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2021年02月28日

スラビア強い(二月廿五日)



 午後九時からイングランドで行われたヨーロッパリーグの試合で、スラビアプラハが2−0でホームのレスターを破り、エデンでの結果、引き分けと合わせて勝ち抜けを決めた。スラビアにとってはこれが初めてのイングランドのチームに対する勝利だという。レスターとの対戦が決まったとき、もしきはエデンでの試合が引き分けで終わったときに、スラビアの勝ち抜けを願った人、期待した人、信じていた人はいただろうが、客観的に予想していた人はいたのだろうか。
 最近のスラビアのヨーロッパの舞台での活躍を考えれば、手も足も出ない惨敗はしないだろうと思っていたし、うまく行けば二戦とも引き分けで、PK戦までもつれ込んだり、いわゆるアウェーゴールの差で勝ち抜けが決まったりする可能性はあかもしれないとは思っていたけれども、きっちり勝って、しかもどこから見ても完勝で勝ち抜けを決めるとは、思ってもいなかった。チェコのチームが、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場するようなイングランドのチームに勝つのが想像もできなくなって久しい。

 各国のリーグ間の経済格差が大きくなり、それがそのままではないにしても、チームの実力差に反映しているから、番狂わせが起こりにくくなっているのだ。その番狂わせをしばしば起すのが、チェコのチームであるのは嬉しいことだが、今シーズンはどのリーグのチームも感染症対策や、感染者の問題などでチームの編成に苦労しており、例年と比べると格下のチームが勝ち進むことが多いような気もする。
 それにしても、とちょっと考えることがある。この二試合あわせて180分の展開のうち、どこまでがスラビアのトルピショフスキー監督の想定通りだったのだろうか。二試合を通して、レスターの攻撃をほぼ完璧に抑えきり、二試合目の後半開始早々に一気に攻勢に出て得点を挙げた後は、まったく危なげなく、追加点まで挙げて勝ったのである。ブリュックネル並みの戦術家ともいわれるトルピショフスキーのレスター対策が完全にはまったというところだろうか。

 プラハでの初戦は、0−0で終わったのだが、スラビアのほうにチャンスが多くて驚いた。イングランドのメディアでは、スラビアがレスターのパスが通りにくいように、スタジアムの芝の状態を悪化させたのではないかという憶測が書かれたらしい。チェコのリーグなんて見ていないのだろうなあ。エデンの芝の状態は、チェコの中では最高のものの一つなのだけど。比較的温暖なイングランドとは違うのである。
 この前、スラビアが試合をしたテプリツェのスタジアムは、雨なのか解けた雪なのか、たまった水で泥沼のようになった中に砂が放り込まれて、何とか試合が行われていた。雪の多い山間部のヤブロネツでは雪と凍結に痛めつけられた芝に、試合が進むにつれてぼこぼこ穴が増えていって、最後のほうには爆撃を受けた土地を上空から見ているような惨状をさらしていた。
 もちろん、レスターのスタジアムの芝と比べたら雲泥の差なのだろう。二試合目の開始直後にスラビアが攻めこまれて防戦一方になっていたことについて、試合後のインタビューでクーデラが、芝の状態に慣れるのに時間がかかったというようなことも言っていた。同時に、レスターは開始直後に得点を挙げてあとはカウンター狙いという作戦だったのかもしれないとも語っていた。この時間帯を抑えきったことがスラビアの勝利につながったのである。

 二年前にヨーロッパリーグを勝ち進んだときの中心選手のうち、ソウチェクとツォウファルはイングランドのウェストハムで中心選手として活躍している。特にソウチェクなど中盤に君臨していると言っていいぐらいである。そう考えると、チェコリーグ全体はともかく、スラビアは、かつてのスパルタのように、ヨーロッパのトップチームともそれなりに対抗できるところまでレベルを上げてきたと言ってもよさそうだ。今のスラビアならチャンピオンズリーグに出場していたとしても、簡単に敗退はしなかったことだろう。
 スラビアはチェコリーグでは無敗で首位を独走中で優勝はほぼ確実だといっていい。来シーズンは、今シーズンのように予選で失敗することなくチャンピオンズリーグの本戦まで進出してほしいものである。シマとかジマとか、若手の成長著しい選手たちを外国に売らずに済めば、久しぶりにチェコのチームがグループステージを勝ちぬけるのが見られるのではないかと期待しなたくなる。
2021年2月26日24時30分




試合後のインタビューでトルピショフスキーは次の対戦相手は、レンジャーズがいいと語っていたのだが、金曜日の抽選で本当にレンジャーズと対戦することになった。スコットランドには代表チームが二戦続けて負けたけど、ヨーロッパリーグではスパルタがセルティックを二戦とも粉砕している。今のスラビアなら負けないと思うんだけどどうだろう。それにしてもトルピショフスキー、ちょっと神がかってきたなあ。








2021年02月27日

だからチェコは(二月廿四日)



 サッカーのスパルタ・プラハの関係者が、SNS上で、現在のチェコの感染状況が世界最悪な理由は、チェコ人のものの考え方、メンタリティーにあると発言したというニュースを読んだ。どうも、チーム全体が隔離状態に入ったことを、何らかの目的で意図的に行ったものじゃないかと疑い、批判する人がいたのにたいする反応だったようだ。
 話は、日曜日のズリーンで行われた試合にまでさかのぼる。試合自体はブルバを監督に迎えて状態が上向いているスパルタが3−0で勝利したのだが、驚かされたのは、スパルタが失点しなかったことではなく、ここ二試合で5得点と大活躍していたスウェーデンのカールソンが出場していなかったことだった。ニュースによれば、定例の試合前の感染検査で、陽性の判定が出たための欠場だったという。

 そして、火曜日に再び行われたチーム全体の定期検査で、今度は選手だけではなくスタッフの中からも陽性が複数出たため、プラハの保健所の指示でチームは活動停止となり選手たちは個々に隔離されることになった。その結果、水曜日に予定されていたMOLカップのオストラバとの試合、今週末のプシーブラムとの試合、来週末のヤブロネツでの試合が延期されることが決まった。
 ニュースではスパルタの関係者が、単に複数の感染者が出ただけではなく、去年の秋に感染した選手が再度感染するという事態が起こっていることと、陽性にはならなくても感染を疑わせるような症状が出ている選手が多数いることが、プラハの保健所が活動停止という決定をした理由だと語っていた。ただし、この活動停止になる基準が常に同じではないように見えるのも、あれこれ疑いを持つ人が出てくる理由の一つになっている。去年の秋には十人以上の感染者が出ても活動停止にならなかったチームもあるのである。

 それはともかく、ブルバを迎えてチームがいいほうに回り始めたスパルタにとって、活動停止で試合どころか練習もできなくなるのは大きな痛手であるのは間違いない。日程について考えても、延期になった試合は平日の火曜か水曜に入れられることを考えると、延期するメリットはない。延期された試合ではグラウンドの芝が改善されている可能性はあるけれども、チェコの気候を考えると確実ではないし、チームを活動停止にしてまで求めるようなメリットではない。
 そんなデメリットしかないはずの事態が発生したというのに、裏を読んで、実は何かメリットがあって意図的にやっているに違いないと疑ってしまうのがチェコ人で、そんなメンタリティだから、感染状況が悪化を続けて世界最悪な状態になったんだと言うのだろう。スパルタは言われのない批判に相等お冠だと見える。まあ政府と野党がお互いの要求の裏を読み過ぎて話し合いにすらならず、政府の規制が出ても裏を読んで、誰かがこの規制で儲けているに違いないと考える人たちが、規制を守らなくなっていると考えればスパルタの批判もあながち外れてはいないと思える。

 実際、チェコの政界なんて、裏取引がいくらでも行われているのは、公然の秘密だし、現状を見るとチェコ政府、もしくは大統領と中国の間に裏取引があって、マスクや検査キットは中国から輸入することに決まっているようにしか見えない。ボイテフ氏がフィンランドに大使として向かったのも、チェコでは「トラフィカ(本来の意味は駅などの売店。キオスクのようなものを意味する)」と呼ばれる政治的な裏取引の結果である。
 このトラフィカには、海賊党、オカムラ党を除くすべての政党が手を染めていた、いや現在でも手を染めているから、ANOばかりを批判してもしょうがないし、ANOが既存の正当化しつつあると批判するのである。国会議員や、議員経験者が優先的に、そして特権的に国営企業などの要職について高給を食み、政治家たちがそれを当然のことだとみなしている様には、正直反吐が出る。もちろん直接当然だとは言わないが言動から当然だと考えているのが明らかで、日本の官僚政治家の天下りと比べてどちらがましか考え込んでしまう。

 大学の教授なんかにも妙な特権意識を持っている人がいることを考えると、ヨーロッパに特有の知識人階級のもつ特権意識に、共産党支配下で作り出された党員政治家の特権意識の在り方が混ざってできあがったのが、現在のチェコの政治家などが持つ歪んだ特権意識で、それがチェコの社会を分断し、現在の感染症対策を難しくしていると考えてもよさそうだ。
2021年2月25日24時30分










2021年02月26日

カオスは止まらない2(二月廿三日)



 文部省では、三月からの卒業と入試を控えている学年の通学を再開させようとあれこれ交渉しているようだが、前提条件として、アンチゲン検査で定期的に生徒たちの陰性を確認することが予定されている。当然授業の前に検査が行われている場所まで出向いて検査を受けてから学校に行くなんてことはできないから、簡易検査キットを使って生徒たちが自分で検査をすることになる。これはすでにオーストリアでも使われている方法らしい。
 その検査キットに関しては政府が一括で購入して、無料で書く学校に配布することになっているのだが、その納入業者が先週の後半に選定された。その選ばれた会社が、医療機器とは全く関係のない会社で、選ばれるための条件を満たしていないのに選ばれたとして、週末の間、バビシュ首相が選定のやり直しをすると大騒ぎをしていた。

 現在は非常事態宣言下にあるおかげで、所定の手続きを踏んで入札を行って業者を決める必要がなくなっている。だから、いくつかの会社に価格や納入期間、納入可能量などの見積もりを出させて、その中から最も都合のいい会社を選定することができる。問題は、誰にとって都合がいいかというところにあって、当然国にとってではないわけである。担当のハマーチェク内務大臣は、バビシュ首相の批判に対して、この会社だけが設定した条件を満たしていたと弁護しているけれども、先手伊尹の中からも異論があがっているようだった。
 個人的には、この時点で納入業者の選定が行われたことが理解できなかった。というのは、先週半ばのニュースで、いくつかある簡易検査キットの中で、もっとも信頼性の高いものを選ぶための実験がカルビナーの学校で始まったと言っていたからだ。中国製の簡易検査キットは、去年の春も使われて全く使い物にならないと現場の評判は最悪だったから、事前に信頼性を確認しておくのは全く持って正しい。

 その実験の結果が出たという話が聞こえてくる前に、納入業者の選定が始まっていたというのはどういうことなのだろう。使用する検査キットが変われば、業者も変わるはずである。これはもう、最初からどの会社のものを使うか話が決まっていて、実験は形式を整えるためのものに過ぎなかったのではないかと疑ってしまう。しかも、納入業者の選定に関しても疑いがあることを合わせると、最初から台本のできていた茶番にしか見えない。
 茶番は月曜日になっても続き、バビシュ首相があれだけ批判していたのに、選定のやり直しはしないことが決まってしまった。その理由については、少なくともこちらが理解できるレベルでの説明はなされていない。そもそも、チェコ企業に生産させるのではなく、どうして中国から輸入する必要があるのだろうか。去年の春もチェコ企業が機能性の高いマスクや、防護シールドを開発して生産を始めていたのに、政府は中国からの輸入にこだわっていた。こういうのは泥棒に追い銭といって批判の対象になるはずなのだけど。

 それから、今度は憲法裁判所ではなく、普通の裁判所で現在の非常事態宣言を違憲とする判決が出た。プラハのあるギムナジウムの学生が、授業がオンラインになってしまったことを憲法で保障された学ぶ権利を侵害するものだとして起こした裁判で、プラハの地方裁判所がギムナジウムに対してオンライン授業をやめて学校での授業を再開するよう命令を出したのである。その最下位命令の根拠となったのが、現在の非常事態宣言が憲法に違反したもだという解釈で、今後この司法の判断を受けて行政側がどう対応するのかが見ものである。
 残念ながら件のギムナジウムは、春期休暇中で即時の授業再開とはならなかったが、来週の月曜日から再開する準備を始めたようだ。ただし、学校側が命令に対して異議を申し立てたという話もあるし、政府が再開を阻止するために動くという話もあるので、実際にどうなるかはわからないのだけど。一方で、感染状況の悪化で、せっかく再開した小学校の低学年の学校での授業を再び禁止しようとする動きもあるのだが、文部省では最後まで抵抗しようとしている。さすがコメンスキーを生んだ国であるというと誉めすぎか。

 今日は、記者会見で厚生省の感染対策を担当する役人が、現在の状況は誰の責任でもなく、自然災害とでも言うべきものだと発言して、批判をあびていた。いやあ、ウイルスが世界に広がった責任は中国にあり、チェコの状況が壊滅的な原因は政府を初めとした政治家にあると考えるのが自然だと思うのだが、官僚としてはそんなことは口にできなかったのだろう。日常生活が戻ってくるのはまだまだ先のことになりそうだ。累計の感染者数が120万人に、死者数が2万人に迫るなど、割合で言えば世界最悪の状況にあるチェコだけど、政治があれな割には、頑張っている方じゃないかと個人的には思う。
2021年2月24日24時30分。













2021年02月25日

カオスは止まらない1(二月廿二日)



 先週の半ばぐらいだっただろうか。厚生省が布製の普通のマスクでは感染対策に不十分だとして、他人との人間距離が2メートル以上取れない場所では、医療用のFFP2レベルのマスク、もしくはナノ繊維で織られたマスクの着用を義務付けることを検討していると言い出した。現在の感染状況を考えると、ウイルスを遮断する割合の高いマスクが必要だという判断のようだが、問題はマスクの質ではなく、着用しない人が増えていることにあると思うのだが、厚生省の役人達は気づいていない振りをすることにしたようだ。
 厚生大臣自身が認めているように、定められた規制を守らない人が増えていることが、感染者の数が減らない原因になっている。守られない規制など、まじめに守っている人の生活を苦しくするだけで、状況改善の役に立つとも思えない。なすべきは規制の強化ではなく、確実に守らせる方法を導入することである。実際、今回のマスクの条件の強化にも、布製のマスクにナノ繊維のマスクについているマークを刺繍してごまかそうなんて考えている人も多いようだし、マスクをしない人は布でもFFP2でもしないことには変わりはない。

 もちろんまじめに規制を守ろうとする人たちは、去年の春と同様にマスクの確保に走り、先週の金曜日の時点で、FFP2のマスクは品切れというところが多かった。幸いなのはチェコ国内の企業がマスクの生産に力を入れていて、国内の需要はほぼ賄えそうなことである。ただ、政府はそれでも、不良品の割合の高い中国からの輸入にこだわりそうなのが問題で、確かイタリアかどこかで不良品のマスクの多さがニュースになっていたと思うが、自家製の布のマスクのほうがましということにもなりかねない。
 結局、このFFP2のマスクの義務付けは、政府の話し合いの結果、当初噂された月曜でも火曜日でもなく、木曜日からということになったのだが、新たな問題が発覚した。義務化される場所を考えると1年生、2年生が通学している小学校もその対象で、子供たちもFFP2のマスクが必要になるわけだが、本来医療従事者用のFFP2のマスクには子供サイズが存在しないのである。それをどうするかでもめたのも、木曜日からになった理由の一つだろう。

 ハブリーチェク産業大臣が、口にしていた今日月曜日からの小売店の営業再開については、感染状況が全く改善しないことから、行われないことになったのだが、憲法裁判所が政府が1月に出した営業禁止命令を違憲だとする判断を下した。残念ながら裁判所がひよったせいで、これがそのまま命令の解除を意味するわけではないが、余りにも意味不明な、営業できる業種、禁止される業種の分類と、その理由付けが不十分だったことから違憲という判断に至り、今後に向けて改善を求めるということらしい。
 靴屋や本屋は営業禁止なのに、銃砲店や花屋は営業可能というのは、生活必需品を扱う店に限り営業を許可するという本来の方針からは大きく逸脱していたし、スーパー内の靴売り場、服入場なども閉鎖させ、後には子供向けだけなら販売していいと規制を緩和したのも理解不能だったから、この判断には納得できるのだが、政府の政策を変えるところまで行くかどうかはわからない。業界団体からは、違憲の営業禁止命令に従わされた期間は、例年の利益と同じだけの補償を求めるなんて声も上がっている。

 現在の、入店人数の制限という規制が解除されたかのように人がたくさん入っているスーパーマーケットの現状を見ると、小売店の営業禁止を解除した上で、入店人数の制限を厳しく守らせた方が、感染症対策としてましなんじゃないかと思えてくる。おっちゃんの店のような小さな店なら、入店人数を管理するのも簡単だし、買い物客が分散するから、特定の店の混雑も多少は緩和されると思うし、不満のガス抜きにもなるから規制を守る人が増えそうな気もする。
 営業禁止でリフトなどが止まっているスキー場でも、多くの人が集まって、自力で斜面を登ったり、スノーモービルから伸びた紐に数珠つなぎに捉まって引っ張りあげてもらったりして、スキーを楽しんでいたが、混雑ぶりを見ると、人数制限付きで営業させていた方が、いい結果が出たんじゃないかとも思える。サッカーの試合なんかでも、スタジアムの外の中が見えるところにたくさんの人が集まって観戦していることがあるけど、これも中に入れて大きく間隔をあけて座らせた方がましで、マスク着用などの義務も守られるような気がする。

 現在のバビシュ政権は、感染症対策に関して完全に国民の信頼を失っているので、新たな規制を導入したり、規制を強化したりしても、ほとんど意味がないだろう。状況が改善しない理由をお前らが規制を守らないからだと国民のせいにするような政府には、未来はなさそうだ。だからといって野党が政権を取ったところで、状況が劇的に改善するとは思えないのが、チェコの現状である。期待できそうなのは海賊党だけど、市長連合との協力がそこまでうまくいくとも思えないし、市民民主党あたりと連立を組んだら、それはそれでえらいことになりそうである。今の野党の協力関係は野党だからこそうまくいっている部分が多いのである。
2021年2月23日22時。











2021年02月24日

愚者どもの宴(二月十八日)



 二月十八日は、本来であればチェコのサッカー界において、今シーズン最高の一日になるはずだった。ヨーロッパリーグでスラビアがイングランドのレスターと、ホームのエデンのスタジアムで対戦することになっていたのである。それが、チームのボスのトブルディークが主導した愚行によって、試合の内容とは関係なく後味の悪いものになってしまった。
 スラビアとイングランドのチームの対戦というと、二年前のヨーロッパリーグの準々決勝におけるチェルシーとの対戦が思い起こされる。あのときは、ホームのエデンで善戦したものの点が取れずに0−1で負けた後、イングランドでも3−4で負けて敗退したのだった。二試合とも勝てなかったとはいえ、見られてよかったと思えるいい試合だった。今年もイングランドリーグで上位につけるレスター相手に同じような大健闘が期待されていたのである。無観客での試合になるはずだから、あのときほどの盛り上がりにはならないだろうけど。

 しかし、このレスターとの試合、プラハでの開催が危ぶまれていた。現在チェコではイギリスからの入国を禁止しており、試合が開催されるためには厚生省から規制の例外として許可を得る必要があったのである。実際、オーストリアでは例外が認められず、この日オーストリアのチームのイングランドのチームとの試合が、ハンガリーで行われている。チェコでは幸いにして例外が認められ試合は行われたが、この例外許可がまた試合後に物議をかもすことになる。
 テレビをつけて会場からの中継が始まってすぐに、無観客試合とは思えない量の歓声が聞こえてくることに驚いた。ボサーク師匠の話では、チームのスポンサーに対して特例で入場が認められたとかいうことだったのだが、実際はそんなまともなものではなかった。いわゆるVIP席で試合を見て大騒ぎしていたのは、スポンサー関係もいたのだろうけど、トブルディークによって選別され招待されたチェコの政財界の有力者が中心だったのだ。

 政界からは、ゼマン大統領の穢れた右腕ことミナーシュ氏とその夫人、それに市民民主党のEU議会議員のボンドラ氏。チェコテレビの社長がいたのは自局が中継する試合を確認という名目があるのかもしれないが、厚生省の役人でこの試合に例外的に開催許可を与えたとされる人物がいたのはどうなのだろう。本人は自分が開催許可を与えることを決めた試合の運営状況を確認するのは職務の一つであるとか言っていたけど。
 それよりも何よりも最悪で、言い訳のしようもないのは、自ら決めた規制を自ら破ったことが発覚して辞任を余儀なくされたプリムラ元厚生大臣が観戦していたことである。特に、当日の昼間にチェコテレビで現状では国全体を完全にロックダウンするしかないと発言していたのに、自分自身はサッカー観戦に出かけていたことが、強く批判されている。バビシュ首相もこのニュースを受けて、プリムラ氏をスタッフから解任すると発表している。ただし、それが本当かどうかは確認できない。

 試合後流れてきたニュースによれば、スラビアは試合の開催と同時に、観客を入れるための実験プロジェクトとして、観客を600人まで入れる許可を得ていたらしい。ただし、その事実が公表されたのは当日の日中で、試合前のPCR検査で陰性が確認された人だけが入場できることをトブルディークがSNSで発表したものの、その時間から希望者を募集できるわけもなく、選ばれた有力者だけに声をかけたということなのだろう。その呼びかけに応じた人が当日に話を聞いて検査と観戦に出向いたとも思えないから、事前に例外として観客が入れられることがわかっていて招待客には連絡していたのに、時間がなかったことを言い訳にするために、当日になって発表したとしか思えない。
 トブルディークとボンドラEU議員は、政財界の有力者ではなく、現場で働く医師や看護師たちを招待するべきだったとか言って謝罪したけれども、現場の厳しさを知っている人たちが、こんなイベントに嬉々として参加するとも思えない。それなら入場権をオークションにでもかけて収益を病院に寄付したほうがはるかにましだったというものである。

 試合のほうは、特に前半はいい試合で、スラビアが頑張って0−0の引き分けに終わった。スラビアにとっては久しぶりのイングランドのチームからの勝ち点獲得ということで、イングランドでの二試合目に期待が持てそうだといいたいのだけど、そんなのを全てぶち壊しにしたのが、いないはずの観客を巡るスキャンダルだった。本来は、国内のリーグ戦でも少しずつ当日の検査で陰性を確認した少数の観客だけを入れるという計画があったようだが、それもすぐには実行には移されないだろう。
 こんな事件が起こると、これまでの三人の厚生大臣の中で、一番ましだったのは実は最初のボイレフ氏だったのではないかという疑問も出てくる。今の大臣一人で空回りしているし、プリムラ氏は自分の決めた規制を守らないし……。そのボイテフ氏は、フィンランドの大使に就任することが決まったらしい。議員辞職したのかね。大臣在任中のあれこれについて沈黙を守るかわりに与えられた報酬ということか。ANOも既存の政党と変わらなくなってきたなあ。
2021年2月23日12時30分。












2021年02月23日

言い訳(自二月十九日至廿一日)



 この週末、新たな投稿をしなかったのは、半ば意図的ではあるが、同時に偶然の産物でもある。意図的というのは、年初に今年は「何がなんでも毎日投稿するのはやめよう」と考えたことによるもので、偶然というのは、それがたまたまこの時期、二月の中旬に発生したということである。これまでは、名目上の日付と実際に投稿する日の差が二日あることを利用して、何も書けない日が一日あっても何とかごまかしてきたのだが、ついに自転車操業が破綻した。
 発端は、金曜日の夕方から頭痛めいたものを感じ始めたことにある。今振り返って考えればその原因は、午後二杯目のコーヒーを飲み損ねたことにあるのだが、夕方、夕食後の時点でパラレン(チェコで最も一般的な頭痛薬)を飲んでおけば問題なかったはずなのだが、頭痛程度で薬を飲むという発想になかなか至らないのである。頭痛ぐらい寝れば治るというのが九州の田舎ものの考え方である。バファリンなんか存在は知っていても飲んだことなかったもんなあ。

 その後だんだん頭痛がひどくなっていく中、すでに書き上げていた水曜日付けの記事は投稿したものの、木曜日付けのものは書き上げないままに寝てしまった。その前に、体を温めればよくなるかもと考えて、シャワーをあびたのもよくなかったかもしれない。体調が悪いときには風呂には入らないというのも我が田舎時代以来のやり方である。チェコに来てからは、体が冷えすぎての体調不良がシャワーで改善されることがあるので、絶対に守っているわけではないけど。
 横になってからも頭痛は消えず、やがて嘔吐に至った。これも、日本にいたときにはあまりなかったパターンで、吐き気がしても我慢して寝ていれば何とかなったものだが、最近は頭痛から吐き気を感じるようになった場合には、吐いてしまうことにしている。何だかんだでそのほうが、早く楽になるのである。この夜も、何度か嘔吐した後、頭痛の中で眠りにつけた。吐き気の中で眠るのとどちらがマシかは微妙だけど、こちらのほうがはやく眠れるような気がする。

 翌土曜日の朝も、完全には頭痛は消えず、コーヒーを飲むのをやめてパラレンを飲んだ。クリスマス前後の休暇の期間だったら長引くのを覚悟で薬無しで済ませたのだろうが、月曜日までには体調を戻さなければならないのである。その甲斐あって頭痛は消え、ちょっと眠くて何もしたくなくなるという問題はあったけど、セットトップボックスで録画した演劇の動画ファイルのMP4への変換をさせている間は、PCが使えないという言い訳で、午前中は寝て過ごした。
 午後からは、頭痛も消えて、無理をすれば文章はかけなくもない状態まで快復したのだが、完全に本調子に戻ったというわけではなく、無理はしないことを選んだ。去年までの毎日書くことを強迫観念的に自分に課していた時期だったら、頑張って何かかにか書いたのだろうけど、今年はそこにこだわらないことにしたわけだし。

 日曜日には、土曜日の多少の不調もほぼ消え、無理はしなくても文章はかけそうだったのだが、頭の回転はまだ快復しておらず、それにどうせ休むなら週末二日とも休んでしまったほうがましだという考えも浮かんだので、お休みすることにした。そして、この言い訳の文章を月曜日になって書いているわけである。今もまだ、すらすら文章が出てくるなんてことはないのだけど、何とかここまで書けた。
 もう、どうやって終わらせていいかわからなくなったから、これにてお仕舞い。明日は、先週の木曜日付けの、あの比較つもりだった文章を仕上げて投稿する予定。いや予定では今日書き上げるはずだったのだけど、力尽きそうである。
2021年2月22日23時。











2021年02月20日

またまたお買い物(二月十七日)

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 電気髭剃りを買い替えようと最初に思ったのはいつのことだっただろうか。十年以上前に購入した電気髭剃りは、すでに網状の外刃に欠けができて、髭をそるたびに皮膚を傷つけて血が出るようになって久しかったのだが、T字型のカミソリで剃っていたころもよくあることだったから、これまで先送りしてしまったのである。
 この前、DATARTのネット上で注文と支払いを済ませて、お店で受け取るだけというシステムを試したときに、店内であれこれ悩む必要がない快適さに気づいて、ついでに髭剃りも買ってしまえと決意したのだった。銀行のインターネットバンキングで、髭剃りなどの自分の体に使う電気製品に使える割引クーポンがもらえていたのも、その決断を後押しした。

 買い物は下手なので、靴なんかを買う際でも、ネット上で目星をつけて買いに行っても、いざ店の中で現物を見ると、買うべきか悩み始めて結局買わずに済ませてしまうということが多い。悩んだ挙句に違うものを買ってしまうこともある。でも、今のDATARTのシステムなら、ネット上で悩むだけ悩んで買うものを決めてしまえば、もう店内で悩む余地はない。営業が完全に再開されてからもこのシステム続けてくれないかなあ。

 前回、チェコに来て初めて電気髭剃りを買ったときも、パナソニックの往復式と呼ばれるのと、フィリップスの回転式とで悩んで、お店の人の話をいろいろ聞いた挙句に日本のブランドということでパナソニックを選んだのだが、今回も同じように悩んだ。電気髭剃りを買うのに悩まなかったのは、日本で最初に買ったブラウンのやつぐらいである。あのときは旅行に持って行くことが目的だったので携帯性の良さだけで選んだのだった。
 もともと、そんなに念入りに髭を剃るタイプでもないので、そこそこ剃れればいいから、こだわることなく適当に「これにする」、で決めてしまえばいいのだろうけど、貧乏性なもので1000コルナを越えるような買い物には慎重になってしまう。おまけに、パナソニックとフィリップスの、このぐらいでいいかなと目を付けた商品の値段が全く同じだった。パナソニックは値下げ前の値段で、フィリップスの方は値下げされた後の値段でどちらも1500コルナ。そして、パナソニックはシャントフカの店に在庫があってすぐに手に入るけれども、フィリップスは在庫がなく翌日午後以降の受け取りになると表示されていた。

 今まで回転式の髭剃りは使ったことがないのでフィリップスを使ってみたいという気もなくはなかった。日本のネット上での解説では、肌が弱い人向けには回転式がいいなんてことが書いてあるのに、チェコでは逆に回転式は肌に優しくないから肌が弱い人は使わないほうがいいなんて言われているのである。どちらが正しいのか試してみたくもなるじゃないか。
 どちらにも選びたくなる理由がある中、そろそろ決めようかと、寝ぼけた頭でDATARTのページを見たら、パナソニックの値段が下がっていた。これはもうこれを買えということだなということで、条件反射的に注文して支払いまで済ませていた。それが9時ごろのことで、15分ぐらいには、準備ができたから取りに来いというSMSが届いた。

 シャントフカは、二週間前と比べて、営業していない店の数は変わらない感じだったが、織田シャッターの内側に電気がついている店は増えているような気がした。受け取り窓口というだけではなく、非常事態宣言が終了することを見越して始めた、営業再開の準備を継続しているのだろうと考えておく。ハブリーチェクマルチ大臣が突然来週の月曜日から小売店の営業再開を許可するように政府に提案すると言い出したことでもあるし。
 買ってきた新しい髭剃りは、以前のものよりはるかに軽く使い勝手もよかった。これなら、毎日は面倒くさいけど、二日に一回ぐらいなら継続して髭剃りできるかもしれない。最近は特にマスクをしていて無精ひげが隠れることをいいことに、髭剃りの頻度が下がっていたから、これを機に回数を増やすことにしよう。帰宅直後の手洗いうがいが丁寧になったし、髭を頻繁に剃るようになりそうだし、以前よりちょっとだけ清潔な生活になるかもしれない。これもまた、ありがたい中国のおかげである。ちくしょう。
2021年2月18日20時30分。








2021年02月19日

気分は憂鬱(二月十六日)



 意味不明な非常事態宣言の延長がなされて、いや新たな非常事態宣言が発令されて二日目、職場に向かう途中に見かけた知り合いがマスクをしていなかった。つい先日までは、どんなときにもマスクをしていただけに意外だったのだけど、同時にこの人でさえマスクを外してしまうほどに、今のチェコ社会には、規制に対してもううんざりだという気分が蔓延しているということで、規制を強化したところでろくに守られず、何の効果も挙げそうもないことを象徴している。
 そんな目で見るからかもしれないが、マスクをしていない、一時的にあごの下に持って行っているのではなく、完全にマスクの着用を拒否している人の数が、先週よりもはるかに多くなっているような気もする。ということは当然、マスク以外の規制を守っていない人も増えていることを意味する。この手の自由を制限する厳しい規制は、最初から期間が決まっているならともかく、長引けば長引くほど守らない人が増えていくのは当然のことで、政府が言うようなモラル云々はあまり関係ない。特に守っても何の効果もないとなればなおさらである。

 去年の春の非常事態宣言下での規制を守る人が多かったのは、一つには最初の宣言だったというのもあるだろうけど、比較的短い期間で規制の緩和が始まり、宣言の終結が見えてきたのも理由の一つになっている。守らない人が目に見えて増える前に、規制が緩和され非常事態宣言が集結したのである。それに規制を守る効果があって、徐々にとはいえ感染者数という数字によって状況が改善していく様子が、目に見えたのも大きいか。

 秋の非常事態宣言だって、少なくとも規制が導入された当初は守っている人が多かったのだ。その結果、状況が急速に改善して、クリスマス前には、非常事態宣言は解除されなかったとはいえ、規制がかなり緩和されるところまで行ったのだ。当時は導入されたばかりの犬システムも感染者数だけではわからない感染状況を示すものとして役に立っていた。
 それが、クリスマス前に犬システムの示す数値を無視して規制の強化を先送りにしたり、年明けに逆に緩和を拒否したりしたことで全てがおかしくなった。規制を守っても状況が改善されない、もしくは改善されても規制が緩和されないなら、規制を守る意味がないと考える人が増えたのである。もちろん、非常事態宣言と規制が、いつ終わるという期限もなく、長期間にわたり続けているのもその原因のひとつである。

 十月の上旬の発令からすでに四ヶ月を越えようとしていることを考えると、そこに政治家たちがやっているでたらめも考え合わせると、チェコの人たちはよくここまで我慢して規制を守っているものだと思わなくもない。規制反対のデモはしばしば起こるけど、アメリカや西欧とは違って暴動にはならないし。

 せっかく犬システムで、全国的な評価だけではなく、地方ごとの感染状況を示す数字も出すようにしたのだから、規制の度合いもそれぞれの地方の状況に合わせて変えればいいと思うのだが、それをやると非常事態宣言が必要な理由がなくなるせいか、現在まで実現はしていない。犬システムを導入したときには、将来は地方単位で規制を変えるために使うといっていた記憶もあるのだが、厚生省の犬システムのページでは地方ごとの数字が見られなくなっている。
 これもまた、規制を守らない人が増えている理由のひとつである。感染状況は地方によって大きな差があるのだが、全国一律での規制のため、状況が比較的良好な地方の人が、別の地方のせいで規制が厳しくなっていると考えてしまうのである。地方によってある程度規制に差をつけるような対応にしておけば、犬システムの示す危険度指数を我がこととして受け止められただろうに、特に年が明けてからは数字がどうなっても規制が変わらないということで、まともに受け止める人はいなくなった。

 もっと言えば、今更言ってもしょうのない話だけど、秋に非常事態宣言が発令される前の、プラハで大規模集団感染が頻発していた時期にプラハを閉鎖しなかったのもよくない。春のリトベルが閉鎖されたときよりもはるかに状況が悪かったのを放置したことで、その程度のものでしかないのだと理解した人は多いはずだ。プラハですら閉鎖の対象になりうるということを、この時期に示せていたらこんな状態にはなっていないと思うのだけど。
2021年2月17日24時。













2021年02月18日

冗談じゃなかった(二月十五日)



 非常事態宣言を巡る与党と野党の政治的な駆け引きは、もう冗談としか言いようのないレベルにまで堕ちていて、醜悪さでは日本の、マスゴミも含めたでたらめ振りと大差ない。最悪なのは、日曜日のバビシュ政権の悪あがきがなぜか成功してしまったことで、その結果、実質的には、木曜日に国会で否定されたはずの非常事態宣言が、さら14日間延長されることになった。
 もともと去年の秋に発令され、共産党の協力で延長されてきた非常事態宣言は、日曜日の深夜24時に切れることになっていた。それで先週政府と野党が、延長するかどうか、延長するならどんな条件で延長するのかなどについて話し合いを進め、木曜日に国会で採決が行われたのだが、話し合いが物別れに終わり、要求した防衛予算の削減の詐欺的な取り扱いに不満をためていた共産党が協力を拒否した結果、非常事態宣言の延長は認められなかった。この時点で、秋から続いた非常事態宣言が終了することは決定したのである。

 それに対して政府は、野党所属の地方知事の中にも、中央とはちがって非常事態宣言の必要性を訴える知事がいることを利用するという手に出た。つまり、地方からの要請で非常事態宣言を改めて発令するというシナリオを用意したのである。地方単位の非常事態宣言であれば、これまでも洪水が起こった際などに出されているが、政府だけでなく知事の権限でも発令できるはずである。政府が狙っているのはあくまでも全国的な非常事態宣言だったから、プラハ市長も含めて全国14人の知事が全員一致で非常事態宣言を要請することを求めていた。
 具体的な交渉は土曜日に始まったのだが、土曜日の時点では話し合いがまとまる可能性は低そうだった。知事側は、仮に政府の求めに応じるにしても、規制に関して自分たちの要求を飲ませたいなどと発言していたし、下院での審議でも野党の要求をはねつけた政府側が知事たちに大きな譲歩をするとも思えなかった。何よりも、政府批判を繰り返しワクチン接種なんかでも独自のやり方をしているプラハ市長が全会一致をぶち壊してくれると信じていたのだが……。

 日曜日の夜になって(夕方だったかもしれないけど)、非常事態宣言が継続されるという情報が流れ、政府の記者会見が始まった。知事たちとの話し合いが成功したということは、小売店やスキー場などの営業禁止の緩和を訴える知事もいたし、同じ非常事態宣言でも、規制の内容が少なくとも多少は緩和されるということだろうと期待したのだが、首相をはじめ政府関係者の口から漏れる規制に関する発言は、これまでとまったく変わらないことを繰り返すだけだった。例外として役所の営業時間に関する規制が撤廃されたけど、一つは譲歩したという象徴的な意味しか持たないように思える。
 政府の記者会見は、これまでと同じことを繰り返すだけの意味のないもので、特にバビシュ首相は、非常事態宣言の延長に協力しなかった野党を、秋の下院選挙対策でANOの政策に反対しているだけだと批判というよりは、口汚く罵倒していた。正直聞くべきことはほとんどなかったといていい。

 国会で否決された非常事態宣言の延長を、知事の要望があったとはいえ、実行することについては、延長ではなく、深夜に効力の切れるこれまでの非常事態宣言に接続する形で、新たな非常事態宣言を発令するのだから問題ないと説明していた。ひとつの事態に関して複数の非常事態宣言は、政府独断では出せないという問題にも、今回の新たな非常事態宣言は、これまでのものとは違って、ウイルスの変異種がチェコ国内に入ってきて感染の拡大につながっている事態に対応するためのものだから、違憲ではないという。
 しかし、変異がチェコ国内で新規感染者数が減少しない原因になっているというのは、国会で延長を求めるときに提示された理由のひとつではなかったのか。結局無用の長物に過ぎなかった犬システムが、危険度4を示しても、規制に関しては5レベルが継続されているのも同様の理由とされているはずである。ならば、変異種を理由に新たな非常事態宣言を発令するのには、論理的に無理があるような気がする。

 これなら、野党は大々的に新たな非常事態宣言に反対する行動に出ると期待したのだが、下院での審議を求めると主張しているのは、オカムラ党と共産党だけで、ほかはしばらく様子見をする方針のようである。政府が疫病対策の新たな法律案を提出するのを待つというのだが、この一年の間に出てこなかった、野党が飲めるようなものが出てくるわけがないのだから、これなら最初から延長に賛成していたほうがマシだったというものである。
2021年2月16日9時30分。








2021年02月17日

雪の中のサッカー(二月十四日)



 チェコのサッカーの一部リーグでは、二年前から試合数を増やした関係で、冬の一番寒く雪の多い時期の試合を避けるために設けられていた長期の冬休みが短縮された。今年はさらに、秋の非常事態宣言下で開催禁止命令のために延期された節をこなすために、十二月の中旬まで秋のシーズンが続き、一月の半ばには春のシーズンが始まっている。
 一部のチームがある町の中では、リベレツとヤブロネツが北ボヘミアの山間部にあって、二月後半に春の部が始まる例年でも積雪のために中止になることがあるのだが、芝生の下に埋めたパイプにお湯を通す融雪設備の設置が義務付けられているおかげで多少の降雪であれば試合は行われることが多い。今年もヤブロネツでは雪が軽く積もって芝が半分凍りついたようなグラウンドで試合が行われていた。

 その翌週だったかにムラダー・ボレスラフでの試合が延期になったのだが、問題は積雪よりも融けた雪がグラウンドにたまって水溜りというか泥沼のような状態になっていたのが問題だったらしい。ヤブロネツでも同様の理由で一試合延期になっていたかな。とにかく今シーズンは、例年以上に芝の状態が悪い中での試合が多い印象である。スタジアムの設備は以前よりもはるかによくなっているから、以前なら中止になるような状況でも何とか開催に持ち込めるようになっているのだろう。以前は、冬場になるとゴール前の芝がはげて雨や雪が降ると砂を入れてごまかすことも多かったし。
 今週末は、雪が積もったグラウンドでというだけでなく、雪が舞い散る中、気温もマイナスから出てこない中で行われた試合がいくつかあった。チェコみたいな寒冷な気候の国では多少の積雪で中止にしていたら時間が足りなくなるのだろうけど、サッカー選手も大変である。ハンドボールだと原則屋内だし、屋外のコートでやる場合は積雪や水溜りがあるとドリブルできなくなるから、試合なんて開催のしようがない。

 そんなサッカー選手の大変さを見せられたのが、金曜日にチェコテレビで放送されたスロバーツコとテプリツェの試合で、試合前から降り続いた行きのせいで芝は、試合に支障はないとは言え、雪に白く覆われ、黄色いボールが使用された。スロバーツコのユニフォームが白で、雪のグラウンドでは見づらそうというのもあったけど、何よりも大変そうに見えたのは、雪がちらつくレベルでなく、降り続いていたことだった。降り続く雪がユニフォームだけでなく顔にも降りかかり張り付いていた。
 これは別の試合だけど、動きの少ないゴールキーパーがハーフタイムに控え室に戻るときに、頭の上に雪が積もっていた。試合後のインタビューでグラウンドの芝の状態に不満を述べて、これじゃあサッカーにならないと言う監督が何人かいたし、雪や凍結しかかったグラウンドが低調な試合が多かった原因になっているのかもしれない。この週末は、9試合中、4試合もが0−0に終わったが、これは最近のチェコリーグでは珍しいことである。

 とはいえ、全ての試合が低調なつまらないものだったかというとそんなことはなく、テレビで見られたスロバーツコとテプリツェの試合もなかなか面白かったけど、最高だったのは新監督ブルバの本拠地初戦となったスパルタとカルビナーの試合である。もともと守備よりも攻撃に力を入れるタイプの監督だから、オロモウツとの試合が3−2という点の取り合いになったのは、予想の範囲内と言えば言えたのだが、カルビナーとの試合は得点と失点がさらに増えて4−3でスパルタの勝ち。
 前半開始早々に、またディフェンスのミスから失点したのを、20分過ぎに連続して得点を挙げて逆転。このままいくかと思ったら、またまたディフェンスのミスから失点。いくらミスが連続しても攻撃の気持ちが折れないのがブルバのチームで、40分過ぎに得点を挙げて3−2で前半終了。後半に入って70分ごろの得点で2点差にしたのだが、そのちょっと後にトラーブニークが退場を食らうというおまけ付きで劣勢に陥り、残り十分で失点して1点差に迫られた。結局そのまま試合は終了したのだが、見ていたファンは最後までハラハラし通しだったようだ。

 これがブルバのチーム作りなのだろう。攻め続けていれば守る機会も少なくなるし、得点を上げ続ければ多少失点しても負けることはない。プルゼニュではこの攻撃重視で成功したし、恐らくロシアやブルガリアでは、攻撃が成功する以上に失点して失敗したのだろうと想像するのだが、スパルタとは意外と相性がよさそうである。去年解任されたイーレクは守備を何とかしようとするところから入って、攻撃もうまくいかなくなってどうしようもなくなったけれども、逆に得点力を上げるところから入ったほうがよかったのかもしれない。
 スパルタには、コタルを解任に追い込んだとも言われるドチカルなんてベテランがはびこっているから、2016年のヨーロッパ選手権では招集されて出場はしていたけどやる気がなさそうなプレーで監督のブルバに対する不満を表明していたし、うまくいかないんじゃないかと心配していたのだが、とりあえずは、監督交代は成功しそうだと評価できそうだ。中国に支配されたスラビアよりも、成金とはいえチェコ人オーナーのスパルタが強くないとリーグが面白くない。
2021年2月15日15時30分。









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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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