Zは大きな質量を持っています。そのため、力の本質的な強さを表す結合定数は電磁気力と同程度ですが、力が届く距離が非常に短く、力の見かけの強さが弱く見えるのです。力の強さが弱すぎて、日常世界で感じることはありません。
W粒子や、Z粒子は、もともと光子と同様に質量を持たないゲージ粒子ですが、真空中のヒッグス場との相互作用により質量を持ったと考えられています。ヒッグス場との相互作用がなければ、これらの力の粒子の運ぶ力は、もともとは同じものだと考えられます。そこで、現在では、光子の伝える電磁気力と、WやZが伝える弱い力は、電弱力としてまとめられています。
≪強い力≫
強い力は全てのカラー荷を持つ素粒子に働きます。電磁気力の 100 倍程の大きさを持つ最も強い力なので、この名前がつけられました。クォークを結びつけ、陽子 (p) や中性子 (n) を作り、また陽子同士の間に働く電気的な斥力に打ち勝ち、中性子とともに原子核を作ります。
注5)
これは10のマイナス34乗秒ということです。10の34乗分の1秒にあたります。
*マイナス乗について
例えば2の3乗は2×2×2=8ですよね。で、2の2乗は2×2=4ですが、これは(2の3乗)÷2と同じなのがわかると思います。
なので累乗の数字が一つ減るのは、その数字で割るのと同じと解釈できるわけです。
ですから、
2の1乗は、(2の2乗)÷2=2
2の0乗は、(2の1乗)÷2=1 となります。
さて問題のマイナス累乗ですが、同様の方法で
2のマイナス1乗は、(2の0乗)÷2=1/2 というような考え方になります。
同様に
2のマイナス2乗は、 (2のマイナス1乗)÷2=1/2÷2=1/4
2のマイナス3乗は 、(2のマイナス2乗)÷2=1/8
というようになります。
というわけですから、Xのマイナスn乗=1/(Xのn乗)と覚えてください♪
注6)国立天文台・宇宙図解説より
注7)クオーク
物質をつくる基本粒子。このうち互いに近ずくと素粒子の「強い力」を及ぼし合うのがクオーク。1964年、M.ゲルマンとG.ツワイクが提唱、ゲルマンがJ.ジョイスの作品『フィネガンズ・ウェイク』に出てくる鳥の鳴き声から名づけたとされる(コトバンクより)。「素粒子」には、原子レベルより更に基本的な物質で、原子核を構成している「陽子」「中性子」、また原子核の周りを回っている「電子」、光であるところの「光子」などがあります。この陽子、中性子などよりもっと「基本的な粒子」として仮定されたのが「クォーク」です。陽子も中性子も「クォークの組み合わせで出来ているようです。「強い力」でできている為取り出すことは難しく、その存在は、高エネルギーのレプトン(軽粒子)で陽子を激しくたたく(非弾性散乱)実験により、陽子の中に存在する点状粒子(パートン)として確認されているようです。
注8) 国立天文台・宇宙図解説より
注9)宇宙の晴れ上がり
宇宙誕生から約38万年後、「宇宙の晴れ上がり」が起こります。それまでの宇宙は、高温のため大量の「電子」が飛び交っていました。光は、この電子と衝突してしまって直進できず、そのため宇宙は雲の中のように不透明だったのです。しかし宇宙の放射温度が約3000Kまで下がると、放射が水素を電離できなくなり、陽子と電子結合し水素原子となった。電子が水素原子の中に取り込まれ、光が自由になりました。こうして、宇宙は見通しが良くなったのです。原子のなかでも同じ性質を持つもの同士を元素といいますが、この元素が、最初の星たちの材料となっています(国立天文台・宇宙図より)。
だから何なの?と言われそうですが、前にも言ったように、宇宙が不透明ということは、放射(光子)と物質(陽子や電子)が衝突し、物質が互いの重力で集まろうとしても、放射の圧力が強く、反発してもとに戻ってしまう。つまり、天体のような物質の集まりは、存在できないということで、地球もなければ、我々も発生しなかったということです。
注10)
核融合も、核分裂(=原発の仕組み)ほどではないが、低レベルの放射性廃棄物は多く出る。半減期が100万年後としても、爆発後の数億年後の地球誕生時には考慮外でいいでしょう。なお、地球の約4億5,000万年前に起きた生物の大量絶滅が超新星爆発(最初の1回だけでは無く、現在でもどこかで起きている)時のガンマ線バーストによって引き起こされたという説があるようですが、近々の予想されている超新星爆発は地球から600光年と距離があり影響はなさそうです。
注11) 「らせん」と「リズム」
解剖学者三木成夫さんによれば、ゲーテは晩年、植物の成長過程にみられる、らせん形成、垂直に伸びると見せてその実、螺旋の軌跡を描きながら上昇するイメージを生の根本原理と洞察したという。朝顔の弦にしろ同様だろう。やがて頂点に達すると花弁の渦巻きに変容する。私達でも体毛がところどころ捻じれながら全体の毛流を形成しやがて、頭の頂点で「つむじ」として渦巻いて終わるのも同様だろう。マンモスの牙も、伸ばし過ぎた爪も、血管も腸管も、指の「指紋」も、染色体もらせん構造をとる。火山の噴煙、台風の渦、星雲の世界にまで渦巻きの形態を取らないものは無いと言っていい。世界遺産となっている約5200年前のアイルランドにあるボイン渓谷の遺跡・ニューグレンジは、紀元前4世紀ごろの森の民・ケルト人よりも、3000年も前の先住民の遺跡だが、そこには古代遺跡の定番とも言える、「冬至」の日にだけ朝日が墓の一番奥まで届く仕組みを持っている。それは1年の中で太陽の力が最も弱くなる日である「死」と、ここを境に恵の春に向かう「再生」を感じられる儀式の意味をもつのだが、その建物の周囲の石に、内部の壁面に一面に刻まれているのが「渦巻き」模様だ。これらは既に見てきたように何かに向かう力がとる形態であり、回転モーメントとも言われる。これらは、その様な宇宙の力の形態を身体で感じていた事の証左ではないだろうか。様々な部族の刺青の初期に多く見られるのも渦巻き模様であり、部族の統一を、宇宙に繋がる力を連想させる渦に見ていたのかもしれない。
しかし一方で空間的に見たこの「らせん」も、時間的にミクロの眼で見れば、一直線に進むものではなく、一定の周期・リズムを持った流れであることがわかる。寄せては返すさざ波から、光の波、電磁波、音波、地震波と上げればきりがない。命の営みにも呼気・吸気の呼吸、活動と睡眠の昼夜リズム、週リズム(7日周期は、肉親の死の悲しみが、8日目にははっきりと遠ざかる初7日や四十九日(*1)やカレンダーの週暦、夫婦げんかの仲直り周期など)、潮汐リズム(月の誕生、注14参照)、年リズム(年輪や活動と冬眠など)、食欲と性欲・サカリの入れ替わりリズム(人は直立歩行で、性器を隠してしまったことでこのリズムを、消してしまった。お陰で化粧や衣装やセクシーポーズや言葉が必要になったし、年中サカリがついてしまった。もっと言えば、犬猫のように、さっきあの行為をした後に、知らん顔ですれ違うことができなくなった。自意識の誕生かもしれない。)と枚挙にいとまがない。もっと大きいリズムだってある。ゲーテの7年のうつ病周期、伊勢神宮の周期は20年、竹の花の周期は60年から120年と気が遠くなる。
お母さんのお腹の中の胎児の、奇跡にような38日周期(受胎して27日目で魚(ここで成長が止まってしまうとサリドマイド)、34日目に両生類・カエル、36日目に爬虫類(脊椎動物が1億年もかけて上陸した、困難を、3億年前経った今思い起こし「つわり」が始まり、流産の危険も高まる)、38日目でようやく半分哺乳類に、という変身をみんな潜り抜けてきます)もあります(*2)。
(*1) 「人間は桁で違いを感じる」とは、東工大の本川達雄先生ですが。2倍3倍ではなく、対数で世界を認識しているというんです。このお話の場合は7進法でなく10進法で説明されていますが、実際の刺激の強さが10倍になっても、感覚のほうは一目盛分強くなったとしか感じないというウエーバー・フェフィナーの法則を説明されています。10の対数は1、100の対数は2という風に、10倍ずつで感覚していくわけです(10の1乗=10、10の2乗=100、10の3乗=1000・・・)。またまた脱線しますが、現代人の(1992年の)国民一人当たりのエネルギー消費量は約5500ワットだそうで、これを標準代謝率に直すと、半分の2750ワット位です。これを自然界のヒトとしての標準代謝率73.3ワットと比較すると37.5倍に当たります。ちなみにこの消費量は5.9トンの象並みだそうです。恒温動物になっただけでは満足できず、「恒環境動物」に変身したわけですね。明治10年代は200ワット位だったようですから、2倍強だったわけですから、ほんの100年ちょっとだけで地球のエネルギーを食い尽くそうとしているわけですね。ちょっと苦情を言えば「無責任だ!」が返ってきます。「どっちが無責任だ!」と言いたくなりますが、自分にも責任はありますので・・。では、その10倍とはいつ頃だったのでしょう。昭和30年代だったそうです。このころ、身体が感じていたんでしょうね。「あー、いい世の中になったなー!」と。
しかし「感覚」の上に立って管理しようとする「意志」の力が見直しを阻み、3交代など昼夜のリズムすら無視して、経済一辺倒の道を突き進みました。どこに向かうんでしょうか。
「明るい寝たきり生活」が理想なんでしょう。「情報さえ脳にうまく送り込んでやれば、他人と会うために、身体を動かす必要もなければ、旅行の必要もない、最後は、脳以外の器官はは必要ないことになる」というバナール「宇宙・肉体・悪魔」の世界です。皆さんは、まっしぐら派ですか。無責任だといわれても、ライトサイズ派ですか?
本川達雄「時間」NHK出版参照。
(*2) 三木茂夫著「生命とリズム」「内臓とこころ」河出文庫参照
注12) カオス
「およそこの世で「変化するもの」は不確定・不確実なことが普通であって、例外的ではない、因果論的に説明できる部分こそ例外的なのだということを発見したのが、カオスの発見でした」。そして「ポアンカレというフランスの数学者は、3つの天体が互いに万有引力で相互作用をすると、数式の操作によっては、決して解を求められないような極めて複雑な運動、今日いうところのカオス運動が生じることを数学的に示しました(*)」。これがきっかけでした。ローレンツは散逸力学系(散逸構造とは、燃え続ける蝋燭が燃焼によって生じるエントロピーを輩出続けることで(構造や運動の破壊、消失で)炎という構造を維持し続けるもの・私たちの体もそうです)で、カオスの存在を示しました。
身近な例でいえば、幼児が覚えたての三輪車のペダル操作をうっかりバランスを崩しただけで後ろに進んでしまうようなものだそうです。カオスの入り口・出口は、我々の頭としっぽに繋がっている。コンピュータの16桁以降の切り捨てだって、積算されてどんなカオスをもたらすか分かったものじゃないですね。
(*)蔵本由紀「非線形科学」集英社新書P160〜164
注13)熱力学の法則(松田卓也「正負のユートピア」岩波書店参照)
a. 第1法則〜エネルギー保存の法則ともいわれ、無からエネルギーは発生しないという法則をさす。永久機関は作れないということでもある。(してみると、宇宙創成のゆらぎのもとは何だったのか。これは無というより全といったほうがいいとも言いましたが、時空や質量・エネルギーの定義できない世界ですから法則を超えた世界です。カオスの世界です。)
b. 第2法則〜熱は高温部から低温部にには自然に流れる。しかしその逆は何らの痕跡も残さずに起こすことはできない」という法則です。痕跡とはそのために別のエネルギーを消費するとかです。ここでクラジウスという物理学者がエントロピーという概念を導入した。エントロピーとは、「内なる多様さの目安。系全体が、ある状態(巨視状態)をとるとき、系内粒子の状態のとり方(微視状態)がどれほど多くありうるかを意味する。多様さが許される巨視状態ほど実現の確率が高いため、孤立系では増える一方(熱力学第2法則)。一般に無秩序へ向かう傾向は、この法則で理解できる。机の上が乱雑になるのは実感例。湯と水を混ぜたぬるま湯が湯と水に戻らないように不可逆だ。情報理論では不確定さを表す量として使われ、情報が失われると増える(知恵蔵2015)」ということで、この概念を使って「孤立系(熱の出入りのない系)では、エントロピーは一定か、ないしは増大する」といえるようです。進退窮まって、がっちり決まって、他の可能性が全くない場合、エントロピーはゼロです。第2法則のことを、エントロピー増大の法則といいます。
ほとんど松田さんの受け売りで説明してしまったが、聞き捨てならないことも書かれている。それは「宇宙の時間の両端に低エントロピー状態と、高エントロピー状態があった場合、我々人間は低エントロピー状態を宇宙の始まりと「認識」し、エントロピーが増大する方向に「時間」が進むと認識すると、私は考えている。」という文章がそれです。これは渡辺慧「時」(河出書房新社)にも出てくる洞察で、不確定性原理の説明のところでも述べましたが、「観測(認識)」の瞬間にエントロピーが増大し、この不可逆性こそ時間というものだということを知らされる。誤解を恐れずに言えば、「知ろうとするから時間は発生し、そうしなければ時間というものはない。従ってその時第2法則の不可逆性というものも存在しない。認識とは時間であり、不可逆性そのものだ。これは、自分が勝手に作り上げているものに過ぎない」と大胆に推測してみました。身震いしますね。如何ですか?
聖アウグスチヌスは「時間とは何か?人が私に問わなければ、私は知っている。問う人に説明しようとすれば私はもはやそれを知っていない」と書いています。
ところで、宇宙全体は孤立系だから、エントロピーは増大し続ける。ところが、宇宙の初めはあらゆる素粒子がバラバラにあったが、時間とともに、原子核ができ、原子が、分子が、銀河や星ができ、そのうえで生命ができ、人類が発生した。これはエントロピーの減少に見える、とも書かれていました。事実ですね。これは宇宙の膨張に伴う温度の低下で、一時的に生まれた、仮初めの秩序体なんですね。