2021年03月01日
国会もめちゃくちゃ(二月廿六日)
この日は、下院で本会議が行われることになっており、特に二つの議題が注目されていた。いや二つの議題について話し合われることになっていたというほうが正しいか。一つは、一年ほど前、チェコで最初に非常事態宣言が出された頃から、その必要性が指摘されていながら、放置されてきた感染症対策に関する法律で、もう一つは、先日地方知事たちの要請を受けるという茶番の果てに、新規の宣言が出され、実質的には延長された非常じた宣言の延長である。
感染症対策法案は、二月半ばに非常事態宣言の延長でもめた際に、改めて俎上にのぼり先週ぐらいから与野党間で議論がなされた結果、下院では可決されて上院に送られていたものである。この下院で可決された案にどれだけ野党の考えが取り込まれているのかはわからないが、上院では否決され、上院による修正案が下院に差し戻された。それで、非常事態宣言が切れる前に上院案を可決するか、下院案を再度可決するかが求められていたのである。
非常事態宣言なしでも移動の自由の制限など感染症対策に必要な規制を行えるようにするのが目的の法案だけに、野党側が妥協して下院案に賛成するか、政府側が上院案も取り入れた修正案を出して可決しやすくするか、どちらかになるだろうと思っていたのだが、与野党間の対立はこちらの予想以上に深く大きく、海賊党、市民民主党など反政府を標榜する野党は上院案に賛成し、与党も譲歩しなかった結果、どちらの案も可決されないという事態に陥った。特に下院案の再可決に足りなかったのはたったの一票だったというあたりは、少数与党政権の弊害である。
その結果、感染症対策法案が可決されていたとしても、政府はより都合のいい非常事態宣言の継続を求めたはずだが、非常事態宣言の延長についての審議が重要性を増した。ただその経緯と結果には全く納得がいかない。
政府が求めた現在の非常事態宣言の延長に関して、否決されたのはこれまでの経緯を考えれば当然である。前回延長が否決されたときからも、政府が非常事態宣言を活用して有効に規制を行っているというよりは、自らの都合のいいように悪用しているようにしか見えないわけだし、これで賛成に転じたのでは、野党として失格である。
しかし、その野党側が、非常事態宣言の延長を否決した後、政府に対して、新たな非常事態宣言を発することを求めたのである。現在の感染状況で、感染症対策法もないまま非常事態宣言を解除するのはよくないと、野党の側でも考えているのだろうが、延長に賛成できない理由があるらしい。現在の非常事態宣言が、野党所属も含めた知事たち全員の要請によって発令されたというのが、野党が延長を認めたがらない理由になっている。
また、裁判で違憲だとみなす判決が出ているのも、現在のものを延長せず、新たな宣言を出したほうがいいと考える理由になっているのだろうが、状況や発令の根拠が同じ非常事態宣言を繰り返し出すことはできないというルールについてはどうなっているのだろうか。少なくとも、二週間前の非常事態宣言延長も、新たな非常事態宣言の発令も、ウイルスの変異種がチェコ国内に蔓延しつつあることを理由にしていたはずである。だから、現在の非常事態宣言が違憲なら、これから出されるものも違憲だと考えるのが普通だと思うのだけど。
とまれかくまれ、本来であれば終了するはずの非常事態宣言の実質的な延期が決定した。政府では同時に月曜日からの規制の強化も計画しているようだ。ただ、政府自らが国民が守らないと認めている規制を強化することに意味があるのかという疑問に、与党であれ野党であれ、政治家は誰も答えていない。不自由な生活がまた一段と不自由になりそうだ。少なくとも気分の上では。
2021年2月27日24時
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