たのしい演劇

シュタイナー神秘劇4「魂の目覚め(上梓:1913)(劇中年代設定:1924)」
反ユダヤ主義の背景 29


ドイツのオカルト文化と疑似科学による人種理論09

サミュエル.スタンホープ.スミス
Samuel Stanhope Smith (1751 – 1819)
長老派教会/Presbyterian( スコットランドの国教(1567-) 牧師 弁護士　神学.哲学者
ハンプデン.シドニー.カレッジHampden–Sydney College(1775)創立.初代総裁
 プリンストン大学Princeton University 第7代総裁(1795 -1812)


コモン・センス学派(18世紀スコットランド啓蒙思想) をアメリカで最初に系統的に解説

経験論による人類学 と
用不用説/ラマルキズム use and disuse theory( 生物側に進化の主体性を求める進化論)の立場で
　　 科学と宗教の正統性を仲介を試みた

進歩的な結婚様態と 人種.奴隷制における 平等主義 を主張する

彼の著書第２版『人類の多様な顔色と体形に関する研究
Essay on the Causes of Variety of Complexion and Figure in the Human Species (1810)』
は当時民族学で盛んになっていた人種差別擁護に強く反論した　貴重な一冊

彼は自然主義者の人種分類
ブルーメンバッハ Johann Friedrich Blumenbach(1752–1840)
ビュフォン伯ルクレールGeorges-Louis Leclerc, Comte de Buffon,1707–1788)
リンネ Carl Linnaeus1707–78)
　に反旗を掲げた

彼は人類の多様な体形はその環境の下に淘汰されると説明する

南部の黒人種/野外労働者　は　屋内家事労働者より黒い色素沈着が見られ
それ故に　白人種/欧州文明下で育まれた彼らの主人が
　もし日常的に長時間太陽光を浴び続ける環境に有れば　生体変化は同様に在り得る

彼の著書では　また　黒人種の黒肌色素沈着は
　体表全体を覆うほどに肥大したそばかすであり 熱帯地域の生活による
　胆汁の過剰供給が原因だ　と主張

また性淘汰sexual selection(異性をめぐる競争を通じて起きる進化)
について基本的見解が述べられ　後ダーウィンCharles Darwin1809–1882) により一般化した理論となる

彼は ジェファーソンThomas Jefferson1743 –1826)の
『バージニア州について覚書Notes on the State of Virginia(1781) 』の中で
　黒人の偉大な作家や芸術家は皆無だ との表現に対し
　フィリス.ウィルシーPhillis Wheatley,(1753 – 1784)
奴隷として売られた先の女主人は彼女の才能を見出し　黒人奴隷初の神童と称えられた詩人
　存在を示し　ジェファーソの偏見をたしなめた


ウェブスター辞書(1828)哲学の項　スミスの見解
「真の宗教と真の哲学は最終的に同じ原理に至らねばならない」　紹介　


次回へと続く

と　たのしい演劇の日