2024年11月08日
気持ちよく送り出してくれるか
今回は、過去記事「人の本性が見える瞬間」に
関連して、ブラックな職場ほど終わり良ければ
すべて良しにしない、について語ります。
皆さんの職場では、誰かが辞める時に
お別れ会をしますか。
警備だとシフトの関係で全員参加は
難しいかもしれませんが・・・
この手の飲み会は減ってきてはいるけれど
通過儀礼的に、行う職場は根強い。
それはなぜなのか。
これまであった諸々のわだかまりを、
水に流し(全部ではないにせよ)、
禍根を絶つ。
例え飲めなくても、酒の席というのもミソ。
水に流すというのは、こんなところにも
出ています。
それだけ、日本人はコミュニティにおける
ネガティブな感情に配慮している訳です。
去っていく人の言うに言われぬ思いが、
将来にわたり禍根となることを
恐れたのです。
後ろ髪を引かれる思いで、組織を
去っていく人のネガティブな
想いを薄めていく。
逆に言えば、辞めていく人をぞんざいに
扱う組織は、先が知れています。
ブラックといっても差し支えない。
カテゴリ「施設警備3〜ブラック企業編」
のB社では、僕が辞める時に組織として
お別れ会は企画されませんでした。
他の隊員が辞める時、特に警備員登録して
いる受付女性(女子トイレの巡回がある)が
辞める時は隊長が率先して参加。
僕の時は、同僚隊員がお別れ会を
企画して招いてくれましたが、上司である
所長や隊長は来ませんでした。
確かに、上司とのわだかまりは少なからず
ありました。隊長のパワハラ波状攻撃に
耐えかね、地場警備会社に転職。
去られる側からしてみれば「このヤロ」と
いった感情でしょう。
ただそういった感情を含め、水に流すのが
大人の流儀のはずです。それができない
程、溝が深くなっていたのです。
もはや警備隊としての体をなしていなかった
と言えるでしょう。人間関係崩壊です。
その後B社警備隊は、空中分解していくの
ですが、辞めていく人のマイナス感情に配慮
しない結果でした。
そりゃ取ってつけたような因縁をつけ、
突然解雇するような組織ですから。
怨念も半端なかったでしょう。
もう一つ、今の職場であったことですが
同僚同士で軋轢があり、公募を機に排除された
形で去っていった同僚がいました。
誰が仕掛けたか想像は付くものでしたが、
権力闘争の勝負がついたようなもの。
排除に成功した同僚は「してやったり」
でしょうが、きっちり最後の手当てを行い
ました。
お別れ会は開催しませんでしたが、その代わり
皆からお金を集め、去っていく同僚の好きな酒を
買ってきて餞別にしたのです。
彼が最後の勤務の時に渡して、上司と共に
万歳。万歳とは意味不明な行いでしたが、
禍根を絶てばいいのです。
要領よく生きてきた人らしい振る舞いでした。
気持ちよく送り出すことで、禍根を絶つ。
終わり良ければすべて良し。
このように一定のけじめをつけることで、
感情の精算を行うものですが、それ以外にも
効果のあるものはないのでしょうか。
僕が最初に勤めた地場中小警備会社A社。
入札に負け、看板施設である地元市役所を
失い、余剰人員が発生。
施設の受け皿のある隊員は、速やかに異動
していきましたが、僕は直属の上司と対立して
いた関係で、干されました。
そんな時、A社時代の元同僚からお誘いを
受けて転職するのですが
A社を去る時、専務がこう声をかけてくれたの
です。「将来、戻ってきてくださいね」
社交辞令、リップサービスであることは
分かり切っています。それでもあなたを
失うのは惜しいという感情を示してくれた。
その逆が「お前はどこに行っても勤まらない」
でしょう。ブラックな組織はそう言います。
労働者=消費者なのです。辞めた瞬間から
上司と部下の関係が解除されますが、
顧客になることもあり得る。
気持ちよく送り出すことは、将来の関係まで
配慮するという社会人としての危機管理です。
これをやらないのは、ブラックに違いありません。
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