僕が警備員を辞めた理由

上記タイトルは、１９７６年に公開された
サスペンス洋画のタイトルから。



この映画は、カサンドラクロスという
朽ちた鉄橋へ突っ込んでいく列車内が
パニックになっていくもの。



今回は、メンバーシップ型雇用の行き
詰まりと、その中での生き残り術を
上記タイトルに関連付けてみます。



まず、メンバーシップ型雇用とは何か？
まず人を確保しておいて、その後に仕事
を割り当てる雇用。



職務ではなく組織への帰属を求めるため、
採用時には組織内での立ち居振る舞いや



コミュニケーション力などが重視される
傾向にあります。



対するジョブ型雇用は逆で、仕事に人を
付ける。



組織に必要な職務をこなせる能力のある
人材を採用するという考え方です。



さて、メンバーシップ型雇用の暗黒部を
見た経験を紹介します。



僕がかつて従事した非正規雇用で、ある
不文律を破ったことの話です。しきたり
でがんじがらめになっている職場。



先輩が、口酸っぱく注意してれました。
先輩曰く、普段同僚が足を踏み外しても
注意はしない。



「地獄に落ちろ」と思っている。



同僚は一緒に働く「仲間」ではない、
という考えか。



カサンドラ・クロスそのもの。暴走して
転落しても自業自得。余計なお世話ながら
そういう環境自体、すでに地獄なのでは。



注意してくれた先輩はありがたいもの
ですが、メンバーシップ型雇用は仲間
として受け入れられないと、続かない。



組織内での立ち居振る舞いやコミュニ
ケーション力などが劣っていると、仲間
とさえ認めてもらえない。



こうした「選別」が起こるリスクがあり
ます。ジョブ型は最初に職能力で審査する
ので、上記のリスクは低いでしょう。



この「選別」はブラック企業が行って
いるほど苛烈ではなくても、長い目で
見ると問題が起きます。



それは、人が足りなくなる。



昭和の感覚だと、選別を行っても代わりは
いくらでもいる。



しかし今はどこも人を減らされ、カツカツの
人員で回している。



そして業務を知るベテランが去っていくと、
知識やノウハウの継承が上手くいかず、より
苛烈な選別へエスカレート。



こうして、メンバーシップ型雇用が行き
詰った時が、ジョブ型への転換点なので
しょう。



但し、ジョブ型への転換はしばらく時間が
かかるでしょう。そもそもメンバーシップ
型雇用は、終身雇用から生まれたもの。



有期雇用である非正規雇用であっても、
メンバーシップ型雇用を採用している
所がほとんどです。



その中でも、旧態依然とした組織で
生き延びていくにはどうすればいいの
でしょうか。警備も含みます。



自分が属する組織で、実力者は誰かを
見極め、その人に仕える姿勢を見せる。



この実力者の見極めは、最初の関門。
その人に気に入られるかが、第二の
関門。



幸い、僕に注意してくれた先輩は、組織
ではベテランで、一目置かれる存在です。



それとは別に、職場の人間の言動をつぶさ
に観察する。警備員の観察力が活きてくる。



アンテナを高くしていれば、本人に直接
言わなくても、人ツテで漏れ伝わるもの。



職場で孤立無援にならなければ、生き延びる
ことは可能です。



対してジョブ型雇用は、実力を認めさせれば
人間関係で余計に神経をすり減らす必要は
ないでしょう。



交通誘導警備で、現場を仕切る責任者の
ようなイメージですね。但し現場監督に
も認められる必要はあります。



部下隊員のレベルが一定以上で、責任者
として現場監督から指名されるレベルに
なれば、ジョブ型雇用により近くなる。



ただ前述したように、働きに対する報酬を
気持ち上乗せしてもらいたいものです。



一方職場の不文律を守り、人間関係で
地雷を踏まずに立ち回ることができれば、
メンバーシップ型雇用も悪くない。



施設警備がこれに近く、うまくやれば楽を
することだってできるでしょう。



僕個人、メンバーシップ型雇用は日本人
らしい雇用だと思います。完全になくなる
事はないでしょう。特に公務員。



メンバーシップ型雇用に近い施設警備。
ジョブ型雇用に近い交通誘導警備。



どちらも向き不向きが
あるので自身で見極めましょう。



但し施設警備であっても、入札で現場を
失うリスクがあるものについては、数年
単位のジョブ型雇用に近い。



人間関係重視のメンバーシップ型雇用か、
実力重視のジョブ型雇用か。ざっくり
分けるとこうなるに違いありません。

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