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2017年06月08日

母の魂が身体から離れた時

母の呼吸が止まった。
2015年12月25日、年の瀬だというのに
穏やかで暖かい日差しの朝だった。

病室の窓からは木々が小風に揺れる様子と
その木々の隙間から差し込む日の光がキラキラと輝いていた。
今思い出しても、綺麗な光景だった。
穏やかな朝だった。

息を引き取った時の母も、穏やかであっただろうか。
母は最期、心穏やかに息を引き取った・・・そう願いたい。

病院から自宅へ連れて帰った時、
手配した車中では音が消えていた。
車窓からの景色も運転手さんの顔も体格も何も覚えていない。

呆然としながら、ただ車に揺られていた。
すぐ横には母が横たわっていた。

ほんの少し前までは息をしていた母。
三日前までは会話も出来ていた母。
しかし、横で寝ている母は顔も見ることが出来ない。
身体を薄い何かでかぶせられて、顔を拝むことができなかった。

自宅に着くと、その何かは無くなり
表情を拝むことが出来た。
いつもと変わらない母がそこで眠るようにして横たわっていた。
話しかければ返事をしてくれそうな、
次の瞬間目覚めて「おはよう」と言ってくれそうな、
極めて自然な寝顔だった。

母の魂は、まだ母の身体にいるのだろうか??
それとも病院に??
それとも自宅周辺をさまよっているのだろうか??

ほんの一瞬、数秒・・・そんなことを考えた記憶がある。
呆然としていたが、頭の中は真っ白の様で真っ白ではなかった。
いろんなことが駆け巡っていた。

母が完全に昏睡状態に入ったのは前日の夕方、
あの時、既に母の魂は身体から出ていたのか・・・?
それとも、息を引きとる瞬間まで・・・?
それとも・・・。

母の魂の居場所が凄く気になった。
母の魂が存在したとして、でもその魂を見ることが出来ない。
ならば、母の魂は私たちを見ることは出来ているだろうか?
今、私の横で、後ろで、前で、上で、
母は話しかけてくれたりしているだろうか??

母の亡骸の横で、添い寝をしたとき
その亡骸からは、母しか感じなかった。
紛れもない母だった。
動かない、呼吸をしていないけれど
とても冷たいけれど、母はそこに居た。

母の魂が母の身体から離れた時、
それがいつだったのかを知りたくなった。

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posted by satorich at 21:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 他界直後
この記事へのコメント
弥生さん、ありがとうございます。
姿が見えないけれど、
脳裏にはいつでも母が浮かびます。

当たり前の事ですが、母の記憶が沢山あることに感謝するようにもなりました。
弥生さんがお母様を感じられることなどありましたら、
またコメント頂けると幸いです。
Posted by satorich at 2017年06月09日 23:11
いつも興味深く読ませていただいています。
私は昨年7月に80歳の母を肺がんで亡くしました。
まだまだ母を想い涙が溢れてくる日々を送っています。
抗ガン剤治療が出来なくなりホスピスで亡くなりました。
父、弟、私それぞれに手紙を残してくれ、姿は見えないけど側にいます。見守っていますと書いてありました。

母が亡くなってから母は今どうしているのか、本当にいるのか、死後の世界はあるのか、頭から離れません。

母の気配を捜してしまいます。

母かなって思った出来事も何回か経験しましたが、見えないし、聞こえないので勘違いだと言われればそれまでです。

母はいるって信じたいけど心から信じることができないのです。

怖いのです。

本当は無になってるんじゃないかって。

本当にマザコン娘で母が元気な時から母がいなくなった時を想像しては泣いていました。

でも私も家族がいるし、何より父が元気でいてくれますので、寂しさを抱えながら寿命まで踏ん張るしかありません。

本当に寂しいですね。

読んで頂いてありがとうございました。

貴方様のお母様を想われる気持ちがいつも私とピッタリで共感する記事ばかりです。

これからも楽しみに読ませていただきますね。

Posted by 弥生 at 2017年06月09日 18:08
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緊急入院した母が,非小細胞肺がん(腺癌)「ステージ4」を宣告され、1年後に他界・・・母の闘病中の記録や、がんに関することを中心に記事にしているブログです。
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