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2020年11月26日
危険度カテゴリー4(十一月廿三日)
先週の金曜日に、チェコ国内の感染の危険度を示す指数が一週間75以下のカテゴリー4相等だったことで、今日からチェコ全体がカテゴリー4となり、それに伴って規制が一部緩和された。このカテゴリー分け、20ごとかと思ったら、4と5だけ違っていて、境界が75、つまり4は60から75、5は76から100となっている。
犬システムが発表された時点では、国全体は70で、一部の地方で75を越えているところがあったのだったか。それが全国的に75以下に下がり、一週間その状態が続いたことで、金曜日に政府の会議で警戒レベルをカテゴリー4に下げることが決定したのである。そして、現在では数値がカテゴリー3に入るところまで落ちているので、これが金曜日まで継続した場合には、来週から更なる規制の緩和が行われる可能性もある。
とまれ、警戒レベルが4になったことによる規制の変更としては、夜間の外出禁止が21時からだったものが、2時間短縮されて23時からになった。同時に営業が許されているスーパーマーケットやレストランのお持ち帰り用窓口も23時までは営業を続けてもいいことになった。よくわからないのは23時まで営業している店舗で買い物をして帰る途中に23時を過ぎてしまった場合に、外出禁止に違反したことになるのかどうかである。従業員は、仕事帰りということで例外扱いされるようだけどさ。
それから、犬システムに記載があったかどうか記憶にないのだが、銃や銃弾などを販売する銃砲店の営業再開が許可された。これは、秋の狩猟期が始まって猟師たちが使用して足りなくなった銃弾などを補充できないという問題への対策らしい。特に今年はまた、ドイツ、ポーランドなどでアフリカブタコレラが、野生のイノシシの間で流行し始めているらしく、チェコでも増え続けるイノシシの数を減らす必要があるため銃砲店の再開店が必要なのだという。
しかし、テレビのニュースで登場した買い物客は、猟師などではなく、射撃を趣味とする人で拳銃を購入して、射撃場の営業再開が待ち遠しいと語ってた。考えてみればチェコの猟師というのは個人個人で活動しているのではなく、猟師会のような組織で活動しているのである。それなら組織から銃砲店にまとめて発注すれば、納入業者扱いになって特に開店させる必要はないような気もするのだけど、銃好きの人たちの運動に首相か、大臣が心を動かされたかな。
意味がわからない営業再開の許可としては、ペットサロンも挙げられる。ドッグフードなどとペット向けの食品を扱うペットショップが営業を続けているのは、人間にとっての食料品店だと思えば理解できなくもない。しかし、ペットの見た目をよくするためのペットサロンの営業を再開させる必然性はどこにも見えない。どうせペットを集めてのイベントなど行なわれないし、他人の家に連れて行って自慢するなんてこともできないのだから、見た目の修正など不用だろうに。
人間の見た目を修正するための床屋や美容院とは違って、人と人の接触が少ないから、感染を広げる可能性は低いというのが、その再開許可の理由らしいけれども、飼い主がペットサロンまでペットを連れて行かなければならないことを考えると、大差はないような気がする。帰省が導入された時点で、例外として営業の継続が認められていたのかもしれないけど、チェコの政府のやることにはよくわからんといいたくなることが多いのである。
こんな状況で、閉店を余儀なくされた小売店の中には、同じような商品を扱っているのに、自分たちだけが営業を禁止されるのは不公平だとして裁判を起こそうとしている人たちがいる。例えば、衣料品や、靴、書籍などを販売する専門店は、営業禁止の対象になっているが、これらの商品を販売する大型スーパーは、入店人数に制限がかけられているとはいえ、規制を受けることなく営業しているのである。
スーパー内の服の販売が問題ないのであれば、衣料品店での服の販売も問題ないはずだというのが、専門店側の意見である。同じようにスーパーで手に入るものでも、ペット用品に関してはペットショップの営業が許可されているというのも不公平感を煽るのだろう。ネットショップで購入した商品の受取所を兼ねている店舗でも、店内に客を入れることはできても、自分の店の商品は販売できないと言うよくわからないことになっているし、小売店の人たちが不満を抱えるのも理解できる。
チェコの人が命をかけるようにプレゼントを購入するクリスマスが近づいていることを考えると、営業中の店の数が少なく、店の前に長い行列ができてしまうことが予想される。それなら、多くの店の営業を再開させて客を分散させたほうが、感染の危険は減るような気もする。政府としては意地でもクリスマス商戦に向けて、11月末、もしくは12月初頭に小売店の営業再開を目論んでいるようだから、心配することもないかな。
2020年11月24日17時30分
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2020年11月25日
ハンドボール女子ヨーロッパ選手権(十一月廿二日)
ハンドボール界では、世界選手権とヨーロッパ選手権が、交代でそれぞれ二年に一度行われ、どちらも女子の大会は12月、男子は1月と開催時期も固定されている。今年の12月は、女子のヨーロッパ選手権が行われ、来年の1月には、エジプトで世界選手権が行われることが決まっており、チェコはどちらの大会も出場権を確保している。準備も進んでいて、1月に大会のある男子も35人の代表候補選手が発表されている。選手が欠場を余儀なくされる可能性が例年以上に高いため、多めに選手を発表しておいて、最終的に人数を絞る計画のようだ。
その12月から始まる女子の世界選手権だが、当初の予定では、デンマークとノルウェーの二国で共同開催されることになっていた。それが、感染状況の悪化が止まらないノルウェー政府がハンドボール協会に大会の開催禁止の通達を出したらしい。チェコは感染状況が最悪で、国内のスポーツイベントを味噌くそ一緒に禁止したときでも、国際大会、国際試合だけは例外扱いをして、テニスの大会や、サッカーのヨーロッパリーグの試合は開催したのだが、ノルウェーはそういう配慮もしなということのようだ。
そういえば、ノルウェーは先日サッカー代表も感染者を出して困ったことになっていたが、そのネイションズカップの試合の前に計画されていたイスラエルとの親善試合を中止したんじゃなかったか。あのときはイスラエルの感染状況を見てノルウェーがイスラエルからの選手の入国を望まなかったのだと思ったのだが、実際は国内の感染状況の悪化が理由だったのかもしれない。同じスカンジナビアの国でもスウェーデンがかなり緩やかな対策をとっているのとは対照的である。
もう一方のデンマークのほうは、現時点では開催は禁止されていないようだが、もともと二国で開催する予定だったものを、開幕まで半月あまりの時期に、単独開催に変更することが可能なのだろうか。いや、例年であれば、大会の会場となる体育館を押さえたり、チームの宿舎となるホテルを確保したりすればいいだけだから何とかなりそうだが、今年はそれに加えて。感染症対策が求められるのである。
ノルウェーが開催から手を引くことが決まった後、先週の11月17日には、ヨーロッパハンドボール連盟がデンマークのハンドボール協会が単独開催に踏み切るかどうかを発表する予定だったらしいが、決定は先送りされた。週末までにという話も守られず、今日になって開催に向けて準備を進めているというアナウンスが、ヨーロッパ連盟から出されただけだった。デンマーク政府からの許可待ちだという話もある。
チェコの女子代表は、すでに西ボヘミアのヘプで直前の強化合宿に入っている。ここで一週間ちょっと集中的に練習をしてからデンマークに移動する予定だという。もともとは、強化試合としてスイス代表との試合が計画されていたが、チェコに入国できる状況にないため中止になったらしい。久しぶりにチームとして集まって最初の試合が、本戦の初戦というのはなかなか大変そうである。他の出場国も同じような状況に追い込まれているのだろうけど。
また今年のヨーロッパ選手権に出場の可能性のある選手や、チーム関係者には、大会初日の半月前から、三日に一度の割合で検査を受けることが義務付けられているらしい。正直な話、チェコのハンドボール協会の予算が心配になるのだが、これぐらいのことをしないと、大会の開催が認められないのが現実なのだろう。本当に徹底するなら毎日一度、もしくは朝晩の二度行うのが理想なのだろうけど、予算との兼ね合いでこうなったのかな。
月曜日になって、今年のヨーロッパ選手権はデンマークが単独で開催することが決まったというニュースが流れた。この大会も、どこが優勝するとか、チェコが何位にはいるとかいう結果よりも、無事に開催されることが一番重要な大会になるのだろう。チェコテレビでは中継されないようだけど、結果だけでも追いかけて行きたいと思う。
2020年11月23日23時。
2020年11月24日
形容詞の作り方3(十一月廿一日)
C末尾の「t」を「cí」に変える
これまでの三つとは違って、軟変化の形容詞を作ることになる。この方法で作られた形容詞は、「〜するために使う」ことを意味する。この形容詞化も使える動詞は限定的なので、外国人としては、一般的に使われているものを覚えて使うのがせいぜいである。覚えておいたほうがいいのは、原則として不完了態の動詞から作られるということだろうか。これもまず比較的よく使われる例を挙げておく。
・šít → šicí 縫うための
・psát → psací 書くための
・prát → prací 洗うための
・přijímat → přijímací 受入れるための
一つ目の「šicí」は、機械を意味する言葉と組み合わせて、「šicí stroj」で、縫い物をする機械、つまりはミシンという意味になる。二つ目も同様に「psací stroj」でタイプライターを意味することになる。残念ながらこちらではワープロは一般的ではなかったので、「psací program」でワープロソフトということにはならないようだ。
三つ目は洗剤を表す言葉に使われる。「prací prostředek」というのだが、「prostředek」は、「真ん中」という意味以外に、手段や方法を意味することがあるのである。ちなみに別の動詞から作った「čisticí prostředek」も洗剤を意味するが、「prací prostředek」が洗濯に使う洗剤なのに対して、こちらは掃除に使う洗剤のことである。
最後は、「přijímací zkouška」という組み合わせでよく使われる。いや複数で「přijímací zkoušky」にするかもしれないけれども、受入のための試験、つまりは入試のことである。面接だと「přijímací pohovor」なんて言うこともある。入試は「přijímačky」と一語化した形が使われることも多いけれども、ほんらいは動詞から作られた形容詞が基になっているのである。
他にも「hrací automat(スロットマシーンのようなゲーム機)」、「odbavovací hala(空港の出発手続きをするフロアなど)」なんかに、この方法で作られた形容詞が使われている。
D三人称複数の変化形に「cí」をつける
この形容詞も軟変化で、不完了態の動詞からしか作れない。前の形容詞化と違うのは、府完了態の動詞からであれば、ほぼ間違いなく作れることである。「se」のつく動詞の場合には、「se」も一緒に形容詞化するというのも覚えておいたほうがいい。意味は「〜している」。
・jít → jdou(過去) → jdoucí(形容詞)
・vracet se → vracejí se(過去) → vracející se(形容詞)
一つめの「jdoucí」は、副詞的な「kolem」とともに、「kolem jdoucí člověk」という形で、「そばを歩いている人」という意味で使われる。「člověk」が省略されて、「jdoucí」が名詞として使われているように見える例も多い。このように、追加される副詞的なものが一つの場合には、前から名詞にかけることも可能だが、数が増えると後からかけることが多い。関係代名詞を使わない分、日本人には楽である。ただ「,」で区切る必要があるのかどうか不安になるので、普通は動詞から使った形容詞だけで前からかけることにしている。昔「Je poměrně hodně Japonců umějících alespoň trochu česky」なんて文を作ったことはあるけどさ。
二つ目は、サッカーなどのスポーツの中継で、自陣に戻ろうと走っている選手を形容するのに使われる。ディフェンスの選手につけて「vracející se obránce」とすることが多いかな。ハンドボールの場合には、退場から復帰しようとする選手とか、キーパー抜きで攻撃をしたあと、ゴールに戻ろうとするキーパーなんかにも使うし、怪我や病気などから仕事に復帰しようとしている場合にも使えるかな。
この手の形容詞、もしくは名詞が使われているものとしては、ツィムルマンの映画の題名が真っ先に思い浮かぶ。「Jára Cimrman, ležící, spící」。「ležet(横になる)」と「spát(眠る)」という二つの不完了態動詞から作られた形容詞が後ろからかけられているのである。名詞的に使っていると考えたほうがいいかもしれないけど。
ここに上げた形以外にも、動詞が基になって作られたと思しき形容詞はいくつもある。「zajímat se(興味を持つ) → zajímavý(興味深い)」なんかがその例なのだけど、規則性があるのかどうか判然としないのと、同じ形の場合に同じような意味が加わることになるのかよくわからないのとで、取り上げないことにした。いや、師匠に教わったのが、ここに挙げた5つの形容詞の作り方だといったほうが正しいか。
2020年11月22日21時30分。
2020年11月23日
形容詞の作り方2(十一月廿日)
続いて動詞から作られる形容詞の話である。こちらもいくつかの作られ方があって、それぞれ意味、使い方が違っている。日本人としては形容詞というよりは動詞の連体形のような印象も持ってしまうのだが、普通の連体修飾節と違って、関係代名詞を必要とせず動詞を名詞の前に置くことが出来るので使えるとうれしいものでもある。文末で述語的に使う場合もあるので、確かに形容詞ではあるのだろうけど。
@受身形に形容詞の語尾をつける
これについては、動詞の受身のところで簡単に触れたが、基本的な形、つまり男性名詞の単数が主語のときの受身形の末尾の子音「n」、もしくは「t」に硬変化の形容詞の語尾をつけてやればそれで出来上がりである。一部はすでに完全に形容詞として辞書に載せられているぐらいだが、そうでないものでも普通に使われている。
受身形は、動詞「být」と共に述語として使うだけなので、名詞の前で使う場合には形容詞化する必要があると言ってもいいのかな。
・otevřít → otevřen(受身) → otevřený(形容詞)
これを例に簡単な文を作ってみると、次のようになる。述語として使う分には、どちらでも意味はほとんど変わらないと思う。
・Okno je otevřeno.= Okno je otevřené.
(窓が開いている)
・Otevřené okno jsem zavřel.
(開いている窓を閉めた)
A過去形に形容詞の語尾をつける
こちらは受身から作るのとは違って、自分であれこれ作るのは難しい。すでに使われている形容詞を見て、これはあの動詞から作られたのだと理解するのがせいぜいである。チェコ語が母語の人ならある程度自分で考えて作れるのだろうけど、外国人には難しい。とまれ、比較的よく使われる例を3つ挙げておく。
・minout → minul(過去) → minulý(形容詞)
・zalézt → zalezl(過去) → zalezlý(形容詞)
・zasloužit → zasloužil(過去) → zasloužilý(形容詞)
一つ目の「minout」は「過ぎる」という意味の動詞で。その過去形からできた形容詞は「過ぎた/過ぎ去った」という意味から、「過去の」という意味で使われる。週や月などと共に使うと「過ぎたばかりの」、つまり一つ前の週や月である、先週、先月を意味することになる。
二つ目の形容詞は、ボサーク師匠のサッカーの中継でよく聞くので覚えてしまったのだが、守備の際に完全に引いてしまって前に出ようとしない様子を「zalezlý」と表現する。動詞の「zalézt」は、大学書林の辞書には「這い込む」という語義が上がっているが、形容詞のほうは一定のエリアに入り込んで出てこない様子を表すのに使うと考えてよさそうだ。となると日本語の引きこもりに近い意味でも使えそうである。
三つ目は、映画などのタイトルロールで、俳優の名前に付されていることのある「zasloužilý umělec」というのが一番よく見る使い方だろうか。辞書だと「〜に値する」などと書かれているけれども、自らのなしたことによって何かに「値する」場合に使用する動詞である。言い換えれば、「〜に値する業績を上げる」ということで、形容詞形の「zasloužilý」は、「(顕彰されるに)値する業績を上げた」ということになり、「zasloužilý umělec」は「文化功労者」とも言うべき存在なのである。
他にも、「zemřelý(亡くなった)」「zahynulý(亡くなった)」「pozůstalý(遺された)」など、特に事故や災害に関するニュースでしばしば耳にする言葉の中にも、動詞の過去形が元になったものがいくつかある。ただ、後の名詞が省略されることが一般化して、形容詞というよりは名詞として使われている印象もある。
B原形に「elný」をつける。
動詞に「el」をつけることで、人を表す名詞を作ることがあるのだが(たとえば「učit(教える)」→「učitel(教える人=先生)」)、さらに「ný」が加わると、「〜することができる」という意味の形容詞になる。これもすべての動詞から作れるというものではないし、動詞によっては、原形ではなく、受身形を利用するなど微妙に形が変わるものもあるので注意が必要である。
・pochopit → pochopitelný 理解しうる
・srozumět → srozumitelný 理解しうる
・číst → čitelný 読める
・přijmout → přijatelný 受入可能な
この手の形容詞は、「ne」をつけて否定する形で使用することのほうが多いような印象もある。動詞を否定形にした「není přijatelný návrh」よりも、「je nepřijatelný návrh」のほうをよく聞くような気がする。
最後に一つ覚えておいたほうがいい言葉を上げておこう。動詞「obnovit」は、「nový」という形容詞とかかわりがあって、「新しくする、再建する」などの意味がある。そしてこの動詞からつくられる形容詞「obnovitelný」は、新しくすることが可能ということで、「再生可能な」という意味で使われる。つまり「obnovitelná energie」は、流行で嫌になるほど耳にする「再生可能なエネルギー」を意味するのである。
2020年11月21日22時。
2020年11月22日
形容詞の作り方1(十一月十九日)
代名詞に続いて、形容詞について書いた文章をまとめたリストを作ろうと考えて、何を書いたかチェックしていたのだが、一つ大事なことを書き忘れていたことに気づいた。他の品詞から作られた形容詞の話である。形容詞の中には、最初から形容詞というものもあるが、名詞や動詞から作られた形容詞も多く、その作られ方には、ある程度の規則性がある。いくつかはすでに簡単に触れたが、ここで改めてまとめておく。
まずは名詞から作られる形容詞から。以前名詞から作られる形容詞には軟変化のものが多いと書いたことがあるが、名詞に「-í」もしくは「-ní」をつけて形容詞にすることが多い。もちろん名詞の後ろにそのままつけることは滅多になく、微妙に形が代わることも多いのだが、慣れてくるとある程度は考えなくてもできるようになる。ここまでたどりつくのだ大変なのはその通りだけど、不可能ではない。
名詞から語尾をつけて形容詞にする場合に覚えておいたほうがいいのは、@末尾に母音がある場合には取り去る。A形容詞化するための語尾をつける子音が、「c」「k」の場合には「č」に変えるなどの子音交代が起こる。B出没子音の「e」がある名詞の場合には、複数二格の末尾の母音を取った形に、形容詞の語尾をつける。C名詞の長母音が形容詞では短母音化する。の4点だが、付け加える語尾によっては適用されないこともある。
@「í」を付ける。
・koza → kozí ヤギの
・kohout → kohoutí 雄鶏の
・kočka → kočičí 猫の
・slepice → slepičí 雌鶏の
・pes → psí 犬の
・lev → lvíライオンの
・pták → ptačí 鳥の
この形で形容詞を作るのは動物の名前から作るものが多い。ただし、動物の子供を表す名詞には「cí」を付けることがある。「tele→telecí(子牛の)」「kuře→kuřecí(雛鶏の)」などである。
A「ní」を付ける。
・voda → vodní 水の
・kostel → kostelní 教会の
・kniha → knižní 本の
・radnice → radniční 市役所の
・divadlo → divadelní 劇場の
・léto → letní 夏の
おそらくこれが最も一般的な名詞から形容詞を作る方法である。
B「ový」をつける。
・vlak → vlakový 電車の
・čaj → čajový お茶の
・počítač→ počítačový コンピュータの
・čokoláda→ čokoládový チョコレートの
この形は比較的新しい、新しく使われ始めた名詞の場合に使う印象がある。いや、「časový(時間の)」なんかもあるから、そうでもないか。
C「ský/cký」をつける。
・lázeň → lázeňský 温泉の
・kuchyň → kuchyňský キッチンの
・učitel → učitelský 先生の
・žena → ženský 女性の
・čarodějnice → čarodějnický 魔女の
・prezident → prezidentský 大統領の
この形を使うのは、人を表す名詞と地名を形容詞化する場合が多い。「ský/cký」のどちらを使うかは、すでに地名の形容詞化のところで書いたのでそちらhttps://fanblogs.jp/takzolomouce/archive/1185/0を参照。
D「(n)atý」をつける。
・voda → vodnatý 水の豊かな
・hora → hornatý 山がちの
・skála → skalnatý 岩だらけの
・lidé → lidnatý 人口の多い
・vlasy → vlasatý 髪の豊かな
・huba → hubatý 口数の多い
この形で作られた形容詞は、基になった名詞がたくさんあることを意味する。ただし、どんな名詞でも使えるというわけではない。
F「ovitý」をつける。
・kopec → kopcovitý 丘のような
・pes → psovitý 犬のような
・kočka → kočkovitý 猫のような
使われることはあまり多くないのだが、動物や植物などの呼び名や、どんな動物なのかを説明するときに使われることがあるので、覚えておくと役に立つ。例えば、日本からヨーロッパに輸出された帰化動物であるタヌキは、チェコ語で「mýval psovitý」、つまり「犬のようなアライグマ」というと思っていたのだが、チェコ語のウィキペディアによると、実は反対で「psík mývalovitý」、つまり「アライグマのような小さな犬」と名付けられているらしい。
以上で名詞から作られた形容詞のすべてのタイプを網羅しているとは言えないのだが、これぐらい知っていると、チェコ語を読むのも自分で使うのも楽になる。適当に形容詞化してみて、違うといわれたら別の方法を使ってみればいいわけだしさ。そこで日本語はほとんど「の」を使って名詞を形容詞的に使うだけなのになあなんて考えては、チェコ語の勉強はできないのである。
2020年11月20日23時30分。
2020年11月21日
十一月のサッカーチェコ代表(十一月十八日)
スポーツのプロリーグの開催条件が緩和され、サッカー、アイスホッケー以外にもいくつかのスポーツのリーグ戦が再開された。そのスポーツのリストの中にハンドボールも入っていたのだが、いつから試合が再開されて、テレビ放送が行われるのか確認するのを忘れていた。その結果、夕方、外の暗さから言うと夜といいたくなる6時半過ぎにテレビをつけて愕然とした。
カルビナーの監督を務めるブルーナがインタビューを受けていたのだ。内容からすぐに試合直後のものであることがわかり、またしても見逃したかと地団太踏んでしまった。しかも、この試合、カルビナーとドゥクラ・プラハという優勝争いすることが確実なチーム同士の対戦で、結果を確認したら29−26でカルビナーの勝利という接戦だったのである。試合経過もなかなか劇的で、前半いいところがなく最大で10点差附けられていたドゥクラが後半に息を吹き返し、一時は2点差にまで迫ったらしいのである。いやあ残念。
その代わりというわけではないのだが、夜9時前から行われた、サッカーのネイションズカップの今季最終戦スロバキアとの元連邦対決の試合はしっかり見た。9月に再開した代表の活動も三回目の最後のしあいであるこの試合で今年はお仕舞いとなるのだが、三回目にして初めて、全三試合まともな代表として機能した。問題がなかったわけではないけどさ。
9月はスロバキアでの試合に勝利した後、プラハの保健所の疫病担当者が代表の活動停止と下位三を命令したため、オロモウツでのスコットランドの試合は、没収試合扱いになるところだった。急遽編成された代理代表チームで試合に出場したものの、急造チームの不利は覆せず、1−2で負けてしまった。
こんな事態に追い込まれるのはチェコ代表ぐらいだろうと思っていたら、11月のネイションズカップの試合でノルウェーがさらにひどいことになっていた。日曜日のルーマニアでの試合が、感染者発生のために開催できず、没収試合で0−3の敗戦扱いになり、今日のオーストリアでの試合には、9月のチェコ同様代替代表で臨んだらしい。結果は引き分けだったかな。チェコよりはいい結果だったわけだ。
10月はキプロスで親善試合をしてイスラエルに向かう前に、検査の結果がはっきりせず、ぎりぎりの人数で試合に臨むことになった。念のためにプラハにもどって検査をしたら、監督のシルハビーまでもが陽性という判定が出て、スコットランドでの試合には監督抜きで向かうことになった。この試合にも0−1で負けた結果、チェコに2勝したスコットランドが勝ち点10で1位、スロバキアとイスラエルに勝ったチェコが勝ち点6で2位ということになった。
チェコは11月のイスラエル、スロバキアとのプルゼニュでの試合で2連勝したとしても、スコットランドが1勝でもしたら、逆転はできないという状況だったのだが、スコットランドがスロバキアとイスラエルでの試合で2連敗してくれたおかげで、イスラエルとスロバキアに勝ったチェコが逆転でグループ1位となり、ネイションズカップのBリーグからAリーグへの昇格を決めた。この結果よりも、試合がちゃんとした代表で監督のもとで行えたという事実のほうが重要な気もするけど。
もちろん今回の代表の試合も問題がなかったわけではない。最初に先週の水曜日にドイツでドイツと親善試合を行った際には、キーパーとしてパブレンカが出場して大活躍した。試合は0−1での敗戦だったが、パブレンカの活躍と審判のハンド見逃しがなかったらもっと大差で負けていてもおかしくない試合だった。そのパブレンカはドイツでの試合に出場した後、すぐにチームに戻ってイスラエルとの試合には参加しなかった。これはドイツではチェコから入国した場合に隔離が義務付けられているので、それを避けるためらしい。
ポーランドで活躍して久しぶりに代表に呼ばれたペクハルトは、検査の結果が陽性なのか陰性なのかはっきりせず、念のためにドイツでの試合には帯同しないことになったのだが、その後の検査でもはっきりした結果が出なかったため、結局メンバーに入ることなくポーランドに戻ることになった。他のチームでも陽性判定で出場できなくなった選手はちらほら出ているようなので、大会が開催され続けたこと事態が奇跡的だと言ってもいいのかもしれない。
無観客とはいえ、スポーツの試合が行われていることはありがたいことである。次こそハンドボールの試合を見るぞ。
2020年11月19日23時。
2020年11月20日
kyanid2〈私的チェコ語辞典〉(十一月十七日)
推理小説で青酸カリが登場する際につきものだったのが、アーモンド臭という奴である。初めて青酸カリの登場する小説を読んだときには、アーモンドなんてよく知らなかったこともあって、妙に感動したのを覚えているのだが、濫読しているうちに青酸カリ=アーモンド臭というのにまたかよという飽きみたいな感情を抱くようになった。だから誰かの小説で、別の言葉で青酸カリのにおいを説明しているのを読んだときにはうれしくなったのだが、誰のどの作品だったか思い出せない。
青酸は青酸でも、カリではなくて、青酸ガスというのもあった。明確に覚えているのは『マスター・キートン』で使われていたやつなのだけど、桃の香りと言っていたような気がする。固体である青酸カリと気体である青酸ガスでは臭いが違うのかなと思った。熟する前の果物の種には青酸が含まれているなんて話もあるから、アーモンドといい桃といい、青酸が多少は含まれているのかもしれない。
推理小説読者にとってもう一つ重要だったのは、青酸カリの入手方法である。この手の猛毒が、流石に簡単に手に入るわけはないのだけど、小説では意外なところで手に入るようなことが書かれていた。覚えているのは森雅裕の『椿姫を見ませんか』で、イタリアの果樹農園では殺虫剤がわりに青酸カリを使うと書かれていたのと、東野圭吾の『放課後』で写真の現像か何かで使うのでカメラ屋に置かれていると書かれていたことである。
実は、工業の現場ではいろいろな用途に使われていることを後に知るのだけど、それは青酸カリだけではなく、他の青酸化合物についても言えることだった。日本人はどうしても青酸と名のつく毒物というと青酸カリを思い浮かべてしまうわけだけれどもさ。
そんな青酸化合物が、カリかどうかは知らないけれども、チェコでもあちこちの工場で利用されていることを反映するような事件、事故が最近起こった。始まりは9月か10月のことだったと思うのだが、モラバ川の支流であるベチバ川で、魚が大量に死ぬという事件が起こった。死んだ魚が川を流れていたのだが、放置すると川の汚染につながるので、関係者だけでなくボランティアも導入して回収作業が行われていた。
同時に、原因の調査も行われ、「kyanid」が大量死の原因だということと、その「kyanid」がベチバ川上流のある排水口から川に流入したことが判明した。その排水口は、川からかなり離れたところにある工業団地にある工場の排出する水を集めてベチバ川に送っているという。もちろん、各工場では廃水の浄化を行ってから排出しているので、本来であれば有害物質は川に流れ込まないことになっている。
この時点では、青酸化合物を誤って川に流してしまった企業はすぐに判明するものと思っていたのだが、あれから一ヶ月以上、責任を負うべき企業、工場は特定されていない。一つには、青酸化合物を使用している企業、工場が一つだけではないからのようだ。そのうちどの工場から流出したのかを確認するのに、排水口につながる水路が長大なために苦労しているようだ。
もう一つ、考えられているのは、実はバビシュ首相のアグロフェルト社傘下の企業の工場から流出したものだけれども、政治的な理由で原因不明になっているのではないかということである。問題となっている排水口につながる工業団地にアグロフェルト傘下の企業の工場があるのは確かなようだが、その工場で青酸化合物を使用しているのかどうかは、現時点では情報が出ていない(と思う)。
チェコではこの手の化学物質の流出によって環境に被害が出たり、周囲に住む人々の生活に影響を与えたりする事故が、しばしば起こっている。原因となった企業を突き止める以上に、大事なのは再発を防止することなのだろうけど、緊急事態宣言下では対応が難しいのか、二度目の大量死事件が発生している。恐らく同じ工場からの流出だろうけれども、明確な証拠を突きつけられない限り、罪を認めたりはしないよなあ。チェコだからというよりは、それが企業というものである。
2020年11月17日24時。
2020年11月19日
kyanid1〈私的チェコ語辞典〉(十一月十六日)
以前、通訳のアルバイトをしていたときに、中学高校の理科の知識が非常に役に立った。仕事をしていた工場では化学薬品を使っており、使用する際にはあれこれ化学的手続きが必要だった。そのチェコ語のマニュアルを日本語に訳したのだが、それまでのチェコ語の勉強では見たことも聞いたこともないような言葉にあふれていたのである。
当然、軽く目を通したときにはお手上げだと思ったのだが、翻訳に取り掛かって「kyselina octová」という言葉に気づいた。「kyselina」は酸で、「octová」は「ocet(酢)」から出来た形容詞だから、酢酸だと思わず叫びそうになってしまった。その文章では、ここの言葉の意味ははっきりわからなかったが。他にもフェノールフタレインだったか、pH測定するのに理科の実験で使った物質も登場して、ああこれは中和滴定をやっているということが理解できた。
以後、「kyselina sírová」は、「síra」が硫黄のことだから、硫酸だとか、「kyselina citronová」は、「citron」はレモンだけどクエン酸かなとか、「kyselina mléčná」は、「mléko」が牛乳だから乳酸で、「kyselina listová」は、「list」は葉だから葉酸だろうとか、「kyselina mravenčí」は、「mravenec」から蟻酸だろうなとど、それぞれの酸がどんな酸なのかも知らないけど、言葉の上では推測がつけられるようになった。酸の名前の場合には形容詞が後に来るのにも慣れていった。
そもそも「kyselina」という言葉自体が、酸っぱいと言う意味の形容詞「kyselý」、もしくは酸素を意味する「kyslík」から作られた言葉だと考えたら、日本語と似ている。いや、この手の化学用語は、チェコ語でも日本語でも、外国から入ってきた概念を既存の言葉を使って無理やり翻訳したものだろうから、似ているのが当然なのだろう。だから、ある程度ルールを理解すると、応用がきくのである。
元素記号表も、完璧に覚えているわけではないけど、結構助けられた。初めてチェコ語で「fosfor」という言葉を聞いたときには、何のことやらさっぱりで、どんなものか言葉で説明されてもよくわからなかったのだが、元素記号でいうと「P」だと教えられて、リンを指す言葉だと理解した。元素記号がPになっていると言うことは、ラテン語では「ph」で始まっていて、それをチェコ語に転記する際に「f」を使ったということかなんて推測までしてしまう。もちろん、この場合は相手が元素記号を知っていたという幸運も大きいのだけどさ。
さて、ここからが本題である。中高の理科だけでなく、推理小説もチェコ語の理解に役に立つ。いや、一度だけ役に立った。昔まだチェコ語の勉強をしていたころ、製品に「kyanid」を入れてばら撒くと食品会社が脅迫された事件があった。今考えれば日本のグリコ・森永事件のようなものなのだが、最初に聞いたときには「kyanid」がわからなくてへえとしか思わなかった。
次の授業で師匠に質問したら、いろいろ説明してくれたのだけど、決め手になったのは確か殺人に使われることがあるという説明だった。推理小説の読者として殺人に使う物質と聞いて真っ先に思い浮かべるべきは青酸カリ以外には存在しない。青酸のことをシアン化合物なんて言い方もすることを考えると、日本語でカタカナで書かれる「シアン」が、チェコでは「kyanid」として受け入れられたのだと言えそうだ。推理小説で殺人に使われる毒物は他にもあるけれども、「kyanid」が青酸化合物であることは確実である。
確か、青酸カリに当たる言葉も、登場して。「kyanid draselní」となっていた。「draselní」は、「draslík」からできた言葉だというので、カリウムまで覚えられてしまった。ということは、チェコ語では、一般的に青酸化合物を「kyanid」と呼び、後に形容詞をつけて具体的な物質を示すということになるのか。青酸化合物はほとんど猛毒らしいから、「kyanid」だけで毒物だということがわかるのだろう。
長くなったので以下次号。
2020年11月17日13時。
2020年11月18日
代名詞〈いんちきチェコ語講座〉(十一月十五日)
またまた間が開いてしまったけれども、チェコ語の記事のまとめ。今回は代名詞について書いたものである。格変化が中心だけど一部具体的な使い方について書いたものもある。
@「人称代名詞の格変化一人称」
人称代名詞の一人称なんてややこしいことを書いているが、単数の「já(私)」と複数の「my(私たち)」の格変化である。「já」の格変化には、個々の形はともかく男性名詞活動体の格変化と共通性が感じられるとか、2格、3格、4格には短形と長形という二つの形があって、3格では使い分けを意識しなければならないことなどを説明した。同じ「ムニェ」でも「mě」と「mně」の二つの形があるし。複数の「my」のほうは、それほど厄介なことはない。覚えておいたほうがいいのは、2格、4格と6格が同じ形になることである。6格は3格と共通というのが多いのだけどね。
A「人称代名詞の格変化二人称」
こちらは単数の「ty」と複数の「vy」。単数のほうが、2格、3格、4格には短形と長形という二つの形があって厄介だというのは、一人称の場合と同じ。複数のほうは、単数と最初の文字が違うだけで後はまったく同じだから、覚えやすい。
B「人称代名詞の格変化三人称」
人称代名詞の中で一番厄介なのは。三人称の単数である。一人称、二人称が、男性女性の区別が不要なのに対して、三人称は、特に単数は、男性女性に加えて中性形まで覚えなければならない。幸いなのは、男性と中性の格変化は共通点が多いことである。また前置詞をつけると、変化形の前に「ň」をつけるのだが、語頭の「j」が消えるとか、ハーチェクの位置が移動するとか、慣れるまでは厄介なことが多い。複数は三性共通の形が多いので単数より楽というのは一人称、二人称と同じ。
C「指示代名詞tenの格変化」
代名詞というよりも連帯して気に使うことのほうが多い「ten」の格変化は、男性と中性では人称代名詞の三人称の格変化にほぼ準拠している。違いは男性形に活動体と不活動体の区別があることで、単数の4格、複数の1格で気をつけなければならない。女性は、単数では形容詞硬変化の女性形との共通点が多い。違いは1格と4格で長母音が短母音になるだけ。複数は人称代名詞の三人称同様、三性共通が多いので楽。
D「ややこしいToの話」
では、指示代名詞をどう使うのが正しいのか、というよりは、自分が何を意識して人称代名詞の三人称と指示代名詞を使い分けているかの説明。指示代名詞の三人称単数である「to」の使い方の説明の前提の部分である。
E「ややこしいToの話続」
「to」だけの特別な使い方で、主語と述語の性と数の一致を覚えた後に、よく考えると変に思えてくるものについて説明をした。何か納得いかないけれども仕方がないのである。
F「ややこしいToの話続続」
こちらはややこしいというよりも、使えると便利な「to」を使った表現の説明。中性の「to」を動詞や前置詞に合わせて、必要な格にして、その後ろに「, že」をつけて具体的な内容を示すという用法である。
G「再帰代名詞の格変化」
1格の存在しない特殊な代名詞、いわゆる再帰代名詞の格変化である。変化自体は、一部の例外を除いて二人称単数の人称代名詞「ty」と同じなので、覚えるべきことは少ない。最後にちょっとだけ使い方についても説明してある。
H「再帰代名詞の使い方3格短形」
具体的な再帰代名詞の使い方のうち、3格の短形「si」の使い方である。日本人にはわかりにくい3格の使い方の中でも、特にわかりにくいのが「si」なので、どのように使うかよりも、どのように理解して、いや折り合いをつけて使うか説明した。
I「再帰代名詞の使い方4格短形」
続いて4格の短形「se」の使い方。これも使えるようになるための解釈の仕方が中心になってしまった。「se」を使った受身形、いわゆる再起受身については、ここでは説明していない。
J「もう一つの受身」
いわゆる再起受身の説明である。他動詞を「se」と共に使って、受身の意味を表すものについて、よくわからない部分も含めて、説明した。
K「再帰代名詞の使い方最終回」
3格と4格の短形以外の使い方。特に前置詞と共に使う場合を、用例を挙げて説明した。個人的には末尾の「セボウする」の部分が一番大切なのだけど、なかなか普及してくれない。
L「所有代名詞1」
代名詞の所有を表す形である。これは後に来る名詞の性と数、それに文中で使われる格にあわせてて形を変えなければならないという点で、形容詞と似ているが、格変化自体も活用語尾は形容詞と共通のものが多いので覚えやすい。ここでは、所有形容詞のうち、格変化の共通な「můj(私の)」「tvůj(お前の)」「svůj(自分の)」を取り上げた。
M「所有代名詞2」
まずは、変化の共通な「náš(私たちの)」「váš(君たちの)」。この二つも男性と中性がほぼ同じで、形容詞硬変化と共通の語尾をとる核が多い。女性の単数は、三人称の女性を指す人称代名詞の「ona」と似た格変化をする。複数は三性共通の形が多く形容詞の軟変化の複数変化に似ている。最後に三人称の所有形容詞だが、格変化があるのは「její(彼女の)」だけで、形容詞の軟変化と全く同じ。残りの男性、中性共通の「jeho」、複数の「jejich」は例外的に格変化しない言葉である。
N「チェコ語の疑問詞1」
最後に、疑問詞のうち、代名詞的に格変化をする「co(何)」、「kdo(誰)」を取り上げた回もここに加えておく。この二つの言葉の格変化は、チェコ語でチェコ語を勉強する際には重要なので早めに覚えておくことを勧める。
以上が、代名詞について書き散らしてきたものの一覧になる。もちろん代名詞を使う際には、語順も重要な役割を果たすが、語順についてはまた別にまとめることにする。
2020年11月15日22時30分。
2020年11月17日
犬システム(十一月十四日)
犬はチェコ語で「ペス(pes)」という。それが昨日ブラトニー厚生大臣が発表した、流行状況に基づいて各地方の危険度を数値化して、規制の強化と緩和を定めるためのシステムの名前である。正式名称は「Pětistupňový epidemický systém」だったかな、「Protiepidemický systém」かもしれない。危険度の指数を元に5つの段階に分けて、段階ごとにどのような規制を行うかを定めたものである。
感染状況が改善しつつある現在、今後はこの表を元に、数値が改善し、危険度の段階が下がることに規制が緩和されていくことになる。野党が政府の対応を批判していた一番の理由は、規制の導入も緩和も場当たり的で、基準となる数値がないことだった。夏場に導入された緑、オレンジ、赤に色分けする信号システムも、当初は歓迎されたが、色が変わる規準が全く公表されなかったのと、色ごとの状況の説明はあっても、どんな規制を行うかは決められておらず、規制の決定に関してバビシュ首相の介入を招く原因になっていた。
ボイテフ氏に代わって就任したプリムラ氏も同様に、規制のあり方に基準がないとか、今後の規制緩和のロードマップみたいなものがないと野党側から批判を受けて、あるけど公表はしないと強弁していたけれども、あの頃準備を始めていたものが、ようやく完成して出てきたといってもいいのかもしれない。
とまれ、犬システムでは、最近14日間の人口10万人あたりの新規感染者数、病院の空き病床数(割合かも)などいくつかの規準となる数値を元に指数化し、危険度を0から100で示し、20ごとに5段階に分けられる。その段階ごとに、マスクの着用や外出の制限など27の分野における規制が定められている。
そして、例えば最高の第5段階から、第4段階に規制のレベルを下げるのは、一日だけ危険度指数が第4段階になるだけでは駄目で、その状態が一週間続いて初めて、レベルを下げるのだという、これは、数値が下がってすぐに規制を緩和したら、またすぐに数値が悪化することが予想されるからだという。日々の数値に一喜一憂することなく長期的な傾向を確認した上で、規制を緩和するというのは賢明なことであろう。特に経済界からの圧力に弱いところのある今の内閣を考えると、危険度下がったらすぐに規制緩和と言い出しそうだし。
それで、昨日の時点のチェコ全体の危険指数は、70で第4段階だが、来週の金曜日の時点で、第4段階の数値が一週間続いていた場合に、再来週の月曜日から第一弾の規制緩和が行われるという計画のようだ。金曜日に規制の変更を決めて、月曜日から適用するというのも、週末を準備の時間として使えるから、悪くない。
後は、本当にこのシステムに基づいて規制の緩和と強化を実施できるかどうかだけである。本来であれば、第一波の抑えこみに成功した夏の間に準備しておくべきことだったのだろうが、あのころ、チェコの武漢風邪の流行がここまでひどいことになると予想していた人はいなかっただろうし、政府も野党も含めて、チェコ全体が、春の流行の際にヨーロッパでは最も成功した国になったという事実に酔っていて油断していたというのは否定できまい。
今回も、予想以上に感染者の数が減り始めたら、このシステムを無視して規制緩和を主張する人が出るんだろうなあ。あの大臣とかさ。バビシュ首相は夏の失敗で懲りていそうだから、自分ではなくほかの大臣に主張させそうである。ゼマン大統領も何を言い出すかわからないか。
さて、この犬は、政府を守る権力の犬になるのか、民衆を守る番犬になるのか。厚生省としては後者の意味でつけたのだろうけど。
2020年11月14日23時。