2016年12月05日
チェコの銀行1(十二月二日)
ジャパンナレッジに入るためのクレジットカードの話を書いているときに、チェコの銀行についてはまだ書いていないことに気づいた。ということで、今日は銀行の話である。
チェコの大きな銀行というと、まずČSOBこと、チェコスロバキア商業銀行、KBと略されるコメルチニーバンカ、そして、略してČSとなるチェコ貯蓄銀行の三つが挙げられる。重要なのは、この三つとも、外資系の銀行だということだ。いや、それぞれに歴史の違いはあるが90年代の民営化に際して、外資に買収されてしまっているということだ。
ČSOBは、もともとは1960年代に、外国貿易に関する金融業務を担当する銀行として誕生したらしい。時代が時代だったので、もちろん国営の銀行だった。その後、ビロード革命後に、業務内容をチェコ国内の業者向け、個人向けにまで拡大し、チェコ各地に支店を開設していった。現在では全部で200以上の支店があるらしい。オロモウツには、なぜかホルニー広場とドルニー広場に一軒ずつ存在する。
そして90年代の後半に始まった銀行の民営化の第一弾として売却が決定し、入札の末に、ベルギーのKBC銀行に買収され現在に到るということのようだ。ČSOB自体も、ビロード革命後に設立された銀行を吸収したり、子会社として保険会社を設立したりしていくつかの子会社を持ち、日本の銀行と同じで一つのグループを形成している。
住宅ローン特化した銀行や住宅を建てるための貯金を担当する銀行などあるが、興味深いのは郵便局での貯金に関して権利を有していることで、実は顧客数ではこちらの方が、ČSOB本体よりも多いらしい。業務は郵便局で行なっているらしいのだが、郵便局と業務提携して業務委託しているという形なのだろうか。ČSOBで口座を作ると郵便局でお金を引き出せるように設定することも可能なようである。
もともと、この郵便局での貯金業務の権利を持っていたのは、倒産したIPB銀行(投資郵便銀行)で、倒産後ČSOBがその後始末を引き受けることになったのだ。IPB銀行に関しては、かつてチェコに現地法人を置いていた日本の野村證券が株主になっていたことがある。その現地法人のチェコ人たちが、IPB銀行を舞台に大きな詐欺事件を引き起こしたという話があって、それがビロード革命後最大の金融犯罪の一つだというのだけど、チェコビール事件と呼ばれるチェコ最大のビール会社ピルスナー・ウルクエルの株を巡る事件があったということ以外は、具体的な内容はよくわからない。
ただ、野村證券とチェコ政府、ČSOBの間で延々と裁判沙汰が続いていたのは確かである。どんな形で解決したのかはわからないが、この事件のために、チェコの野村證券に対する印象はあまりいいものではない。チェコテレビのニュースで、野村證券が女性社員に訴えられていた裁判に敗訴したというニュースが流れたことがある。日本のニュースなんて、それこそ地震や噴火などの大災害でも起こらない限り、チェコのニュースで見かけることはほとんどないということを考えると、野村證券だから、野村證券が負けたからニュースにしたのだとしか思えない。
チェコに来て初めてビザの延長が必要になったときに、日本の銀行の口座の残高章明をとって、それをさらにチェコ語に翻訳するのは手間がかかりすぎると考えて、チェコの銀行に口座を開くことにしたのだが、どうしてČSOBを選んだのだろうか。
当時、うちのに進められた銀行が、上記のČSOB、KB、ČSの三つだっだ。それ以外にも銀行はあったが、小さい銀行だと倒産する可能性があって、倒産した場合に貯金が返ってこない可能性もあると言われたのだ。90年代にモラビア銀行が倒産したしたときには、一生かけて貯めたお金を失って泣き暮らしていたお年よりもいたという話は聞いていたので、利率のよさで選ぶ気はなかった。この三つが倒産するときはチェコ経済が終わるときだともいうので、この中から選ぶことにした。
うちのが口座を持っているのがČSなので、違うのにしようということでこれは外した。そして、当時チェコ語を勉強していたパラツキー大学の建物の一番近く似合ったのがKBで、近くて便利かもとは思ったが、何となく気が惹かれなかった。何度かお金の振込みや、両替などで使ってその支店にあまりいい印象を持っていなかったのかもしれない。
しかし、決定的だったのは、ČSOBのドルニー広場支店の建物だった。正確なことはわからないけれど、アールヌーボーというか、ジャーマンセセッションというか、19世紀末から20世紀初頭にかけての雰囲気を感じさせるのだ。外見はそうでもないけど、建物の中の金なども使われていながら落ち着いた雰囲気が、最終的な決定を後押しした。待ち時間も建物の内装を眺めていたら退屈しないし。
こう書いてチェコテレビで放送された建築番組「シュムナー・オロモウツ」でも取り上げられていたような気がしてきたので、これから、久しぶりに目を通してみよう。
12月2日23時。
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