2021年02月28日
スラビア強い(二月廿五日)
午後九時からイングランドで行われたヨーロッパリーグの試合で、スラビアプラハが2−0でホームのレスターを破り、エデンでの結果、引き分けと合わせて勝ち抜けを決めた。スラビアにとってはこれが初めてのイングランドのチームに対する勝利だという。レスターとの対戦が決まったとき、もしきはエデンでの試合が引き分けで終わったときに、スラビアの勝ち抜けを願った人、期待した人、信じていた人はいただろうが、客観的に予想していた人はいたのだろうか。
最近のスラビアのヨーロッパの舞台での活躍を考えれば、手も足も出ない惨敗はしないだろうと思っていたし、うまく行けば二戦とも引き分けで、PK戦までもつれ込んだり、いわゆるアウェーゴールの差で勝ち抜けが決まったりする可能性はあかもしれないとは思っていたけれども、きっちり勝って、しかもどこから見ても完勝で勝ち抜けを決めるとは、思ってもいなかった。チェコのチームが、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場するようなイングランドのチームに勝つのが想像もできなくなって久しい。
各国のリーグ間の経済格差が大きくなり、それがそのままではないにしても、チームの実力差に反映しているから、番狂わせが起こりにくくなっているのだ。その番狂わせをしばしば起すのが、チェコのチームであるのは嬉しいことだが、今シーズンはどのリーグのチームも感染症対策や、感染者の問題などでチームの編成に苦労しており、例年と比べると格下のチームが勝ち進むことが多いような気もする。
それにしても、とちょっと考えることがある。この二試合あわせて180分の展開のうち、どこまでがスラビアのトルピショフスキー監督の想定通りだったのだろうか。二試合を通して、レスターの攻撃をほぼ完璧に抑えきり、二試合目の後半開始早々に一気に攻勢に出て得点を挙げた後は、まったく危なげなく、追加点まで挙げて勝ったのである。ブリュックネル並みの戦術家ともいわれるトルピショフスキーのレスター対策が完全にはまったというところだろうか。
プラハでの初戦は、0−0で終わったのだが、スラビアのほうにチャンスが多くて驚いた。イングランドのメディアでは、スラビアがレスターのパスが通りにくいように、スタジアムの芝の状態を悪化させたのではないかという憶測が書かれたらしい。チェコのリーグなんて見ていないのだろうなあ。エデンの芝の状態は、チェコの中では最高のものの一つなのだけど。比較的温暖なイングランドとは違うのである。
この前、スラビアが試合をしたテプリツェのスタジアムは、雨なのか解けた雪なのか、たまった水で泥沼のようになった中に砂が放り込まれて、何とか試合が行われていた。雪の多い山間部のヤブロネツでは雪と凍結に痛めつけられた芝に、試合が進むにつれてぼこぼこ穴が増えていって、最後のほうには爆撃を受けた土地を上空から見ているような惨状をさらしていた。
もちろん、レスターのスタジアムの芝と比べたら雲泥の差なのだろう。二試合目の開始直後にスラビアが攻めこまれて防戦一方になっていたことについて、試合後のインタビューでクーデラが、芝の状態に慣れるのに時間がかかったというようなことも言っていた。同時に、レスターは開始直後に得点を挙げてあとはカウンター狙いという作戦だったのかもしれないとも語っていた。この時間帯を抑えきったことがスラビアの勝利につながったのである。
二年前にヨーロッパリーグを勝ち進んだときの中心選手のうち、ソウチェクとツォウファルはイングランドのウェストハムで中心選手として活躍している。特にソウチェクなど中盤に君臨していると言っていいぐらいである。そう考えると、チェコリーグ全体はともかく、スラビアは、かつてのスパルタのように、ヨーロッパのトップチームともそれなりに対抗できるところまでレベルを上げてきたと言ってもよさそうだ。今のスラビアならチャンピオンズリーグに出場していたとしても、簡単に敗退はしなかったことだろう。
スラビアはチェコリーグでは無敗で首位を独走中で優勝はほぼ確実だといっていい。来シーズンは、今シーズンのように予選で失敗することなくチャンピオンズリーグの本戦まで進出してほしいものである。シマとかジマとか、若手の成長著しい選手たちを外国に売らずに済めば、久しぶりにチェコのチームがグループステージを勝ちぬけるのが見られるのではないかと期待しなたくなる。
2021年2月26日24時30分
試合後のインタビューでトルピショフスキーは次の対戦相手は、レンジャーズがいいと語っていたのだが、金曜日の抽選で本当にレンジャーズと対戦することになった。スコットランドには代表チームが二戦続けて負けたけど、ヨーロッパリーグではスパルタがセルティックを二戦とも粉砕している。今のスラビアなら負けないと思うんだけどどうだろう。それにしてもトルピショフスキー、ちょっと神がかってきたなあ。
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