2021年02月19日
気分は憂鬱(二月十六日)
意味不明な非常事態宣言の延長がなされて、いや新たな非常事態宣言が発令されて二日目、職場に向かう途中に見かけた知り合いがマスクをしていなかった。つい先日までは、どんなときにもマスクをしていただけに意外だったのだけど、同時にこの人でさえマスクを外してしまうほどに、今のチェコ社会には、規制に対してもううんざりだという気分が蔓延しているということで、規制を強化したところでろくに守られず、何の効果も挙げそうもないことを象徴している。
そんな目で見るからかもしれないが、マスクをしていない、一時的にあごの下に持って行っているのではなく、完全にマスクの着用を拒否している人の数が、先週よりもはるかに多くなっているような気もする。ということは当然、マスク以外の規制を守っていない人も増えていることを意味する。この手の自由を制限する厳しい規制は、最初から期間が決まっているならともかく、長引けば長引くほど守らない人が増えていくのは当然のことで、政府が言うようなモラル云々はあまり関係ない。特に守っても何の効果もないとなればなおさらである。
去年の春の非常事態宣言下での規制を守る人が多かったのは、一つには最初の宣言だったというのもあるだろうけど、比較的短い期間で規制の緩和が始まり、宣言の終結が見えてきたのも理由の一つになっている。守らない人が目に見えて増える前に、規制が緩和され非常事態宣言が集結したのである。それに規制を守る効果があって、徐々にとはいえ感染者数という数字によって状況が改善していく様子が、目に見えたのも大きいか。
秋の非常事態宣言だって、少なくとも規制が導入された当初は守っている人が多かったのだ。その結果、状況が急速に改善して、クリスマス前には、非常事態宣言は解除されなかったとはいえ、規制がかなり緩和されるところまで行ったのだ。当時は導入されたばかりの犬システムも感染者数だけではわからない感染状況を示すものとして役に立っていた。
それが、クリスマス前に犬システムの示す数値を無視して規制の強化を先送りにしたり、年明けに逆に緩和を拒否したりしたことで全てがおかしくなった。規制を守っても状況が改善されない、もしくは改善されても規制が緩和されないなら、規制を守る意味がないと考える人が増えたのである。もちろん、非常事態宣言と規制が、いつ終わるという期限もなく、長期間にわたり続けているのもその原因のひとつである。
十月の上旬の発令からすでに四ヶ月を越えようとしていることを考えると、そこに政治家たちがやっているでたらめも考え合わせると、チェコの人たちはよくここまで我慢して規制を守っているものだと思わなくもない。規制反対のデモはしばしば起こるけど、アメリカや西欧とは違って暴動にはならないし。
せっかく犬システムで、全国的な評価だけではなく、地方ごとの感染状況を示す数字も出すようにしたのだから、規制の度合いもそれぞれの地方の状況に合わせて変えればいいと思うのだが、それをやると非常事態宣言が必要な理由がなくなるせいか、現在まで実現はしていない。犬システムを導入したときには、将来は地方単位で規制を変えるために使うといっていた記憶もあるのだが、厚生省の犬システムのページでは地方ごとの数字が見られなくなっている。
これもまた、規制を守らない人が増えている理由のひとつである。感染状況は地方によって大きな差があるのだが、全国一律での規制のため、状況が比較的良好な地方の人が、別の地方のせいで規制が厳しくなっていると考えてしまうのである。地方によってある程度規制に差をつけるような対応にしておけば、犬システムの示す危険度指数を我がこととして受け止められただろうに、特に年が明けてからは数字がどうなっても規制が変わらないということで、まともに受け止める人はいなくなった。
もっと言えば、今更言ってもしょうのない話だけど、秋に非常事態宣言が発令される前の、プラハで大規模集団感染が頻発していた時期にプラハを閉鎖しなかったのもよくない。春のリトベルが閉鎖されたときよりもはるかに状況が悪かったのを放置したことで、その程度のものでしかないのだと理解した人は多いはずだ。プラハですら閉鎖の対象になりうるということを、この時期に示せていたらこんな状態にはなっていないと思うのだけど。
2021年2月17日24時。
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